幻想支配の幻想入り   作:カガヤ

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第134話 「奇襲」

当麻とインデックスとやってきたイタリア。

だが、まだ来たばかりだというのにトラブルの連続だった。

現地合流のはずのツアーガイドや他のツアー客達は待てども待てども来ず、仕方なく俺達は手配されているホテルへと向かった。

幸い、場所は分かるしイタリア語も分かるからバスを使えば問題ない。

どのバスに乗ればいいかって所で少し時間を食ったが、それでも無事に目的地に辿り着いた。

が、今度は別の問題が発生した。

 

「ねぇねぇ、とうまはどこ?」

 

当麻とはぐれてしまった。

ぶらぶらと商店街を歩いていたら、おいしそうな匂いに釣られてインデックスがあちらこちらにフラフラと彷徨い始めた。

当麻にここで待ってろと言って、急いで追いかけてジェラード店に張り付いたインデックスにアイスを買って戻ったのだが、当麻がいなかった。

携帯にかけてみたが、電池切れのようでつながらなかった。

 

「ちゃんと待ってろって言ったのにアイツ……」

「とうまは人の話を聞かないからね。まったくもう」

「だ~れのせいだ~と思っているのかな? インデックス君?」

「ほ、ほめんなはい!(ご、ごめんなさい!)」

 

暴食シスターの頬を引っ張っていると、見知った顔が歩いているのが見えた。

 

「なんで彼女達がここに? おーい、五和! オルソラ!」

 

五和とオルソラはこちらに気が付くと、驚いた顔をして手を振りながらやってきた。

 

「お久しぶりです、ゆうきさん、インデックスさん」

「あの時は大変お世話になりました。直接お礼を言えてうれしいです」

「あぁ、いいって。俺は仕事だったからな。で、なんでここに? 確かイギリスに移ったんだろ?」

 

先日の事件では、ロンドンでシェリーと一緒に使徒十字の事を調べ上げてくれたはず。

 

「実は荷物がまだこちらに残っておりまして、天草式の方々にお力をお借りしてイギリスへ運びこんでいるのでございますよ」

 

オルソラは元々この街に住んでいたようで、イギリス清教へ改宗手続きで必要最低限の荷物だけ持って行って、後日改めて引っ越しするという事だったらしい。

天草式は人数も多くて、法の書での縁もあって荷物運びの手伝いをしているのだそうだ。

 

「それでお二人はなぜイタリアへ? 何か事件ですか?」

「あ、いやいや、当麻とインデックスがイタリア旅行に当たってさ。俺はそれの護衛みたいなものだよ」

 

この面子で事件が起きない方がおかしいんだけどな。

 

「ま、護衛というか、見張りとも言うか」

「は、離してなんだよー! 向こうからおいしそうな匂いが私を呼んでるんだよー!」

 

俺とオルソラ達が話している間にもインデックスはフラフラとしそうなので、猫のように首根っこを摑まえている。

その様子を見て、五和は苦笑いを浮かべたが、すぐにハッとした顔になった。

 

「あ、あの。上条さんもここへ来てるんですか!?」

「まぁまぁ、では改めてお礼を申し上げなければいけませんね」

 

当麻と聞いて2人共驚いたが、五和のリアクションはちょっとオーバーでは?

 

「来てるぞ。今迷子だけど」

「「えっ?」」

 

これにはさすがのオルソラも目を丸くした。

まぁ、そりゃそうだよな。

俺もインデックスも全く当麻を心配してる感じじゃないしな。

 

「あ、あの、それって結構大変なんじゃ……」

「この辺りの治安は比較的いいですが、それでも観光客目当ての詐欺や泥棒はおりますし……」

「とうまが1人で勝手にどこか行くなんて今に始まった事じゃないか、イタッ!? な、何するのかな、ゆうき!? 暴力反対!」

「誰のせい誰の。当麻の事なら大丈夫だ。これで居場所がすぐにわかるし」

 

そう言って懐から小型デバイスを取り出した。

 

「五和は覚えているか? これ、あの時使った探知機の進化版」

「あ、あの時の。覚えてます覚えてます」

 

法の書事件で今回のように俺達3人は学園都市の外へと出た。

その時、超小型発信器を取り付けたのだが、今回もあの時同様俺達には発信機が取り付けられている。

これはそれを探知できるのだが、法の書事件の時より精度が上がっている。

学園都市外部に持ち出せる数少ない道具だ。

早速、五和達にも分かるように操作してみせると、当麻はここからそう離れた場所にはいない事が分かった。

本来なら学園都市の道具を部外者である五和とオルソラに教えるのは良くないのだが、これは別だ。

 

「とりあえず当麻を迎えに行くか。2人共どうする? 昼食でも一緒にどうだって誘いたいが、引っ越しあるんだろ?」

 

当麻も五和とオルソラに会えたら喜ぶだろう。

年上のおっぱいがでかくて包容力の高い2人は、当麻の好みにドストライクだもんな。

 

「あ、それでしたらここで会ったのも何かの縁。よろしければ私の引っ越しのお手伝いをお願いできないでしょうか?」

「へっ?」

 

お昼を誘ったら引っ越しの手伝いを頼まれてしまった。

 

「天草式のみなさんがいらっしゃいますが、それでも人手不足気味でして。もし皆さんにご予定がないのでしたら、お昼もご用意させていただきますから、ぜひ」

「お昼!? いくいくいく! ね、ゆうきもいいよね? ね?」

「分かったから涎を垂らすなみっともない。それでもシスターか。少しはオルソラを見習えっての」

 

お昼が食べれると聞いて、インデックスの目の色が変わった。

まぁ、引っ越しの手伝いくらいなら軽いもんだし、当麻もきっと賛成するだろう。

昼飯代が浮いた! と思いそうだ……

 

「じゃ、俺は当麻を拾ってから行くからオルソラの家の場所を教えてくれないか?」

「それでしたら、私があの方をお向かいに参りますわ。ユウキさんとインデックスさんは五和さん、お願いできますでしょうか?」

「はい。その方がいいと思います。オルソラさんの方が土地勘もありますし」

 

言われてみれば、海外旅行初心者の俺より、地元に詳しいオルソラが当麻を迎えに行った方がいいかもしれない。

というわけで、オルソラに当麻の位置を教えて俺とインデックスは五和の案内でオルソラの家へと向かった。

 

 

オルソラ邸では、すでに天草式達が荷物整理を始めていた。

見知った顔もいれば、初対面の人もいる。

五和に簡単に紹介されて挨拶をして、インデックスは冷蔵庫へと突撃していった。

そして、しばらくするとオルソラに連れられて当麻がやってきた。

 

「よぉ、迷子の迷子の上条ちゃん」

「ゆうき~! お前までインデックスと一緒になってはぐれるなよ! 俺めちゃくちゃ心細かったんだぞ!」

「ははっ、悪い悪い。てかちゃんと声はかけたんだぞ?」

 

恨めしそうな当麻の視線を軽く受け流すと、キッチンからお徳用サイズのジェラートを抱えたインデックスがやってきた。

 

「とうまとうまとうま! 本場のジェラートってお徳用でもとんでもなくうまいんだねぇ!」

「インデックス……ふこうだ」

 

不幸オーラが全身から湧き出ている当麻を目の前にして、元凶たるインデックスは呑気に業務用アイススプーンでジェラートをおいしそうに頬張っていた。

それをみて全身から力が抜けて項垂れる当麻に心底同情した。

と、扉の向こうからじっとこちらを見つめながらひそひそ話をする天草式の姿が見えた。

 

「あれが教皇代理が一目置いた御仁……しかし、実力はいかほどのものか……」

「そこに疑問を抱くのは、あなたがオルソラ様救出戦に参加していなかったから……」

「かの御仁は、ローマ正教が誇る250名の戦闘シスター相手に1人で囮となり、武器を持たずに大立ち回りを繰り広げた殿方なのですよ」

「学園都市では以前、あの女教皇様に立ち向かい七天七刀を掻い潜り、ぶん殴った事もあるとの確かな情報もあります」

「なんと、彼はそこまでの!」

 

流石に色々と情報を持っているようだ。

少し、情報が大げさに伝わっている気がしないでもない。

そして、天草式のひそひそ話が耳に入ったようで、当麻のぐんにゃり度がさらに増した。

 

 

それから当麻と引っ越しの手伝いをしようとしたのだが、それより先にオルソラがお昼を用意したというので4人で食べる事になった。

出された料理はアサリをメインとしたシーフードパスタとスープ、それにパンだ。

皿に盛られたパスタは山のような大盛りで、これだけでもお腹いっぱいになりそうだ。

普段は簡単な料理をするか、ファミレスで済ませている俺からすればここまで豪華な料理は初めてと言ってもいいかもしれない。

当麻も本場パスタに目をキラキラさせて、インデックスと一緒に大興奮している。

 

「うわぁ~! おいしそうだ! でも、引っ越しの手伝いする前にお昼いただいていいのか?」

「まずはせっかくお越しくださいましたあなた達をおもてなしするのが先でございますですよ。それに調理道具も箱に詰めてしまっては料理ができなくなってしまいますから」

「でも、天草式の連中はみんなごはんまだみたいなのに」

 

五和達天草式は自分達に構わずにーといった感じで黙々と荷物整理をしている。

 

「天草式の今鍛練中で決まった時間に決まった食事を取るのでございますですよ」

「天草式の魔術はあのバーコード神父とは別の意味で色々と面倒だよな」

 

以前使った事があるからわかるが、天草式魔術は、その分様々な効果の魔術を必要最低限の道具や仕草で発動できる利点がある。

 

「使います?」

 

と、そこへ五和がどこからかおしぼりを持ってきて当麻に手渡した。

 

「あ、どうも」

「いえいえ」

 

五和はそれだけ言うと、あたふたと部屋の外へ行ってしまった。

部屋の外から天草式の声が聞こえてくるが、聞かなかったことにした。

街で会ったときに当麻の名前が出た時の反応といい、今といい、五和はもしかして当麻に惚れたか。

もしそうだとしたら、気の毒だけど彼女に勝ち目は薄いな。

見た目や性格とかは当麻の好みだろうけど、いかんせん魔術サイドの人間だからな。

基本的に学園都市にいる当麻とはただでさえ接点少ないのに、操祈とか美琴とか妹達とか恋のライバルが1万人以上いる。

ま、俺には関係ないけど。それよりパスタだパスタ。

 

「「「いただきます!」」」

「はい、めしあがれ」

 

まずはパスタを口に入れた俺達3人はあまりのおいしさに目を見開いた。

 

「うまぁ! うますぎるぞこれ!」

「うんうん! とうまがいつも作ってくれるご飯より何百倍もおいしいかも!」

「このやろ、手伝いもしないただ飯食らいのくせに……でも、否定できない! めちゃくちゃうますぎる!」

「うふふっ、おかわりもございますですよ」

 

本当に今まで食べたどの料理よりも格別においしかった。

ファミレスなんかと比べること自体失礼だったが、それでも俺が今まで食べてきたのはなんだったのかと思うほどだった。

 

俺達3人はオルソラの手料理を腹いっぱい堪能して、少し休んだ後引っ越しの手伝いを始めた。

俺は、力があるので外でトラックに大きな家財道具や段ボールを運ぶのを手伝い、当麻とインデックスは部屋の中で荷物整理と掃除を行う事にした。

しばらくすると、2階のシャワールーム辺りから、ふこうだー! という当麻の悲鳴が聞こえてきたが、いつもの事だと気にしなかった。

 

「では、よろしくお願いいたしますね」

 

荷物を全て整理してトラックに積み終えた頃にはすっかり日が暮れていた。

天草式がトラックを走らせるのを見送り、俺達は夜のキオッジアの街を歩きだした。

 

「こんな時間までお手伝いいただきありがとうございました。長い間引き留めてしまい申し訳ございません」

「これくらいどうってことないって、うまいオルソラの手料理も食べれたし。な、2人共?」

「うん! あの料理が食べられるならずっとここにいたいかも!」

「こらこら、引っ越ししたばかりの人に何を言ってるんだインデックスさん。ところで、オルソラはこれからどうするんだ? 俺達と一緒にどこか観て回るか?」

 

当麻がそういうと、オルソラは少し苦笑いを浮かべた。

 

「ロンドンでの仕事を休ませていただいている身ですから、長居はできないのでございますですよ。それに……」

 

オルソラは今度は感慨深そうな表情を浮かべ、キオッジアの街を見渡した。

 

「キオッジアにお別れを告げに回りたいと思いますし……それはあんまりおもせしたくないのでございますよ。少々みっともない顔をするかもしれませんしね」

「……そっか」

 

オルソラはこの街にずっと住み続けて愛着があるのだろう。

しかし、本人の意思ではなく、ローマ正教の内輪もめで去らなければならない。

それは、どれほどの寂しさなどがあるのか、俺には分からない。

俺は、生まれも育ちも学園都市だ。

でも、オルソラと同じく自分の意思は関係なく学園都市から去らなければならなくなったのなら、俺はオルソラみたいにこんな表情は絶対に出来ない。

 

「それでは、機会がありましたら、今度はロンドンのお部屋にもご招待いするのでございますよ」

「ああ。お前も、また日本に来ることがあったら」

「その前にとうまもお部屋そうじしなくちゃいけないかも」

「護衛は俺が引き受けるぜ」

 

オルソラと別れて俺達は歩き出そうとした、その時だった。

突然殺気と力を感じた。

これはよく感じるもの、学園都市にいる時によく感じる気配、何者かが能力でこちらを狙っている気配だ。

 

「これって……っ!」

「「みんな伏せ(ろ・て)!」」

 

インデックスも気づいたようで、何か呪文のようなものを唱えた。

それは、インデックスの魔力を使わない魔術の狙いを外す特殊技能、強制詠唱だ。

俺は当麻をインデックスにぶつけるように押し付け、オルソラを抱きかかえてその場を飛び跳ねた。

 

――パァン!

 

その直後、オルソラの鞄がはじけ飛んだ。

 

「狙いはオルソラか! 当麻、インデックスを守れ!」

「わ、分かった!」

 

オルソラを背後に庇う様に立ち、周囲に目を向ける。

するとオルソラの修道服にまるでレーザーポインターのような点が現れた。

すぐにオルソラを抱きかかえて、その場を飛び跳ねる。

同時に、いくつもの衝撃が俺のすぐ側をかすめた。

 

「ちっ、まずい!」

 

狙撃ポイントはいくつか検討がついているが、こっちにはかわす以外の対抗手段がない。

それに、すぐ近くの運河から幾人かの気配を感じ、オルソラを当麻の方へ押しやり身構える。

 

「出てこい!」

 

イタリア語で叫ぶと、運河から数人のローブ姿の男が現れた。

 

「狙撃は任せた!」

「うん!」

 

後ろにいるインデックスに叫びながら、襲撃者達へとかける。

襲撃者達はこちらを素人だと思って特に警戒はしてないようだ。

手に持ったナイフを突き出してくるが、そんなの遅すぎて当たるわけがない。

1人目のナイフを奪い、頭に突き刺そう……とせず思いとどまり、そのまま顎を打ちつけた。

このままいけば正当防衛にはなるだろうが、こいつら魔術師だから色々と面倒そうだ。

2人目は刃が赤く輝く槍を構えていたが、それを振るうより先に足を払い、倒れた腹に踵を落として意識を奪った。

それを見て動揺して動きが鈍った3人目を運河へと蹴り飛ばした。

これで後は狙撃のみだが。

 

「大丈夫、こっちはもう済ませたよ」

「流石インデックス」

「えっ? 今一体なにを?」

 

インデックスが睨みつける先では、屋根の上で大男が野太い悲鳴を上げながら膝をついていた。

狙撃ポイントがどこであろうが、こっちの状況を逐一見ていなければならない。

ならば、インデックスの強制詠唱が届くはずだ。

 

「ぐぐっ、前衛は見捨てる。今すぐここで撤退の船を出せ! あの女は船の上で殺してやる!」

 

倒れこんでいた大男はイタリア語でそう叫ぶと、運河に飛び込んだ。

 

「船? まさかっ! まずい! みんなここから離れろ!」

 

敵の意図に気づき、急いでこの場から離れようとしたが、遅かった。

大男が運河に飛び込むと同時に、大きな轟音と共に巨大な水柱が上がった。

と、同時に地面が地震のように揺れて砕け散り、地下から何かが浮かび上がってきた。

その巨大な何かに俺達はそのまま押し上げられていった。

 

「とうま! とうま!」

「インデックス!」

 

少し離れていた当麻とオルソラは間に合わなかったが、かろうじてインデックスをまだ残っていた地面へと突き飛ばした。

運河の底から、地面を砕きながら現れたのは、巨大な氷で出来た船だった。

 

 

 

続く




オルソラっていいですよねー五和もいいですよねー料理うまいし。
2人ともロングヘアーじゃないのがまたいいです。
いや、ロングも好きですけどね、操祈とか麦野とか(笑)
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