カミテン~遊戯王TFへ転生してハーレム目指す――でも~   作:ニョニュム

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タイトルに深い意味はありません。


死せる王と氷上の女王

 デュエルアカデミアで学ぶ学生にとって、学園生活を送る上で最低限必要となるモノが3つ存在する。

 

 1つはPDA。DPを支払う財布代わりであり、学生の個人情報が登録されていて自動的に決闘の結果を記録してくれる優れモノ。

 

 1つはデッキ。どんな優秀な決闘者でもデッキを持っていなければただの人だ。決闘者がデッキを持ち歩くのは当然の事。

 

 1つはデュエルディスク。過去、この機械の開発によって決闘者が爆発的に急増した。デュエルモンスターズの歴史を語る上で外せない革命を起こした機械である。

 

 この3つのアイテムさえあれば、デュエルアカデミアの何処でも決闘を行なうことが出来る。しかし、野良決闘は周囲の人間へ迷惑を掛ける場合があるので、時と場所を考える必要がある。

 

 デュエルアカデミアにはそういういざこざを考えるのが面倒な決闘者が伸び伸びと決闘を行なう為に用意されている場所がある。いくつかのステージと観客席に囲まれたその場所の名前はデュエルスタジアム。

 

 決闘を開始する前にPDAで使用許可の申し込みをすれば誰でも自由に決闘を行なう事が出来る施設なのだ。

 

 放課後、そんなデュエルスタジアムの観客席にノートとシャーペンを持ったコナミがいた。コナミが観戦しているステージ上では女子生徒同士の決闘が行なわれていて、決闘終了のゴングが鳴る。勝者は純粋に喜び、敗者は悔しがる。そのままお互いのデュエル構成について語り合う為、ステージから去っていく女子生徒達を余所に、コナミは先程まで観戦していた二人のデュエル構成を手に持ったノートへガリガリと書き込んでいく。

 

 ノートには相手の名前と何故かスリーサイズ。使用するデッキの構成や気をつけなければならないコンボ、決闘の展開についての傾向などがびっしりと書き込まれていた。このノートを見れば、相手のプレイスタイルなどは一目瞭然で、相手の行動を予測しながら決闘する事が出来る。

 

 小波赤人という決闘者は他の決闘者みたいに1つのデッキで戦う決闘者ではない。お気に入りのデッキ自体はあるが、それでも特徴的なデッキを持つ相手にはデッキを変える事が多い決闘者だ。メタという概念を知り、少しばかり取り入れているコナミだからこそ、戦う相手の情報収集は必要となってくる。こうした途方も無い努力を重ねるおかげで、コナミはオシリスレッドのエースとして君臨している。ただ、情報収集してある相手の殆どが女子生徒である事はツッコミ所だ。

 

 

「あら、今日も情報収集だけして帰るつもりなの?」

 

「ん?」

 

 

 データの記入を終えて、ノートを閉じると小さく息を吐く。そんな時、後ろから掛けられた声に振り返ったコナミ。振り返った視線の先にはモデル顔負けの体躯を持ち、端麗な顔立ちの少女が腕を組んだ状態で仁王立ちして、コナミのことを見下ろしている。

 

 

「あぁ、天上院さんか」

 

 

 データを纏めていたコナミへ声を掛けた少女の名前は天上院明日香。女子オベリスクブルーの中で最強と噂されるほどの決闘者であり、十代や三沢、万丈目と共に1年生でありながら、デュエルアカデミア最強の一角とさえ謳われる才女。そしてその美貌はミスデュエルアカデミアに選ばれるほど。

 

 ハーレムを目指すコナミにとって当然マークしている女子生徒であるが、珍しくコナミ“が”明日香の事を苦手としている。普段の馴れ馴れしい言動と違い、決闘において容赦無いコナミを苦手とする女子生徒は多い。しかし、コナミが女子生徒を苦手とするのは本当に珍しい。

 

 

「別に明日香でいいわよ。知らない仲じゃないし、貴方との決闘は心躍るもの」

 

「それはどうも……」

 

 

 ミスデュエルアカデミアに輝くほどの美女である明日香にこんな事を言われたら鼻の下を伸ばしてしまいそうになるが、明日香の告げた心躍るという言葉の意味が女戦士としてのソレである事をコナミは知っている。勝敗で言えばギリギリ勝ち越しているくらいであるが、決闘で明日香を追い詰めていく度に十代のように瞳を輝かせて獰猛な笑みを浮かべる。その光景が目を焼きついているコナミにとって、明日香はその歯に着せぬサバサバとした性格と相まって、端麗な容姿をしていても異性というより決闘者としての印象が強い。

 

 

「そのノート、チラッと見えてしまったのだけど、余計な情報も書き込まれているみたいね。どうやって調べたのかしら?」

 

 

 明日香は女性決闘者としての誇りを持っている。コナミが自分や他の女子生徒に勝つ為、情報収集している事についてとやかく言うつもりは無い。しかし、そのノートには乙女の秘密である3つの数字が並んでいたのは看過出来ない。コナミを締め上げた後でどういうルートでその情報を掴んだのか、洗い浚い吐いてもらうしかない。

 

 

「え? そんなのは見れば誰でも分かるだろ?」

 

「ッ!」

 

 

 さも当然のように言うコナミに絶句する明日香。少なくとも明日香が知っている男性の中でそんな特技を持つのはコナミぐらいだ。どうやらコナミは女子生徒の敵らしい。

 

 

「そう、それなら決闘で決着を着けましょう。私が勝ったら、無用なデータは消してもらうわ」

 

「え、なんでそうなるの? いや、まあ、別に良いけど……。それならオレが勝った場合は一日オレとデートしてくれよ。勿論、ラブラブカップルの設定で」

 

 

 コナミの要求に頷く明日香。乙女の秘密を守る為なら相応のリスクを背負わなければならない。

 

 それに明日香としてはもう1つだけ個人的な思惑がある。“三幻魔”の封印を解く為の鍵、“七星門の鍵”を与えられた明日香は自分のデッキを1から組み直した。何故、アカデミア最強の一角でもあるコナミではなく、大徳寺先生が選ばれたのか疑問に思う所もあるが、新しいデッキを試してみるのにコナミほど実力が拮抗していて、丁度良い相手はいない。自分が調整した新たなデッキが何処までコナミへ通じるのか、愉しみな明日香は小さく笑う。

 

 ステージ上へ移動したコナミは既にデュエルディスクを既に構えている。

 

 コナミと明日香、色んな意味で有名なコナミと明日香の対決にいつのまにかデュエルスタジアムにいた生徒達は対面する二人に注目している。

 

 

「「デュエル!」」

 

 

 二人の決闘が今、始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 お互いにデッキからカードを5枚ドローして、視線を交わす二人。デュエルディスクが選ぶ先攻は明日香。

 

 

「私のターン、ドロー!」

 

 

 明日香は自分の先攻を確認すると淀みの無い動作でデッキからカードをドローして、手札を確認すると動き出す。

 

 

「私は手札から強欲な壺を発動して2枚ドロー。そしてサイバー・プチ・エンジェルを守備表示で通常召喚! そしてサイバー・プチ・エンジェルの効果発動!」

 

 

 明日香のフィールドへ出現する1匹の天使。白き翼をはためかせた天使はデッキの中に眠るカードを見抜くとその加護を明日香へ与える。

 

 

 サイバー・プチ・エンジェル☆2光 ATK/300DEF/450

 効果・このカードが召喚・反転召喚された時、自分のデッキから“機械天使の儀式”1枚を選択して手札に加える事ができる。

 

 

「私はデッキから機械天使の儀式を手札に加えて、カードを1枚伏せてターンエンド」

 

 

 攻撃の行なえない先攻としては充分な滑り出し。強欲な壺による手札増幅とサイバー・プチ・エンジェルによるキーカードのサーチ。大量展開の備えは万全の状態だ。

 

 

「オレのターン、ドロー!」

 

 

 コナミはデッキからカードを引き抜き、対面する明日香の様子を窺う。初手の躊躇いを見せない、流れるような動作を見れば、次のターンから明日香が動いてくるのは明白。それならば今の内に場を固める事が先決。生憎、最高の手札とは言いがたいがこれなら充分にこのデッキを回せる。

 

 

「オレは手札から愚かな埋葬を発動。このカードは自分のデッキからモンスター1体を選択して墓地へ送る。オレがデッキから墓地へ送るカードはワイト!」

 

「ワイト? 何故、そんなモンスターを?」

 

 

 墓地へ送られた死せる亡者の姿に明日香は眉間に皺を寄せる。ワイトと言えば、デュエルモンスターズが作られた初期から存在するモンスターの1つで、かの決闘王もデッキに入れていた事のあるモンスター。しかし、高ステータスモンスターが圧巻している今の状況ではその辺にあるクズカードと同じ扱いを受けている。

 

 二人の決闘を見物している観客からは“舐めすぎだろ”とか、“ふざけているのか”と様々な憶測が飛び交っている。だからこそ、明日香は墓地へ送られたワイトを警戒する。観客は好きな事を言っている。しかし、明日香はコナミが決闘においていつも全力で、容赦無い事を知っている。そんなコナミが無駄なカードをデッキへ投入して、わざわざ墓地へ送る訳が無い。

 

 ――――何かが来る。決闘者としての本能が明日香へ警戒を促す。

 

 

「やはりと言うか、なんと言うか。ワイトを見て警戒を強めるとは流石だよ」

 

 

 警戒した明日香の表情の変化を読み取ったコナミは純粋に感嘆する。このデッキのコンセプトには油断した相手を一気に食らい尽くす側面がある。決闘を見学する観客の反応を見れば然るべきだ。しかし、こんな反応の中でここまで警戒されているなら実力行使による正面突破しかありえない。

 

 

「そんな天上院に敬意を表して、死せる亡者の王をお見せする。オレは手札からワン・フォー・ワンを発動! 手札からモンスター1体を墓地へ送って発動する。手札またはデッキからレベル1モンスター1体を自分フィールド上に特殊召喚する。オレは手札から2枚目のワイトを墓地へ送り、デッキからワイトキングを特殊召喚!」

 

 

 コナミの手札から墓地へ送られていくワイト。カタカタと骨を揺らしながら喜々として墓地へ向かうワイトを余所に、コナミのデッキから暗黒の衣を纏った亡者の王がフィールドへ降臨する。

 

 

 ワイトキング☆1闇 ATK/?DEF/0

 効果・このカードの元々の攻撃力は、自分の墓地に存在する「ワイトキング」「ワイト」の数×1000ポイントの数値になる。このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、自分の墓地の「ワイトキング」または「ワイト」1体をゲームから除外する事で、このカードを特殊召喚する。

 

 

「攻撃力?のモンスター? どういうことなの?」

 

 

 コナミのフィールドへ出現したワイトキングの姿に首を傾げる明日香。戸惑いを見せた明日香の姿に、コナミは笑う。

 

 

「ワイトキングの攻撃力はワイトキングが支配する墓地で眠るワイトの数×1000となる。ワイトキングが持つ力の根源は墓地で蠢く死者の数に等しい。つまり、墓地に2体のワイトがいるのでワイトキングの攻撃力は2000!」

 

 

 ワイトキング ATK/?→2000

 

 

「くッ、ワイトの数だけ攻撃力を増すモンスター。これが今回のデッキなのね」

 

 

 死せるワイトをたたき起こして、その肋骨や肋骨を引っこ抜くワイトキング。ワイト達はカタカタと抗議をしているように見えるが、彼らの王であるワイトキングにソレを気にした様子はない。死んだら皆同じと言うが、死後の世界でも上下関係は存在する。

 

 高ステータスモンスターが圧巻している世の中で、一体誰がワイトに着目するだろうか。少なくとも自分ならワイトの事など気にも留めなかった。だからこそ、コナミとの決闘は心躍るものなのだ。コナミと決闘する度に知っている筈だったカードの新しい使い方や自分では思いつかなかったコンボを決めてくる。アカデミア最強の一角と持て囃される自分がコナミと比べたらまだまだカードに対する知識が少ないのだと嫌でも実感させられる。

 

 

「そう、そしてまだ、オレは通常召喚を残している。オレはワイト夫人を守備表示で召喚する!」

 

 

 コナミのフィールドへ現れる王の妻。ワイトキングと寄り添うその姿は正に理想的な夫婦のソレだ。死して尚、一緒に添い遂げるその愛は感動的ですらある。

 

 

 ワイト夫人☆3闇 ATK/0DEF/2200

 効果・このカードのカード名は、墓地に存在する限り「ワイト」として扱う。また、このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、フィールド上に表側表示で存在する「ワイト夫人」以外のレベル3以下のアンデット族モンスターは戦闘によっては破壊されず、魔法・罠カードの効果も受けない。

 

 

「オレはワイトキングでサイバー・プチ・エンジェルを攻撃!」

 

 

 ワイト達から奪った骨をそのままサイバー・プチ・エンジェルへ投げつけるワイトキング。その攻撃を受けたサイバー・プチ・エンジェルはワイト達の文字通り身を削る活躍により撃破されてしまう。

 

 

「そしてオレはターンエンド」

 

「……私のターン、ドロー」

 

 

 自分へターンが回ってきた明日香がカードを引く。コナミのフィールドにはワイトキングとワイト夫人。夫婦として寄り添うその姿を見れば、夫婦の絆が簡単に見て取れる。夫婦の絆を断ち切るには大変な努力が必要となる。

 

 しかし、こちらも力を蓄えていた。正面から破る用意がある。

 

 

「私は手札から機械天使の儀式を発動。私はレベル6のサイバー・プリマを生け贄に捧げて、サイバー・エンジェル-弁天-を召喚!」

 

 

 長い黒髪を揺らしながら、舞を踊って現れたサイバー・エンジェル。手に持った扇子を使い、華麗に舞うその姿は美しい。

 

 

 サイバー・エンジェル-弁天-☆6光 ATK/1800DEF/1500

 効果・「機械天使の儀式」により降臨。このカードが戦闘によってモンスターを破壊し墓地へ送った時、破壊したモンスターの守備力分のダメージを相手ライフに与える。

 

 

「そして私はリチュアル・ウエポンをサイバー・エンジェル-弁天-へ装備。このカードはレベル6以下の儀式モンスターのみ装備可能。装備モンスターの攻撃力と守備力は1500ポイントアップする」

 

 

 サイバー・エンジェル-弁天- ATK/1800→3300DEF/1500→3000

 

 

 武器と防具を装備した弁天はそのステータスを大きく強化して、武器の矛先をワイト夫人へ向ける。

 

 

「私はサイバー・エンジェル―弁天―でワイト夫人を攻撃!」

 

「ぐッ!」

 

 

 弁天の舞に見惚れていたワイト夫人は弁天の敵意に気付かない。無警戒に舞う弁天へ近付いたワイト夫人は弁天に吹き飛ばされるとそのままコナミへ直撃する。暗殺染みた方法で最愛の妻を殺されたワイトキングはその怒りと共に攻撃力をアップする。

 

 

 小波赤人 PL4000→1800

 

 ワイトキング ATK/2000→3000

 

 

 大きくPLを削られたコナミはその衝撃に顔を顰める。同時に、身体を張ってワイト夫人を止めたコナミに対して、ワイトキングは何も語らず、ただ小さく頷いた。弁天を打倒するには少しだけ攻撃力が足りない。だが、その背中はやる気に満ちている。

 

 

「私はこれでターンエンド」

 

「オレのターン、ドロー」

 

 

 手札に加えた新しいカードを確認して、コナミは小さく笑う。まさか、この場面で引き当てるとは自分も運が良い。実際は身を挺したコナミの行動に感動したワイトキングの行いなのだが、コナミはそんな事など露にも思わない。

 

 

「オレは手札から闇の誘惑を発動。このカードはデッキからカードを2枚ドローし、その後手札の闇属性モンスター1体を選んでゲームから除外する。手札に闇属性モンスターが無い場合、手札を全て墓地へ送る。オレはカードを2枚ドローして、手札のワイトキングを除外する」

 

 

 闇の誘惑によってゲームから除外されたワイトキングを見届けてから、コナミは手札を確認して勝利を確信する。

 

 

「オレは手札から手札抹殺を発動。お互いの手札を全て捨て、それぞれ自分のデッキから

捨てた枚数分のカードをドローする。オレは2枚のカードを捨てて2枚ドロー。そしてこの瞬間、捨てられた3枚目のワイトと2枚目のワイト夫人が墓地へ行った事でワイトキングの攻撃力が2000アップする」

 

 

 ワイトキング ATK/3000→5000

 

 

 デュエルアカデミア最強のカイザー亮が使役する最強のサイバー・ドラゴン。サイバー・エンド・ドラゴンや神であるオベリスクすら超越して君臨する死せる亡者の王に観客がどよめく。ただの雑魚カードである筈のワイトが神すら超越するなど、本来ならありえない光景だ。

 

 

 本来なら絶望しか浮かばない光景の中、明日香は一人歓喜に打ち震えていた。

 

 ――――そう、この展開こそが明日香の望んでいたモノ。

 

 普段の私生活においての言動について問題の多いコナミだが、決闘において自分の考えなど軽く飛び越えてくる。巨大な壁となって立ち塞がるコナミを打ち破った時、明日香は一人の決闘者として確かに一歩高みへと上がる事が出来る。

 

 

「そして最後に手札からワイトメアの効果発動! ワイトメアを墓地へ捨てて、ゲームから除外されているワイトキングを特殊召喚!」

 

 

 ワイトメア☆1闇 ATK/300DEF/200

 効果・このカードのカード名は、墓地に存在する限り「ワイト」として扱う。また、このカードを手札から捨てて以下の効果から1つを選択して発動する事ができる。

●ゲームから除外されている自分の「ワイト」または「ワイトメア」1体を選択して自分の墓地に戻す。

●ゲームから除外されている自分の「ワイト夫人」または「ワイトキング」1体を選択してフィールド上に特殊召喚する。

 

 

 ワイトキング ATK/5000→6000

 

 

 そして並んだ二体の王。ワイトメアが墓地へ行った事により圧倒的な力を持った二体の王は恐怖と絶望を撒き散らす。圧倒的なワイトの存在感に観客は息を呑み、明日香の敗北を悟る。

 

 

「オレはワイトキングでサイバー・エンジェル―弁天―を攻撃!」

 

 

 最初に伏せたカードが気になる所であるが、臆していても仕方ない。コナミの判断に従い、弁天へ攻撃を仕掛けたワイトキング。弁天も抵抗しようと武器を構えるが死して尚、ワイトキングへ力を与える者達の声援を受けたワイトキングの敵ではない。

 

 

「きゃあぁぁ!」

 

 

 天上院明日香 PL4000→1300

 

 

 弁天を打ち破って尚、圧倒的な衝撃が明日香を襲い、らしくも無い悲鳴を上げてしまう。その声を聞きながら、コナミは注意していた明日香の伏せカードが攻撃を防ぐタイプのカードではないと判断する。

 

 

「これで最後だ! もう1体のワイトキングでダイレクトアタック!」

 

 

 勝利を決めるワイトキングの攻撃が明日香へ迫るその瞬間。

 

 

「私は速攻魔法スケープ・ゴートを発動! このカードを発動するターン、自分は召喚・反転召喚・特殊召喚できない。自分フィールド上に羊トークン4体を守備表示で特殊召喚する。このトークンはアドバンス召喚のためにはリリースできない」

 

 

 ワイトキングの攻撃から明日香を守るように出現した4体の羊トークン。発動したターンに召喚が出来なくなるデメリットを持つが、相手のターンに発動してしまえば何の問題も無い。

 

 

「……オレは羊トークンを攻撃してターンエンド」

 

「私のターン……」

 

 

 破壊された羊トークンを眺めながら、そう簡単には勝てないか、と一人納得するコナミ。しかしながら、こちらの圧倒的有利はそのままだ。

 

 その事は明日香も充分に判っている。明日香が自信を持って行なったコンボをコナミは軽々と超えてきた。今ある手札ではコナミに勝てる事が出来ない。しかし、デッキ調整した際に入れたカードの中で1枚だけこの状況を打開するカードがある。デッキに眠るそのカードを引かなければ明日香の負けが決まる。

 

 大きな壁を越える為には、新たな高みへ踏み出す為には――――そのカードを引き当てればいいだけの話だ。

 

 

「ドロー!」

 

 

 デッキへ手を掛けた明日香は小さく深呼吸すると瞳を大きく開き、カードを引き抜く。

 

 そして明日香は引いたカードを確認して微笑した。

 

 

「私は手札から融合を発動! 手札のエトワール・サイバーとブレード・スケーターで融合召喚! 来なさい、サイバー・ブレイダー!」

 

 

 明日香のフィールドへ現れる1体の女性。その姿は氷上の妖精を思わせる。明日香にとってのマイフェイバリットカード。

 

 

 サイバー・ブレイダー☆7地 ATK/2100DEF/800

 効果・エトワール・サイバー+ブレード・スケーター。このモンスターの融合召喚は上記のカードでしか行えない。

相手のコントロールするモンスターが1体のみの場合、このカードは戦闘によっては破壊されない。

相手のコントロールするモンスターが2体のみの場合、このカードの攻撃力は倍になる。

相手のコントロールするモンスターが3体のみの場合、このカードは相手の魔法・罠・効果モンスターの効果を無効にする。

 

 

「そして私は団結する力をサイバー・ブレイダーへ装備する! 装備モンスターの攻撃力・守備力は、自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体につき800ポイントアップする。」

 

「なッ、団結する力だと! フィールドには羊トークンが3体とサイバー・ブレイダーを合わせて4体。つまり800×4で3200がサイバー・ブレイダーに加算される。いや、それだけじゃない! オレのフィールドには攻撃力6000のワイトキングが2体!」

 

「えぇ、そうよ。サイバー・ブレイダーの効果は相手のコントロールするモンスターの数によって変化する。そして相手のコントロールするモンスターが2体だった場合の効果はこのカードの攻撃力を倍にする! パ・ド・トロワ!」

 

 

 羊トークンと力を合わせた所で、サイバー・ブレイダーがワイトキングを下すにはまだ力が足りない。それでも諦める事を知らない明日香とサイバー・ブレイダーはワイトキングの前に立ち塞がるとその力を解放する。

 

 

 サイバー・ブレイダー ATK/2100→5300→10600DEF/800→4000

 

 

「こ、攻撃力10600!」

 

「……お礼を言わせて」

 

 

 越えられる筈が無いと高を括っていた攻撃力6000の壁を簡単に飛び越えてきた明日香に驚愕するコナミ。そんなコナミへ明日香は語り掛けた。

 

 

「貴方との決闘はいつも私を一歩高みへ導いてくれる。だからこそ、私は――――貴方にだけは負けたくない! 行きなさい、サイバー・ブレイダー! ワイトキングへ攻撃、グリッサード・スラッシュ!」

 

 

 ワイトキングを破壊するサイバー・ブレイダー。その凄まじい衝撃はワイトキングの裏へ控えていたコナミさえも吹き飛ばす。

 

 

 小波赤人 PL1800→-2800

 

 

「ッ~!」

 

 

 コナミのPLが終わりを告げ、決闘が終了する。

 

 吹き飛ばされたコナミが立ち上がろうとした時、コナミの前に白雪のように白く美しい手が差し出される。

 

 

「デートは無理だけど、貴方の奢りで良いならこの後の夕食ぐらいなら付き合ってあげる。ただし、あのデータを消すならね」

 

「そんな事でミスデュエルアカデミアと食事が出来るなら喜んでするよ」

 

 

 見惚れそうになる微笑を浮かべながら手を差し伸べる明日香。その手を取って立ち上がったコナミは小さく溜息を吐きながら頷いた。

 




OCGが少なすぎて回し方が判らなかった……。
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