カミテン~遊戯王TFへ転生してハーレム目指す――でも~ 作:ニョニュム
なんだかんだと言いながら騒がしくも楽しかった学園祭は終了した。セブンスターズ達との戦いを繰り広げる十代達は最後のセブンスターズとなっても魂が戻らない明日香達を心配しながらも全力で学園祭を楽しんでいた。
セキヒト自身も学園祭当日はコスプレ決闘大会の運営としてステージ設備を手伝ったりして忙しいながらも空いた時間で他の寮を回ったりして、それなりに学園祭を満喫した。特にラー。イエローで出されていたカレー料理はプロが作った料理と遜色のない出来であった。
賑やかだった学園祭が終了して既にそれなりの日数が過ぎた。デュエルアカデミアを包み込んでいた学園祭特有の熱気は徐々に消え去り、今では本来のデュエルアカデミアへ戻っている。
しかし、毎日が忙しくも騒がしいデュエルアカデミアの平穏な時間はすぐに消え去ってしまう。デュエルアカデミアの錬金術担当教師であり、オシリス・レッド寮の寮長でもある大徳寺先生が数日前から行方不明となっているのだ。
セキヒトというイレギュラーのおかげで十代の闇のゲームに対する認識が甘い所もあったが少し前のタイタン戦を経て、十代は闇のゲームを理解した。その上で“七星門の鍵”を守る決闘者に選ばれながらもセブンスターズのアムナエルとしての顔を持つ大徳寺先生は十代に敗北した事で姿を消してしまった。
そしてアムナエルとなった大徳寺先生と決闘を行なう中で十代達は7人目ではなく、8人目となる謎のセブンスターズが存在する事を知る。“七星門の鍵”を持つ十代達は明日香達の回復を成し遂げる為、謎の8人目を必死になって探している最中だ。
十代達の予想では“七星門の鍵”を持っているかぎり、いつかは明日香達の魂を奪った人物と戦うことになると思っていた。しかし、現実は多くのセブンスターズが襲撃してくる中、学生として暮らすセキヒトが問題を起こす必要はない。十代達はセブンスターズの相手をしていたので謎の8人目であるセキヒトの捜索が満足にいかなかった。
勿論、十代達が本腰を入れて謎の8人目の捜索を始めたことを知らないセキヒトは普通にデュエルアカデミアでの生活を過ごしていた。
そんなセキヒトの部屋に差出人不明で1枚の手紙が届けられる。不審に思いながらも手紙の内容を確認するとそこには“ブラック・マジシャン・ガールとの決闘について”とだけ書かれていた。他に書いてあることと言えば、デュエルアカデミア全体の地図と森の中にバツと記された面会場所くらいである。
呼び出しに応じるか迷ったセキヒトであったが、セキヒトの居場所が相手に判明している以上、セキヒトは呼び出しに答えていた。
「それにしてもブラック・マジシャン・ガールと決闘した時は誰もいなかったと思ったんだけどな……」
立派に生い茂る森の中、ぽっかりと穴が開いたように木々の生えていない場所があった。その場所の中心で自分を呼び出した人物を待つセキヒトは呟き、溜息を吐く。この場所だと隠れた相手に不意打ちを食らわすことも出来ないのだ。
そんな時、草木を掻き分け地面を踏み出す足音がセキヒトの耳に届く。視線を音が聞こえた方へ向けるセキヒトの前に草木を掻き分けて姿を現した翔。流石に予想外の人物であり目を丸くさせるセキヒトであったが同時に十代や万丈目ではなく、自分を呼び出したのが翔であることに納得する。
本来、カードの精霊を見る力を翔は持たない。しかし、ブラック・マジシャン・ガールだけは別だ。なにより十代や万丈目ならこのように人気の無い場所に呼び出したりせず、普通に皆がいる所で話し掛けて来た筈だ。
「やっぱり、あの時の後ろ姿と帽子はコナミ君だったんスね」
「……一応、確認しておこう。俺を呼び出したのは翔でいいのか?」
翔へ勝手に臆病でいつも影に隠れているイメージを持っていたセキヒトは堂々と姿を現した翔に驚きつつ、確認の為に問い掛ける。こくりと頭を縦に振って頷いた翔。そしてどうして呼び出したのか尋ねる為に口を開くセキヒト。
「それで一体、俺に何のようだ? 俺に十代や万丈目のようにカードの精霊を見ることが出来る力があって、ブラック・マジシャン・ガールと決闘した所で別に問題は無い筈だろ?」
「……なんでコナミ君は十代のアニキと万丈目君がカードの精霊を見られるって、知っているんスか?」
問いかけに対する翔の返答を聞いて、小さく溜息を吐いて頭を掻くセキヒト。
「今回といい、この前といい、語るに落ちるって奴だな。やっぱり“オレ”は余計なことを喋らない方がいいみたいだ」
やれやれと肩を竦めて、わざとらしく笑うセキヒトの姿に警戒を強める翔。そんな翔に対してセキヒトは言い聞かせるように尋ねる。
「俺が天上院明日香や天上院吹雪、枕田ジュンコや浜口ももえの魂を封じた張本人だったとして、どうするつもりなんだ? 確証が取れないから他の人に言えず、危険承知で俺の正体を確かめたつもりだろうが少しだけ無用心過ぎるだろう」
セキヒトの客観的な意見に内心で賛同する翔。謎の8人目を必死で探している十代達の姿を見て、不確定な情報で紛らわせていけないと余計な気を回したことが裏目に出てしまった。少なくとも誰か一人くらいは相談してでも付いてきてもらうべきであった。
しかし、既に翔は逃げることが出来ない。ならば、今出来る最善を尽くすのみ。自身のデュエルディスクを起動させる翔に対して、セキヒトが視線で問い掛ける。現在、両者の間にある実力差は明白。敗北が立て込んだこともあったセキヒトだが、それはセキヒトと対等以上の実力を持つ十代や明日香達を相手にしていた為だ。
翔はその身に秘めた素質として十代達に負けず劣らずの素質を持っている。しかし、現在の実力は十代達に劣っている。つまり、十代達と対等に決闘を行なうセキヒトにも実力的には劣っている。
なによりセキヒトは丸藤翔の兄であり、翔にとってコンプレックスの塊である優秀な兄、丸藤亮ことカイザー亮とライバル関係にある決闘者なのだ。セキヒトはカイザーに対して周囲が呆れるほど敗北を繰り返している。だが、カイザーがセキヒトとの決闘を繰り返すのはカイザーがセキヒトに対して何かを見出しているからに他ならない。そんな相手にそれでも戦うと翔は決めたのだ。
顔を上げ、胸を張り、強い意志を瞳に宿した翔の想いを汲み取り、セキヒトもデュエルディスクを構えて起動させる。
「今から行なわれる決闘は闇のゲームによって取り仕切られる。痛みを伴わない敗北を選ぶなら今の内にサレンダーしろ」
「……そんなことは絶対にしないっス。お兄さんやアニキには追いつけなくても僕だって決闘者だから!」
きっぱりと自分の意志を告げる翔の姿にセキヒトは笑う。意識の中で翔はどこか格下と思っていた驕りが今消えた。丸藤翔はダークネス赤人が魂を狩るに至る決闘者。
「「決闘!」」
漆黒の炎が燃え上がり、二人を取り囲む。そして宣言と共に二人の決闘が開始された。
◇
始まった闇のゲーム。二人の周囲を黒炎が取り囲む中、ゲームの始まりを告げる最初のドローはデュエルディスクによって選ばれる。二人が見守る中、最初のドローを手にしたのはセキヒト。
「最初に宣言しておこう。俺は全力でお前を叩きのめす! 一人の決闘者としてな!」
「なら僕はコナミ君に勝って目を覚まさせてあげる!」
デッキへ手を添えたセキヒトが翔へ宣言する。セキヒトの言葉に翔が叫び返す。セキヒトと翔の間に深い友好があった訳では無い。むしろ、セキヒトは誰よりもオシリス・レッドの中で浮いている存在だった。決闘の実力やあまり交流しようとしない性格。だが、セキヒトのことを嫌う人間はいない。セキヒトへデッキ構成について相談すると口ではボロカスにデッキ構成へ文句を言いながらも結局、親身になってデッキ構成を考えてくれる人物であるから。
決闘に対して真摯な人間に悪い人間はいない。翔はそう信じている。
「…………そうか。なら、簡単に潰れてくれるなよ。俺のターン、ドロー!」
強い意志を秘めた翔の瞳を覗き込んだセキヒトは小さく息を吐き、デッキからカードを勢いよく引き抜き、手札へ加える。手札の内容を確認して、セキヒトが手にした1枚のカード。
「俺は手札から
「ッ! アニキと同じ
E・HEROエアーマン☆4風 ATK/1800DEF/300
効果・このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、以下の効果から1つを選択して発動できる。
●このカード以外の自分フィールド上の“HERO”と名のついたモンスターの数まで、フィールド上の魔法・罠カードを選んで破壊できる。
●デッキから“HEEO”と名のついたモンスター1体を手札に加える。
デュエルディスクへ叩きつけられ、フィールドへ現れる一人のヒーロー。機械仕掛けのバイザーを被り、背中の両翼に付けたプロペラを回転させて、名前の通りに風を纏ったヒーローが翔の前に立ち塞がる。
「俺はエアーマンの効果を発動! 俺はE・HEROアイスエッジを手札へ加える」
セキヒトの指示にエアーマンが頷き、両翼のプロペラで強風を巻き起こすと風をセキヒトのデッキへぶつける。そしてエアーマンの発破に触発されて、冷気を纏った氷結のヒーローがデッキから飛び出してセキヒトの手札に加わった。
「俺はカードを1枚伏せてターンエンド」
カードを1枚伏せたセキヒトは翔へターンを譲る。先攻は行動に対して相手から制限を受けない代わりに攻撃することが出来ない。ヒーローは遅れてやってくるようにヒーローの活躍はもう少し後だ。
自分が尊敬し、憧れを抱く十代が扱うE・HEROと名前を同じくするヒーローが翔の前に立ち塞がっている。カイザー亮のライバルでアニキと慕う十代と同じヒーローを行使するセキヒト。翔が憧れ、慕う二人の大きな背中をどうして意識してしまう。
そんな状況の中でも翔の瞳は勝利だけを見据えている。丸藤亮も遊戯十代も翔にとって憧れる人物であり、いつか越えなければならない壁。ならば今ここで二人の面影を幻視させるセキヒトに臆してなどいられない。
「僕のターン、ドロー!」
大胆に、そして力強くデッキからカードを引き抜く翔。横目にカードを確認して、そのままカードをデュエルディスクへ置く。
「僕は手札から強欲な壺を発動! デッキからカードを2枚ドロー。そして、スチームロイドを召喚!」
スチームロイド☆4地 ATK/1800DEF/1800
効果・このカードは相手モンスターに攻撃する場合、ダメージステップの間攻撃力が500ポイントアップする。このカードは相手モンスターに攻撃された場合、ダメージステップの間攻撃力が500ポイントダウンする。
翔のフィールドへ現れる1体のモンスター。乗り物である機関車の姿をしたスチームロイドは煙突から白い煙を吐き出し、汽笛を鳴らしながらやる気をアピールしている。やる気を見せるスチームロイドに頷いて、翔が動く。
「僕はスチームロイドでエアーマンを攻撃!」
スチームロイドATK/1800→2300
「この瞬間、俺はトラップ発動! ヒーローバリア! このカードは自分フィールド上に“E・HERO”と名のついたモンスターが表側表示で存在する場合、相手モンスターの攻撃を1度だけ無効にする! この効果によってスチームロイドの攻撃は無効となり、エアーマンは破壊されない」
翔の号令に従い、スチームロイドは白煙を煙突から吐き出しながらエアーマンへ突撃していく。激しい地鳴りを起こしながら徐々に速度を上げていくスチームロイドが待ち構えるエアーマンへ激突する直前、光のバリアがスチームロイドの眼前に展開されて激突。突然の妨害で完全に速度を殺されたスチームロイドは大人しく翔のフィールドへ帰還していく。
スチームロイドATK/2300→1800
「……それなら僕は手札から
戦いの最前線へ歩みを進めた翔。次に繋がる攻勢の為には決闘者自身が前へ進まなければならないことをセブンスターズと戦い抜いた十代達を見て、翔は知っている。
「俺のターン、ドロー!」
デッキからカードを手札へ加え、セキヒトは引き抜いたカードを発動させる。
「戦いの中に身を置く覚悟、見せてもらった。それなら俺は俺の全力をお前に見せてやる! 見ろ、これが最強のHEROと呼ばれる一角。水の属性を持つヒーロー! 俺は手札から融合を発動する! フィールドのE・HEROエアーマンと手札のE・HEROアイスエッジを融合! HEROの名のつくモンスターと水属性のモンスターで融合召喚! 現れろ、エレメンタルヒーロー、E・HEROアブソルートZero!」
E・HEROアブソルートZero☆8水 ATK/2500DEF/2000
効果・このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。
このカードの攻撃力は、フィールド上に表側表示で存在する“E・HEROアブソルートZero”以外の水属性モンスターの数×500ポイントアップする。このカードがフィールド上から離れた時、相手フィールド上に存在するモンスターを全て破壊する。
周囲の空気を凍て付かせながら現れた一人のヒーロー。その姿は穢れを知らぬまさに純白。純白の鎧を纏い、風に白いマントを靡かせてセキヒトのフィールドへ降り立つ。絶対零度の冷気を操るヒーローでありながら、その身に秘めた闘志はマグマのように熱い。冷気という自然の力を行使する最強と呼ばれたヒーローが翔の前でセキヒトの指示を待ち構えている。
「これが
十代が操る融合ヒーローとは違う、属性を持つヒーローの登場に翔は目を開き、息を呑む。見る者を魅了する美しい姿のヒーローでありながら、その瞳に秘めた闘志は十代達のヒーローに負けずとも劣らない。
視線を合わしただけで理解出来た。このヒーローを倒さなければ、翔に勝ち目は無い。
「俺はアブソルートZeroでスチームロイドへ攻撃!
「この瞬間、僕はトラップ発動! サイバー・サモン・ブラスター! このカードは機械族モンスターが特殊召喚される度に、相手ライフに300ポイントダメージを与えるっス!」
絶対零度の冷気をスチームロイドへ放つアブソルートZero。その冷気がスチームロイドを捕らえる寸前、翔の魔法・罠ゾーンへ大きなアンテナのようなモノを備えた機械が登場する。
「…………機甲部隊の最前線でモンスターを破壊しても次のモンスターを出現させて、サイバー・サモン・ブラスターで反撃する。よく練られたコンボじゃないか。攻撃したら攻撃した分だけこちらもダメージを負う。だが、それで俺が止まると思うな! 攻撃を続行しろ、アブソルートZero!」
フィールドへモンスターを絶やさず、攻撃してきた相手に反撃を食らわせる。抜け目無い翔のコンボに賞賛を送りつつ、それでもセキヒトは止まらない。痛みを伴わなければ得ることが出来ない勝利があるとセキヒトは知っている。
スチームロイドATK/1800→1300
攻撃時は速度に乗った強力な攻撃をするスチームロイドも停車している時の力は非力だ。絶対税度の冷気によって凍て付かされたスチームロイドは動力となる熱を全て奪われてしまい、破壊されてしまう。
丸藤翔LP4000→2800
「この瞬間、僕は機甲部隊の最前線の効果発動! カードの効果によってドリルロイドを攻撃表示で特殊召喚! そしてサイバー・サモン・ブラスターの効果でコナミ君へ300のポイントダメージ!」
ドリルロイド☆4地 ATK/1600DEF/1600
効果・このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、ダメージ計算前にそのモンスターを破壊する。
心臓部を凍らされ、破壊されたスチームロイドに代わって翔のフィールドに現れたドリルロイド。先端のドリルを高速回転させると地面の中へ潜む。
アブソルートZeroを警戒するように翔の近くの地面へ潜り、冷気を遮断するドリルロイド。そして機械族のドリルロイドが翔のフィールドに現れた為、エネルギーを溜めていたサイバー・サモン・ブラスターがセキヒトへ攻撃してダメージを与える。
ダークネス赤人LP4000→3700
「……俺はこれでターンエンドだ」
現在の状況はセキヒトの圧倒的有利。強力な属性ヒーローを行使するセキヒトに翔が押されている状態であるが、翔も翔で成長している。フィールドへモンスターを絶やさず、小さいながら反撃もした。
「僕のターン、ドロー! 僕はドリルロイドをリリースしてユーフォロイドを守備表示で召喚! カードを伏せてターンエンド」
ユーフォロイド☆6光 ATK/1200DEF/1200
効果・このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、デッキから攻撃力1500以下の機械族モンスター1体を表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。その後デッキをシャッフルする。
カードを確認して手札へ加える翔。立ちはだかる最強のヒーローを前にして今の手札ではどうする事も出来ない。攻撃力の高いドリルロイドをリリースする事で現れたユーフォロイド。状況を打破するほどのステータスを持っているモンスターでは無いがその効果は強力。カードを伏せて防御を増やしたものの、防戦一方である事に変わりない。
「俺のターン、ドロー!」
しかし、防戦一方とはいえ、翔の瞳に諦めの色は見えない。ならば一片たりとも油断は出来ない。セキヒトは新たに加わったカードを確認すると新たな仲間を召喚する。
「俺は手札からE・HEROオーシャンを召喚する!」
E・HEROオーシャン☆4水 ATK/1500DEF/1200
効果・1ターンに1度、自分のスタンバイフェイズ時に発動する事ができる。自分フィールド上または自分の墓地に存在する“HERO”と名のついたモンスター1体を選択し、持ち主の手札に戻す。
セキヒトのフィールドへ現れた新たなヒーロー。青く引き締まった肉体に杖のような武器、イルカを連想させる風貌から見ているだけで偉大な海を思わせる。
「アブソルートZero以外の水属性が現れた事でアブソルートZeroの攻撃力がアップする」
E・HEROアブソルートZero ATK/2500→3000
「俺はオーシャンで守備表示のユーフォロイドを攻撃、ビッグウェーブクラッシュ!」
「この時、トラップ発動! スーパーチャージ! このカードは自分フィールド上に“ロイド”と名のついた機械族モンスターのみが存在する場合、相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。自分のデッキからカードを2枚ドローする!」
空を飛ぶユーフォロイドへ杖を向けたオーシャンはその力を発揮させる。突如、オーシャンを中心に大きな津波が発生して空を飛んでいたユーフォロイドを巻き込み、津波の中へ捕らえてしまう。津波に囚われたユーフォロイドは最後の力で自分の仲間を呼び出すとそのまま力尽きる。
「僕はユーフォロイドの効果発動。デッキからジェット・ロイドを特殊召喚!1体のモンスターが特殊召喚された事でサイバー・サモン・ブラスターの効果、300ポイントのダメージをコナミ君へ与える!」
ジェット・ロイド☆4風 ATK/1200DEF/1800
効果・このカードが相手モンスターの攻撃対象に選択された時、このカードのコントローラーは手札から罠カードを発動する事ができる。
ダークネス赤人LP3700→3400
一度の攻撃で手札を増やし、フィールドにモンスターが現れる。戦闘機の姿をしたジェット・ロイド。
「ジェット・ロイドは手札のトラップカードを発動出来る効果を持っている。だがな、その程度で俺が止まると思うなよ? アブソルートZeroでジェット・ロイドを攻撃!」
「この瞬間、僕はジェット・ロイドの効果発動! 僕は手札にある生命輪を発動する! このカードはフィールド上に表側表示で存在するモンスターを1体選択して発動する。選択したモンスター破壊し、お互いのプレイヤーは破壊したモンスターの守備力の数値分のライフを回復する! 僕は勿論、アブソルートZeroを指定!」
ジェット・ロイドを破壊しようと冷気を集めていたアブソルートZeroに対して生命輪が発動する。生命輪の効果によって破壊されたアブソルートZeroはその守備力を回復の力へ変えると二人のLPを回復させる。
ダークネス赤人LP3400→5400
丸藤翔LP2800→4800
「だが、この瞬間、最強と謳われたアブソルートZeroの効果を発動! このカードがフィールドを離れた時、相手フィールド上のモンスターは全て破壊する! 全てを死に至らしめる絶対零度の力を受けろ!」
「そんな!」
アブソルートZeroが破壊されたのと同時にその身に秘めていた圧倒的な冷気が解放される。翔のフィールドにいたジェット・ロイドを容易く氷結させたアブソルートZeroの冷気。全てが凍った世界の中で、ジェット・ロイドはその機能を停止させ、破壊される。
「俺はカードを3枚伏せてターンエンド」
アブソルートZeroを失ったのは痛手であるが既に水属性のオーシャンをセキヒトは所持している。セキヒトにとって、今の状況はそう悲観するモノじゃない。冷静に判断を下したセキヒトはカードを伏せるとターンを終了する。
ターンが自分へ移った事を確認して翔がデッキへ手を添える。状況は防戦一方で終始押されている。それでもセキヒトが最強と謳ったヒーローを倒す事が出来た。充分、セキヒトに喰らいついている。後はこのチャンスを掴み取るだけだ。
「僕のターン、ドロー!」
カードを引き抜き、手札へ加える翔。セキヒトのフィールドへ並ぶオーシャンと2枚の伏せカードを見た翔は覚悟を決めて動く。
「僕は手札からエクスプレスロイドを守備表示召喚!」
エクスプレスロイド☆4地 ATK/400DEF/1600
効果・このカードの召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、自分の墓地に存在する“エクスプレスロイド”以外の“ロイド”と名のついたモンスター2体を手札に加える事ができる。
「エクスプレスロイドの効果で墓地に存在するスチームロイド・ドリルロイドを手札に加える。そして僕は手札から融合発動! 手札のスチームロイド・ドリルロイド・サブマリンロイドで融合! 現れろ、スーパービークロイド-ジャンボドリル!」
スーパービークロイド-ジャンボドリル☆8地 ATK/3000DEF/2000
効果・このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。
先端に大きなドリルを装着した巨大な機械仕掛けのモンスター。そのモンスターが持つ効果は奇しくも二人とも因縁を持つカイザー亮の代名詞とも言えるモンスター、サイバー・エンド・ドラゴンと同様の物。翔のフィールドへ現れた超大型モンスターにセキヒトは警戒を強める。
「サイバー・サモン・ブラスターの効果で300ポイントのダメージ!」
ダークネス赤人LP5400→5100
「そしてスーパービークロイド-ジャンボドリルでオーシャンを攻撃!」
翔の指示に従い、ジャンボドリルは先端のドリルを高速回転させるとキャタピラで地面を滑るように走行してオーシャンへ激突する。高速回転するドリルを持っていた杖で受け止めたオーシャンだったが、ジャンボドリルの突進力と巨体を受け止め切る事は出来ず、破壊されてしまう。オーシャンが破壊された衝撃がセキヒトへ届き、LPを大きく削り取る。
ダークネス赤人LP5100→3600
「俺はオーシャンが破壊された事でトラップ発動、ヒーローシグナル! 自分フィールド上のモンスターが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時に発動する事ができる。自分の手札またはデッキから“E・HERO”という名のついたレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚する。俺はデッキからE・HEROフォレストマンを守備表示で特殊召喚! そしてトラップ発動! リビングデッドの呼び声! 破壊されたE・HEROオーシャンを復活させる!」
E・HEROフォレストマン☆4地 ATK/1000DEF/2000
効果・1ターンに1度、自分のスタンバイフェイズ時に発動する事ができる。自分のデッキまたは墓地に存在する“融合”魔法カード1枚を手札に加える。
オーシャンが破壊されるのと同時にセキヒトのフィールドへ現れるフォレストマン。筋肉質の逞しい身体を持ちながら、その半身は木で出来ているヒーロー。守りを固めるフォレストマンの姿は何故か大樹の安定感を連想させる。そして不屈の闘志で再び復活を果たしたオーシャン。少なくともエクスプレスロイドで突破出来るような守りでは無い。
「僕はカードを2枚伏せてターンエンド」
翔の手札が全て尽きる。セキヒトと同様に守りを固めた翔。翔の守護を破り、この状況を打破できるかどうか。それが今回の決闘において勝敗を分ける。
「俺のターン、ドロー」
セキヒトはカードを引く。手にしたカードを確認して小さく笑ったセキヒトはカードを手札に加えると宣言する。
「俺はオーシャンの効果でE・HEROアブソルートZeroをエクストラデッキへ戻す。そしてE・HEROフォレストマンの効果発動、墓地に眠る融合を回収する!」
「水属性のモンスターとHERO!」
セキヒトの手札とデッキに氷結の英雄を出す為の準備が整う。翔の脳裏に純白の鎧を纏った絶対零度のヒーローが過ぎる。
「……勘違いするなよ。最初に言ったはずだぞ。アブソルートZeroは最強の一角だと。俺は手札から融合を発動! 見せてやる、オーシャンとフォレストマン、二人のヒーローが揃った時のみ召喚出来るヒーロー! 来い、E・HEROジ・アース!」
E・HEROジ・アース☆8地 ATK/2500DEF/2000
効果・自分フィールド上に表側表示で存在する“E・HERO”と名のついたモンスター1体をリリースする事で、このカードの攻撃力はこのターンのエンドフェイズ時まで、リリースしたモンスターの攻撃力分アップする。
オーシャンとフォレストマン。海洋と森林を司る二人のヒーローが交わった時、一人のヒーローがセキヒトのフィールドへ現れる。白き鋼の肉体を持ち、屈強に佇む姿と冠する名前からジ・アースの背中に地球を幻視させる。
「俺は手札から融合解除発動! スーパービークロイド-ジャンボドリルを素材モンスターへ戻す!」
「ッ! 僕のスーパービークロイド-ジャンボドリルが!」
予期せぬ融合解除に動揺する翔だが、機械族のモンスターが特殊召喚された事によってサイバー・サモン・ブラスターの効果が発動する。
ダークネス赤人LP3600→3300
「そして俺はジ・アースでサブマリンロイドを攻撃、アース・インパクト!」
「僕はトラップ発動!進入禁止! No Entry!! このカードはフィールド上に攻撃表示で存在するモンスターを全て守備表示にする!」
鋼の肉体を持つジ・アースがサブマリンロイドへ肉薄したその瞬間、翔の発動した罠カードによって攻撃が防がれてしまう。守備表示となったジ・アースを見届けたセキヒトはターンを終了させる。
「……俺はこれでターンエンド」
セキヒトの宣言を受けて、翔はデッキへ視線を送る。予期せぬ形でスーパービークロイド-ジャンボドリルを失った翔は一気に形成を逆転されてしまった。今伏せているカードは敵の攻撃から身を守るカードではなく、フィールドへ並ぶモンスターもジ・アースと比べれば脆弱。しかし、それはセキヒトも同じ事。セキヒトのフィールドに伏せられているカードもジャンボドリルの攻撃に何の反応を見せなかった事から攻撃を防ぐ為の罠カードではない。
自分にまだ、あのカードを使いこなす資格があるのか。それは判らない。それでも自信を持って言える事がある。
「僕は……、僕はッ! 僕は使うべき時にあのカードを使える決闘者になるんだ!」
翔はデッキから勢いよくカードを引く。翔の覚悟に応えたデッキが翔へ最後の希望を託す。託されたカードを確認した翔はそのカードを発動する。
「僕は手札からパワー・ボンドを発動! このカードは手札またはフィールド上から、融合モンスターカードによって決められたモンスターを墓地へ送り、機械族の融合モンスター1体を融合デッキから特殊召喚する。このカードによって特殊召喚したモンスターは、元々の攻撃力分だけ攻撃力がアップする。発動ターンのエンドフェイズ時、このカードを発動したプレイヤーは特殊召喚したモンスターの元々の攻撃力分のダメージを受ける! 僕はフィールド上のスチームロイド・ドリルロイド・サブマリンロイドで融合召喚! 現れろ、スーパービークロイド-ジャンボドリル!」
スーパービークロイド-ジャンボドリルATK/3000→6000
再び、翔のフィールドへ現れたジャンボドリル。しかし、その身に秘めた力は以前と比べ物にならない。サイバー・サモン・ブラスターの効果が追い討ちを掛ける。
ダークネス赤人LP3300→3000
「これで終わりだよ! 僕はスーパービークロイド-ジャンボドリルでE・HEROジ・アースを――――」
「この瞬間、トラップ発動! 威嚇する咆哮!このターン相手は攻撃宣言をする事ができない!」
「そんなッ! そのカードは!」
「……攻撃を防ぐカードじゃない。そう言いたいんだろ? 俺は最初に言った筈だぞ。一人の決闘者としてお前を倒すと。俺が何度サイバー流と戦っていると思っている。パワー・ボンドに対する保険はいつでも用意している」
驚愕する翔にセキヒトが答える。セキヒトはサイバー流の後継者と何度も決闘を行なっているのだ。サイバー流を継ぐ決闘者と決闘するのにサイバー流を象徴するカードに対策していない筈が無い。
「でも、まだ、負けた訳じゃない。僕はトラップ発動、ピケルの魔法陣。このカードはこのターンのエンドフェイズまで、このカードのコントローラーへのカードの効果によるダメージは0になる」
「パワー・ボンドのデメリットを無効にしたか」
「僕はこれでターンエンド」
翔のフィールドに残ったのは守備表示のエクスプレスロイドと攻撃力6000のスーパービークロイド-ジャンボドリル。伏せカードは無いものの、充分にセキヒトを押している。
だが、だからこそ危険なのだ。追い詰められたセキヒトのドローは運命さえも捻じ曲げて自身の望むカードをドローする。
「俺のターン、ドロー!」
闇がデッキへ集い、運命さえも捻じ曲げた。
「俺は手札から
再びセキヒトのフィールドへ舞い降りた氷結の英雄。セキヒトの意図に気付いている氷結の英雄と地球の守護者は手を取り合う。
「俺はE・HEROジ・アースの効果発動!
E・HEROジ・アースATK/2500→5000
セキヒトのフィールドへ現れたアブソルートZeroは地球の守護者へ自身の力を託すとそのまま朽ちていく。そしてアブソルートZeroを最強たらしめる効果が発動する。
翔のフィールドへ吹き荒れる絶対零度の吹雪。守備状態だろうが、高い攻撃力を持っていようが関係ない。全てを凍り付かせる冷気によって氷像へ姿を変える2体のモンスター。
「これでさよならだ。やれ、ジ・アース! 翔へダイレクトアタック!
氷像となったモンスターを砕き、熱き力に燃えるジ・アースの拳が翔を捉える。思い切り吹き飛ばされて黒炎を壁に叩き付けられた翔はそのまま意識を手放す。
丸藤翔LP4800→-200
「今はただ眠れ……」
セキヒトがカードを掲げると敗北した翔の魂はカードへ封印される。封印された翔のカードをデッキホルダーへしまい、その場から去ろうとした時、大きな地響きと共に島全体が大きく揺れた。
覇王シリーズと迷い、漫画版です。
カード効果を勘違いして、一度投稿した話の改訂版です。