自分の目の前に現れた少女。彼女が、自分と共に聖杯戦争を闘うサーヴァント。こんな少女が、人類史に名を残す英雄達と闘うなどにわかには信じられない。
少女はこちらを見つめている。先程の問いかけのことだろうか。
「はい、私はレイ・キルト。貴方のマスターです」
そう答えると、少女は微笑みながら応じる。
「よろしくお願いします、レイ。私は今回の聖杯戦争ではセイバーのクラスをもって現界しました」
セイバー?クラス?何のことだ?
「すまない、説明不足だったな。召喚されるサーヴァントは7つのクラスのいずれかに振り分けられ現界する。剣士・セイバー、弓兵・アーチャー、槍兵・ランサー、騎兵・ライダー、魔術師・キャスター、暗殺者・アサシン、狂戦士・バーサーカー。そしてクラス名はコードネームのようなものでもある。真名の露呈が致命的な弱点となる英霊もいるため、それを回避するためでもある」
そう言うと言峰神父はセイバーの方を向く。
「私は言峰綺礼、今回の聖杯戦争の監督役だ」
「監督役の身内からマスターが選ばれたのですか?」
「いや、私は冬木において彼の身元引受人という扱いだ。聖杯戦争については必要最低限の助言だけで、あくまで他のマスター同様、公平に扱うつもりだ」
「そうですか」
セイバーは納得したようだ。
「ところで、君の真名は明かさないのかね?レイと一蓮托生の関係になるのだ。明かしておくべきだと思うが?無論、公平を期する為に口外するつもりはない」
それを聞くと、セイバーは少し顔を曇らせる。
「それに関しては、できれば明かしたくありません。私に関する逸話を知っている者からすれば、私の真名は忌み名であり口にするのも憚られるものです。戦いを進めていけばいずれわかることでしょうが、せめてそれまでは真名を隠すことを許していただけませんか?」
「レイ、君が彼女のマスターで、これは君が決めることだ」
言峰神父はそう告げてきた。普通なら自分の事を明かさない人物など味方として見ない方が当たり前だろう。しかし、信頼というのはお互いが信じ合うことで成り立つものだ。ましてや彼女は、自分の戦うという意思に応じて来たのだ。ならば、自分が彼女を疑う道理はない。
「わかりました。貴女がそれを望むのなら、真名を明かす明かさないについては貴女に任せます、セイバー」
「ありがとうございます、レイ。これより私は貴方の盾となり剣となり、貴方に勝利を捧げます」
今ここに、今回の聖杯戦争における7組のマスターとサーヴァントが全て出揃った。