イギリスのある田舎町、雨の中1人の男性の葬儀が行われる。彼の名はローグ・キルト、この町にある教会の神父だった男性だ。先日事故に遭い、病院に搬送されるも
高齢ということもあり、間もなく息を引き取った。葬儀を進行するのは、まだ成人にも満たない青年だった。程なく葬儀が終了し、1人のシスターが青年に声を掛ける。
「お疲れさま、レイ」
レイ・キルト、それが青年の名である。
「お疲れさまです、シスター・グレイス」
「ごめんなさいね。貴方が一番辛い筈なのに、任せてしまって」
「謝らないで下さい。まぁ、辛くないと言えば嘘になりますが、父と約束していたんです。『自分が死んだ時はお前に葬儀を行って欲しい』と。そんな時が来てほしくないと思いながら、光栄に思って」
そう、ローグはレイの父親である。ただし実の父という訳ではない。教会の前に捨てられていた赤子の彼を、ローグが親として育ててきた。レイという名もローグが名付けたものである。彼を見つけた日は雨が降っていた。当時日照りが続いていて、その雨によって多くの人が救われた。彼も人々に手をさしのべる優しい人間になって欲しく、レイと名付けたと聞いている。
「そうでしたね、貴方はローグ神父をとても慕っていましたから。きっとローグ神父もお喜びになっているでしょうね。レイに自分を見送ってもらって」
「ええ、これからは父に代わりつとめを果たしていきます」
そこまで言って、ふとあるものが目についた。ローグ神父の遺品が置かれた机の上、他の品々と離して置いてある物がある。それは、ローグ神父が常に肌身離さず身につけていた十字架のペンダントである。
「シスター、何故あれだけ離して置いてあるのですか?」
「あぁ、あれですか。あのペンダント、事故当時も身につけていらして、その時ローグ神父の血が付いてしまったの。綺麗にしようとしても全然跡が消えなくて、でも神父がとても大切にしていた物なので今回出さないというのもどうかと…」
「…あのペンダント、僕が預かってもよろしいでしょうか?父の跡を継ぐ証として」
「わかりました。その方が神父も喜ぶでしょうし」
グレイスからペンダントを渡されると、レイは一度祈りを捧げてから胸ポケットにしまう。
「そうそう、貴方宛に神父から預かっていたものがありました」
そう言ってレイに手渡されたのは、飛行機のチケットと1通の封筒だった。
「これは?」
「ローグ神父が準備していたものです。日本の冬木という場所に、親交があったコトミネという方がいらっしゃるそうで、その人の所で見識を深めて欲しいとおっしゃっていました」
「でも、この教会が…」
「大丈夫です。貴方のいない間、私がいますから」
「…わかりました。それでは明日出立しようと思います」
次回から、最新話までに解禁されたサーヴァントの情報を活動報告に追記していきます