Fate/faith   作:ラ・ピュセル

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第4話

ー冬木市郊外・アインツベルン城ー

 

広いホールに2人の人物がいる。1人は紅い瞳に銀の髪、人形のように整った顔立ちの女性、彼女はクラウディア・フォン・アインツベルン、アインツベルン家が鋳造したホムンクルスであり今回のマスターである。ただし、彼女はマスター用のホムンクルスではなく、戦闘用のホムンクルスである。

本来ならば彼女とは別のホムンクルスがマスターとなる予定だった。しかし鋳造の途中、彼女の腕に令呪が刻まれた。その影響なのか、本来短命である戦闘用ホムンクルスよりも寿命が長く、魔力の質・量ともに一級品となった。

発現当初はマスターには向かないホムンクルスに令呪が宿ったことでアハト翁も落胆していたが、後々その事実が判明したことにより、今までマスターとして鋳造してきたホムンクルスよりも勝算が高いと踏んだアハト翁は、心血を注いで彼女の調整をおこなった。

 

「この拠点はどうかしら?キャスター」

 

クラウディアは隣の男に話しかける。黒いガウンを着たその男が、アインツベルンに召喚されたキャスターのサーヴァントである。

 

「中々のものですな、マスター。装飾も適度で素晴らしい。そして、出来れば私の部屋を準備していただけるとありがたいのですが」

 

「わかったわ、必要な家具とかはある?」

 

「それでは、書き物の為の机と椅子をお願いしたい」

 

それを聞いたクラウディアは、侍女として着いてきていたホムンクルスに部屋の準備を指示する。

 

「それにしても、まさか私がサーヴァントとして召喚されるとは…」

 

「あら、自分が召喚されるのは意外だった?こっちからすれば、人類史のターニングポイントにおいて中心人物となった貴方が召喚されない方がおかしいと思うけど」

 

「まぁ呼ばれたからには、全力を尽くさせて頂きましょう」

 

そう言ってキャスターは、その手に持った本を見つめる。

 

 

ー深山町・とある家ー

 

「マスター、少しあの山に行ってみてもいいかい?」

 

浅黒い肌をした長身痩躯の男が同室の女性に声を掛ける。

 

「山?あぁ、円蔵山のことね」

 

呼びかけられた女性は振り向くことなく答える。彼女が聖杯に選ばれマスターとなった、名を青葉玲華という。そして男の方が、彼女に召喚されたアーチャーのサーヴァントである。

 

「やめといた方が良いわよ。円蔵山は、霊的な存在は正面の山道からしか入ることができない。仮に敵のサーヴァントが先に陣取っていたら圧倒的に不利よ」

 

玲華はそう言いながら作業を続けている。

 

「成る程なぁ…。ってかマスター、いつまでそんな荷物整理してんだよ」

 

「文句言わないの。私の大事な調査結果なんだから」

 

一般的な魔術師が工房に籠もって魔術の研究をおこなうのに対し、玲華は珍しいタイプだった。彼女は逸話や伝承に関わりのある土地を調査し、その結果を記録するというスタンスをとっている。その在り方は研究というよりも、遺跡の発掘調査といえるだろう。今おこなっている作業も、今回の旅先での記録やアイテムを編集・保管しているのである。

 

「まったく、早く敵について調べてぇってのに」

 

「あら、それならもうやってるわよ」

 

「あ?」

 

そのとき、窓をつつく音がする。その方向に目を向けると1羽のカラスがいた。

 

「お疲れさま、何か情報はあった?」

 

玲華が尋ねるとカラスは一鳴きする。このカラスは彼女が使い魔として使役している。

 

「そう、それじゃあ教えてね」

 

玲華は目を閉じ詠唱をする。彼女が唱えたのは対象の記憶を読み取る魔術である。普段の調査でも、人が入れないような場所の調査を、このようにしている。

 

「成る程ね、遠坂とアインツベルンは補足、間桐はそれらしい人物の出入りは無し、私以外の外来の魔術師は未だ不明と」

 

「補足できた2組のサーヴァントはどうだ?」

 

「外見だけで言えば、恐らく遠坂はランサー、アインツベルンはキャスターを召喚したみたいね」

 

その結果を聞き、アーチャーは口笛を吹く。

 

「大した情報収集能力だな。よくそこまで調べられるもんだ」

 

「使い魔といっても魔術的な繋がりは無いから、他の魔術師から見ても野生のものにしか見えないのよ」

 

「しかし御三家の一角とやらが召喚したのがキャスターとはな」

 

「目当てのクラスが先に召喚されてしまったんじゃない?まぁそれでも、アインツベルンが呼び出したというなら、キャスターでも厄介なのと考えた方が良いわね」

 

「どっちにしろ、獲物ってことには変わりない。早く仕留めたいもんだ」

 

アーチャーはそう言いながら銃を磨く。カラスの刻印が刻まれた、その銃を。




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