カミテン~遊戯王TFへ転生してハーレム目指す――でも~   作:ニョニュム

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盛大なネタバレタイトルです(苦笑)


闇の決闘――――そして覚醒

「ふぅ、我ながらなんでこんな場所まで来たんだろうな」

 

 

 小さく息を吐き、額に流れる汗を拭う。照り付ける太陽の光は赤帽子でそれなりに防げるがどちらにせよ周囲の暑さで汗が滲み出てくる。自身が踏破してきた道程を見下ろして、冷静になったコナミは自分の無計画さに苦笑する。

 

 コナミの休日は大抵の場合、二つに分けられる。一つは部屋に篭もってデッキの構成を吟味して、野良決闘を仕掛けてDPを荒稼ぎしている。もう一つは散歩だ。特にたまに落ちているカードを拾ったりすると落ちているカード探しの為にアカデミア中を探し回ったりしている。

 

 今回は後者であり、気付いたらアカデミア校舎の後ろへ聳え立つ火山の火口付近までカードを探して散歩してきていた。普通に考えて、こんな場所にカードが落ちている事自体、色々と可笑しいのだが、その事に突っ込みを入れるつもりもない。一応、登山部が存在するのでカードが落ちていても可笑しくない。

 

 周囲を見渡してみればコナミ以外の人影も見える。万丈目と同じような黒いマントを纏い、黒い仮面を付けているその人物の格好に暑そうだな~、と見当違いな感想を抱くコナミ。同時に心の何処かで大きな警報を鳴らしている。コナミには見えないものの、カードの精霊達が騒ぎ出した。

 

 

「――――ッ! ダークネスッ!」

 

 

 その人物の正体にコナミが気付いたのは二人の距離がだいぶ近付いた頃だった。

 

 

「貴様、何故私の名前を知っている?」

 

 

 息を呑み、不用意に呟いた言葉をダークネスは聞き逃さなかった。コナミは問答をしている暇など無い、とばかりに全力でダークネスがいる方とは反対方向へ走り出す。

 

 

(な、なんでダークネスがこんな所にいるんだ! 十代達が鍵を受け取ってからどれだけ日が過ぎたと思ってる!)

 

 

 それがコナミの勘違い。この世界は所詮、アニメの世界だと高を括っていたコナミは自分の影響力を理解していない。元々、赤人ではないコナミという存在は世界を分岐させるには充分な影響力を持つ人物だった。

 

 心の中で文句を言いながら一心不乱に走るコナミ。足場が悪い山道を必死になって走るコナミはある事が抜け落ちていた。

 

 

「そんなに走って何処へ逃げるつもりだ。何故、私の名前を知っている?」

 

 

 黒いカイトで空を飛んだダークネスは必死で走るコナミの前へ空から降り立つ。真の決闘者は運動神経が良い。コナミの前方へ立ち塞がり、問い掛けるダークネス。コナミの失敗はダークネスの名を口にした事とその後逃げ出してしまった事だ。

 

 コナミの不可解な行動が“七星門の鍵”にしか興味無いダークネスへ余計な興味を引き出してしまった。

 

 

「いや、この感覚は知っているぞ。魂に余計なモノが混じっているから判らなかったが貴様はコナミか。ならば話が早い。私の計画を邪魔させる訳にはいかん。貴様はここで倒させてもらう!」

 

 

 コナミを観察していたダークネスはコナミの被っていた赤帽子を目撃して、コナミの正体を見抜く。過去・現在・未来――――全ての時間軸において存在し、世界の分岐の一端を担う謎の決闘者。その正体は十二次元の覇者たるダークネスをもってしても判らない。

 

 ただコナミという決闘者はダークネスを打倒しうる決闘者である。しかし、魂に余計なモノが混じり、劣化している今のコナミなら打倒もしくはダークネス面へ引きずり込む事も出来るかもしれない。

 

 

 コナミが堕ちた場合の世界はダークネスにとって身震いするほど素晴らしいものだ。ただ強い決闘者を求めて彷徨うコナミはデュエルマシーンとして誇り高き決闘者達を圧倒的な実力で蹂躙し、希望という光を容赦無く飲み込んでいく。

 

 元々、無色として存在するコナミはその選択によって希望の光にも絶望の闇にもなりえる決闘者。なんらかの事情で魂に濁りが生まれ、闇へ傾いている現状ならば、自分の選択でのみ変わるコナミの生き様を外部から影響を与える事が出来るかもしれない。決闘者としての才能だけあるこの身体に不満を抱いていた所だ。新たな宿主としてコナミほど上等な宿主はいない。

 

 

 ダークネスがデュエルデスクを構える。コナミとダークネスの周囲を囲うように火山からマグマが噴き出して、コナミの逃走経路を塞ぐ。逃げ道はないか、と周囲を見渡していたコナミは完全に逃げ道を塞がれた事を理解して、小さく溜息を吐く。

 

 本当に急展開にもほどがある。この時期に火山へ近付いたのは不用意だったかもしれないが、鍵の持ち主でもない自分が巻き込まれるとは思ってもいなかった。

 

 

「ふん、ようやく観念したか。ならば構えろ」

 

「あぁ、やってやるさ!」

 

 

 立ち止まり、ダークネスと向き合うコナミ。ダークネスの言葉を聞き、コナミはデュエルデスクを構える。

 

 

「「決闘!」」

 

 

 闇の化身ダークネスと無色の決闘者コナミの決闘が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 コナミとダークネス。睨み合う両者の中、先攻を勝ち取ったのはコナミ。コナミは小さく息を吐き、デッキへ手を添える。自分の組んだデッキを信じろ、と自分自身に言い聞かせ、コナミは動き出す。

 

 

「オレのターン、ドロー!」

 

 

 ドローしたカードを手札へ加えて、手札の内容を確認するコナミ。まさか、このような場面でこのデッキを使う事になるとは思っていなかったが仕方ない、と割り切る。動き出すには充分な手札だ。ならば、行動の妨害を受けないこのターンで態勢を整える。

 

 

「オレは手札から竜の霊廟を発動! このカードはデッキからドラゴン族モンスター1体を墓地へ送る。墓地へ送ったモンスターがドラゴン族の通常モンスターだった場合、さらにデッキからドラゴン族モンスター1体を墓地へ送る事ができる! オレはデッキから青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)を墓地へ送り、ブルーアイズは通常モンスターの為、デッキからハウンド・ドラゴンを墓地へ送る」

 

「何? ブルーアイズだと? さすがと言った所か、面白いカードを持っている……」

 

 

 コナミの墓地へ送られていく2体の通常モンスター。ダークネスはその内の1体に反応を示し、口元を小さく歪める。楽しげに口元を歪めるダークネスへ不信感を抱くが、コナミのやる事は変わらない。

 

 

「オレはサイバー・ダーク・エッジを召喚! エッジの効果で墓地のハウンド・ドラゴンを装備」

 

 

 サイバー・ダーク・エッジ☆4闇 ATK/800→2500DEF/800

 効果・このカードが召喚に成功した時、自分の墓地に存在するレベル3以下のドラゴン族モンスター1体を選択し、装備カード扱いとしてこのカードに装備する。このカードの攻撃力は、このカードの効果で装備したモンスターの攻撃力分アップする。このカードは相手プレイヤーに直接攻撃する事ができる。その場合、このカードの攻撃力はダメージ計算時のみ半分になる。このカードが戦闘によって破壊される場合、代わりに装備したモンスターを破壊する。

 

 

 墓地に眠るハウンド・ドラゴンを装備した状態でコナミのフィールドへ出現する黒き機械竜。禍々しくも勇ましいエッジの咆哮がダークネスへ向けられる。

 

 

「初手から攻撃力2500のモンスターを召喚か。中々、面白い。妙なモノが混じっているがコナミである事に変わりないか」

 

 

 エッジの咆哮を軽く受け流したダークネスにコナミは眉を顰めながらカードを伏せる。

 

 

「オレはカードを1枚伏せてターンエンド」

 

「私のターン、ドロー。黒竜の雛を召喚する」

 

 

 カードを手札に加えたダークネスは流れるような動作でモンスターを召喚する。ダークネスのフィールドへ現れたのは黒き竜の雛。無限の可能性を持つ竜の子供がコナミの前に立ち塞がる。

 

 

 黒竜の雛☆1闇 ATK/800DEF/500

 効果・自分フィールド上に表側表示で存在するこのカードを墓地へ送って発動できる。手札から“真紅眼の黒竜”1体を特殊召喚する。

 

 

「そして黒竜の雛の効果発動! 私は手札から真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)を特殊召喚! 現れろ、レッドアイズ!」

 

 

真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)☆7闇 ATK/2400DEF/2000

 

 

 ダークネスの指示に従い、出現する真紅の瞳を持つ黒き竜。ブルーアイズと並び、可能性の竜と評される黒竜がエッジに負けず劣らずの咆哮と共にコナミの髪を揺らす。

 

 

「だが、レッドアイズを出した所でエッジの攻撃力には及ばないぞ」

 

「ふん、そんな事は指摘されずとも判っている。攻撃が出来ないのであれば、攻撃以外でダメージを与えればいいだけだ。私は手札から黒炎弾を発動。自分フィールド上の“真紅眼の黒竜”1体を選択して発動する。選択した“真紅眼の黒竜”の元々の攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。このカードを発動するターン“真紅眼の黒竜”は攻撃できない。行け、レッドアイズ! 黒き煉獄の炎で焼き尽くせ!」

 

「ぐぁぁぁ!」

 

 

 ダークネスの指示に従い、真紅眼の黒竜は黒き炎を吐き出す。その炎弾に巻き込まれ、コナミは後方へ吹き飛ばされる。

 

 

 小波赤人LP4000→1600

 

 

「くっくっく、これが闇の決闘(デュエル)だ。その身に刻まれた痛みはどうだ?」

 

 

 黒き炎に身体を焼かれて、倒れ伏すコナミ。そんなコナミの姿にダークネスは愉悦の笑みを浮かべている。

 

 

「……い」

 

「ん?」

 

「……たい、痛い、痛い痛い痛いイタイイタイ! なんだよこれ! ふざけんな! ただのカードゲームだろ! なんでこんなに身体がイタイんだよぉぉぉ!」

 

 

 ソリッドヴィジョンの衝撃とは似ても似つかない、芯から身体を焼き尽くす熱の痛みに地面を転げまわるコナミ。闇の決闘の洗礼を受けたコナミは泣き叫び、現実逃避を始める。

 

 

「…………つまらんな。貴様ほどの決闘者がこの程度の事で折れるとは……。魂に余計なモノが混じったせいで随分とつまらん存在に成り果てたモノだ。貴様など手に入れる価値も無い……」

 

 

 闇の決闘の洗礼を受けて心が折れたコナミ。痛みを恐れ、混乱状態のコナミを誰が責められるだろうか。コナミの認識では所詮、決闘と言ってもカードゲームだ。世界が1枚のカードから始まったと知っていても実感なんて湧かなければ、決闘で本当の身体が傷付くなんて笑い種。遊戯王世界に生きていると知っていても、痛みを伴わない実感は判っていたつもりになっていただけに過ぎない。

 

 武藤遊戯や遊戯十代。彼らが闇の決闘を行いながら果敢に相手と戦っていたから実際は大した事ないのだと勘違いしていた。彼らが闇の決闘に耐える事が出来たのは彼らが純粋に心を強く持ち、色々なモノを背負って戦っていたからだ。

 

 なんの覚悟も背負う物も持たず、心の何処かで所詮はカードゲームという想いを持っていたコナミに耐えられるようなモノでは無い。

 

 

「私はレッドアイズをリリースし、真紅眼の闇竜(レッドアイズ・ダークネスドラゴン)を特殊召喚! これで貴様への攻撃が可能となった」

 

 

 真紅眼の闇竜(レッドアイズ・ダークネスドラゴン)☆9闇 ATK/2400→3000DEF/2000

 効果・このカードは通常召喚できない。自分フィールド上に存在する“真紅眼の黒竜”1体をリリースした場合のみ特殊召喚する事ができる。このカードの攻撃力は、自分の墓地に存在するドラゴン族モンスター1体につき300ポイントアップする。

 

 

 無様な姿を見せるコナミへ失望した視線を向けるダークネス。そんなダークネスのフィールドにはコナミへ追い討ちを掛ける為、闇の竜が降臨する。その咆哮に身体を震わし、ビクビクしながらも立ち上がるコナミ。心が折れたとはいえ、生存本能がコナミを立ち上がらせた。

 

 

「レッドアイズ・ダークネスドラゴンでサイバー・ダーク・エッジを攻撃! やれ、ダークネス・ギガ・フレイム!」

 

 

 レットアイズの放った炎がエッジを呑み込む。その力の差は歴然。エッジが破壊されるその瞬間、コナミが叫ぶ。

 

 

「この瞬間、エッジの効果発動! このカードが戦闘によって破壊される場合、代わりに装備したモンスターを破壊する! ハウンド・ドラゴンを破壊して、エッジを残す!」

 

 

 サイバー・ダーク・エッジ ATK/2500→800

 

 

 ハウンド・ドラゴンを犠牲にして、フィールドへ残るエッジ。しかし、レッドアイズが放った炎の勢いは止まらず、コナミへ襲い掛かる。

 

 

「ふん、戦闘破壊は防いだか。しかし、ダメージは受けてもらうぞ!」

 

「と、トラップ発動! ガード・ブロック! このカードは相手ターンの戦闘ダメージ計算時に発動する事ができる。その戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは0になり、自分のデッキからカードを1枚ドローする!」

 

 

 レッドアイズの炎がコナミへ届く直前、コナミの宣言により光の盾がコナミを守る。

 

 

「ふ、心が折れてもあくまで足掻くという事か。まあいい、私はカードを2枚伏せて、ターンエンド」

 

 

「オ、オレのターン、ドロー!」

 

 

 震える手でカードを引き抜くと手札に加える。新たに引いたカードを確認して、可能性を見出したコナミは震える身体を押さえつけてダークネスを見据える。

 

 

「オレは手札から融合を発動! フィールドのサイバー・ダーク・エッジと手札のサイバー・ダーク・ホーン、サイバー・ダーク・キールを融合! 現れろ、鎧黒竜-サイバー・ダーク・ドラゴン! その効果により墓地に眠る青眼の白龍を装備する!」

 

 

 鎧黒竜-サイバー・ダーク・ドラゴン☆8闇 ATK/1000→4400DEF/2000

 効果・このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。このカードが特殊召喚に成功した時、自分の墓地に存在するドラゴン族モンスター1体を選択し、装備カード扱いとしてこのカードに装備する。このカードの攻撃力は、このカードの効果で装備したモンスターの攻撃力分アップする。また、このカードの攻撃力は自分の墓地のモンスターの数×100ポイントアップする。このカードが戦闘によって破壊される場合、代わりにこのカードの効果で装備したモンスターを破壊する。

 

 

 コナミのフィールドへ現れた最強のサイバー・ダーク。そしてサイバー・ダークが装備しているドラゴンは強靭にして無敵と名高い青眼の白龍。コナミのデッキにおいて最強の組み合わせだ。

 

 

「サイバー・ダークでレッドアイズを攻撃! フル・ダークネス・バースト!」

 

 

 破壊を伴ったサイバー・ダークの咆哮が火山周辺へ響き渡り、衝撃が走る。咆哮に対して迎え撃ったレッドアイズもその凄まじさには耐え切れず、破壊されてしまう。

 

 

 ダークネスLP4000→2600

 

 

「ぐッ、この瞬間、トラップ発動。レッドアイズ・スピリッツ! 自分フィールド上の“レッドアイズ”と名のついたモンスターが破壊され墓地に送られた時に発動できる。このターンに破壊された“レッドアイズ”と名のついたモンスター1体を召喚条件を無視して自分フィールド上に特殊召喚する! 対象は当然、真紅眼の闇竜!」

 

 

 襲い掛かる衝撃に耐えたダークネスは破壊されたレッドアイズを再び呼び戻す。再び出現したレッドアイズの姿にコナミは表情を顰める。相手の手札は0枚で上級モンスターさえ破壊出来ればこのまま押し切る事も可能だった筈。やはり一筋縄ではいかない相手なのだ。

 

 

「オレはカードを2枚伏せてターンエンド」

 

「私のターン、ドロー! そして天よりの宝札を発動。互いのプレイヤーは手札が6枚になるようにカードをドローする」

 

「く、判ったよ」

 

 

 ダークネスの指示に従い、カードをドローするコナミ。手札の尽きていたコナミにとって助けにもなるが、今はダークネスが手札を0枚から6枚まで増やした事が重要なのだ。

 

 

「そして私はトラップ発動、魔法反射装甲・メタルプラス!発動後このカードは攻撃力300ポイントアップの装備カードとなり、自分フィールド上のモンスター1体に装備する。装備モンスターを対象とする相手の魔法カードの発動を無効にし破壊する。また、このカードが“真紅眼の闇竜”に装備されている場合、装備モンスターをリリースする事でデッキ・手札から“レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン”1体を特殊召喚できる!」

 

 

 真紅眼の闇竜 ATK/3000→3300

 

 

「現れろ、レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン!」

 

 

 レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン☆10闇 ATK/2800→4000DEF/2400

 効果・このカードは通常召喚できない。“魔法反射装甲・メタルプラス”を装備した“真紅眼の闇竜”を生け贄に捧げた場合のみ特殊召喚する事ができる。このカードの攻撃力は、自分の墓地のドラゴン族モンスター1体につき400アップする。このカードを対象にする魔法の発動と効果を無効にして破壊する事ができる。手札を1枚捨てる事で魔法の発動と効果を無効にして破壊する事ができる。

 

 

 ダークネスのフィールドへ現れた最強のレッドアイズ。全身を銀色の光沢が覆う真紅の瞳を持つ黒竜の姿にコナミは一瞬だけ怯むがサイバー・ダークにはまだ届かない。

 

 

「だが、そのレッドアイズでも――――」

 

「あぁ、攻撃力はまだ足りないな。だからこそ、新たな手札を補充したのだ! 私は竜の霊廟を発動! デッキからメテオ・ドラゴンを墓地へ送り、ミラージュ・ドラゴンを墓地へ送る。墓地に眠るドラゴン族が2体増えた事によりレッドアイズ・ダークネスメタルドラゴンの攻撃力が800ポイントアップ! 更に手札から一族の結束を発動! 自分の墓地に存在するモンスターの元々の種族が1種類のみの場合、自分フィールド上に存在するその種族のモンスターの攻撃力は800ポイントアップする!」

 

 

 レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン ATK/4000→5600

 

 

 大地を揺るがす咆哮が島全体へ響き渡る。コナミの前に君臨するレッドアイズの攻撃力は既に手を付けられないほど強力になっている。

 

 

「私はレッドアイズでサイバー・ダークを攻撃、ダークネスメタルフレア!」

 

「く、この瞬間、リミッター解除を発動! このカード発動時に、自分フィールド上に表側表示で存在する全ての機械族モンスターの攻撃力を倍にする。この効果を受けたモンスターはエンドフェイズ時に破壊される!」

 

「ふん、苦し紛れの戦略など知らん! レッドアイズの効果発動、手札を1枚捨てる事で魔法の発動と効果を無効にし破壊する、マジック・リフレクション!」

 

 

 コナミの発動されたリミッター解除は魔法反射するレッドアイズの前に弾かれ、黒き灼熱の炎がサイバー・ダークを包み込むと圧倒的な熱量で破壊される。

 

 

「~ッ! サイバー・ダークの効果発動! 青眼の白龍を破壊して鎧黒竜-サイバー・ダーク・ドラゴンの破壊を無効!」

 

 

 鎧黒竜-サイバー・ダーク・ドラゴン ATK/4400→1500

 

 

 小波赤人LP1600→400

 

 

 身体に奔る激痛を噛み締め、それでも決闘を続けるコナミ。本当は逃げ出したいが闇の決闘がどういうものなのか知っている。ただのカードゲームと思っていたコナミだったが、皮肉な事に痛みを感じたこの決闘で初めて自分が遊戯王の世界で実際に生きているのだと実感した。だからこそ、この決闘は負けられない。どんな手を使ってでも勝たなければならないのだ。

 

 ――――この世界は勝者に優しい。それは同時に弱者には冷たい世界。決闘に勝たなければいけないのだ。そう“どんな事をしてでも”。

 

 

「私はカードを1枚伏せてターンエンド」

 

「…………オレのターン」

 

 

 デッキに手を添えて、瞳を閉じるコナミ。赤人になってから一度もした事が無いデッキに祈るという行為。ドローはただ確立の問題。そう割り切っていたコナミには無意味だと思っていた行為。しかし、この決闘だけは負ける訳には行かないのだ。どんな手を使ってでも相手へ勝利しなければならない。

 

 勝利への飢え。目の前の決闘者に対する怒り。そしてなによりこのデッキで本来戦うつもりだった人物への嫉妬。負の感情がデッキへ添えている手へ集まっていく。負の感情にデッキが鼓動する。コナミの中で何かが崩れた音がした。

 

 シンクロとエクシーズ。その概念が存在する世界でありながらコナミは頑なに使おうとしなかった。宿敵たるカイザー亮に使用したものの敗北し、同時に何かが違うと思った。同じ土俵で戦わなければ本当の勝利と言えるのか。シンクロ・エクシーズを使った勝利で自分が喜べるのか。少なくとも否だ。もし勝利する事が出来てもそれは空しい勝利に他ならない。コナミは自分へずっと言い聞かせてきた。

 

 ――――“負けた時の言い訳が出来るように”。

 

 シンクロを使ってないから。

 エクシーズを使ってないから。

 

 そうして勝てない理由を自分で勝手に作り上げて、敗北を正面から受け止める事をしなかった。その結果が今の状況だ。相手が全力で挑んできてもこちらは余力を残している。そう言い訳が出来るように。

 

 

「あぁ、そうだ。勝たなければいけないんだ。勝って勝って勝ちまくる。それがオレの決闘」

 

「そうだ、それでいい! 私の苗床として相応しい闇だ!」

 

 

 急激にコナミへ渦巻いていく闇の力にダークネスは歓喜する。無色のコナミが急激に闇へ堕ちていく。闇へ堕ちたコナミの魂を捕らえ、同化してしまえばダークネスの闇はより強固なモノとなる。

 

 

「貴様の魂、今頂く!」

 

「ッ!」

 

 

 ダークネスは今の身体を捨て、渦巻く闇に紛れてコナミの魂に潜り込む。

 

 ――――そして、コナミの深淵を覗いてしまった。

 

 

『な、なんだ、コレは! コレが貴様の闇? ふざけるな、嫌だ! こんな闇も光も無い魂が有っていい筈が無い! 世界を繰り返してまで光を取り込み、闇を取り込もうとするバケ――――』

 

「………………ッ、一体何が……」

 

 

 ダークネスの魂が抜けた事により、ダークネスへ人格を奪われていた青年が目を覚ます。自分の手にはデュエルデスク。そして目の前では見覚えの無い決闘。決闘相手の決闘者の帽子は黒い帽子だ。

 

 

「ドロー、俺は手札から死者蘇生を発動、自分または相手の墓地のモンスター1体を選択して発動できる。選択したモンスターを自分フィールド上に特殊召喚する。俺は墓地に眠る青眼の白龍を特殊召喚」

 

「ブ、ブルーアイズだって!」

 

 

 青眼の白龍☆8光 ATK/3000DEF/2500

 

 

 青眼の白龍の登場に驚く青年を余所に黒帽子の少年は動きを止めない。

 

 

「そして融合解除を発動、フィールドへ三体のモンスターが揃った。現れろ、邪神ドレッド・ルート」

 

 

 邪神ドレッド・ルート☆10闇 ATK/4000DEF/4000

 効果・このカードは特殊召喚できない。自分フィールド上に存在するモンスター3体を生け贄に捧げた場合のみ通常召喚する事ができる。このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、このカード以外のフィールド上のモンスターの攻撃力・守備力は半分になる。

 

 

 次の瞬間、闇の鼓動が覚醒する。晴天だった天気は急速に雷雲が立ち込め、穏やかだった海が荒れる。デュエルアカデミア中に激震が奔り、カードの精霊達が騒ぎ出し、それぞれの相棒へ警告する。人智を超えた邪神がここに降臨した。

 

 

 青眼の白龍 ATK/3000→1500DEF/2500→1250

 

 レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン ATK/5600→2800DEF/2400→1200

 

 

 その脅威に力を半減させるモンスター達。それは一体の邪神により与えられた影響。

 

 

「俺は邪神ドレッド・ルートでレッドアイズ・ダークネスメタルドラゴンを攻撃、青眼の白龍でダイレクトアタック」

 

「ぐあぁぁぁ!」

 

 

 邪神の鉄槌と最強の竜による一撃、闇の決闘による痛みが青年を襲い、その命を刈り取る。

 

 

 天上院吹雪LP2600→-100

 

 

「き、君は……」

 

 

 カードへ魂が取り込まれていく少しの間、正気を取り戻した青年――天上院吹雪は目の前の決闘者に問いかける。

 

 

「………………俺の名前はダークネス赤人(セキヒト)

 




主人公覚醒――ただし、その頃には主人公が闇堕ちしてるけどな!

因みにちょっとした伏線でカイザー、十代、ダークネス以外の決闘では闇属性のモンスターしか使っていません。

次回から当分の間、作者得の超外道主人公でいきます。
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