幻想支配の幻想入り   作:カガヤ

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ちーとぱわーでステージ4と5はなくなりました(笑)


第11話 「紅魔の主であり……姉」

なあ、なんで紅魔館の地下になんかいるんだ?

 

――ワタシハね、ずっト、地下に1人でいるの。

 

1人? 紅魔館には沢山人、と妖怪や妖精いるんだろ?

 

――食事を届けに妖精とか誰かが来たりするけど、でもそれもいつもじゃないわ。

 

……何か理由があるのか?

 

――理由? みンナ私が怖イカラ、ミンナ壊レルから、ミンナ私ガ怖いカラ、ダカラ私ハズット1人ナノ!

 

お、おい。大丈夫か?

 

――ダカラネ、オ兄チャント一緒

 

っ!?

 

――オ兄チャンモ、1人ボッチナンデショウ? 私ニハワカルヨ? ダカラ一緒に、ミンナでアソボ?

 

それ、は……

 

 

 

「俺と同じ、か……」

 

フランドールはそう言ったけど、とてもそうは思えないんだよな。

主であるレミリアは知らないけど、あの美鈴や咲夜がフランドールの事気にかけないとは思えないんだよな。

 

「って美鈴にも、フランドールの事聞けば良かったじゃん!?」

 

咲夜やレミリアからフランドールの事聞こうとしてたけど、美鈴でも良かった……と言うか、美鈴は前フランドールの事言いかけてたんだから、普通に聞けただろ、俺。

新聞記者の文がいる前で、話せるような事じゃなさそうだったし、仕方ないか。

で、紅魔館に入ったはいいけど、なんだか不思議な感覚。まるで迷路に迷い込んだような感覚だ。

目に見える景色がニセモノのような気がする。これは幻術か何かがかかっているのかな。

さてとチルノの力を完全解除して、これをどうにかしてみるか? でも、それだと本当に丸腰になるんだよな、それは厳しすぎるか。

 

「あれー? また人間がいるよー? 侵入者―?」

「侵入者は巫女と魔法使いだよ、それにあの人間は男だから違うよ」

 

ん? 何か話し声が聞こえる。どこからか隠れて……はいないな。思いっきり柱から身を乗り出して、こっちを見ているメイド服を着た妖精が数人。

 

「あ、あの人! 門番さんやメイド長達と一緒に食事していた人だ!」

「そうだよ! あの人きっとお客様だよ!」

「お客様ならこの迷路に入れたらダメだよね? おこられるもん」

「うん、今メイド長とパチュリー様が侵入者の相手してるんだもん、これ以上迷路に誰か入れたら怒られるよ」

 

何か話が勝手に進んでるようだけど、俺が美鈴やチルノ達といたのを見ていたのがいるって事か。

それに霊夢と魔理沙はどうやら、この迷路の中で咲夜とパチュリーという魔女と戦ってるみたいだ。

で、どうやら俺をお客様と勘違いしてるようだから、利用させてもらおうか。

余計な力これ以上使うわけにもいかないしな。それにフランドールの事聞けそうだし。

でもこの妖精達大ちゃんよりもかなり力弱いから、色々無理っぽいかも。

 

「なぁ、俺はフランドール・スカーレットに呼ばれてここに来たんだけど、案内してくれるかな?」

「フランドール様から? やっぱりお客様だ!」

「それじゃあ私達が案内しないと、迷っちゃうね」

「お客様、私達に着いてきて下さい。御案内いたしますわ……って、いつもメイド長こんな風にお客様に言ってたよね?」

「お客様なんて来た事あったっけ?」

 

……やっぱりこいつらアホだ。

 

「ま、まぁ案内よろしくな」

「「「はーい!」」」

 

俺はメイド妖精に連れられて、迷路とは別の通路に案内された。

侵入者用ルートとは別の、安全な抜け道って言った所だな。

 

「なぁ、フランドールの事、何か知ってるか?」

「フランドール様? 私は会った事ないよ。あんたは」

「私もないよーでもフランドール様、ずっと昔から地下にいるんだって」

「お世話した事ある子もいたけど、いなくなったってだから今はメイド長が食事の支度とかしてるんだって」

 

いなくなった? 咲夜が1人でフランドールの世話をしてるのか。

 

「わ、私……フランドール様、の部屋覗いた事、あるよ……」

 

1人の妖精が青い顔をして、ぽつりと呟いた。その表情は恐怖で歪み、体が震えている。

 

「こ、ここ壊れた玩具や、人形がたくさんあって、それで……フランドール様と目、目があって……それで、ひいぃ~!?」

「おい、大丈夫か?」

 

崩れ落ちた妖精を抱きかかえる。あまりのショックに顔色も悪く今にも死にそうだ。

 

「この子。とても好奇心強いから、一度こっそりフランドール様の部屋に忍び込もうとした事があって、それ以来よくこうなるんです」

「パチュリー様や小悪魔さんにお薬や魔法で癒してもらってたんですけど、それでも……」

 

それほどまでの恐怖を与える子には見えなかったけど、フランドールには何かあるんだな。

やっぱり本人に会う前に、レミリアから話を聞いた方がいいな。それにこの子達をこれ以上巻き込むわけにもいかない。

 

「ありがとなお前ら。後は俺1人でいいから、その子に付いていてあげてくれ」

「ホント? 大丈夫なの?」

「あぁ、もう場所は分かったから」

 

目を向けた先、屋敷の奥からとても強い何かを感じるようになった。誘われているのかは分からないけど、きっとそこにレミリアがいる。

 

「それじゃあ、またねー」

「ばいばーい」

 

メイド妖精達はどこかへと飛んで行き、再び俺1人になった。

そして、力を感じた方へと進み、他よりも少し豪華な扉のある部屋の前まで来た。

 

――空いているから、入っていいわよ。

 

ノックしようとすると、扉の向こうから女の子の声が聞こえた。

静かに扉を開けると、明らかに内装が違う大部屋の奥、豪華な装飾が施された椅子に1人の少女が腰をかけていた。

吸血鬼らしい蝙蝠の翼に、白い帽子を被った紫色の髪をして、血のように紅い瞳をした少女。彼女がレミリアだろう。

 

「紅魔館へようこそ。私はここの主、レミリア・スカーレットよ。歓迎するわ、物好きな外来人」

 

レミリアは肘をついた手の上に顎をのせ、薄い笑みを浮かべこちらを見ている。

身なりは小さいが、その振る舞いは古くから存在している王者のようだ。

小萌先生など、見た目と実年齢のギャップが激しい女性は見慣れていけど、レミリアはそれ以上だ。

レイヴィニアのように幼い身形で尊大な振る舞いをしてるけど、感じるオーラは段違いだな。

 

「俺の名はユウキ。突然の訪問にも関わらず歓迎の言葉、感謝するよ。その様子だと、俺が来た目的は分かっているのかな?」

「えぇ、正直予想外もいい所よ。異変を起こせば巫女が来ると思っていたけど、うちの咲夜とパチェが頑張りすぎたせいで全く部外者のあなたが私の所に先にきてしまって、おまけにあなたはあなたで異変を解決しに来たんじゃなくて、まさかフランに誘われて来るだなんて」

 

不機嫌、と言うより目論見が狂ってどうしよーという感じだ。

ま、俺もまさか霊夢達より早く異変の元凶にたどり着くとは思ってなかった。

考えてみれば俺は霊夢達より遅く出たとはいえ、ルーミアやチルノとは弾幕ごっこしてないし、美鈴にもあまり時間はかからなかったし、咲夜とパチュリーという魔女にも会っていない。

何だろう……霊夢にズルいと言われそうな気がしてきた。

 

「あ、そうだ。あのメイド妖精達には罰を与えないで欲しい。向こうの勘違いと言え、ここまで案内を頼んだのは俺の方だ」

「勘違い? いいえ、確かにあなたは紅魔館の客よ。我が妹が招いたのは私が招いたのも同じ。あの子達の対応に間違いはないわ」

「そうか、それはありがたい。で、フランドールの所に行きたいんだけど、1つだけ聞きたい事があってな」

「何かしら?」

「フランドールがなぜ地下にいるのか、だ。本人はずっと地下にいるという事を言っていたけど、美鈴の反応から見ても軟禁しているわけでもなさそうだった。けど、メイド妖精達はフランドールの事は良く知らず、1人はフランドールの部屋を見ただけで発狂してた。彼女は一体?」

 

俺の問いにレミリアは深く溜息を吐きしばらく目を閉じ何かを考え始めた。そして、椅子から降り俺の方へと歩いてきてじっと目を見つめてきた。

 

「その質問に答える前に、私の質問に答えてもらえるかしら? あなたはなぜ、フランと会おうと思ったの? 普通の人間なら人型とはいえ、異形の存在である吸血鬼に誘われてノコノコここにやって来ないわ、自殺行為よ。でもあなたは別に死にたがりって顔はしてはいない。答えて、あなたはなぜフランに会いに来たの?」

 

レミリアは紅魔館の主としてではなく、姉の顔をしていた。

ひとまずは良かった。フランドールは、別に紅魔館の住民に、家族に嫌われたり恐れられたりしているわけではなさそうだ。

 

「……それは、誘われたから、としか答えようがないな」

「誘われたらホイホイと乗るのあなたは? ……はっ!? まさか、ロリコン!?」

「それは絶対にない!」

 

全く、どいつもこいつも……と今までの事を振りかえると、そう思われても仕方がないような気がしてきた。

 

「ふーん、もしそうなら私かフランのペットにしようと思ったのに」

「全力でお断りする!」

 

幼女に飼われる趣味はない。

 

「むっ、今あなたとても失礼な事思ったでしょ? まぁいいわ。それよりあなた……本当に人間?」

「人間以外の何者でもないけど?」

「あなた、自己が欠けているわ、いえ、全くないと言ってもいいわね。人に頼まれたら無条件で引き受けるタイプね」

 

内心でドキっとしたが、それを悟られないように俺は反論した。

 

「そんな事はないぞ? 確かに俺は幼い頃から色々と実験やら依頼やら受けて生きてきたけど、ちゃんと報酬はもらっていたしな」

「そう言う意味じゃないわ……あなた、そうしないと生きていけなかったからそうした、ただそれだけじゃないの?」

「っ!……会って数分の人、吸血鬼にそこまで言われるとは思わなかったな。あんた占い師とか人生相談とかに転職したらどうだ?」

「甘く見ないでもらいたいわね。私はお前よりも長い時を生き、多くの人間や妖怪共を見てきたのよ。お前の本性くらいは察しが付く。もっと言えば、お前は咲夜と似ているのよ。様々なものに裏切られて絶望して、自分の生き方すら否定され、そんな何もない生き方をしていた頃の咲夜にね」

「あの咲夜が?」

「おっと、これは私が言うべき事じゃなかったわね。忘れなさい」

 

あの瀟洒なメイドである咲夜にそんな過去が会った事に驚いたが、それ以上にレミリアの言葉がナイフのように突き刺さって行く。

でも、そんな事出会って間もない吸血鬼に言われるまでもない。そんなのとっくの昔に自覚していたさ。

 

「……ともかく、俺はフランドールに誘われたからここに来た。それに嘘はない」

「そのようね。じゃ、今度は私が話す番ね」

 

嫌にあっさりと話す気になったな。あの妖精の発狂ぶりからフランドールについては門外不出の禁句のように思え、どこの馬の骨か分からない外来人の俺には話してくれないだろうと思っていたのに。

 

「幻想郷に住む力のあるものは何かしらの能力を持っている。これは知っているわね? 私の妹、フランドール・スカーレットもそう。フランの能力は 【ありとあらゆるものを破壊する程度の能力】 よ。文字通り破壊に特化した能力。その能力のせいか、昔から情緒不安定で気が狂いやすい事が多かった。だから、地下に引き籠っているのよ」

「引き籠っている? 閉じ込められているとかじゃなくて、自分でか?」

「えぇ、フラン自身も自分の力の危険性は分かっているから……昔はね。でも、段々と当時の記憶があいまいになって、自分で閉じこもったとか、私に閉じ込められたとか、呪いで出られなくなったとか、そう思い込むようになったのよ。機嫌が良い時は会話も出来るんだけど、それ以外だと私に襲いかかる事もあったわ。昔は頑丈な美鈴が世話をしていたけれど、咲夜が来てからは彼女に任せるようになったの」

「どうにか出来ないのか?」

「私が何もしないと思ってるの? 勿論、色々試したわよ。香水から魔法までありとあらゆるものをね。けれども、効果はすぐに切れてかえって凶暴になってしまう。だから……自然に任せる事にしたのよ。フランがいつか、自分で自分を律してあそこから出て来るようになるまでね」

 

そう言うレミリアの瞳には悔しさと怒りが、自分に対する怒りが見えた。

フランドールは言った。自分は何でも壊すから、皆が私を怖がっていると。

だから、自分は1人ぼっちだと……俺と一緒だと。

メイド妖精の一部は確かに恐れている。現に1人は部屋を見ただけで発狂してしまった。恐らく、彼女の力を肌で感じたからだろう。

でも、フランドールは決して1人なんかじゃない。

 

「ふふっ、なんでここまであなたに喋ったのかしらね。私にも分からないわ……やっぱり美鈴や咲夜の言う通り、面白い人間ね、ユウキ」

「どうも幻想郷の住民は警戒心がなさすぎるな。よそ者の俺に簡単に心を許し過ぎだ」

「あら、あなたが全く外に心を許してないのは、その反動からかしら?」

 

ちっ、またも図星を……でもこれでフランドールの事は分かった。後は会いに行くだけだな。

ん? 何かこっちに近付いてきてる? あれ? なんで俺そんな事が分かるようになったんだ?

怪しい気配とかは昔から分かるけど、これはそういう類じゃない。明らかに強い力を持った誰かが……この力は霊夢?」

 

「どうやら、主賓がやっと来たみたいね」

 

レミリアも気付いたようだ。2人して外に目を向けるとすぐに扉が吹き飛び霊夢が飛びこんできた。魔理沙はいないようだ。

 

「よーやく見つけたわよ、性悪吸血鬼! よくもあんな面倒な迷路作ってくれたわね!」

「あれを作ったのは私の親友なんだけど? 別にちょっとした遊び程度で良いと言ったのに、張りきったみたいね」

「ともかく、すぐにこの霧を止め……ちょっと、なんでユウキさんがここに居るのよ!?」

 

手に持ったお祓い棒をレミリアに突きつけ啖呵を切った霊夢だが、すぐ横にいた俺には気付いてなかったか。

 

「よう、霊夢。久しぶり……「さては……あんたが誘拐でもしたんでしょ」……いや、聞けよ」

「確かにこの人間はとても興味深いわね。ペットにしたいくらい」

「このっ! やっぱり!」

 

そういう誤解するか普通? ってレミリアも思いっきり悪役っぽい笑みを浮かべて楽しそうだな!

って霊夢もなんでそこまで怒る?

 

「でも、残念。彼は私の妹に用事があるからここにいるのよ。私はフラれたわ」

「ちょっとまて、これ以上誤解を広げるような事を言うな!」

「……ユウキさん、別に人の性癖に口を出す気はないけど、正気? なら私が目を覚ませてあげないとね」

「霊夢もマテ! なんでそういう話になる!?」

 

霊夢はレミリアに向けていた棒を俺に向け、袖から何枚かの御札を出して何かを唱え始めた。

本気だ。本気で俺の目を覚まさせようと物理的手段を講じようとしている。

 

「レミリアもレミリアで笑い転げてないでどうにかしろ!」

「そうね。さっきので面接は終了よ」

 

そう言うとレミリアはパチンと指を鳴らした。と同時に俺の足元に魔法陣が現れた。

これは、転送の魔法陣か?

 

「あ、ちょっと待ちなさい! 彼に何をしたの!」

「私の妹を……よろしく」

 

魔法陣からの光に飲みこまれながら最後に見えたのは、妹の事を案ずる姉の心配そうな顔だった。

それに親指を立てて応えると、不安そうな顔は笑顔へと変わって行き、そこで全てが白い光に包まれた。

 

つづく

 




レミリアのカリスマブレイクも、う~☆も入れるスペースなかった。
今度は見事にブレイク出来ればいいなぁ。
書いててなんですが、姉っぽいレミリアは貴重だと思うのは俺だけ?(^▽^;)
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