カミテン~遊戯王TFへ転生してハーレム目指す――でも~ 作:ニョニュム
その日、コナミはボロボロのオシリスレッド寮でのんびりと夕食を楽しんでいた。基本的にレッド寮で無料配布される食事はかなりひもじい。痩せ細っためざしと味噌汁にご飯、運がよければそこに梅干がついてくるぐらいだ。他のおかずもあるにはあるが、DPと引き換えに購入する形になっている。
一応、一日しっかりと授業を受けて配布されるDPを全部注ぎ込めば、それなりの食卓にはなる。しかし、それでは他の決闘者と決闘する際に必要となるDPが無くなってしまうので、大抵の生徒はDPと相談しながら食事にしている。
そんな中でも深く考えず、お腹一杯ご飯を食べる生徒もいる。本来ならアカデミアでもトップクラスの実力を持ちながら、赤色の制服が好きだからという理由でレッド寮にいる遊戯十代もその一人だ。
話は変わるが、アカデミアで大量のDPを稼ぐには大きく分けて二つの方法が存在する。一つは露骨なまでに実力主義であるDPを掛けた決闘。もう一つは普通の授業とは別に行なわれる詰めデュエルテストを受けて、良い点数を取ることである。この二つが授業以外でDPを稼ぐ方法だ。実技と知識、その二つが高い水準の生徒は普通に生活していても段々とDPが溜まっていくので、決闘者ランクが上がる訳だ。
しかし、何事にも例外というのが存在する。それが遊戯王GXでは主人公を務めた遊戯十代という生徒。十代の詰めデュエルの成績は直視出来ないほどに酷い。だが、それを補って余りある実技のセンスを持っている為にDPに困らない生活をしている。
「くー、やっぱ、レッド寮のご飯は最高だぜ!」
「いや、アニキ。普通はレッド寮のご飯よりイエローやブルー寮のご飯の方が圧倒的に美味しい筈だよ」
「まあまあ、十代が美味しいって言ってるんだから、それでいいんだな」
食べ盛りの年頃である十代が満足そうに夕食を平らげていく中、その食べっぷりに若干引いている翔。美味そうに夕食を平らげていく十代と苦笑している翔を見守っている隼人が笑みを浮かべながら言う。
基本として弱肉強食における弱者であるレッド寮生は食事を取る度に自分の弱さを噛み締めながら食事を取るので、食堂はもの静かだ。しかし、オシリスレッドの期待の星であり、明るい性格である十代が食堂にいる時は元気な十代につられて、他のレッド寮生も元気になる。
(十代……か。そういえば、決闘したこと無かったっけ?)
騒がしい十代達を横目に、夕食の味を噛み締めていたコナミはふと思い出す。
学園最強であるカイザー亮に勝利する為、何度もDPを掛けて色々な生徒と決闘してきたが、原作主人公である十代との決闘は意図的に避けてきた。勝てる気がしない――――のではなく、十代とは決闘する理由が無い。効率重視であるコナミが決闘に挑むのは基本的に女子生徒ばかりで、自ら進んで決闘を申し込む男子生徒はカイザー亮ぐらいだ。
同じ敗北でも女子生徒に負けてDPを持っていかれるのと男子生徒にDPを持っていかれるのでは悔しさが全然違う。同じ要領で、部屋の理不尽な立ち退き要求をしてきた万丈目とも決闘せずに大人しく部屋を引き渡した。代わりの部屋は大徳寺先生がすぐに用意してくれたので、別に万丈目は恨んでいない。
「ん? コナミ、こっち見てたけどどうかしたのか?」
「あぁ、なんだか珍しいペンダントを着けてるな。似合ってるよ」
コナミが横目で自分達のことを見ていると気付いた十代が食事の手を止めて、コナミへ声を掛ける。こちらが見ていたことに気付いた十代の身体能力に内心で驚きながら、コナミは十代が首に掛けているペンダントを見つけると話を逸らす為に言う。今思い返してみれば、カイザーも似たようなペンダントをしていた気がする。
遊戯王GXを下地にしているこの世界でも“三幻魔”を巡る戦いが起きるのだろう。
しかし、それに関してコナミが何かするつもりは無い。コナミが余計なことをしなくても十代が勝手に解決してくれるので放っておいて大丈夫だ。
「へへ、そうか?」
「………………」
話題を逸らす為に褒めた訳だが、照れくさそうに頭を掻く十代の姿になんとなく罪悪感を覚える。持っていた茶碗と箸を置いて、コップに入ったお茶を飲み干す。ふぅと一息ついたその時、コナミの中で時が止まる。
「お、コナミはもう食べないのか? それなら残っている沢庵貰うぜ」
「あっ……」
あろうことか、コナミが夕食を終えたと“勘違い”した十代が、コナミがわざわざ食事の最後に取っておいた沢庵を横から掻っ攫ってしまう。美味しそうに沢庵を食べる十代の姿にコナミの中で何かが切れた。
「じゅううぅぅぅだぁぁぁぁいいいぃぃぃぃ!」
「な、なんだ、どうしたんだよ、コナミの奴!」
既に言葉になっていない奇声を上げて立ち上がったコナミが十代に対してデュエルデスクを構える。そんなコナミに驚きながら、十代もデュエルデスクを構える。
「アニキ、コナミ君は沢庵が大好物なんすよ!」
「え! そうなのか、悪い。ちゃんと返すから……」
明らかにぶち切れているコナミの姿に十代はうろたえて、翔の指摘を受けてコナミへ謝罪するがもう遅い。
「黙れ! お前は今日、此処で、オレが倒す!」
「だから、悪かったって言ってるだろ! ん? そういえば俺ってコナミと決闘するの初めてだよな。おぉー、ワクワクするぜ!」
怒りに燃え、我を忘れているコナミと謝罪しながらもコナミと初めての対戦だと気付いた十代が瞳を輝かせる。
「な、なんでこんなことになってるんすかー」
十代とコナミ。コナミ自身は気付いていないが、オシリスレッドのダブルエースが決闘するとあって、騒ぎを聞きつけた寮生たちがわらわらと食堂へ集まってくる。
「食べ物の恨みはそれだけ恐ろしいってことなんだな」
混沌とした状況が食堂を支配していく中、嘆く翔の肩をポンと叩いた隼人が言う。
「「デュエル!」」
遊戯十代と小波赤人。――――オシリスレッドにおけるダブルエースの戦いが今、始まろうとしていた。
◇
デュエルデスクが示す先攻は十代。
「へへ、好物を食べたのは悪かったけど、コナミと決闘できるなら良かったかも知れないな。俺のターン、ドロー! 俺は手札からE・HEROクレイマンを守備表示で召喚!」
十代のフィールドに粘土で出来た大きな身体を持つヒーローが身構えた状態で出現する。
E・HEROクレイマン☆4地 ATK/800DEF/2000
下級ヒーローとしては最強の防御力を誇る壁モンスター。ぶち切れているコナミは何をするか分からない。守備を固めるのが先決だ。
「俺はカードを2枚伏せて、ターンエンド」
出だしとしては充分な布陣、守備力2000を超えるモンスターは下級モンスターの中ではごく一部に限られているし、2枚の伏せカードがある。
しかし、そんなことでぶち切れているコナミの進撃を止められる筈もない。
「オレのターン、ドロー! オレは手札から魔法カード“暗黒界の取引”を発動。お互いのプレイヤーはデッキからカードを1枚ドローし、その後手札を1枚選んで捨てる。オレはカードをドローして、手札から暗黒界の龍神グラファを捨てる。この時、グラファの効果発動。このカードがカードの効果によって手札から墓地へ捨てられた場合、相手フィールド上に存在するカード1枚を選択して破壊する。オレは右側の伏せカードを破壊」
暗黒界の龍神グラファ☆8闇 ATK/2700DEF/1800
効果・このカードは“暗黒界の龍神 グラファ”以外の自分フィールド上に表側表示で存在する“暗黒界”と名のついたモンスター1体を手札に戻し、墓地から特殊召喚する事ができる。このカードがカードの効果によって手札から墓地へ捨てられた場合、相手フィールド上に存在するカード1枚を選択して破壊する。相手のカードの効果によって捨てられた場合、さらに相手の手札をランダムに1枚確認する。確認したカードがモンスターだった場合、そのモンスターを自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。
手札から墓地へ送られる龍神の咆哮が十代の伏せカードに迫る。
「トラップ発動! 和睦の使者、これでこのターン、クレイマンは破壊されない!」
暗黒界の龍神の咆哮により、破壊されそうになった伏せカードは十代の宣言により発動される。色々鬱憤が溜まっているのか、コナミの姿を認めた女性の使者はコナミへ蔑んだ視線を送り、コナミが司る龍神の咆哮を鼻で笑って退けるとコナミへ近付いていき、停戦の書類を投げつける。
「な、なんだこりゃ?」
「さ、さあ?」
明らかに私怨の入った女性使者の行動に十代が驚き、コナミは見た目は温厚そうな女性使者から視線を逸らす。平和を望む女性使者に賄賂を手渡して帰らせたことが女性使者のプライドをズタズタに引き裂いたのだ。コナミが恨まれるのも仕方ない。停戦の書類を突き付けられて、女性使者に凄まれたコナミはいそいそと書類にサインする。そのサインを確認した女性使者は満足そうに頷いて、消えていく。
「コ、コナミ君、一体何をやったんすか……」
「ゴホン、翔、オレが何をしているのか。知りたいんだよな?」
見てはいけない一面を目撃した翔が呟き、コナミはわざとらしく咳をして話題を変える。
「そして、手札から魔法カード“暗黒界の雷”を発動。フィールド上に裏側表示で存在するカード1枚を選択して破壊する。その後、自分の手札を1枚選択して捨てる。オレはもう1枚の伏せカードを破壊して、暗黒界の術者スノウを墓地へ捨てる」
「ぐっ! ヒーロー・シグナルが!」
暗黒界の落雷が伏せカードを破壊する。
「そしてスノウの効果発動!」
暗黒界の術師スノウ☆4闇 ATK/1700DEF/0
効果・このカードがカードの効果によって手札から墓地へ捨てられた場合、自分のデッキから“暗黒界”と名のついたカード1枚を手札に加える。相手のカードの効果によって捨てられた場合、さらに相手の墓地に存在するモンスター1体を選択し、自分フィールド上に表側守備表示で特殊召喚する事ができる。
「デッキから2枚目のグラファを手札へ。オレがやっていることは暗黒界では良くあることさ! オレは手札から魔法カード“手札抹殺”を発動。お互いの手札を全て捨て、それぞれ自分のデッキから捨てた枚数分のカードをドローする。1体のグラファと2体の暗黒界の狩人ブラウを捨てて3枚ドロー! そしてブラウとグラファの効果発動! グラファの効果でクレイマンを破壊!」
暗黒界の狩人ブラウ☆3闇 ATK/1400DEF/800
効果・このカードがカードの効果によって手札から墓地へ捨てられた場合、自分のデッキからカードを1枚ドローする。相手のカードの効果によって捨てられた場合、さらにもう1枚ドローする。
コナミの手札から墓地へ送られるブラウがその直前に持っていた弓でデッキのカードを射抜き、舞い上がった2枚のカードがコナミの手札へ送られる。
そして再び墓地へ送られる龍神の咆哮がクレイマンを襲う。このターンだけで何度も聞いた龍神の咆哮がクレイマンを破壊する。女性使者と交わした書類通り、“攻撃”は行なっていない。
「ブラウの効果でカードを2枚ドロー!」
「さ、さっきからコナミ君は何をやってるんすか?」
「わからないんだな。けど、何か嫌な予感がするんだな」
一人で手札を捨てたりドローしたりと意図の見えない行動をしているコナミへ首を傾げる翔とぶち切れて不敵に笑うコナミの表情を見て、怯えている隼人。それなのにコナミと対面している十代の表情はキラキラと輝いていて眩しい。
「そして魔法カード“トレード・イン”を発動。手札からレベル8モンスター1体を捨てて発動。デッキからカードを2枚ドローする。3体目のグラファを墓地へ。そしてオレは手札から魔轟神レイヴンを召喚!」
「うげ、チューナーモンスターかよ!」
コナミのフィールドに出現したチューナーモンスターに十代は渋い顔を見せる。シンクロとエクシーズ。デュエルモンスターズの新たな可能性として普及し始めたレベルタクティクスを必要とする召喚方法。人間、誰もが新しいモノに対して偏見を見るように、普及率は今だ低い。アカデミアの中でも使用する決闘者は僅かにしかいない。
魔轟神レイヴン☆2光 ATK/1300DEF/1000
効果・1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に発動する事ができる。自分の手札を任意の枚数捨て、その枚数分このカードのレベルをエンドフェイズ時まで上げる。このカードの攻撃力はエンドフェイズ時まで、この効果によって捨てた手札の枚数×400ポイントアップする。
「レイヴンの効果で手札にある3枚のカードを墓地へ。そしてレイヴンの効果発動!」
魔轟神レイヴン☆2→5 ATK/1300→2500
「攻撃力2500のモンスター! けど、和睦の使者を発動しているからダメージは発生しないぜ!」
「残念だったな、十代。オレがやりたかったのはこちらの方だ! レイヴンの効果で墓地へ捨てた3枚のカードは暗黒界の尖兵ベージ。そしてベージの効果発動!」
暗黒界の尖兵ベージ☆4闇 ATK/1600DEF/1300
効果・このカードがカードの効果によって手札から墓地へ捨てられた場合、このカードを墓地から特殊召喚する。
手札から墓地へ送られたベージ達はやれやれと墓地へ向かう。墓地へ着いたら酒でも呑みに行くか、と予定を立てながら墓地へ向かったベージ達は墓地に辿り着いてから気付く。
キチンと自分の役目を果たしたブラウとスノウは墓地の中でゆっくりと休んでいて、役目も果たさずに墓地へ来たベージへ哀れむような視線を送っている。その視線に気付いた時にはもう遅い。ベージ達が崇める龍神のグラファが3体とも自分の出番を待っている。
そして、ベージ達は慌てて回れ右すると急いでコナミのフィールドへ出現して持っていた槍を構える。
「な、なんだったんすか?」
「さ、さあ、なんだな?」
何処かで見たコントのようなやり取りに翔は呆れ顔を浮かべて、隼人も苦笑する。そんなコントを見届けたコナミは満足そうに頷くとそのまま宣言する。
「グラファが持つもう一つの効果発動! ベージを3体とも手札に戻して、3体のグラファを特殊召喚!」
ベージ達がほっとしたのも束の間、ベージ達を押しのけてコナミのフィールドへ現れる3体のグラファ。龍神のグラファに、後は任せろと肩を叩かれたベージ達は感動した様子でコナミの手札へ戻る。
「本当はこのまま総攻撃と行きたい所だけど、和睦の使者のせいで戦闘ダメージが発生しない。オレは手札から魔法カード“リロード”を発動。自分の手札を全てデッキに加えてシャッフルする。その後、デッキに加えた枚数分のカードをドロー」
コナミが手札へ戻った3体のベージがそのままデッキへ戻り、新しい3枚となってコナミの手札となる。コナミは新たに引いた3枚のカードを見て、内心で勝利を確信する。
「オレは手札からフィールド魔法“暗黒界の門”を発動する。このカードはフィールド上に表側表示で存在する悪魔族モンスターの攻撃力・守備力は300ポイントアップする。つまり、グラファの攻撃力は3000! カードを2枚伏せてターンエンド。この瞬間、レイヴンの攻撃力が元に戻る」
魔轟神レイヴン☆5→2 ATK/2500→2800→1600
暗黒界の龍神グラファ ATK/2700→3000
「すげぇ、凄すぎるぜ、コナミ! たった1ターンで攻撃力3000のモンスターが3体とチューナーモンスター!」
食堂に暗黒界へ繋がる門が出現する中、十代は瞳を輝かせて興奮する。1ターンの間にデッキがグルグル回ったと思えば、いつのまにか攻撃力3000のモンスターが3体と新しい時代を切り開く可能性を持つチューナーモンスターが1体。十代が興奮しない訳が無い。
正直な話、コナミ自身も此処まで回るとは思っていなかった。グラファが3体並ぶ事はまあ、暗黒界ではよくあることだ。しかし、コナミが驚いているのはそこでは無く、アレだけの回転を見せてなお、手札こそ使い切ってしまったが、万全の上体で伏せカードが存在している。食の恨みというコナミの暗黒面に導かれた暗黒界の仲間達は素晴らしい働きを見せてくれた。
「けど、俺のヒーロー達も負けてないぜ!」
本当に楽しそうに笑う十代を見て、本能的にヤバイと理解する。
「俺は手札からE・HEROバブルマンを攻撃表示で召喚!」
十代のフィールドに出現する一人のヒーロー。背中に大きなタンクを背負い、白のマントをはためかせる姿は正に正義の体現者。
E・HEROバブルマン☆4水 ATK/800DEF/1200
効果・手札がこのカード1枚だけの場合、このカードを手札から特殊召喚する事ができる。このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時に自分のフィールド上に他のカードが無い場合、デッキからカードを2枚ドローする事ができる。
「バブルマンの効果でデッキからカードを2枚ドロー!」
「残念だったな! それは見切っている! オレはバブルマンが召喚される前にトラップカード“スキル・ドレイン”を発動していた! スキル・ドレインの効果はLPを1000払うことで発動できる。このカードがフィールド上に存在する限り、フィールド上の全ての効果モンスターの効果は無効化される! つまり、バブルマンの効果は無効!」
小波赤人LP4000→3000
バブルマンから始まる十代のコンボは最も警戒するべきモノ。伏せていたスキル・ドレインが役に立った。事後処理報告はどうかと思ったが、説明するより早く十代がバブルマンを召喚してしまったし、そのバブルマンも何故か、アニメ効果という恐ろしいモノだったので、自分は悪くないと内心で言い聞かせるコナミ。
「ぐっ、それなら俺は手札から魔法カード“天使の施し”を発動! 自分のデッキからカードを3枚ドローして、その後手札を2枚選択して捨てる。そして魔法カード“ホープ・オブ・フィフス”を発動! 自分の墓地の「E・HERO」と名のついたカードを5枚選択し、デッキに加えてシャッフルする。その後、デッキからカードを2枚ドローする。俺は墓地にあるクレイマン・バーストレディ・フェザーマン・スパークマン・ワイルドマンをデッキへ戻して、カードを2枚ドロー! それと魔法カード“強欲な壺”を発動。自分のデッキからカードを2枚ドローする。よし、来たっ!」
天使の施しから繋がり、発動されてE・HERO専用の貪欲な壺。いつのまにこんな大量のモンスターを、とコナミは一瞬だけ驚いたが、コナミのフル回転に十代も勿論巻き込まれていた。十代ほどの決闘者なら引くカード自体がキーカードとなる場合が多い。手札抹殺でカードを墓地へ送り、足りないモンスターも天使の施しで墓地へ送った。そしてその墓地へ送ったモンスター達はすぐさま回収しつつ手札を増やす。
相変わらず、恐ろしいタクティクスであり、コナミとしては信じられない禁止カードのオンパレード。十代は回った手札を見て表情を明るくさせる。
「俺は手札から魔法カード“融合”を発動。手札のフェザーマンとバーストレディを融合。現れろ、マイフェイバリット・ヒーロー! E・HEROフレイム・ウイングマン! そしてヒーローにはヒーローの戦うべき場所がある。俺はフィールド魔法“摩天楼-スカイスクレイパー-”を発動!E・HEROと名のつくモンスターが攻撃する時、攻撃モンスターの攻撃力が攻撃対象モンスターの攻撃力よりも低い場合、攻撃モンスターの攻撃力はダメージ計算時のみ1000ポイントアップする!」
暗黒の門を破壊して、出現したのは月が輝く摩天楼。月の光を浴び、暗黒界へ繋がる門を絶たれたグラファ達は嘆きの咆哮と共にその力を弱めて攻撃力を戻す。
E・HEROフレイム・ウイングマン☆6風 ATK/2100DEF/1200
効果・このカードが戦闘によってモンスターを破壊し墓地へ送った時、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。
「残念だったな、十代! スキル・ドレインのせいでクロノス先生を下したコンボは通用しない!」
「あぁ、それぐらい分かってるさ! それでもヒーロー達に撤退なんて言葉は無い! フレイム・ウイングマンでグラファを攻撃、スカイスクレイパー・シュート!」
ヒーローの炎と龍神の炎がぶつかり合う。最初は押していたグラファの炎も守るべき者達の声援を受けたフレイム・ウイングマンの前では無力。フレイム・ウイングマンの炎がグラファを包み込み、そのまま破壊する。
「く、グラファが」
小波赤人LP3000→2600
「そして最後の手札から魔法カード“天よりの宝札”を発動互いのプレイヤーは手札が6枚になるようにカードを引く」
丁度使い切った筈である十代の手札が補充される。コナミも同じように6枚のカードを補充されるがカードに選ばれた十代と比べれば、コナミの暗黒面もデュエルに集中し始めたせいで薄れたのか、そこまで良い手札では無い。
「そして俺はカードを4枚伏せてターンエンド」
「オレのターン、ドロー!」
十代が伏せた4枚の伏せカードを確認して、コナミはデッキからカードをドローする。十代が伏せた4枚のカードはちょっとの事では破れない壁の筈。しかし、コナミにはその壁を破る自信があった。
「十代、君は勘違いしているようだが、暗黒界に住む彼らは墓地に送られた程度じゃあ全然倒したことにはならない! オレは速攻魔法“暗黒界に続く結界通路”を発動! 自分の墓地に存在する「暗黒界」と名のついたモンスター1体を選択して特殊召喚する。このカードを発動するターン、自分は召喚・反転召喚・特殊召喚する事はできない。勿論、特殊召喚するのはグラファ!」
墓地からコナミのフィールドへ繋がる結界を通り、フレイム・ウイングマンに倒された龍神が再び降臨する。
「へへ、それを待っていた! 俺はトラップカード“激流葬”発動! フィールド上のモンスターを全て破壊する!」
「ああ、十代ならそれぐらいやってのけると思っていた! オレもトラップカード“トラップ・スタン”を発動! このターン、このカード以外のフィールド上の罠カードの効果を無効にする。激流葬の効果は無効となる! これで壁となるトラップはなくなった! オレの勝ちだ、十代! 3体のグラファとレイヴンでフレイム・ウイングマンとバブルマン、そして十代へダイレクトアタック!」
3体の龍神の咆哮と光の力を内包した悪魔の不気味な微笑が摩天楼を揺るがし、ヒーローが守るべき者達へ圧倒的な恐怖を植えつける。目に見える力の差に二人のヒーローは苦悶の表情を浮かべた。
――――しかし、そんな絶望のなかでも笑みを絶やさない者がいる。そう十代だ。
「だから、それを待っていたって言っただろ! 俺は速攻魔法“クリボーを呼ぶ笛”を発動! デッキからハネクリボーを特殊召喚! そして速攻魔法“進化する翼”を発動! フィールド上のハネクリボーと手札を2枚捨てることでハネクリボーLV10をデッキから特殊召喚する!」
ヒーローを守るように現れた小さな、そして勇敢なる戦士、ハネクリボー。その小さな身体に秘めた力はこの場にいる誰よりも強力なモノである――――――だが。
ハネクリボーLV10☆10光 ATK/300DEF/200
効果・自分フィールド上に表側表示で存在するこのカードを生け贄に捧げる事で、相手フィールド上の攻撃表示モンスターを全て破壊し、破壊したモンスターの元々の攻撃力の合計分のダメージを相手ライフに与える。この効果は相手バトルフェイズ中のみ発動する事ができる。
「忘れたのか! こっちにはスキル・ドレインが――――いや、違う! スキル・ドレインの効果範囲はフィールド上のみ。リリースして発動する効果は止められない!」
「へへ、その通りだ! 俺のハネクリボーは止められない! ハネクリボーLV10の効果発動!」
十代の宣言を受けて、3体のグラファとレイヴンの攻撃を跳ね返すハネクリボー。その小さな身体に宿る圧倒的な力の前に3体のグラファとレイヴンが怯む。
「負け……か」
これだけ回ってくれた暗黒界でも原作キャラクターには勝てなかった。悔しそうにデッキに手を添えて、呟くコナミ。そんなコナミの様子を見て、十代は満面の笑みを浮かべる。
「ガッチャ、楽しいデュエルだったぜ! また、やろうな!」
「あぁ、今度は負けない。カイザーにも、十代にも!」
腕を突き出した十代が言葉を紡いだ。そんな十代に対して、コナミが誓うように宣言する。
ハネクリボーが放つ光がコナミを包み込む。
小波赤人LP2600→-6800
オシリスレッド、ダブルエース対決は――――コナミの敗北で終幕を告げた。
スキドレ暗黒界使用――――でも、負ける!
一応、確認しましたが、プレイミスがありましたらご指摘お願いします。