幻想支配の幻想入り   作:カガヤ

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お待たせしました!
今回は、オリキャラが出ます!
まぁ、前回の最後に出ましたけど。


第145話 「妖精探検隊(後編)」

私達の前に現れた巨大な水の怪物。

それは見た目だけでも強そうだけど、力も私が出会ったどの妖怪よりも強いのが一目で分かりました。

 

「あわわわっ……」

「ど、どうするのよ、サニー!」

「私に聞かないでよ!」

 

あまりの迫力に、サニーちゃん達も怯えて動けない。

私もあの妖怪を見ただけで身体が動かなくなってしまいました。

それに震えが止まりません。

幽香さんや橙ちゃんのおばあちゃんみたいに強い妖怪は沢山知っています。

だけど、この感じ方はそれは何かが違っている気がしました。

慧音先生が教えてくれた、蛇に睨まれた蛙ってこういう事なのかな。

 

「ここは、あたいが何とかしなくちゃ……やい! お前は何なんだ!」

「チルノちゃん!?」

 

チルノちゃんも最初は怯えていたけど、勇気を振り絞って妖怪に向き直りました。

カッコいいけど、足が震えているよ?

 

「われの眠りを妨げるのはだれだ……」

 

「「「っ!?」」」

 

突然頭に声が響いてきました。

その声は、目の前の妖怪のものだという事はすぐに理解できました。

 

「あ、あたいはチルノだ! こっちは友達の大ちゃんに、サニーにルナにバターだ!」

 

チルノちゃんは負けじと大声で大妖怪に向かって叫びました

だけど、スターちゃんの名前、間違えてるよ。

 

「妖精? 何の用だ?」

 

「そこのキラキラを取りに来ただけだ!」

 

「私の子を、だと? 赦さん!」

 

水の妖怪は洞窟中に響き渡るほどの咆哮を上げると、湖からいくつもの水柱が現れて私達に向かってきました。

いつも私達がやっている弾幕ごっこじゃない、本気で私達を攻撃してくるつもりみたい。

あんなの私じゃ対処できないし、サニーちゃん達の能力も多分無理。

 

「あたいにおまかせ!」

 

私が言うより先に、チルノちゃんが飛び出しました。

チルノちゃんはなぜか動けるみたい。

でもあの妖怪、今までチルノちゃんが追っ払ってくれた妖怪とは大違いだよ。

それに、あの妖怪……本当に妖怪なのかな?

何だか、心のどこかで無意識に逆らったらいけないって思ってしまいます。

 

「あたい知ってるよ! 水は簡単に凍るんだ! 【凍符・パーフェクトフリーズ】!」

 

チルノちゃんのスペルカードで、水柱は湖や妖怪ごと凍り付きました。

氷精のチルノちゃんに水の攻撃は効きません。

って普通は思うんだけど、私もサニーちゃん達もこれで終わったなんて全く思えませんでした。

 

――パキンッ

 

だからすぐに氷が砕けて妖怪は全くダメージがなかったようでも、不思議じゃありません。

 

「うそぉ!?」

 

チルノちゃんだけは驚いていたけれども。

 

「チルノちゃん! 危ない!」

 

驚いて固まるチルノちゃんの目の前に水流が迫ります。

私はなんとか弱い弾幕を撃ってチルノちゃんを弾き飛ばして、水流から助ける事が出来ました。

 

「いててっ、あ、ありがと大ちゃん。このぉ、だったらこれだ! 【氷符・フローズンコースター】」

「チルノちゃん、ダメ!」

 

私が止めるのが聞こえなかったのか、チルノちゃんは続けてユウキさんが考えてくれたスペルカードを使いました。

空中の水分を凍らせながら作ったコースターを滑りながら、氷の弾幕を妖怪に撃ち込んでいきます。

普通ならすぐに相手は凍り付くんだけど、あの妖怪には全く効いていません。

 

「このっ、このっ!」

 

それでもチルノちゃんは必死で弾幕を撃ち続けます。

 

「愚かな」

 

「うわぁ!?」

 

今までよりもさらに巨大な水柱が竜巻となってチルノちゃんを飲み込んでしまいました。

 

「チルノちゃん!」

 

それを見た瞬間、私は飛び出しました。

さっきまでは指一本動かせなかったのに、無我夢中でチルノちゃんの元へ。

 

「あ、ダメだよ、大ちゃん! 逆らったらダメ!」

「あれは、妖怪なんかじゃないよ!」

 

サニーちゃん達もやっと、いや、最初から気付いていたのかもしれません。

目の前の存在は妖怪じゃない。神様です。

それも、大自然の神様。

私達妖精じゃ絶対に勝てないし、逆らえない存在。

 

「ほう? この氷精だけではなく、お前も逆らうのか、大自然の申し子よ」

 

「ご、ごめんなさい! あなたが神様だと気付かなくて。でも、お願いです。チルノちゃんを、離してください!」

 

この場所に妖怪も妖精も近寄らないわけが、ようやくわかりました。

この神様がいるからです。

幻想郷にも神様はいるのは知っているけど、この神様は別格。

人の信仰や思いから生み出されたり、物に宿る神様でもなく、自然そのものの神様。

だから自然から生まれた私達妖精は絶対に逆らえない。

それでも、最初はとても強い妖怪だとしか思っていませんでした。

チルノちゃんは今でもそう思ってるのかもしれないです。

 

「お前達は、力強い。そして、人と交わりすぎた。だから我に気付かなかったのだろう」

 

「人間に近く、過ごし過ぎた?」

 

私達は、他の妖精よりも力が強くて人間の側にいすぎたから神様の事分からなくなったのかな。

でも、それなら他の妖精だって、好奇心から人間に近づいたりしてるけど。

 

「ふむ…… 脅かすのはこれくらいで良かろう」

「えっ? 姿が、変わった?」

 

突然水柱が消えて、チルノちゃんも解放されてさっきまでよりも身体が軽くなって、緊張もしなくなりました。

そして、さっきまで巨大な目が浮かぶ水の姿をした神様はいなくなり、代わりに人里で見かけるような恰好をした女の人が立っていました。

薄緑色と青紫色の服を着て、髪の色は白に近い水色でまるで水のよう。

何となくだけど、梨奈ちゃんのお母さんみたいな雰囲気の人です。

 

「ぷはぁ~、やっとまともに息が出来るよ」

 

サニーちゃん達は腰が抜けたのか、その場にへたり込んでしまいました。

私もまだ足が少しふらつくけど、女の人に抱かれて目を回しているチルノちゃんの元へ向かいました。

 

「チルノちゃん! 大丈夫!?」

「安心しろ。すぐ目を覚ます。この姿ならば、お前達も話しやすかろう?」

「あ、えっと、はい……あなたは、さっきまでいた神様、ですか?」

「そうだ。あの姿は妖精には猛毒のようなものだからな。親しみやすい人の姿に変えたのだ」

 

それでも、目を見たら少し震えてしまいます。

 

「ふふっ、ここ数十年、この場所には妖精も妖怪も動物ですら来た事がないのでな。我も外へは百年以上出ておらぬ故、少し驚かそうと思ってな、許せ」

「は、ははっ、まだ腰が抜けて立てない、です」

「でも、悪いのは私達、だよね?」

「ごめんなさい」

 

私達が謝ると、神様はまるで子供に手をやくお母さんみたいな目をして笑っています。

 

「しかし、ここの水晶を持っていくのは許しませんよ。私の子であり、幻想郷の子でもあるのですから」

「幻想郷の、子?」

「我は、幻想郷の水の神、若宇加水杷(わかうかみずは) この湖は幻想郷の水源。あの水晶はやがて幻想郷の川や湖、雨となる子達。あの子達がいなくなると、いずれ幻想郷から水がなくなるのだ。だから持っていくのは許さないと言ったのだ」

 

うーん。難しくてよくわからないけど、あの水晶は水杷様の子供だから連れて行くのはダメって事だよね。

 

「ほーら、やっぱりここには神様がいて、来ちゃいけない場所だったじゃない」

「でも、結構乗り気だったよね、スター?」

「だって、お宝なのも本当でしょ?」

 

あ、水杷様がニコニコ微笑みながらもジーっとスターちゃんを見つめています。

 

「げ、幻想郷の大切な宝物よ!? だから、持っていくのはなしよね? ね?」

「うむ。聞き分けのいい子は好ましいぞ」

「スター……」

「あんたって……」

 

水杷様って、慧音先生みたいな神様だね。

 

「う、うーん……」

 

話し込んでいると、チルノちゃんが目を覚ましました。

 

「目が覚めたようだな、氷精」

「あれ? 慧音先生?」

「我は先生ではない。神だ」

 

チルノちゃんもやっぱり水杷様を慧音先生と間違えたね。

とりあえず、チルノちゃんに水杷様と水晶の説明をしました。

水晶が幻想郷の水って事はあまり理解できていないようだけど、水杷様の子供って言うとすぐに謝りました。

 

「もずく様、ごめんなさい! あたい、ゆーかいは悪い事って知ってる!」

「う、うむ、謝るのなら許そう。みずはともずくをなぜ間違えたのかは、触れない方がよさそうだな」

 

流石神様。

 

「でも、ならどうしよう? ユウキに何を渡す?」

 

確かに、チルノちゃんの言う通りです。

ユウキさんを元気付けようとここまで来たのに、振り出しに戻っちゃった。

けど、あの水晶は絶対にダメだし。

 

「別にそんな珍しいものに拘らなくてもいいんじゃない?」

「ルナ、それ面倒くさいだけじゃない?」

「……ルナちゃん?」

「ひゃい!? そ、そんな事思ってないよ、私!? スターが適当な事言っただけだよ!? チルノもサニーも怖い顔しないでよー!」

 

おかしいな。なんでルナちゃん、怖い物を見る目で私やチルノちゃんやサニーちゃんを見るのかな?

 

「……ぷふっ」

「えっ?」

 

突然、水杷様から笑い声がしました。

見ると、水杷様はおなかを抱えて大笑いしています。

なんだかさっきまでとイメージが違い過ぎます。

 

「ふふっ、あははははっ! なんとこれは面白き事よ! まさか、かの者がこれほどの影響を与えるとはな。それほど強き想いを持てば、少しは枠からはみ出て我に気付かぬのも無理はない。なるほど、賢者達が警戒するのも無理はなかろう」

 

水杷様、何1人で笑って1人で納得しているのだろう?

 

「水杷様、どうかされましたか?」

「いや、すまぬ。あの異世界からの外来人の影響力がここまでとは思わなんだ。やはり、ここに閉じこもってばかりではダメかもしれぬな」

「神様、ユウキの事知ってるの?」

 

確か、水杷様ってここから出てないんじゃなかったっけ?

それともユウキさん、ここへ来た事あるのかな?

 

「もちろん。我はここを動かぬ。だが、水の神である我は幻想郷中の川や湖から情報を得ている。無論、ユウキという稀少な魂を持つ外来人の事も知っておるぞ」

「希少な、魂?」

「おっと、お前達には難しい話だな。忘れるがよい。それよりも彼にプレゼントを渡したいそうだが、これはどうだ?」

 

そう言って水杷様は、湖に手を触れると、水晶が付いた首飾りを取り出した。

その水晶は、湖にある水晶よりも透明でガラス玉のように見えた。

 

「水杷様、これは?」

「数十年ぶりの客人、それも妖精たちを手ぶらで帰すわけにはいかないからな。ほんの手土産だ」

「うわっ、綺麗。高そうですけど、いいんですか?」

「うむ。これは水晶だが、我が子達ではない。御守り代わりと思ってくれれば良い。いずれ、役に立つ時が来るやもしれないからな」

「ありがとうございます、水杷様!」

「かみさま、ありがとう!」

 

こうして私達は当初の予定と少し違ったけど、無事に水晶を手にする事が出来た。

 

 

早速、私達はユウキさんへ渡すために博麗神社へ行きました。

そこで出会った霊夢さんにどこへ行ったのかと聞かれて、答えるとものすごく驚かれて怒られてしまいました。

 

「はぁ!? あんた達、あの湖に行ったの!? ばっかじゃないの!? 立札読まなかった!? あそこは神聖ってだけじゃなくて幻想郷にとって重要な場所だから誰も近寄らないの!」

「あぅ、ごめんなさい」

 

それから私達はみっちりと霊夢さんにあの湖の大切さと、水杷様の恐ろしさを教わりました。

 

「けど、あのかみさま、最初は怖かったけど、とっても優しかったよ? あたい達にこれ渡してくれたし」

「えっ? そうなの? あら、これって……えぇ!? これをくれたの!?」

 

水杷様にもらった首飾りを見せると、霊夢さんがさっきよりも更に驚いた顔をしました。

 

「あの水神様が妖精に、それも人に渡す為にくれるなんて……そう。なら、この話はこれでおしまい。ユウキさんならあいにく昨日から出掛けているわよ。もうすぐ戻ってくると思うから、待ってなさい」

「「「「はーい!」」」」

 

霊夢さんも少し変わった気がします。

前はもっと、こう周りに無関心というか、近寄りがたい感じだったけど、今はそれは感じません。

これも、ユウキさんのおかげかな?

 

 

続く

 




というわけで、オリキャラである水神様登場です。
名前は適当に付けましたので、特に意味はないです。
出番はまだありますが、梨奈みたくヒロイン化はしません(笑)

あと何気にチルノのオリジナルスペカも名前が今回初登場だったりします・・・

次回は、ユウキが泊まりでどこへ行ったかの話です。
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