幻想支配の幻想入り   作:カガヤ

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宴会……と言うかただのカオスな気が(汗)


第40話 「宴会Ⅱ」

宴会は誰が音頭を取ったわけでもなく、いつの間にか始まっていた。

と言っても、宴会なんて縁がない俺はどういうのが始まりの合図か、なんて知ってもいないけど。

なぜか文が咲夜やパチュリー達に腕を掴まれ、外へと引きずり出されていたけど、あれは無視だ。

皆それぞれで飲んでいるので、俺はどうしようかと入り口で思っていると。

 

「適当に挨拶してきなさいよ。半分以上は初対面でしょ?」

 

と霊夢に促され、適当に輪に入る事にしようとすると、ちょうどフランや大ちゃん達と騒いでいるチルノと視線があった。

フランもチルノグループに馴染んでいるようで、少し安心した。

 

「ユウキ~!」

 

言うが早いかチルノが文字通り飛んできた。

ほんのり顔が赤いが、酒を飲んでいるようだ。

見た目はどう見ても未成年だが、妖精に年齢制限はないか。

 

「よっ、チルノ。フランも、大ちゃん達と楽しんでるようだな」

「お兄ちゃん、おそーい! はい、ここ座って」

「ありがとな、フラン」

 

フランが場所を開けてくれたので、そこに座ると早速チルノがお酒を持ってきた。

 

「へへっ、ユウキも飲も飲も!」

「あぁもらうよ。チルノ、かなり酔っぱらってないか?」

「ん~いつもこうだよ? あたいはお酒でもさいきょーなんだ!」

 

こういうのを出来あがっている、と言うのだろうな。

たまーに尼視や数多達に付き合わされた事あったしな……あれは地獄だった。

ともかく、チルノについでもらった酒を飲む。

 

「お兄ちゃん良い飲みっぷり!」

「そうか? あまり酒は飲まないけどな」

 

恐らく日本酒だろうが、あまり飲んだ事のない味だな。

 

「「ジーーー」」

「ん?」

 

ジーと擬音を呟く声が聞こえたので見てみると、頭にアホ毛みたいな触角を生やした子と、羽飾りのついた帽子をかぶった子がこっちを見ていた。

この子達が前、チルノが言っていた友達の残り2人か。

 

「2人とも、見てないでちゃんと挨拶しないとダメだよ」

「あーそうだね。私はミスティア・ローレライだよ。よろしくね、おにいさん」

「私はリグル・ナイトバグだよ、おにーさん」

 

ミスティアは雀、リグルは蛍の妖怪だったな。確かにそれぞれそれらしい特徴はあるな。

 

「俺はユウキだ。で、なんでミスティアとリグルは俺をお兄さんと?」

 

別に茶化しているわけでもなく、自然にそう呼ばれた。

実年齢的には俺の方が下だと思うが。

 

「えっ? いやだった? フランがそう呼んでるから……何となく? あ、私はみすちーでいいよ。ミスティアってあまり呼ばれないし」

 

何とくなくで呼んでいたのか、みすちーの方が呼びにくい気もするけど、本人が良いならいいか。

 

「私もユウキさんって呼ぶより、こっちの方が呼びやすいから。ダメなら普通に呼ぶよ?」

「えー、お兄ちゃんはお兄ちゃんだよ!」

 

今更だけど、本当に今更だけど、お兄さんとかお兄ちゃんって呼ばれる事がすごく違和感が、というか恥ずかしくなってきたな。

フランに呼ばれた時はあまり気にしてなかったのに。

 

「じゃあ、私もお兄さんと、あ、お兄様の方がいいですか?」

 

大ちゃん? なんだか趣旨が違ってきてる気がするぞ?

とりあえずその上目遣いで言うのは止めてほしい。

 

「あたいは、にいちゃんと呼ぶ!」

「それじゃあ、私は……兄貴!」

「チルノとルーミアまで何を言いだすんだ!?」

 

何だか変な方向にいってる気がするんだけど……

 

「おにいさんだと代わり映えしないよね。ん~じゃあ私は兄さん!」

 

みすちーが言うと、更に変な方向に話が進んで行った。

 

「だったら私も変えた方がいいよね。兄様かな?」

「あ、それいいね。リグル、私が兄様って呼ぶから、リグルはお兄ちゃんで!」

「でもでも、兄様だと大ちゃんと何だか被らない?」

「兄貴は私だけのものー」

「ルーミア、その言い方は完全に誤解を招くから止めてくれ、ホント」

「そーなのかー」

 

何これ? 俺の呼び方についてあーだこーだと議論始めたちびっこ達。

止めた方がいいのだろうけど、どう止めればいいんだ?

何だか頭痛くなってきた。

 

「ははっ、大人気だね、ユウキ君」

 

額に手を当て困惑していると、背後から声がかけられた。

ふり返るとそこには、凛とした佇まいの金髪の女性が立っていた。

慧音のような知的な大人の女性に見えるが、その眼差しは強く優しい。

当麻の好きそうな年上の管理人さんタイプだな。

何より、背中から見える狐のような、9本の見事な尻尾に目を奪われる。

見ただけで毛並みもよく、ふわふわした肌触りだろうと分かる。

 

「ん? 私の顔に何か付いているかな?」

「……あ、いえ、えっと、あなたは?」

 

ほんの少しだけ見惚れてしまった、不覚。

 

「おっと、これは失礼。直接は会った事はなかったね。私は八雲藍。紫様の式神だ、今日は主に代わってここへ来たんだよ、以後よろしく」

 

紫の式神か、元春のに比べたら……いや、比べるまでもないと言うか、比べるのは失礼だな。

元春にこんな美女な式神がいたら、当麻達が鉄拳制裁加える所じゃなさそうだ。

それに主に代わってって事は、紫は来ないのか。

 

「紫様は本来この時期では冬眠している。今年は色々あって中途半端に起きた為、もう少し休みたいのだそうだ」

 

起こされた理由は間違いなく俺だろうな。でも正直、安心した。出来れば紫には会いたくないからな。

それが顔に出ていたのか、藍は俺をみて苦笑いを浮かべた。

 

「そう邪険にしないでくれ。アレでも私の主なのだ。気持ちは……分かるが」

「いいのかよ。そんな事言って」

「構わないさ、今日は無礼講だ」

 

今ので分かった。藍はかなりの苦労人だな、主に紫のせいで。

その時、藍の背中から猫の尻尾が2本飛び出してきたかと思ったら、勢いよく誰かが飛び出してきた。

 

「にゃにゃーん! 私は橙だよ、藍様の式神です!」

 

藍の後ろから元気よく飛び出してきたのは、猫がそのまま女の子になったような子だ。

式神の式神なんて言うのもあるのか、まぁ式神自体俺はあまり詳しくないけどな。

橙は藍と同じく帽子を被っているが、それで隠す気がないようでネコミミがくっきり見える。

猫の尻尾が2本あると言う事は、猫又と言う奴か?

 

「よろしく、橙、藍さん」

「はい、よろしくお願いします!」

「ふふっ、私の事は藍で構わないよ、ユウキ君」

 

思わず藍をさん付けで呼んでしまった。

 

「あ、橙久しぶり~!」

「待ってたんだよー」

「チルノちゃん、大ちゃんも久しぶり~! そっちの子はフランちゃんだね」

「あれ? 私を知ってるの?」

「紫様や藍様から聞いてるよ。仲良くしてね」

「うん!」

 

どうやら橙はチルノ達とは友達のようで、もう子供達だけで輪になって騒いでいる。

フランも友達が増えて嬉しそうだ。

 

「あの子も、君のおかげであそこまで明るくなるとは。君はすごいな」

 

藍はフランを見て感心したように呟いた。紫の式神ならフランの事も知ってて当然か。

 

「もう耳にタコができるくらい言われたけど、フランの事はレミリア達が家族として接したからで俺はあまり何もしてない」

「ふふっ、そういう事にしておこう」

 

藍は口元を袖で隠すように小さく笑った。その仕草がどことなく時代劇などでみた昔の貴族みたいで、上品だな。

それにしても藍は見事な尻尾だ。ん、なら頭に被っている帽子はもしや?

 

「私の頭がどうかしたのかい? あぁ、帽子の中が気になるのかな?」

「あぁ、その尻尾といいその帽子の下にはひょっとして?」

 

俺は正直に言った。まるで何かを隠すような形をした帽子。

その下にあると思われるものが気になった。

 

「君が思う通り、この帽子の下はこの通りだよ」

 

藍ば帽子を脱ぐと、そこには立派な獣耳が生えていた。

 

「この耳といい尻尾と言い、藍は九尾の狐?」

「異世界から来た君でも分かるとはね。私は九尾の狐妖怪だよ。と言っても、伝説にあるような狐妖怪とは別物だけどね」

 

この世界の伝説の九尾妖怪がどういうのかは知らないけど、俺のいた世界では伝承として残っているのを見た事がある。

青ピに擬人化萌えキャラと語っている中にも狐のはあったしな。

学園都市で秋沙の一件が済んだ後にそういう類の伝承を少し調査してみると、九尾の狐の情報が少しあったので知っている。

でも、本物に会えるのは少し感激だな。

 

「どうかしたのかい? 何だか感激しているようだけど?」

 

そんな俺を藍は不思議そうに見つめる。

思えば、俺は天狗とか吸血鬼をイヤって程見ているけど、何だか藍は別格だな。

 

「こういう言い方は変かもしれないけど、何だか初めて妖怪らしい妖怪に会えた気がしたからさ」

「妖怪らしい妖怪? ふっ、はははっ、君は面白い事を言うんだな」

 

藍は少し首を傾げ、さっきとは違い心の底からおかしそうに笑った。

 

「「ちょっと待ちなさい(待って下さい)!」」

 

それを聞いてレミリアや、いつの間にか復活していた文がなぜか抗議の声をあげて俺に詰め寄ってきた。

その後ろでは霊夢や咲夜はなぜか呆れかえった顔しているし、妹紅や魔理沙は笑い転げている。

他にもおかしそうに笑ったり、あ然とした顔してるのがいるな。

参加者8割以上が妖怪のこの場で、今のは流石にまずかったかな?

 

「今のは聞き捨てなりません! ユウキさん、私の綺麗な翼も色々散々見ているのに。何でですか、私妖怪に見られてませんでしたか!? そう言えば最初に会った時に、はっきりと私は天狗と言ったのに反応薄かったですよね!?」

「私もよ。あなたには私がどう見えていたのか、この際はっきり聞かせてもらいましょうか!? 確かに普通に接してくれたのは嬉しかったけど、でも流石に吸血鬼として見られていなかったとしたら……どうなの、ユウキ!」

 

どうやら天狗や吸血鬼のプライドが傷ついたみたいだ。

 

「ユウキさん、あなた最初に狼妖怪に追われていたじゃない。まさかあの時緊張感なかったのって……ただの狼だと思ってたの?」

 

霊夢がジト目で睨みながら言ってきたけど、半分正解かな。

 

「今だから言うけど、アレただの大きな狼だと思ってた……」

 

今の霊夢は、まさに空いた口が塞がらないと言った感じだな。

咲夜と美鈴が肩に手を置いて、慰めてるようだけど、そこまで呆れるかな、いや、呆れるか。

確かに日本じゃ狼絶滅してるけど、ロシアであれよりふた周り程小さい狼に襲われたし。

 

「だからって私はどうなんですか!? 見てくださいよ、この黒くて大きな翼! 何度もこれ見たじゃないですか!」

「私だってそうよ!」

 

文は普段は仕舞っている翼を広げ、負けじとレミリアも隠してもいない翼を広げた。

本人は威厳を出しているつもりだろうけど、後ろでフランやみすちーが力いっぱい翼を広げているので微笑ましい絵になっている。

 

「それはな……元いた世界で能力やら魔法やらで翼を出せる奴ら沢山いたから、正直翼があるから、何? と言う感じ。でもフランの羽は宝石のように綺麗で、神秘的だったな」

「「んなっ!?」」

「わーい、神秘的神秘的♪」

 

まるで弾幕に被弾したように撃墜された、文とレミリア。

そして、フランは嬉しそうに羽をパタパタさせている。

あ、パチュリーが笑い過ぎてむせて顔が真っ青になってる。

無機質な羽や鳥みたいな羽も見たし、帝督の能力とかで俺自身も羽生やした事あるし。

それに何より、本物の天使の羽も見ちゃったんだよな。

 

「ルーミアみたいに能力持って空飛ぶなんてのも、元いた世界で結構見たし。美鈴は妖怪らしいの強さ以外ないし」

 

闇を操ると言っても、暗くするだけしか見ていないから視覚妨害系の能力者は何人も知ってる。

それに美鈴に至っては、外見は人間と変わらない。

パチュリーは魔女と言っても、ステイルの弟子たちの方が魔女っぽい服装していた。

 

「そーなのかー」

「たはは、確かに妖怪らしくないとはよく言われます」

 

ルーミアは残念そうな顔をして、美鈴は苦笑いを浮かべた。

 

「あたいや大ちゃんは!?」

「2人は妖怪じゃなくて、妖精だろ?」

「あ、そっか」

 

これで納得するのか……正直、自分でも何言ってるか分からないのに。

と、肩をチョンチョンとつつかれ後ろを向くと、橙とこぁが何かを期待するような目で俺を見ていた。

 

「あの、橙はどうですか?」

「私、私なんて羽だけじゃなくて頭にも、生えてますよ!? 橙ちゃんもですけど」

 

ものすっごく目をキラキラさせている。2人には悪いけど、ここまできたら変に期待させずに思いっきり言った方がいいか。

 

「ごめん、2人共。ネコミミや悪魔っぽい服装、見慣れてる……と言うか、コスプレとして有名な服装だし」

 

主に青ピと元春のせいで、雑誌で散々見慣れてしまった。

猫耳に関しては、海鳥が番外個体に尻尾も付けられている実物を見たからなぁ。

と言うか、こぁは悪魔っぽくないんだよなぁ、パチュリーを散々いじってる点は悪魔っぽいけど。

 

「ざ、残念無念ですぅ~」

 

やられたーとばかりに大げさに倒れ込む2人。いつの間にコンビを組んだんだ?

 

「残念だったな、橙。でもユウキ君、ならばなぜ私を妖怪らしいと? この尻尾や耳も見慣れているのではないのかい?」

 

藍は当然の疑問を口にした。

 

「ん~昔の人が描いた絵で九尾の狐は見た事あるけど、狐耳や尻尾を付けてる人は見た事ないな。あー、後は……」

 

頭に浮かんだ理由を言いかけた所で止めた。

これは言えばとっても恥ずかしい理由だからだ。

 

「後は、一体何なのよ!?」

「そうです。ここまで言ったなら全部白状して下さい!」

 

よほどショックだったのか、半分涙目な文とレミリアに詰め寄られた。

 

「お、お前ら顔近い顔近い! それに大した理由じゃないから!」

「「いいから言いなさい!」」

 

尚も食い付く2人、藍も聞きたそうな顔をしてるし、霊夢と咲夜は諦めろと目で言っているし……仕方ないか。

 

「……俺、狐好きなんだよ」

「「「はっ!?」」」

「だから! 俺は動物の中で狐が一番好きなんだっての! 猫や犬も好きだけど、たまたま実物見て、気に入ったんだよ。ただ、それだけ……」

 

うわぁ、めっちゃ恥ずかしい! ってかこれ当麻や尼視すら知らない事だったのに!

 

「そうかそうか、ユウキ君は狐が好きなのか。これは良い事を聞いたな」

「藍様、良かったですね。でも、猫も好きだって言ってくれました♪」

「良いなー2人共、でも私も羽を褒めてくれたからいっか♪」

 

藍や橙達は上機嫌で喜び、文とレミリアは少し固まった後思いっきり叫んだ。

 

「「な、何よそれー!?」」

 

うん、俺も狐好きを気付いた時はそう思った……

 

 

つづく

 




はい、ユウキの割とどうでもいいキャラ設定一部解禁!(笑)
ちなみにユウキの狐好きを知っているのは、とあるキャラでも2、3人程度です。
ホント、どうでもいい設定ですが(笑)
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