幻想支配の幻想入り   作:カガヤ

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東方キャラで1、2位を争うお気に入りキャラが今回のメインです(笑)


第10話 「紅魔の門番」

「はぁ……負けちゃいましたか」

 

私、紅美鈴は紅霧を止めに来た紅白の巫女と、白黒の魔法使いの侵入を阻止するため、弾幕ごっこを行い負けた。

レミリアお嬢様からはそこまで真剣に侵入を阻止しなくてもいいと言われていたけど、それでも門番として全力を出しての敗北。

あとで咲夜さんに怒られるでしょうねぇ。今頃あの2人は、パチュリー様と咲夜さんが仕掛けた迷路で迷っているかも。

 

「考えていても仕方がない。まずは……着替えかな」

 

あの巫女が来た以上、これ以上侵入者は現れないかな。と甘い考えをしていると、湖の向こうから飛んでくる2つの影が見えました。

1つはどうやら新聞記者の文で、もう1人はチルノちゃん? でもチルノちゃんにしては大きいような? でもこの感じはチルノちゃんみたいですが。

 

「こんばんは、美鈴。派手にやられたみたいだな」

「どうもー! 清くただ……」

「あー新聞は間にあっているんで、というかいつも問答無用で配ってるじゃないですか。今日はどうしたんですか、ユウキさんまで、まさかあなたもこの霧を止めに?」

 

異変を解決するのは巫女や人間だとは聞いていますが、まさか外来人であるユウキさんも解決しに来たのでしょうか?

 

「それは霊夢がもう動いているんだろ? なら俺までする事はない。俺は、フランドール・スカーレットに遊びの招待受けたから来たんだ。んで文はここまでの護衛兼案内と言う名の野次馬だ」

「野次馬って、ひどいですねユウキさん」

「なるほど……ってフラン様から!? 本当ですかそれ!?」

 

有り得ない。あのフラン様が誰かを、それも人間を招待するなんて。それにフラン様は一歩も館から出ていないのに。

 

「フランドールって、金髪で七色の宝石が付いた羽をした小さい女の子だろ? なんか遊び相手探しているらしくて、俺がたまたまその声聞いたからだとさ」

 

確かにそれはフラン様だけど、そう言えば巫女達の相手をしてて気付かなかったけど、フラン様の気が少し昂ぶっている?

まさか、本当にユウキさんを呼んだ?

 

「それでもなんであなたがここに? フラン様は吸血鬼でとても強いんですよ? それにフラン様相手ではいくらあなたでも殺されてしまいますよ?」

「確かにフランドールの力はコピーも何も出来そうにないから、結構危ないかもしれないけど。それでも呼ばれたし行くと約束したからな」

 

さも当たり前のように言っていますが、ユウキさんはフラン様の事何も分かっていないようですね。でも、あのフラン様が興味を持って呼んだ相手ならば、ひょっとしてフラン様の本当の遊び相手になれるかもしれません。

ん? コピー? そう言えば、さっきまでチルノちゃんの力を感じましたし、ユウキさんは何か特別な力でもあるのでしょうか?

 

「ユウキさん、さっきチルノちゃんの力で飛んでいませんでしたか?」

「あ、美鈴には俺の能力の事言ってなかったな。てっきり新聞読んでみんな知っていると思ったけど、あれには書いてなかったな」

 

と、視線は隣にいる鴉天狗に向きましたが、当の本人は口笛吹いてシラを切っていますね。

 

「ま、簡単に言うと俺の能力は幻想支配と言って相手の力を使えるって事。と言っても今の所使える力は人間と妖精だけみたいだけどな。だから、妖怪である文や美鈴の力は使えないんだ」

 

なるほど、チルノちゃんの力を使って飛んできたという事ですか。そして、私の力は使えない。と言う事はお嬢様やフラン様の力も使えないと言う事ですね。

だからと言って、チルノちゃん程度の力を使えてもフラン様と会って無事で済む保証にはならないですよね。

 

「色々と説明してもいいけど、今は先約があるからまた今度な」

「氷精には随分とお節介焼いたのにですか……イタッ!?」

「余計な事を言うな。とにかく通してくれないか?」

 

どうしましょうか。今、紅魔館は巫女に備えても臨戦態勢を継続中です。とてもじゃないですが、人間を入れれるわけないです。

ましてやフラン様が呼んだとなれば、レミリアお嬢様も黙っていないでしょう。

ですが、ユウキさんなら通してもいいと心の中で思い始めているのも事実です。

彼ならフラン様の友達になれる気がします。なので、試す事にしましょうか。これは……主の命より優先すべき事ですから。

 

「分かりました。あなたの力を試させていただきます」

「……なんでそうなる? 普通そこは通さないとか、私を倒していきなさいとか言うんじゃないか?」

「簡単な事です。フラン様の招待されたお客様を無下には出来ません。ですが、あなたを通してむざむざのフラン様の玩具にされて、殺されてしまうのはすごく嫌なので」

 

巫女と魔法使いを通すのとはわけが違う。レミリアお嬢様ならまだしもフランお嬢様では、普通の人間では殺して下さいと行くようなもの。

 

「殺されに行くつもりはないぞ?」

「はい、ですからあなたがフラン様に会っても大丈夫と思える強さ、私に見せてください」

 

自分でも不思議な事を言っていると思う。だけど、私はユウキさんをフラン様に会わせても大丈夫と思える確信を持ちたい、それには戦ってみるのが一番いい。

 

「どうやら美鈴さんは、あなたの事を心配して言ってくれているようですね。氷精や大妖精といい、本当にいつの間にそういう仲になったんですか?」

「人聞きの悪い事言うなっての。大体どういう仲の事言ってるんだよ……」

「どういう仲って、そういう仲です!」

 

なんだか、文が少し不機嫌に見えるのは気のせい……と言う事にしておきましょうか。

 

「ま、文の事はほっといて、いいぜ。美鈴に俺の力存分に試してもらうか」

 

そう言って構えるユウキさんですが、あれ? そのままでやるつもり?

それ以前に普通に力試しに乗ってくるのも……吹っ掛けた私が言うのもあれですが、意外に好戦的ですね。

 

「その幻想支配、チルノちゃんの力は使わないんですか?」

「幻想支配と言ったって、所詮は他人の力であって俺の力じゃない。美鈴がみたい俺の力ってのはそういうものじゃない気がしてな」

「なるほど、それにしても案外すぐに乗りましたね。てっきり……」

「拒むと? そりゃ無意味な喧嘩は好きじゃないけど、けど力試し目的だったり、ただの殺し合いだったり、実験の為とか色々と吹っ掛けられるのには慣れてるからな。やるからには徹底的にやるのが一番と分かってるんだよ」

 

うーん、分かるようで分からない人ですね。

ともかく、あまり引き留めてもフラン様が待ちかねて暴れてしまいそうですから、早く始めましょうか。

 

「それじゃ、手加減なしで本気できてください」

「お言葉に甘えて……行くぞ!」

 

言葉と共にユウキさんの右回し蹴りが、私のすぐ横にせまっていました。

私はしゃがんでそれを避けましたが、避けられる事を見越していたユウキさんは、すぐに地についた右足を軸にして回転をそのまま利用した左後ろ回し蹴りを放ってきました。

初撃の速さを甘く見ていた私は、その蹴りをかわせずに咄嗟に左手でガードしましたが、体勢が悪かったのでそのまま蹴り飛ばされてしまいました。

 

「おぉ~……人間にしては速いですね」

 

少し離れた木の上で観戦していた文が驚くのも無理はない。間合いはそこまで離れていなかったとは言え、即座に私の側まで一気に詰め、尚且つ私がうまく反応できない速さで2段攻撃を仕掛けてきた。

私もこれでも幾百年も生きて、色々な相手と戦ってきた妖怪。お嬢様みたいな力ある妖怪相手ならともかく、人間相手には負けない自信があった。中には拳法や剣術などの達人やあの巫女達みたいに身体能力を強化した人間相手に苦戦する事はあったけど。

ユウキさんはそういう達人レベルです。

 

「ふっ……はぁっ!」

 

追撃とばかりに突き出された右拳を左手で払いのけ、左フックを受け止めそのまま勢いを殺さずに投げ飛ばす。

ユウキさんは、器用に受け身を取り逆に私に関節技をしかけてきましたが、何とか外し再度彼を投げ飛ばしました。

 

「どうしました? もう終わりですか?」

「まだまだ」

 

と、少し余裕を見せてみましたが、実はそこまで余裕があるわけじゃないんですけどね。ユウキさんは間合いを詰めつつ拳の連打を浴びせてきます。やはり普通の人間にしては相当な速さですけど、見切れない速さじゃないですね。

ユウキさんの両手を広げるようにはじき、無防備になった腹部に掌底を叩き込みます。

が、ユウキさんは寸前に後ろに飛んで衝撃を和らげていたようで背後にあった岩を蹴り、その反動で前へ飛び蹴りを放ってきました。

 

「なかなかやりますね」

「不意打ちの回し蹴り以外、まともに一発も決められてないのにか?」

「あれは不意打ちとは言いませんよ、完全にガードしきれませんでしたし。それに普通の人間で何の力の補助もなしに、ここまでやれる人は数百年ぶりくらいですね」

 

自然と私とユウキさんは笑い合い、再度構えを取りました。私も様々な中国拳法を習得していますし、西洋の武術も知っていますがユウキさんの構えは独特ですね、でも隙のない良い構えです。

 

「お二人とも~いい絵をもっと見せてくださいね~」

 

少し離れた場所にいる文が何か言っているけど、私達には聞こえない。ただ目の前にいる強敵しか見えない。

さっきから私に当てられない、とユウキさんは言うけれど、実際は結構ギリギリな時が多い。

甘く見ていたつもりはない。あの新聞や、初めて会った時に体付きや動きでただの人間じゃない事は見抜いていたし、狼妖怪達を倒した時の格闘技術と身体能力の高さは分かっていた。

それでも、それでも自分自身が対峙して拳を合わせて、改めて認識の甘さを思い知った。

 

「俺は幻想支配しか取り柄なかったんだ。他人の能力頼み。だから自分の体を鍛えまくったんだよ、いや、鍛えされられた……と言った方がいいかな? それでも身体能力からして化け物だらけと戦ってきて負けもしたけど」

「なるほど、自分の能力に慢心せずにですか。いい心がけですね。格闘以外にも何かしていましたか?」

「あぁ、ナイフや刀、槍にピストルや重火器なんかもな。能力のない人間相手には俺は自分の体以外武器ないからな。だから、美鈴みたいなタイプが一番戦いたくない。身体能力が高い上に格闘戦も大得意、更に弱点らしい弱点がなく、人間相手には間違いなく上位に立てる。おまけに気を使う能力で肉体強化、一番相性が最悪なタイプだな。幻想支配がコピー出来るのは能力のみ、戦闘技術や身体能力はコピー出来ないからな」

「そんな卑下する事ないですよ。攻撃も防御もしっかりしてますよ?」

 

先程から私とユウキさんは呑気に会話をしながら、格闘戦を続けている。

最初こそ手加減はしているが、ユウキさんは私の捌きや手足の動きを読み、的確に攻撃をしかけてきていて段々と手加減が出来なくなってきている。

 

「いい攻撃でも、当たらなければどうという事はない」

「名言ですね。ですが、それ本来私が言うべき事な気がします」

「そうかもな!」

 

ユウキさんは、また拳の連打を浴びせ、更にしゃがみこみ地面についた片手を軸にした、連続下段回し蹴り。

私は、一歩ずつ下がる事でかわしましたが、ふと背後が何かに当たる感触がありました。

それは紅魔館の壁、私とした事が壁際まで誘導させられていた事に気付かなかったとは!

 

「しまっ!?」

「今だ!」

 

ユウキさんは好機とばかりに、両手で地面を思いっきり撥ね飛び捻りを加えたドロップキックを放ってきました。

連撃を浴びせ、体勢を崩した所での絞めの一撃。それがユウキさんの戦法と気付いていたのに、今の私の体勢ではかわせない。

両手を交差し、キックをガードしましたが、それでユウキさんの攻撃は終わりではありませんでした。

キックの反動で後ろに飛び、更にその反動をも利用した両手での掌底が私の腹部に深く突き刺さりました。

 

「ぐはっ……お、お見事です」

「はぁ、はぁ……や、やっと一撃加えられたぁ」

 

私はその場で片膝を付き、ユウキさんは地面に腰を降ろし息もかなりあがっています。

ここまで消耗させるつもりはなかったのですが、少しやりすぎたでしょうか?

 

「いやぁ、本当にいい試合でしたよ。お二方」

「どこがだよ、文。俺はあれだけ動きまわってやっと一撃。美鈴はろくに攻撃もしてこない手加減しまくりで、息も切らしてないんだぞ?」

「あはは、私は体力と身体が頑丈なのが取り柄なんで、そうでもなきゃ紅魔館の門番は出来ませんよ。でも、あそこまで見事な一撃を食らうとは思いませんでした。私もまだまだ功夫が足りませんねぇ」

 

本気で来てとは言いましたが、いくら身体が頑丈な私でも、急所にあんな一撃食らえばそれなりに効きますね。

 

「それで、俺は合格か?」

「はい、これなら大丈夫。とは言いきれませんけど、ユウキさんの強さは分かりました。どうぞ、お通りください。ですが、気を付けてください。フラン様はとても強く力の加減がうまく出来ません。危ないと思ったらすぐに逃げてください」

「分かったよ、ありがとな」

 

本当はフラン様の能力や、そのせいで引きこもりがちで何百年も軟禁状態に近い事も教えてあげるべきですが、文が興味津々にこちらの会話を聞いているので話せません。

あまり、外部に知られたくはない事だとレミリアお嬢様はおっしゃっていましたしね。

 

「ユウキさんが来るほんの少し前に博麗の巫女と魔法使いが入ったので、ひょっとしたら追いつくかもしれませんよ」

「その時はその時だ。ここの主や咲夜に会ってもみたいしな。じゃあな」

 

ユウキさんならひょっとしたら、という私の勘が当たってくれる事とユウキさんが無事に戻ってくる事を祈りつつ、見送りました。

願わくば、また彼と弾幕抜きの格闘のみで戦ってみたいですね。でも、今度は軽くお茶でもして色々お話したいです。

では、私は本来の仕事に戻りますか。

 

「で……なぜに私は入れてくれないのでしょうか?」

「答えは簡単。ユウキさんはフラン様に招待されたお客様ですが、あなたは違いますよね? なら通せません。レミリアお嬢様や咲夜さんからもあなたは通すなと言われてますし」

「理由はなんですか?」

「秘密です」

 

まさか、弾幕ごっこで巫女に退治される場面を取材されたくない。とはレミリアお嬢様は言わないでしょうね。私や咲夜さんやパチュリー様にはバレバレでしたが。

 

「私は新聞記者としてユウキさんに同行取材の許可を得て、ここまで来たのですがー?」

「それはそちらの都合で、私達には関係ありません。それにあなたがユウキさんに同行する理由は本当に取材の為だけですか?」

「そ、それはどういう意味でしょうか?」

「いえ、ただそう思っただけですよ?」

 

他に人や妖怪がいれば、今の私と文との間に火花が飛び散ってるように見えるでしょうね。

 

「そういう美鈴さんも、お客様とは言え随分とユウキさんの事気にかけてますねぇ」

「な、何が言いたいんですか?」

「ここは一つ、ユウキさんに関する事をあなたから聞くのもいいですね」

「私から言う事は何もありませんよ?」

「そうですか……うふふふっ」

「あははははっ」

 

 

「「弾幕ごっこで話つけましょうか!」」

 

巫女達との弾幕ごっこからこれで4戦連続ですが、今回ばかりは負けられないですね、色々な意味で!

 

つづく

 




何気に弾幕ごっこらしい弾幕ごっこなしで3面まで攻略した主人公。
と言ってもステージクリアと言う意味以外もありますが(ニヤ)
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