カミテン~遊戯王TFへ転生してハーレム目指す――でも~   作:ニョニュム

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タイトルに深い意味はありません。


水と油? いいえ、猫とチョコレートです

 放課後、デュエルアカデミアでの勉強を終えたコナミは小腹が空いた事もあり、菓子パンと牛乳を求めて売店を訪れていた。ある程度の数が残っている菓子パンと最後のパックらしい牛乳を見付けたコナミはその中から菓子パンを一つ取って、牛乳を取り出そうとする。

 

 

「悪いけど、これは俺が貰ってくぜ! セイコちゃん、早く勘定してくれよな!」

 

「へ……」

 

 

 コナミが冷凍庫から牛乳パックを取り出そうとした一瞬の隙を突き、横からにゅっと飛び出してきた小さな手が牛乳パックを掻っ攫っていく。突然の出来事に対して唖然とするコナミを余所に、コナミから牛乳パックを奪って行った人物はチョコレート菓子と牛乳パックをカウンターへ叩き付けるように置く。

 

 

「あ、はい、後はDPで払ってね」

 

「おめぇにも悪い事したな。けど、この世は弱肉強食なんだよ」

 

 

 思考停止して動きが固まったコナミの様子を気にしながらも、カウンターへ置かれた商品の精算を済ませるセイコ。PDAを翳して、DPの譲渡を確認したセイコは商品を手渡す。商品を受け取った人物はコナミへ謝罪しつつ、元気良く走り去ってしまう。

 

 

「せ、セイコさん。他に牛乳は……」

 

「あ、アレで最後……かな」

 

 

 走り去る人物の後ろ姿を見届けたコナミはふぅ、と小さく息を吐いて現実逃避を始める。現実逃避に付き合ってくれたセイコの言葉を聞いて、コナミの視界が真っ暗に染まる。

 

 

「あれ、コナミちゃんじゃない、どうかしたの?」

 

 

 そんな時、よく判らないやり取りをしていたセイコとコナミの所へ売店の主でもあるトメさんが姿を現した。トメさんは二人の間に流れる微妙な雰囲気を感じ取ったらしく、小さく首を傾げる。

 

 

「あぁ、トメさん。実はですね。岬ちゃんがチョコレートと牛乳を買ったので、コナミ君が買おうとしていた牛乳が無くなってしまったんです。牛乳の在庫なんてありませんよね?」

 

「え、岬ちゃんがもう来たのかい? それに牛乳も買って行っちゃったの?」

 

「は、はい、何か不味かったでしょうか?」

 

 

 コナミの牛乳を奪っていった人物――――ジャッカル岬が購入した物の商品名をセイコから聞いたトメさんは少し焦った表情を見せて、セイコが心配そうな表情を浮かべる。いつも寛容な気質で生徒達の相談を聞いているトメさんにしては珍しい表情だ。そんな事を呑気に考えていたコナミと焦ったトメさんの視線が交じり合う。

 

 あっ、これは不味い、と思うよりも早くトメさんが逃がさないようにコナミの両手をがっしりと掴む。菓子パンを置いて逃げ出そうとしたコナミは逃走を諦めた。

 

 

「あ~、もう、何でこんな事になっているんだ?」

 

 

 そんなぼやきを言いつつ、コナミはトメさんからのお願いで校舎裏の一角を目指して走っていた。指定された最後の角を曲がり、目の前の光景に走っていた足の動きが止まる。

 

 隠れるようにしてある校舎裏の片隅、手作りの小さなダンボール小屋とその近くでスカートである事を気にせず座り込むジャッカル岬。ダンボール小屋の中には生まれたばかりに見える小さな子猫が数匹、子猫達の前には牛乳を入れたお皿とチョコレート菓子がエサとして置いてあった。

 

 

「――――ッ! 馬鹿野郎!」

 

 

 誰にも見せないような優しい微笑を子猫へ見せるジャッカルと与えられたエサを食べようとしている子猫の姿を見て、トメさんがセイコの言葉を聞いて焦り出した意味を理解したコナミは再び走り出すとそのままの勢いで子猫へ足が当たらないように牛乳の入ったお皿とチョコレート菓子を蹴り飛ばす。

 

 

「てめぇの方が馬鹿野郎だ!」

 

「ぐはッ!」

 

 

 チョコレート菓子。知らない人間も多いが猫にとって危険な食べ物である。コナミがジャッカルを叱ろうとした瞬間、コナミの行いに激怒したジャッカルの見事な喧嘩キックがコナミの腹へ直撃する。

 

 

「決闘……、決闘で勝負だ……」

 

 

 喧嘩キックを受けて、物理的にぶっ飛ばされたコナミは両手を鳴らしてこちらへ歩いてくるジャッカルの姿に冷や汗を流して、お腹を押さえながら決闘を申し込む。

 

 

「ああ、てめぇなんざ、ぶっ飛ばしてやるよ!」

 

「そ、それじゃあ――――」

 

「「決闘!」」

 

 

 怒りが頂点に達しているジャッカル岬と決闘が通じて良かった、と内心で安心したコナミの決闘が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「オ、オレのターン、ドロー」

 

 

 自分の先攻を確認したコナミは引き抜いたカードを確認して、ジャッカルの顔色を窺う。コナミとしては何も悪い事をしていない。しかし、ジャッカルが怒り狂っている限り、説明を聞いてもらえるとは思えない。もし、決闘に負けでもしたら物理的にボコボコにされてしまう。絶対に負けられない決闘の中、コナミは慎重に動く。

 

 

「オレはモンスターを裏側守備表示でセット。カードを2枚伏せてターンエンド」

 

「そんな逃げ腰で俺に勝てると思うなよ! 俺のターン、ドロー!」

 

 

 裏側守備表示のモンスターと2枚の伏せカード。先攻としてはごく自然な展開であるが、ジャッカル岬に守備を固めるなんて概念は存在しない。言うなれば攻撃が最大の防御である。

 

 

「俺は手札から電動刃虫(チェーンソー・インセクト)を召喚!」

 

 

 電動刃虫(チェーンソー・インセクト)☆4地 ATK/2400DEF/0

 効果・このカードが戦闘を行った場合、ダメージステップ終了時に相手プレイヤーはカード1枚をドローする。

 

 

 ジャッカルのフィールドへ現れた1体のクワガタ。その角はチェーンソーのように鋭く、近付けば一瞬で切り刻まれてしまうような恐怖心をコナミへ与える。

 

 

「そして手札から愚鈍の斧を発動! このカードは装備モンスターの攻撃力は1000ポイントアップし、効果は無効化される。また、自分のスタンバイフェイズ毎に、装備モンスターのコントローラーに500ポイントダメージを与える。このカードを電動刃虫へ装備」

 

 

 電動刃虫(チェーンソー・インセクト) ATK/2400→3400

 

 

「へへ、お前のモンスターを倒すなら500ポイントくらいくれてやる! 俺は電動刃虫で伏せモンスターを攻撃!」

 

 

 チェーンソーの大きな音を立てて、電動刃虫が伏せモンスターへ迫る。

 

 

「この瞬間、トラップ発動!ゴーストリック・パニック! このカードは自分フィールド上に裏側守備表示で存在するモンスターを任意の数だけ選択して発動できる。選択したモンスターを表側守備表示にし、その中の“ゴーストリック”と名のついたモンスターの数まで、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスターを選んで裏側守備表示にする。オレの伏せていたモンスターはゴーストリックの魔女。ゴーストリック・パニックの効果で電動刃虫は裏側守備表示へ!」

 

 

 ゴーストリックの魔女☆4闇 ATK/1200DEF/200

 効果・自分フィールド上に“ゴーストリック”と名のついたモンスターが存在する場合のみ、このカードは表側表示で召喚できる。このカードは1ターンに1度だけ裏側守備表示にする事ができる。また、1ターンに1度、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動できる。選択したモンスターを裏側守備表示にする。

 

 

 チェーンソーが伏せモンスターへ触れようとした瞬間、隠れていたゴーストリックの魔女が突然現れて、電動刃虫を驚かせる。表情の見えない電動刃虫であるが、羽を広げて空を飛んだ電動刃虫はそのままジャッカルのフィールドへ戻るとカタカタと震えて、隠れてしまう。その際に邪魔な愚鈍の斧が放り出されて破壊される。

 

 

「あぁ! 根性出せよ! チッ、俺はカードを1枚伏せてターンエンド」

 

 

 おびえてしまった電動刃虫を怒鳴りつつ、反応が無い事を確認したジャッカルは舌打ちをしてカードを伏せる。

 

 

「オレのターン、ドロー!」

 

 

 カードを確認して、顔を顰めるコナミ。ジャッカルの怒りに怯えているのか、デッキの回転が思うように回っていない。手札を確認して、ジャッカルの伏せカードを見たコナミは頷く。デッキが怯えているのなら、自分が勇気付けなければならない。

 

 

「オレはゴーストリックの魔女を攻撃表示へ変更、そして手札からゴーストリック・シュタインを召喚!」

 

 

 ゴーストリック・シュタイン☆3闇 ATK/1600DEF/0

 効果・自分フィールド上に“ゴーストリック”と名のついたモンスターが存在する場合のみ、このカードは表側表示で召喚できる。このカードは1ターンに1度だけ裏側守備表示にする事ができる。また、このカードが相手ライフに戦闘ダメージを与えた時、デッキから“ゴーストリック”と名のついた魔法・罠カード1枚を手札に加える事ができる。“ゴーストリック・シュタイン”のこの効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

 

 自分を守るように身構えていた魔女は箒を手に取って構え、救援に来たシュタインがその隣へ立つ。人造人間である為にどことなく動きが硬いシュタインであるが、人造人間である分、魔女よりも力強い。

 

 

「オレはゴーストリックの魔女で裏側守備表示の電動刃虫を攻撃!」

 

 

 愛くるしい顔をしながらもその本性は魔女である。箒を持った魔女は怯えて塞ぎ込んでいる電動刃虫を箒でバシバシ叩いて攻撃する。驚かされた本人から受けた攻撃に電動刃虫は堪らず墓地へ逃げ出してしまう。

 

 

「続いて、オレはシュタインでダイレクトアタック!」

 

「チッ、背に腹は変えられねえか、俺はトラップ発動、次元幽閉! このカードは相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。その攻撃モンスター1体をゲームから除外する!」

 

 

 ジャッカルへ飛び掛ったシュタインはジャッカルを守るように出現した次元の穴へ自分から飛び込んでしまい、次元の彼方へ幽閉されてしまう。

 

 

「む、オレはゴーストリックの魔女を効果で裏側守備表示へ変更。カードを1枚伏せてターンエンド」

 

 

 次元の彼方へ消えたシュタインを思いつつ、コナミは再び守備を固めてジャッカルへターンを譲る。

 

 

「俺のターン、ドロー!」

 

 

 カードを見たジャッカルはコナミのフィールドを確認した後、少しだけ考えるしぐさを見せると即断即決で頷いて行動する。

 

 

「俺はゴブリン突撃部隊を召喚! そしてそのまま裏側守備表示のゴーストリックの魔女を攻撃!」

 

 

 ゴブリン突撃部隊☆4地 ATK/2300DEF/0

 効果・このカードは攻撃した場合、バトルフェイズ終了時に守備表示になり、次の自分のターンのエンドフェイズ時まで表示形式を変更する事ができない。

 

 

 ジャッカルのフィールドへ集う武装したゴブリン達。襲い掛かる武装したゴブリン達に囲まれたゴーストリックの魔女はコナミへ助けを求める視線を送る。しかし、コナミはその視線へ答える事が出来ず、ゴーストリックの魔女はゴブリン達から滅多打ちに蹂躙され破壊される。

 

 

「この瞬間、オレは手札からゴーストリック・スペクターの効果発動!」

 

 

 ゴーストリック・スペクター☆1闇 ATK/600DEF/0

 効果・自分フィールド上に“ゴーストリック”と名のついたモンスターが存在する場合のみ、このカードは表側表示で召喚できる。このカードは1ターンに1度だけ裏側守備表示にする事ができる。また、“ゴーストリック”と名のついたモンスターが、相手のカードの効果または相手モンスターの攻撃によって破壊され自分の墓地へ送られた時に発動できる。このカードを手札から裏側守備表示で特殊召喚し、デッキからカードを1枚ドローする。

 

 

「ゴーストリック・スペクターを裏側守備表示でセットして、デッキからカードをドロー」

 

「チッ、諦めの悪い奴だぜ。ゴブリン突撃部隊はその効果で守備表示となる。そして俺はカードを1枚伏せてターンエンド」

 

 

 コナミのフィールドへ伏せられたゴーストリック・スペクターを見届けたジャッカルは思い付いた様子で小さく笑い、カードを伏せた。

 

 

「オレのターン、ドロー! オレはまず、ゴーストリック・スペクターを攻撃表示へ変更」

 

「この瞬間、俺はトラップ発動、スキルドレイン! このカードは1000ライフポイントを払って発動できる。このカードがフィールド上に存在する限り、フィールド上の全ての効果モンスターの効果は無効化される! これがお前のデッキの弱点だ! モンスターの効果さえ使わせなきゃ、お前の低ステータスモンスターはただの雑魚カードに成り下がる! その為なら1000ポイントくらい安いもんだ!」

 

 

 ジャッカル岬LP4000→3000

 

 

 白い布を被った可愛いオバケ。スペクターが攻撃表示となった瞬間、発動されたスキルドレインによってスペクターはその身に秘めた力を封印されてしまう。戸惑った様子のスペクターはコナミへ助けを求めるような視線を送る。ゴーストリックの魔女には応えられなかった視線に頷くコナミ。

 

 

「悪いな、ジャッカル。お前の敗因はこいつらの底力を甘く見た事だ。それにデッキの弱点はオレが一番分かっている。その対応も既に済んでいる! まず、トラップ発動、リビングデッドの呼び声! 墓地に眠るゴーストリックの魔女を攻撃表示で特殊召喚!」

 

 

 墓地で眠っていた魔女は呼び声に応えて、コナミのフィールドへ出現する。箒を構え、戦う意志を見せる魔女の視線はゴブリン突撃部隊を射抜く。

 

 

「そして手札から|D・D・R《ディファレント・ディメンション・リバイバル》を発動!手札を1枚捨て、ゲームから除外されている自分のモンスター1体を選択して発動する。選択したモンスターを表側攻撃表示で特殊召喚し、このカードを装備する。このカードがフィールド上から離れた時、そのモンスターを破壊する。対象は勿論、ゴーストリック・シュタイン! 帰ってこい、シュタイン!」

 

 

 コナミが手札を捨てるのと同時に次元の門へ亀裂が入り、段々と大きくなっていく亀裂を破ってシュタインが次元の狭間から帰還する。コナミのフィールドへ並ぶ三体のモンスター。愛くるしい外見とは裏腹にその身に秘めた力は強い。しかし、スキルドレインによって効果が封印されている今、ただの愛くるしいモンスターでしかない。

 

 

「い、いくらそれだけのモンスターが揃った所でパワーが足りねえよ!」

 

 

 少し驚きながらも冷静に判断を下すジャッカル。低ステータスモンスターがずらりと並んだ所でそこまで脅威を感じない。

 

 

「これがこのデッキの弱点を乗り越える為の秘策、その一つ。トラップ発動、トラップ・スタン! このカードの効果でスキルドレインの効果は無効! ゴーストリック達の力は蘇る!」

 

 

 トラップ・スタンにより一時的に力を取り戻すゴーストリック達、中でも最も力を取り戻したのはゴーストリックの魔女だ。箒を構え、ニヤニヤとゴブリン突撃部隊を見る眼光はまさに魔女。

 

 

「ゴーストリックの魔女の効果発動! ゴブリン突撃部隊を裏側守備表示へ!」

 

 

 手に持った箒で地面を掃き始める魔女の行動にゴブリン達は首を傾げる。しかし、行動の意味はすぐに知る事になった。箒から掃かれた地面の小石がゴブリン達へ容赦無くぶつかるのだ。直接的なダメージは無いものの、こんな嫌がらせを受けたら堪ったものでは無い。裏側守備表示となって隠れたゴブリン突撃部隊に満足した表情を浮かべる魔女。

 

 

「そ、それがどうかしたのかよ! 何も変わらないだろ!」

 

「いや、意味はある。ジャッカルのモンスターはゴーストリックから目を逸らした。気付かない振りをした。ならば、後はオバケたるゴーストリックの独壇場だ! なによりオレは最初から間違えていた。こんな天気の良い日にオバケたるゴーストリックが活躍出来る訳が無い。だとしたら、オレが活躍出来る場所を用意してやればいい! オレはフィールド魔法ゴーストリック・ハウスを発動!」

 

 

 コナミ達へ降り注いでいた晴天の太陽の光が限られていき、大きなお屋敷がコナミ達の周りに出現する。ボロボロに壊れてしまったその洋館は正にお化け屋敷といった所か。

 

 

「このカードがフィールド上に存在する限り、お互いのフィールド上のモンスターは裏側守備表示のモンスターに攻撃できず、相手フィールド上のモンスターが裏側守備表示のモンスターのみの場合、相手プレイヤーに直接攻撃できる。また、このカードがフィールド上に存在する限り、お互いのプレイヤーが受ける効果ダメージ及び、“ゴーストリック”と名のついたモンスター以外のモンスターがプレイヤーに与える戦闘ダメージは半分になる! つまり、オバケから目を逸らしたゴブリン突撃部隊を無視して、ゴーストリック達は直接攻撃する事が出来る!」

 

「んな! お前が決闘って言い出したから殴り合っているのに逃げるのかよ!」

 

「もう知らん! 三体のゴーストリックでダイレクトアタック!」

 

 

 ジャッカル岬LP3000→-400

 

 

 ゴーストリックから目を背けたゴブリン突撃部隊を通り過ぎ、三体のゴーストリックがジャッカルへ敗北を刻む。

 

 

「オレが勝ったから言う事を聞いてもらうぞ! これから猫にチョコレートを絶対にやるな! 分かったか!」

 

 

 決闘が終わり、ソリッドヴィジョンが消えた事を確認したコナミは物理的報復を恐れて、吐き捨てるとそのまま逃げるように去っていく。

 

 

「俺が子猫にエサをあげちゃいけないのかよ……」

 

 

 いくら納得がいかなくても決闘で負けたのだ。相手の指示に逆らう事は決闘者として出来ない。誰か他の人に面倒を見てくれるよう、頼むしかない。

 

 

「それは違うよ、岬ちゃん……」

 

「トメさん?」

 

 

 俯き、誰にも見せた事の無い涙が目尻浮かんできた頃、ジャッカルへ声が掛かる。涙を拭いて、顔を上げたらそこには顔馴染みのトメさんがいた。

 

 

「チョコレートって言うのはね、猫にとって危険な食べ物なんだよ。コナミちゃんはそれを知っていたから岬ちゃんに怒ったのさ」

 

「けど、アイツは一言も――――!」

 

「岬ちゃん。生き物を育てるならそれに相応しいだけの知識を身に着けなきゃいけないんだよ。それにコナミちゃんも岬ちゃんと一緒で不器用だからね。本当は優しいのに接し方が分からなくてきつく当たってしまう所とか」

 

 

 ニコニコと笑って言うトメさんの言葉を聞いて、ジャッカルの顔が赤く染まっていく。

 

 

「お、俺、アイツの腹を蹴っちまった……」

 

「……そう。でも、岬ちゃんならどうすればいいのか分かるだろ?」

 

「あ、謝ってくる!」

 

 

 コナミが走り去っていった方向へ走っていくジャッカルを、トメさんは苦笑しながら見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、コナミ! 俺を殴れ!」

 

「はぁ! 女の子を殴れる訳無いだろ!」

 

「お、俺を女の子扱いするな、馬鹿野郎!」

 

「なんで殴るんだよ!」

 




ゴーストリックのイラストアドは異常。雪女と魔女は勿論、作者的にスペクターがストライクです。
高速化の時代に逆らったロマンデッキですが。
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