カミテン~遊戯王TFへ転生してハーレム目指す――でも~ 作:ニョニュム
デュエルアカデミアにも休日がある。本土から隔離されている島にデュエルアカデミアが建設されている関係上、本土の学生みたいに休日は何処かに出掛けて遊びに行く、なんて事は不可能である。しかし、人間とは良くも悪くも自分の置かれた環境に適応していく生物だ。決闘以外の娯楽が無いなら決闘を楽しめばいい。元々、決闘者教育機関であるこの学校に入った生徒達は基本的に決闘馬鹿だ。決闘が出来れば別に何の問題も無い。
しかし、全ての生徒がそうである訳では無いので、テニスコートやプールなど授業や部活で使う施設を休日は開放している。
コナミも基本的に決闘が出来ればそれでいいタイプの生徒であるが、それでも趣味の1つや2つ存在する。その最もたるのが、休日に行なっている島の探索――――ようは散歩だ。デュエルスタジアムへ向かわずとも適当に歩いているだけで野良決闘はあちらこちらで行なわれているし、全てのカードを所持しているとはいえ、たまに落ちているカードを拾って、一喜一憂するのが気に入っている。
「あ、そういえば最近、詰め決闘の問題が変わったなんて話を聞いたな……」
レッド寮を出たすぐ前で行なわれていた決闘をなんとなく眺めていたコナミはその事を思い出して呟く。殆どの学生は詰め決闘をDPが比較的低いリスクで稼げるシステムと認識しているが、コナミは純粋に問題を解いていく工程が楽しいと思っている。
観戦していた決闘が終了して、ソリッドヴィジョンが消えた事を確認したコナミはこれからどうしたもんか、と首を捻らせて詰め決闘が受けられる校舎の方角を見る。
「時間つぶしにもなるし、散歩ついでに行ってみるかな」
元気一杯に輝いている太陽と海から吹きぬける潮風、校舎へ続く長い道程を眺めていたコナミは決意して立ち上がると詰め決闘を受ける為に校舎へ向かう。勿論、レッド寮を出る前にPDAなどの三種の神器は持ち出している。
「やっぱり休日だから野良決闘も多いな」
校舎へ向かう道中、休日という事もあってか、野良決闘が多く行なわれていて、純粋に時間潰しになれば良いと外出したコナミは野良決闘を観戦しつつ、ゆっくりと校舎に向かって歩いている。
「う~ん、欲求不満って奴か?」
校舎の入り口が視線の先に見えてきた距離まで近付いてきた頃、道中に観戦してきた様々な野良決闘を思い出してきたコナミは自分の身体がソワソワしている事に気付く。色々な決闘を観戦していた為に自分も決闘がしたくなってきたのだ。
自分も大概、デュエルアカデミアの生徒だな、と自覚して苦笑するコナミは周囲に誰か決闘が出来そうな女子生徒がいないか確認する。どうも最近、負け癖のようなものが着いているので、ここら辺で強敵相手に決闘で勝利しておきたい。
「ん? アレは確か……」
コナミがその決闘を見付けたのは自分の対戦相手を探していたその時だった。まだ、遠目なので誰が決闘しているのか判らないが、誰かが2対1の変則決闘を行なっていた。
「また、珍しい決闘をしているな」
なんとなく2対1の変則決闘に興味を引かれて、決闘が行なわれている方へ歩き出すコナミ。デュエルアカデミアにおける決闘の基本スタイルは1対1の決闘か、2対2のタッグ決闘のどちらかだ。もし、大抵の場合はこちらにパートナーがいて、対戦相手にパートナーがいない場合、その辺にいる決闘者と即席のコンビを作って決闘するのが普通である。それに即席のコンビで決闘するのも中々面白いものだ。互いのデッキでシナジーが噛み合ったり、潰しあったりとトラブルが多いタッグ決闘だが、タッグ決闘なりの面白さがある。特別な理由が無い限り、2対1の変則決闘が起きる事は無い。
「あぁ、なるほどね」
変則決闘が行なわれている場所に近付いたコナミは誰が変則決闘を行なっているのか判明して、変則決闘が行なわれていた理由を理解する。
変則決闘は2人のラー・イエロー所属の男子学生とオベリスク・ブルーに所属している大庭ナオミだ。敵対しているラー・イエローの男子生徒2人組みの顔に見覚えは無い。しかし、大庭ナオミについてはよく知っている。何度か決闘をした事があるが、ナオミは極度の潔癖症で大の男嫌いだ。
何故、そんなナオミが男子生徒と決闘しているのか判らないが、どうせタッグ決闘になった時、周りにナオミと組む事が出来る女子生徒がいなかったのだろう。男子生徒とパートナーになるぐらいなら、ハンデとして2対1を選ぶような性格だ。ハンデ有りでも良いと言い切って、決闘が始まった場面を容易に想像出来る。
「何よ、アンタ。私の決闘は別に見世物じゃないのよ」
「いやいや、かなり押されているだろ?」
「う、うるさいわね。アンタには関係無いでしょ!」
決闘が行なわれている場所まで近付いたコナミはナオミの男性センサーに引っ掛かり、決闘を観戦しているコナミに気付いたナオミはその表情を顰める。判りやすいナオミの態度に苦笑しながら、コナミはフィールドの状況を確認する。
対戦相手のフィールドには守備表示で召喚されている光の追放者と攻撃表示の異次元の生還者、そして伏せカードが1枚。それに対してナオミのフィールドには伏せモンスターが1体。
軽く見ただけで、ナオミが険しい顔をしていた理由が判る。ナオミが扱うデッキは“墓地肥やし”という概念を取り入れている珍しい“ライトロード”と呼ばれるカテゴリのデッキである。それに比べて、相手の場に並ぶモンスターを見れば彼らのコンセプトが“除外系”である事は簡単に予測出来る。デッキの相性はまさに最悪と言って過言ではない。
それを証明するかのように回転率が激しいライトロードを扱うナオミの手札は0枚に対して、彼らは2枚ずつ手札を残している。LPについてもタッグ決闘を採用した為に対戦相手の男子生徒達は無傷の8000に対して、ナオミのLPは2500と大きく削られている状態だ。
この状態だけを見れば、既にナオミの勝機は無い。それこそ、“一発逆転”出来るような何かが無ければ普通に考えて無理だ。
「あぁ、そういえばアレがあったな……」
「だから、うるさいのよ! 黙ってなさい!」
ポンッと両手を合わせて思い出したように頷くコナミへ噛み付くナオミ。
「くっくっく、これ以上の遅延行為は決闘を投げ出したと見なすぞ? 逃げたいなら早くサレンダーしろ」
「はぁ! なんで私がアンタ達みたいな奴らから逃げる訳! 冗談も顔だけにしなさいよ、脳足りんのケダモノが!」
「ふっふっふ、粋がって吼えた所でこの圧倒的な状況に変わりは無い。騎士気取りの貴様は我々、“明日香たんファンクラブ”によって敗北するのだ! 負けた時は約束通り、我々の活動についての妨害を止めてもらうぞ!」
「くっ、こんな奴等にッ! アンタのせいだからね!」
コナミとナオミの会話に痺れを切らせた対戦相手が遅延行為を注意して、ナオミはその原因となったコナミを睨み付ける。ナオミの責める視線にえぇ~、思いながらも聞こえてきた会話の内容に眩暈を覚えるコナミ。ちょっとした会話であったが、それだけで何故、ナオミが男子生徒と決闘しているのか、理解出来た。
要約すれば、女の子大好きなナオミとしてはミスデュエルアカデミアに輝く明日香は神聖な存在である。神聖な存在である明日香に対して、低脳な男共がファンクラブを作って活動しているのがナオミには許せない訳だ。その結果として、ファンクラブの活動を潰す為にナオミが決闘を吹っ掛けたのだ。
「今日の明日香たんはプールで水泳を楽しんでいる筈。ならば、ファンとして優雅に泳ぐ姿を写真に収めなくてどうするか!」
「あ~、うん。今回はナオミが正しいんじゃないかな」
明日香ファンの男子生徒が行なうつもりだった行動を聞いて、コナミは半笑いを浮かべる。それはただの犯罪だ。実際、ナオミに非があるなら見届けたかもしれないが、対戦相手が悪いならこちらも考えがある。
「もし良かったら、オレもこの決闘に参加していいか?」
「はあ、なんなのよ、アンタ! 別にアンタには関係無い事でしょ!」
「そうだ、我々が貴様と決闘する理由は無い」
「へぇ~、理由が無い……ね」
突然の提案に様々な反応を見せるナオミや男子生徒、その反応を確認したコナミが意味有りげに呟く。
「いや、ちょっと待て。コイツは確かこの前、明日香たんがデュエルスタジアムで決闘をした相手! しかも、その後は2人で夕食を取っていた奴だ!」
「なん……だと……!」
コナミの正体に気付いたもう一人の男子生徒が叫び、その事実に戦慄する男子生徒。
「もう一度、聞こうか。オレと決闘する理由は無いのか?」
「――――愚問。NOタッチの精神を忘れた愚者には容赦せん! さあ、貴様も構えろ!」
「許すまじ!」
コナミと男子生徒達の視線がぶつかり合い、火花を散らす。コナミがデュエルディスクを構えるとナオミのパートナーとしてPDAに登録されて決闘に参加する。
「ちょ、ちょっと、いきなり何考えているのよ!」
「――――負ける訳には行かないんだろ?」
突然の行動に噛み付くナオミに対して、コナミが尋ねる。
「そ、それはそうだけど……」
「今回は決闘の続きとしてだから戦闘も行なえる。でも、そこまで無理するな。どうにかしてオレにターンを回せ。それで決着を着けてやる」
「だ、誰がアンタに頼るもんですか!」
確信に満ちた声音でこの劣勢の中、勝利を口にするコナミの態度に、ナオミは自分の顔が赤くなった事に気付くと心の中でありえない、と自分に言い聞かせてコナミから離れていく。
「さあ、決闘再開だ!」
コナミの宣言と共に一時停止していた決闘が再開された。
◇
「私のターン、ドロー!」
ナオミはデッキからカードをドローするとカードを確認する。現状、自分でこの状況を打破する事は出来ない。相手の除外を受けて、墓地肥やしは1枚のライトロード以外、何も出来ていない。状況は最悪。とっておきの切札こそ引き当てたものの、現状では何も出来ない。
このまま何も動かず、コナミの指示通りに動けば勝利が見えてくるかもしれない。しかし、それでは駄目なのだ。自分の力で勝利しなければ、この決闘に勝った所で意味が無い。だからこそ――――。
(――――私は動く!)
「私はライトロード・ハンターライコウを反転召喚! そしてライコウの効果で光の追放者を破壊! その後、デッキからカードを3枚墓地へ!」
ライトロード・ハンターライコウ☆2光 ATK/200DEF/100
効果・リバース:フィールド上のカード1枚を選択して破壊できる。自分のデッキの上からカードを3枚墓地へ送る。
反転と共に出現したライコウがその姿に油断した光の追放者へ飛び掛る。ライコウの牙と爪にやられて撃破される光の追放者。同時に戦いで気が荒ぶっているライコウはナオミのデッキからカードを3枚、墓地へ叩き落すとその気性を元に戻す。
(お願い――――!)
ナオミはそう祈りつつ、デッキから落ちたカードを3枚確認する。順にライトロード・ウォリアーガロス、ライトロード・パラディンジェイン。――――そして最後のカードがライトロード・マジシャンライラ。墓地へ送られた3体のライトロードとコナミが決闘に参加する前に1枚だけ落ちていたライトロード・スピリットシャイア。
(――――来た!)
ナオミの意地と意思にデッキは答えて、合計4体のライトロードを墓地へ送り込む。
「私は手札から裁きの龍を特殊召喚!」
効果・このカードは通常召喚できない。自分の墓地の“ライトロード”と名のついた
モンスターが4種類以上の場合のみ特殊召喚できる。1000ライフポイントを払う事で、このカード以外のフィールド上のカードを全て破壊する。また、このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、自分のエンドフェイズ毎に、自分のデッキの上からカードを4枚墓地へ送る。
コナミとナオミのフィールドに出現する裁きの龍。その姿は圧倒的であり、この状況を引っくり返すだけの力を持っている。しかし、その瞬間、対戦相手がニヤリと笑ったのをコナミは目撃した。
「この瞬間、俺はトラップ発動! 奈落の落とし穴! このカードは相手が攻撃力1500以上のモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚した時に発動できる。その攻撃力1500以上のモンスターを破壊しゲームから除外する! これでお前の裁きの龍は役目を果たさずに犬死だ!」
フィールドへ君臨しようとした裁きの龍は敵の罠に嵌められて、フィールドへ降り立った瞬間、底の見えない奈落の落とし穴へ消えていく。
「そ、そんな……」
“一発逆転”の為に召喚した裁きの龍が相手の罠によって消えていく姿を呆然と見つめるナオミ。フィールドには攻撃表示となったライコウ以外何も無く、手札も尽きた。コナミの指示に従わず、自分が動いた結果がこの圧倒的不利な状況。ナオミは隣に佇むコナミの横顔を窺うがその表情から感情を読み取る事が出来ない。
「くっくっく、足を引っ張る事しか出来ない無能な女め! 貴様が明日香たんを守るとは片腹痛い! 早く、ターンを終了しろ!」
「わ、私は……これでターンエンド」
ラー・イエローの男子生徒から浴びせられる罵倒を聞いて、悔しさで震える身体に耐えながらターンを終了するナオミ。
「俺のターン、ドロー!」
男子生徒は引いたカードを確認して小さく笑う。
「俺は異次元の生還者を生け贄に邪帝ガイウスを召喚! そしてガイウスの効果でライコウを除外!」
邪帝ガイウス☆6闇 ATK/2400DEF/1000
効果・このカードの生け贄召喚に成功した時、フィールド上に存在するカード1枚を除外する。除外したカードが闇属性モンスターカードだった場合、相手ライフに1000ポイントダメージを与える。
相手フィールドに現れる邪帝ガイウス。ガイウスはその身に宿した暗黒の力をライコウへぶつけるとその力でライコウをゲームから除外する。
「っ!」
「これで貴様等のフィールドはがら空き! 行け、ガイウス! プレイヤーへダイレクトアタック!」
両手を前へ突き出し、邪悪な力の塊を生み出したガイウス。男子生徒の指示に従い、ガイウスは生み出した邪悪な力をナオミへ放つ。
小波赤人・大庭ナオミペアLP2500→100
「くっくっく、ライコウが闇属性じゃなくて良かったな。だが、この状況で何が出来るかな? “一発逆転”の秘策があるなら見せてみろ! 俺はカードを伏せてターンエンド」
「……オレのターン、ドロー」
ただゆっくりと、静かにカードを確認したコナミは圧倒的有利な状況で不敵に笑う男子生徒を睨む。そこには静かな怒りが込められていた。
「お前等、“オレのナオミ”を馬鹿にし過ぎだ。その罪は購って貰うぞ」
「はあ! いつからアンタのモノになったのよ!」
聞き捨てならないコナミの言葉に叫ぶナオミ。そんな態度のナオミに苦笑して、コナミは動き始める。
「オレは手札からカードを1枚伏せる。そしてお前達が言っていた“一発逆転”を見せてやる! オレは手札から大逆転クイズを発動! このカードは自分の手札とフィールド上のカードを全て墓地に送る。自分のデッキの一番上にあるカードの種類(魔法・罠・モンスター)を当てる。当てた場合、相手と自分のライフポイントを入れ替える!」
「ふっふっふ、大逆転クイズだと? そんな賭けが本当に上手くいくかな?」
「賭け? 残念だったな。オレのデッキは全て魔法カードで組まれている。つまり、大逆転クイズの正解率は100パーセントだ! オレは魔法カードを指定。一番上のカードは魔法カード、リロード。この瞬間、大逆転クイズの効果で俺達のLPが入れ替わる!」
「ま、魔法一色のデッキだと! ふ、ふざけるなー! 」
小波赤人・大庭ナオミペアLP100→8000
ラー・イエロー男子生徒ペアLP8000→100
「そしてこの瞬間、伏せてあった
ラー・イエロー男子生徒ペアLP100→-400
「ま、負けただと! 明日香たんファンクラブ会員ナンバー9のこの俺が!」
「その慢心が敗北原因だよ。因みに俺はファンクラブ会員ナンバー1だ」
「な、なんだと! あの、幻の欠番、会員ナンバー1だと! それなら確かに我々が負けても仕方ないか……」
決闘が終了して、崩れ落ちる男子生徒達。その男子生徒達を見届けて、コナミは小さく溜息を吐く。
「お疲れさん」
「ま、まあ、男にしてはやるじゃない。けど、アンタの事を認めた訳じゃないんだからね!」
そう吐き捨てて走り去るナオミの後ろ姿を眺めながらコナミは小さく微笑した。
ナオミがデレたら、それはもうナオミではない。ナオミの萌えるポイントはなんだかんだ言いながら、主人公とダッグ決闘を行なうその姿をニヤニヤ眺める事にある! キリッ
まあ、作者の持論なので気にしないでください(苦笑)