9月8日
「『禁書目録誘拐事件解決の為、学園都市外部へ赴く上条当麻の護衛、及び事件解決への全面協力』……ねぇ?」
とある実験のデータを届ける仕事の為、来たくない尼視の所へわざわざやってきたのに報酬と共に手渡されたのは新しい指令書と、外出許可書その他もろもろ関係書類。
「なんだい。その心底嫌そうな胡散臭い顔は」
「存在そのものが胡散臭いお前に言われたくない。こんな茶番になんで付き合わなきゃならないんだ?」
「ん~? これのどこが茶番だ? イギリス側との密約は知っているだろう? 一時的に滞在している禁書目録にここで何かあれば国際問題どころか、戦争レベルの大問題だ。それを解決するのは保護者である上条当麻の仕事。で、その護衛に適任なのは、何度も彼と共に魔術絡みの事件を解決してるお前以外にいない。どうだ?」
尼視は何言ってるんだと言う顔で、長々と今回の指令について説明したけど、実に胡散臭い。
「まず第一、狂言誘拐なんか仕込んで俺と当麻に何をさせたいんだ? しかも、学園都市の外でだなんて」
学園都市の外、そんなの行った事、1、2回程度だな。
「なぜ狂言だなんて分かる?」
まるで生徒の答え合わせをしている教師の顔で、ってこんな事言ったら小萌先生や黄泉先生に失礼だ。
ニヤニヤ顔の尼視は無視して書類だけひったくり、その場を後にした。
なぜ、狂言誘拐と分かったか。それは簡単、インデックスが本当に誘拐されていたら、こんな悠長な事していられない。
緊急オーダーとして俺か誰かの所に来るはず。
それがなく、しかもわざわざ外出許可書まで用意して俺にのんびり手渡す余裕なんて……コイツならしかねないか。
恐らく魔術絡みの事件があり、その解決にインデックスが必要で、保護者であり幻想殺しを持つ当麻も必要。
で、それらの護衛と監視の為に俺が選ばれた。貧乏くじとは言わないけど、損な役回りだ。
「ま、何にせよ。当麻に合流すればいいか。って、えっ? 今回の任務では殺害は御法度。武器・爆弾・バイクは一切使用禁止。小道具は必要最低限のみ、後は現地調達!?」
指令書を改めて見直した俺は思わず声をあげた。
殺すなと言うのは分かる。錬金術師もストーカーもシェリーも殺すなと言われた。
学園都市外部の人間でも殺した事は何度もある。
だが、相手が魔術師となれば話は別。
科学側の俺が殺すレベルにまで介入するのは、拭いがたい問題になる……のは今までがそうだったし、納得出来る
が、学園都市製の銃器や爆弾などの武器は勿論、バイクも持ち込めないのは不便だ。
移動手段は徒歩か現地での乗り物を使用して、武器も素手か現地で調達する事と書かれている。
でも、これも分からなくもない。学園都市の技術が漏えいする事を防ぐなどと言う名目だろう。
前に学園都市の外出た時は、尼視の付き添いで武装も何も持たず、実に平和な仕事だったし。
色々と気にくわない点はあるけど、火織みたいなトンでもない奴相手じゃなきゃ、別に素手でも問題ない。
一番面倒なのは……
「素手でやるのは相手次第じゃ時間かかるな」
と言う事だけだ。
「ま、なるようになるか。当麻やインデックスもいるんだし、殺しとか銃器は刺激がありすぎるしな」
当麻はまだ学園都市を出ていないのは確認済み。
向こうに俺が同行するかどうか知らせてあるか不明だ。
ひとまず、当麻の寮まで行ってみるか。
「動機は歪んだラブなのかー!?」
「あれ、この声は舞夏か」
当麻の寮に付くと部屋の前で当麻と舞夏がいた。
掃除ロボに乗った舞夏は驚きつつも少し興味津々と言った顔をしていて、当麻はぐったりとお疲れモードだ。
「当麻、舞夏。一体どうしたんだ?」
「ユウキ? お前こそ一体どうしたんだよ」
「おーユウキ! 実はな、上条当麻とシスターと神父の三角関係発覚だぞー!」
「……はい?」
訳分からん。当麻の方を見ると、ふかーく溜息を吐きなら紙を渡してきた。
その紙には、彼女の命が惜しければ、今夜7時に学園都市外の廃劇場『薄明座』まで来い。と書かれていた。
この彼女と言うのはインデックスの事だろう。つまりこれは狂言誘拐の小道具と言う事か。
「定規で筆跡隠しなんて、三流ドラマの見過ぎだろ。で、差出人は? 舞夏が神父って言ってたけど、まさか……」
「あぁ、アイツの事だよ。ご丁寧に外出許可書付きでな」
「何だー? ユウキも神父の事知ってるのか? それはつまり、四角関係!?」
「「んなわけあるか!」」
目をキラキラさせた舞夏に、当麻と一緒にツッコミを入れた。
まぁ、舞夏はこういう事に興味津々なお年頃なのだろうな……
「と言うわけで、俺はこれから出かけなきゃならないんだ。悪いけど、用事なら帰ってからでいいか?」
「いんや、俺の用事はソレだ。俺もインデックスの誘拐事件解決に協力する。建前としてな」
「はぁ?」
ポカーンとする当麻に事情を話し、2人で学園都市の外に向かう事になった。
ゲート近くの駐車場にバイクを預け、徒歩で学園都市を出る。
「あー何年ぶりだろうな。学園都市を出るのって」
周りの景色を眺め思わず呟いた言葉に当麻が怪訝な表情を浮かべた。
「あれ? ユウキは学園都市生まれなのか?」
「ん、あぁ、まぁな。生まれも育ちも学園都市で外へは2、3回出たくらいだ」
忘れかけてたが、当麻は7月以前の記憶がないんだったな。
同じような会話を前にもしたっけ。
あの時も言ってないが、育ちはともかく生まれは不明だけどな。
この話題は膨らませたくないので、違う話を振った。
「で、薄明座ってのはどこなんだ? 地図とか入ってないのか?」
「地図は入ってないな。GPSで調べたけど、潰れた劇場の場所なんて載ってないぞ」
潰れた廃墟の場所なんて最新地図には乗せないか、仕方なく近くのコンビニで話を聞いて見る事にした。
古い地図でもないかと探したが、生憎カバーが掛かっていた。
わざわざ買うまでもなかったのだけど、そこで当麻が財布を忘れてきた事に気付くと言ういつもの小トラブルがあった。
「いやぁー良かった良かった。あそこのバイトのおっちゃんが場所知っててくれて」
財布を忘れてブルーだった当麻が、それを忘れようとわざとらしく陽気に振る舞う。
「現実逃避って言葉、知ってるか?」
「うぐっ!」
なのでわざとらしく言うと、グサっと何かが突き刺さったような顔になって面白い。
薄明座は学園都市から1キロくらいの場所にあるようで、この分なら待ち合わせ時間よりも早く付けそうだ。
バスを使うまでもないなと近くの停留所へ目を向けると、場違いな格好をした女性がいるのに気付いた。
「おい、当麻。あそこにシスターっぽい人いるな」
「本当だ。シスターっぽいと言うかシスターじゃないか?」
どうしようかと当麻と顔を見合わせる。
9月には言ったとはいえ、まだまだ暑い。
それなのにシスターは長袖長スカートの真黒な修道服で身を固めている。
顔はよく見えないが、バス亭の時刻表と睨めっこしているようで挙動不審と言えなくもない。
このままスル―してもいいんだが、何か怪しい。
待ち合わせの時間まで余裕もあるし仕方ないので、話しかける事にした。
正直、嫌な予感しかしないけどな。
「あのーそこのシスターさん。どうかしましたか?」
「はい? 私の事でしょうか?」
振り向いたシスターを見た当麻が少し驚きの表情を浮かべた。
それも無理はないか。
シスターは見るからに外国の人で、俺達より少し年上に見えて、流暢な日本語を話す口調はおっとりとしていて、何より修道服を着ていても分かるくらい胸がでかい。
要するに当麻が常日頃タイプと言っている、管理人のお姉さんタイプなのだ。
「あぁ、さっきから時刻表見てるけど、どこか行きたい所でもあるのか?」
「まぁ、それは御親切にありがとうございます。実は学園都市に向かうバスを探していたのですが、それらしいのがどこにも見当たらないのでございます」
どうやらこのシスターは学園都市に行きたいそうだが、いささか不可解だな。
学園都市に用事があるなら、行き方とか知っていると思うんだけど。
「学園都市へはバスは走ってないぞ」
当麻の言う通り学園都市へはバスも電車も走っていない。
セキュリティーやら密輸対策やらで学園都市へは契約タクシーこそあれど、交通機関は一切ない。
徒歩で入るか、自家用車で乗り入れて検査を受けるしかない。
「学園都市に用事があるなら、徒歩で入るしかないな。ほれ、あそこらへんにゲートがある。割と近いだろ?」
「まぁ、それではあなた様方は徒歩で学園都市から来られたのですね?」
「そう。許可証あるなら今なら割と簡単に入れると思うぞ」
「それはそれはお忙しい中、ご助言ありがとうございました」
のほほんと話すシスターだな。
そう言っていると、バスがやってきた。
どこへ向かうかは知らないけど、俺達もこのシスターも乗る用事がない。
少しバス亭から離れた俺達だったが、シスターは俺達に頭を下げ……そのままバスに乗り込んだ。
「「ちょっとまて!」」
慌てて俺と当麻でタラップに足を乗せたシスターを止めようと駆け出した。
「あら? あなた様方もバスに乗られるのですか?」
「ちげーよ! さっき俺とユウキの説明聞いてたのか!? 学園都市へはバスじゃ入れないの! このバスに乗っても変な所へ行くだけだ!」
あ、変な所へ行くと言われ、バスの運転手の顔が若干ひきつったな。
「まぁ、そうでございましたか。重ねてご助言、まことにありがとうございます」
シスターは笑顔で礼を言うと……バスの中へと入って行こうとした。
「「人の話を聞け―!」」
結局俺と当麻でシスターの手を引き、バスから降りた。
その時の運転手がそれはもう迷惑そうな顔をしていた。
救いなのは、乗客が1人もいなかった事だな。
「はぁ、なんでこんなに疲れるんだよ、全く」
さっきから叫びっぱなしで当麻はぐったりとしている。
俺も精神的疲労が蓄積中。こんなに疲れさす相手はなかなかいないぞ。
で、元凶たるシスターはどこからハンカチを取り出し、当麻の頬の汗を拭っていた。
突然の事で、当麻は顔を赤くして後ずさった。ウブな奴。
「失礼ですが、あなた様はかなり汗をかいているのでございますよ」
「「それはお前のせいだ……」」
本日何度目かの俺と当麻のハモリであった。
ってこのままじゃ話が進まないな。
「で、学園都市に何の用だ。許可証はあるのか?」
「許可証でございますか? あいにくと手持ちが少ないのですが……」
「お金の話じゃねーよ! 学園都市へ入る書類! それがないと一般人は立ち入り禁止! 無理やり突破しようとしたらあっという間に捕まるの!」
最近ではありとあらゆる手で入ってくる魔術師の方が多いけどなー……主に力技。
「そうでございますか。許可証なるものは持っていません」
「はぁーやっぱりか……」
許可証を持っているなら、学園都市に入る方法くらい知ってるはずだもんな。
送迎される場合もあるし、色々説明受けるし。
「それでは、あちらのバス亭で待っていればバスが来るのでございましょうか?」
「「いつの話してるんだよ!?」」
どこで話がねじ曲がったのか、少し離れた場所にあるバス亭を指さすシスター。
俺も当麻もこの時思った。このシスターを1人にしてはいけないと。
怪しいおにーさんやら不良なガキんちょに簡単に騙されてしまう、そういうタイプだこのシスター。
かと言っていくら俺でも簡単に許可証なんて出せるわけがない。
尼視に借りを作るのは死んでもイヤだし。
まぁ、どう言った事情で学園都市に入りたいかにもよるか。
「もう一度聞くけど、学園都市に何の用だ!?」
「ユウキ、落ちつけ。顔が怖い顔が怖い!」
さっきよりも凄んでしまったが、それはこのシスターが悪いと思っておこう。
それを察した……わけじゃないだろうが、シスターは少し真顔になりこう答えた。
「実は私、追われているのでございます」
あ、嫌な予感的中。
「それで、これからどちらに向かうのでしょうか?」
「俺と当麻が最初に向かおうとしていた所。そこならそっちの事情に詳しい奴いるからさ。とりあえず、そこへ行った方が話が早い」
シスターが言うには、ちょっとしたいざこざで逃げだしてきて、教会勢力の力が及ばない学園都市に助けを求める途中だったそうだ。
その際、俺も当麻も魔術師の事を知っているのにシスターは驚いていた。
でも、学園都市に逃げ込んでも魔術師の手から逃れられるとは限らない。
既に何人もの魔術師が潜入してるし、つい先日もシェリーに強引に突破されたばかりだ。
なので、インデックスとステイルが待っている場所に向かう事にした。
どんな問題抱えているかシスターは言わなかったが、少なくとも学園都市に逃げるよりは、ステイルに話を振った方がどうにかなりそうだ。
アイツがグダグタ言ってきたらインデックスを利用して丸めこませよう。
「ユウキ、さっきから悪い顔になってるぞ」
「ん? だって悪い事考えてるし。安心しろ、割を食うのはステイルだから」
「あーそれならいいか」
「案外当麻も薄情だな」
シスターと3人で雑談しつつ、目的地である薄明座に辿りついた。
なんだかんだありながらも、待ち合わせ時間前に着いた。
廃劇場とは言え、まだ本格的な取り壊し工事は行われていないようだ。
解体に使う重機も資材も見当たらない所を見ると、既に買い手がいて建物をそのまま再利用するのかもしれない。
「インデックス達は、中か」
「そうだな。数人の気配がする。それも魔術師の気配」
「えっ、ユウキ。そんな事もわかるのかよ?」
「まぁな。なんとなーく分かるようになった」
幻想支配の影響か、能力者が近くにいれば分かるのは前からだ。
能力者以外でも、ただの人の気配も分かる。
最近では魔術師も近くにいれば分かるようになった。
気配の読み方は誰かに教わったわけじゃないく、気が付けば身についていた。
劇場の正面に回ると中に3人の男女が出てきた。
そのうち2人は俺達の目的の人物で、ステイルとインデックスだ。
「とうま! その女の人は誰!」
「いきなりそれかよ。ま、気持ちは分かるけどさ」
「あれ? ゆうきも一緒だったんだ」
インデックスはステイルから事情は聞いているようだ。
それにしても、まず最初に巨乳シスターに目が行くとはな。
「それよりも、その隣にいる不良神父に色々聞きたい事と言いたい事があるんだけどな! 主に狂言誘拐までして何がしたいのかとか!」
「あー狂言誘拐は気付いているのか。君よりその隣にいる彼に聞いたのだろうけどね。ま、君達には人探しを手伝ってもらおうと思ってね。こちらにいるローマ正教のアニェーゼ=サンクティスが現場責任者だ」
ステイルに紹介された幼女、アニェーゼはおどおどしならがも俺達に頭をを下げた。
インデックスよりも更に小さく幼いアニェーゼは、よく見ると連れてきた巨乳シスターと同じ修道服を着ている。
上は長袖だが下はミニスカと言うアンバランスさで、30センチもの厚底靴を履いている。
きっと身長にコンプレックスあって、例えバレバレでも高く見せたいんだろうなーと心の中で同情の涙がホロリ。
「何やら不快な思考を感じるのですが……」
「あー、うん。がんばれアニェーゼ」
「なんで初対面の人にいきなり励まされるんですか!?」
コイツ面白いな。持って帰って玩具にしたい。
「はいはい。漫才はそこまでそこまで。とっとと仕事を片付けようか」
「んで、人探しって一体誰を探すんだ? いっとくけど、俺は普通の高校生だぞ。ユウキみたいな事はできねぇぞ」
「俺を判断基準にするのは間違ってるからな、当麻?」
ともかく、誰を探しているのかそれが肝心だ。
ステイルはつまらなそうに煙草の煙を吐きながら、当麻の後ろにいるシスターを指さした。
「それには及ばない。そこにいるシスターが探し人ってわけさ。と言うわけで君達の出番は終わりだ。御苦労さま、もう帰っていいよ」
「おい、そりゃどういう事だよ!」
「どうもこうも今言った通り、そこにいるオルソラ=アクィナスが行方不明の探し人なんだよ」
名前を呼ばれてシスター、オルソラはビクッとなった。
「オルソラ、だって?」
「どうした? 君も何か言いたい事があるのかい?」
「お前、オルソラって名前だったのか」
――ズルッ!
そう言えば、シスターシスターと呼んでて肝心の名前聞くのすっかり忘れたぜ。
ん? どうしてみんなずっこけているんだ??
「き、君って男は……ま、まぁいい。とにかく、彼女をアニェーゼに引き渡す」
「あれ? そう言えば、お前誰かに追われてるって言ってたよな? それ今回の件に関係あるのか?」
当麻の問いにオルソラは無言で俯いた。
その表情は分からないが、少し震えているようだ。
「心配ない。僕らイギリス清教もすぐに引き上げる。それくらいの警戒心は彼らに見習ってもらいたい所ではあるがね」
彼らって誰だ彼らって、警戒心ないのは当麻だけだぞ。
『いやいや、そう簡単に引き渡されて貰っちゃ困るのよなぁ?』
突然、頭上から野太い男の声が響いた。
頭上には紙風船が不自然に浮かんでいて、声はそこから聞こえる。
当麻達が頭上に目を向ける中、瞬時に意識を切り替えて周囲を警戒する。
こう言う場合意識を一点に集中させ、他の場所から奇襲をかけてくるパターンが多い。俺もこの手をよく使う。
建物の影や屋上、それ以外の物影全てに意識を向けるが、気配はない。
『オルソラ=アクィナス。お前は分かっているのよな。ローマ正教に戻るより、我ら天草式と共にあった方が有意義な暮らしを送る事が出来るとよ』
――ゾクッ
それと同時に、オルソラの周りの地面から刀身が3本飛び出た。
「しまった!」
刀身はそのまま地面を走るように三角に切り取り、オルソラは地面ごと地中へと姿を消した。
「オルソラ!」
「待て当麻!」
「ダメだよとうま!」
当麻が急いで地面の穴へ駆け寄ったが、俺とインデックスが止めた。
地面に空いた穴の底には、いくつもの刃が侵入者を迎撃しようと待ちかまえていた。
この状態の所に丸腰では俺も飛びこめない。
と、ステイルが口に加えた煙草を放り投げながら、呪文を唱え始めた。
「我が手には炎、その形は剣……」
煙草の火が激しく燃え盛り、ステイルの手に剣となって宿り始めた……が遅かった。
「ちぃっ、逃げられたか」
既に穴の中は何も見えず、襲撃者達はこの場を立ち去って行った。
「くそっ、すぐ側にいながらやられたぜ」
地面を叩くが、どうにもならない。
俺達の意識を上に向けて、不意打ちを仕掛けるのはまでは読めたが、まさか地面の下から仕掛けてくるとは思わなかった。
ここら辺の地下には、下水道が通っていてまさに奇襲にはうってつけの場所だった。
「おい、一から説明する気あんだろうな?」
「説明なら、僕の方が聞きたいくらいだよ」
当麻が吐き捨てるように言うと、ステイルは忌々しげに答えた。
続く
ちょっと原作とは細かい流れ変えます。
ユウキ視点だけなので説明不足になるかもしれませんけど、ご了承を……ってこれは今更ですね(苦笑)