転生者のOO   作:物だよ

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十一話

「なんでって……」

 

 そりゃ、あなたが死ぬかもしれなかったからですよ!……と言いたいところではあるがそんなことを言っても絹江さんはなんのことかわかりはしないだろう。というか言えるわけない。

 

「お知合いですか?」

 

 目の前にサーシェスがいるんだから。やばい。多分選択失敗したら一緒に連れていかれて殺されてしまう。上手いこと言って絹江さんと早急にここを離れなければ……俺は武闘派じゃないから戦闘なんかになったりしたら絶対負ける。

 

「ええ、そうなんです。彼女と一緒にいるということは……もしやあなたはラグナ氏の会社の方ですか?」

 

「いえ、私はこの会社の人物ではございません。ただ彼とは商売の話で時々話に来ているんですよ」

 

「っ?!本当に申し訳ございません!この度はうちの馬鹿が突然取材をかけて!ほら!絹江さんも頭を下げなさい!」

 

「え?ちょ、ちょっとマサユキさん?」

 

 そういって彼女を俺のほうに引っ張り一緒に頭を下げさせる。よし、とりあえずサーシェスと引き離すことはできた。

 

「ラグナ氏や会社の方とならまだいいでしょう。あなたの事だから一応のアポぐらいはとっているでしょうから。それを……アポもとっていない!しかもラグナ氏の会社と関係もない人に取材してどうするんですか!」

 

「それは!そうですが……」

 

 とりあえずうかつなことを言わせないようにしなければ……ガンダム関係を堂々と言ってたら会社の中からもやばいやつとか出てきそうだし。

 

「まあまあ、そこまでにしてあげてください」

 

 絹江さんを叱っているとサーシェスが仲裁にきた。

 

「彼女はただ話を聞きたかっただけですよ?記者さんなんだ。訝しい点があれば取材をかけて真実を知りたい……いい記者根性してますよ?それに私が話をしてもいいって言ったんです。あ、そうだ。彼女と知り合いならあなたも記者さんでしょう?どうです?あなたも彼女と一緒に話を聞きませんか?」

 

 普通に誘われているだけだけどそれが彼女と一緒に死にませんか?に聞こえるのはこの後の展開を知っているからだろうな……というわけでさっさと言い訳してここを去らせてもらおう。

 

「大変魅力的な申し出ですが私は相手に取材する場合は正規の手段を踏んでからにしていますので今回はお断りさせていただきます。それに私は彼女を連れて早急に日本に帰らなければならないので……」

 

「はあ、そうですか。それはそれは残念ですね。せっかくいろいろとお話、してもよかったんですが……ではまたの機会をお待ちしております」

 

 そうしてサーシェスは背を向けて車に向かう。そうだ、このまま帰ってくれ!

 

「ああ、そうだ」

 

 そういってあいつは立ち止った。そして振り返ると俺のほうに歩いてくる。そして俺にハンカチを差し出してきた。

 

「これを差し上げます。よければお使いください。顔に汗がついていますよ」

 

 無意識のうちに自分の顔を拭う。確かに彼の言うとうりだった。

 

「あなたは今まであった記者の中でも随分優秀なようだ。それに運がいい」

 

「……へえ。見ただけでわかるんですか?」

 

「ええ。これまでいろんな人を見てきたもので……そういった目はあるんですよ、私は」

 

 あ、これやばいな……最悪ここで殺されるかな?何とか絹江さんだけでも守らないと……そう思っていつでも動けるようにしていたがあいつはそのまま俺たちから離れていった。

 

「では次が押しているので私はここらへんで……では、また」

 

 そうしてサーシェスは車に乗って消えていった。

 

「ま、マサユキさん?」

 

 絹江さんがおずおずと話しかけてくる。

 

「……とりあえず車に乗って。日本に帰るよ。話はそれから」

 

「……はい」

 

 そうして車に乗って空港に向かった。空港に到着するとハレヴィ家の人がいて壊れた車の回収をしてくれた。俺たちは日本へ向けて旅立った。フライト中に流れているニュースではガンダムを撃退したことが報じられていた。それを見て、ああ、サーシェスが急いでいたのは、運がいいと言っていたのはこれだったのかと漠然と感じていた。

 

 

 

「とりあえず座って」

 

「お邪魔します……」

 

 俺は絹江さんを連れて自宅に来ていた。俺たちは互いに向き合った。

 

「何がいいたいかわかるよね?」

 

「……ごめんなさい」

 

「なんで俺が君のところに駆け付けたかわかる?」

 

「……私が勝手に個人で取材をかけたから。……それとあなたからの警告を無視したから」

 

 ああ、違う。それは違うんだ。

 

「……違うよ」

 

「違う?」

 

「俺は君に死んで欲しくないから向かったんだよ……」

 

「えっ?それはどういう……」

 

「君は踏み込みすぎたんだよ。君だけだと思った?ラグナ氏とソレスタルビーイングの、ガンダムとの関係までたどり着いたのは。あそこに取材をかけた人物の数名は行方不明になってるんだよ」

 

「そんな……じゃあそれを公表してなおさら真実を広めなきゃ……」

 

「わかるでしょ?そんなことしたら口封じされてしまうよ」

 

「……」

 

「これに懲りたらもうやらないようにね。もしくはやりたかったら事前に俺に教えて。サポートするからさ。あ、あと会社には君は行方不明になっていると伝えておく。君は今回の事で向こうに顔を覚えられてるはずだから見つからないようにしておかなければいけない」

 

 絹江さんはうつむいていた。俺はそれをただ見ていた。

 

「どうして……」

 

「ん?」

 

 うつむいたまま彼女は口を開いた。

 

「どうして私なんかを助けてくれたんですか?」

 

 何言ってんだ。絹江さんは俺の大事な仕事仲間だからだ!仲間を助けに行くなんて当然だろ。これからも一緒に仕事をして時々一緒にご飯とか食べに行こうよ!

 

 

 ……やめよう。もう自分の本心を隠すのは。

 

「わからないかな?」

 

「わかりませんよ……殺されてもそれはあなたの警告を無視して真実を知ろうとしたからなのに……当然の事なのに……」

 

「好きだからだよ」

 

「えっ?」

 

「好きな人のために頑張ることはおかしくないでしょ?……どうしたの?鳩が豆鉄砲くらったような顔して」

 

「ご、ごめんなさい。ちょっと耳がおかしくなったのかしら……もう一度言ってくれる?」

 

「だから俺は絹江さんのことが好きだからだよ」

 

「嘘……本当に?」

 

「本当だよ」

 

 信じられない……と小言でつぶやいている。

 

「いつから……?」

 

「そうだな……研修が終わって君と一緒に仕事をし始めてからかな。君と仕事をしていくうちに惹かれていったんだよ」

 

 そういうと絹江さんはまたうつむいた。俺は気恥ずかしくなってちょっといたたまれない気分だった。

 

「なんで……なんでもっと早く言ってくれなかったんですか?!」

 

「ええ?!」

 

 絹江さんは唐突に席を立ち前のめりになって僕をつかんできた。

 

「私もあなたのことが好きなんです。だからあんなに勇気を出して一緒にご飯とか飲みに誘ったりしてたのに……」

 

「ご、ごめん。てっきり信頼してくれてるからだと……」

 

「……ごめんなさい。もっと早く自分から言うべきでした。もし告白して今の関係が壊れたらと思うと怖かったんです」

 

「それは……俺もだよ」

 

「お互い同じ思いだったんですね……て、提案があります」

 

「な、何?」

 

「お互いの気持ちも分かったことですし……えと、そのこれからは恋人という関係になりませんか?」

 

 魅力的な提案だった。すぐさまこの提案にのり俺は絹江さんと甘い生活を送りたい。だが……

 

「それはまだ無理かな……」

 

「えっ……そんな、どうして」

 

 絹江さんの目にしずくが溜まっていく。

 

「いや、違うから!俺も絹江さんと恋人になりたいの!ただその前に俺は絹江さんに自分のことを全て知ってもらいたいから……」

 

「すべて?」

 

「……一緒に来て。俺の真実を見せるよ」

 

 

 

「あの、マサユキさん?ここは?」

 

「ちょっと待ってね……教授、俺です。開けてください」

 

「ぬ、マサユキか。今開ける」

 

「教授……?」

 

「疑問にはあとで答えるよ。まだまだ増えると思うしね」

 

 そうして俺たちは輸送艦の中に入っていった。

 

「ん、久しぶりじゃなマサユキ。なにやら連れがいるようじゃが?」

 

「お久しぶりです、教授。こちらは俺の仕事仲間です。絹江さん、この方は……って絹江さん?」

 

「嘘……エイフマン教授じゃない。確か謎のMSに拉致されたって」

 

「こんな美しいお嬢さんにまで名前が知られているなんてな。有名人の役得じゃな。初めまして。儂はレイフ・エイフマン。訳あってここに協力しておる」

 

「こ、こちらこそ。あえて光栄です。私は絹江・クロスロードです。マサユキさんの後輩で記者をしています。」

 

「そう気負わんでいい。これからここにいるのならたびたび顔を合わせることになるじゃろ。これからよろしく」

 

「こちらこそよろしくお願いします!」

 

「では。ああ、マサユキ。あとでお前に話がある。結構重要なことじゃ」

 

「わかりました。あとで伺います」

 

 そうして教授は格納庫のほうに向かっていった。話とはなんだろう。……そういえばハレヴィ家からの支援が決まってから教授は何かいろいろしていたような……そのことかな?そう考えていると背後から肩をつかまれた。

 

「マサユキさん、全部話していただけるんですよね?」

 

「あ、うん。全部話すよ」

 

 そうして俺は教授に伝えたように自分のすべてを伝えた。話始めると絹江さんは真面目に話を聞いてくれた。俺は内心信じてもらえるかどうかひやひやしていた。

 

「まさかマサユキさんがこんな秘密を持っているなんて思いもよりませんでした。それに人類統一にイノベイダー、宇宙生命体ELS……人類統一は想像はできたけどそれ以外は途方もなさ過ぎて想像できません……」

 

「信じてくれるの?自分で言っておきながらなかなか信じられることじゃないと思うけど」

 

「赤の他人ならともかく自分が好きになった人がいうことですよ。信じます」

 

「そ、そうか。良かったよ」

 

 面と向かって好きと言われると照れるな……違う違う、それよりも聞きたいことがあるんだ。

 

「どう?こんな秘密を持っている人でもまだ好きでいてくれる?」

 

「別に秘密なんて誰でも持ってることですよ。まあ、マサユキさんの秘密はとてつもなく大きかったですが……そんなことでは嫌いになることはないです」

 

「じゃあ……今度は俺からお願いするよ。俺の恋人になってくれないかな?」

 

「……!はい!」

 

 こうして俺たちは結ばれた。まあこれからが大変なんだけどさ。とりあえず数日の間はイチャイチャしてもいいよね?




 決めました……今度新しい小説書くときは恋愛描写は入れないようにしようと。なんでみんな出会い→発展→告白→二人は幸せに、の流れをあんなにうまく描写できるんだ……こちとら無理やりですよ!話の展開壊れちゃう!

 次回からは恋愛してる暇は無くなります。この後の一期の展開がかなりの駆け足だから仕方ないね。あと二期では宇宙世紀のMSを何とかOOの世界で再現したものを一機だけ捏造しようかと思います。その機体はまあ後々救済する人物に乗ってもらうんですが多分非難くるだろうなあ……キャラクターの乗っているMSのイメージが違うとか。

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