幻想支配の幻想入り   作:カガヤ

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お待たせしました―
最近タイトルがなかなか浮かばない……


第82話 「幻想武装」

紅魔館に泊まった次の日の午後、ここはパチュリーの図書館にある少し開けた広場。

今、俺の両手にはパチュリーが生み出した水晶石で出来たナイフがある。

左右のナイフの形状は先端が両刀で、根元が方刀のコンバットナイフを元にやや大きめに作ってある。

俺が学園都市でいつも使っていた形状だ。

 

「それじゃ準備はいい、ユウキ、アリス?」

 

これから始めるのはそのナイフを使った実験。

パチュリーが言うにはこのナイフに幻想支配を使う事で、俺の力が流れ込み弾幕を切り裂いたり弾く事が出来るようになるらしい。

早速試してみようと思った所に、昨日から泊まっていたアリスが相手として名乗り出た。

アリス曰くしばらく人形達を遊ばせていなかったので、ちょうどいいらしい。

俺の幻想支配についても実際に見て味わってみたいとも言っていた。

やっぱりアリスも魔法使い。俺の力に興味があるようだ。

 

「あぁ、俺はいつでもいいぜ」

「私もいいわよ、パチュリー」

 

両手に握ったナイフに幻想支配を使う感じで両手に力を籠める。

すると、ナイフの柄に埋められた水晶が淡く輝き、刀身が白いモヤのようなもので覆われた。

これが俺の無色透明な力を実体化させたって奴か。

そして、パチュリーや霊夢が見守る中、アリスが両手を俺にかざし、弾幕を放った。

 

「まずはこれくらいね」

 

弾幕、と言うには余りに密度が薄く、10発もいかない程度の弾幕。

けれども、これは弾幕ごっこではない。

 

「この程度なら、あっという間だな」

 

両手のナイフを振い、有言実行。あっという間に弾幕を切り裂いた。

ナイフに斬られた途端にアリスの赤い弾幕は霧散して、消えてしまった。

 

「まだまだ物足りなさすぎだろ、アリス」

「言うじゃない。だったら次にいきましょうか。上海、蓬莱!」

「シャンハーイ!」

「ホウラーイ!」

 

アリスが腕を振うと、風船を頭に付けた上海と蓬莱が現れ、次に上海よりも一回り小さな人形達も出てきた。

次にやるのは応用編。パチュリー曰くナイフに注ぎ込む力を調整する事で、弾幕を斬るのではなく弾く事が出来るようになると言う。

弾幕ごっこのルール的にそれはどうかと思ったが、通常弾幕はともかくスペルカードの弾幕までは弾けないと言う事なのでこれも試してみる事にした。

アリスが操る人形は20以上、全ての頭に風船が付いている。

この風船を弾いた弾幕で割るのが目的だ。

それにしてもこの人形の数はすごい。アリスは平然とした顔で操っている。

 

「へぇ、流石アリスね。あれだけの人形を自在に操れるなんて」

「錬金術や属性魔法が得意なあなたとは系統が違うけど、これでも魔法使いとしては最高クラスと自負してるのよ?」

 

パチュリーの賛辞にも、慢心ではなく自信と誇りを持って答えている。

今度アリスの魔法を使わせてもらおうかな。と少し興味を持った。

 

「おっと、おしゃべりは後で。じゃ改めていくわよ!」

「いいぜ」

 

さっきと同じ要領でナイフに幻想支配を使い、力を流しこむイメージを作る。

んっ、さっきよりも力が吸い取られる感じがする。

 

「それっ!」

 

アリスの掛け声と共に、上海達は一斉に飛びかかってきた。

そして、それぞれから青い弾幕が放たれた。

 

「流石に量も濃さも段違いだな、っと」

 

今は空を飛んでいないので下から撃たれる事はない。前や後ろ、上からも上海達の弾幕が飛んできた。

さらにアリス自身の弾幕も飛んでくるので、難易度はかなり高い。

 

「よっ……ここだ!」

 

飛んできた弾幕をナイフで撃ち返す。

その弾幕は蓬莱の風船に当たった。

 

「ホウラーイ……」

 

哀しそうな声を出しながら蓬莱はアリスの後ろへと下がっていった。

 

「あらら~もう1体目?」

「むっ、これからよ霊夢!」

 

霊夢が挑発するように言うと、アリスもそれに律義に乗った。

いや、外野が挑発しないでくれ。これ結構キツイ。

 

「でも、大体分かってきたか、な!」

 

真後ろから狙って来た人形の弾幕を弾き、返す刀でナイフを一振り。

それだけで3体の人形に弾幕を当てた。

 

「こういうの、なんか面白いかも」

 

次に狙うは真上の2体だけど、ただ撃ち返すだけじゃ簡単に避けられる。

左手のナイフを無造作に上へと放り投げ、逃げるように後ろに飛びつつ向かってくる弾幕をドンドン上の人形に向けて弾く。

 

「数だけ撃ち返しても……えぇ!?」

 

余裕の笑みを浮かべていたアリスが急に驚いた声をあげた。

それもそのはず、いつの間にか人形の風船が次々と撃ち落とされていったからだ。

 

「はいそこまでよ。もう十分でしょ?」

 

パチュリーが俺達の間に割って入ってきた。

確かに俺の新型ナイフの性能実験はこれで十分だろう。

と言うか、これ以上やってたら俺が持たなかった。

幻想支配を解除して 【両手】 に握られたナイフを美鈴が作ってくれた革製の鞘に納める。

しかし、美鈴もよく短時間でこのナイフにあう頑丈な鞘を作れたよな。

と思っていた途端、体中から力が抜けて今にも倒れそうになったがどうにか堪えた。

霊夢には気取られないようにしないと。

ただでさえ、実験に難色しめしてたんだし、これ以上心配はかけたくない

 

「……あーなるほどなるほど、そういう使い方ね」

 

と、俺のナイフを仕舞うのをアリスは俺が何をしたか分かったようだ。

 

「さっき上に放り投げたナイフに撃ち返した弾幕を当てて、更に跳ね返させたってわけね。気付かなかったわ」

「……20体以上もの人形を操っているんだ。いくらアリスでも集中力に限界があるだろ?」

 

上海や蓬莱は半自立型人形で、操作や指令はあまり必要ない。

でも、それ以外の人形はアリスが自分で操作しなければいけない。

今のアリスには10体程度なら難なく操れるが、20体もの人形をそれぞれ不規則な動きをさせながら弾幕を撃つ動作をさせるのには骨が折れるはず。

無造作に投げたナイフの行き先に目を向かせないように、派手に弾幕を弾いたしな。

 

「はい、これを使ってアリス」

「ありがと、パチュリー。ふぅ~……ちょっとかっこつけたくてやせ我慢してたんだけど、あなたにはお見通しってわけね」

 

パチュリーが持ってきたタオルで汗を拭くと、アリスはさっきまでの余裕な表情を一変させ苦笑いを浮かべた。

 

「それでもあの数を同時に操ったのは流石だな。流石にコイツがなきゃ俺も避けきれなかったよ」

 

瞬発力だけじゃかわすにも限界ある。

例え幻想支配でアリスの魔力使っても、人形はアリスの制御下にあるから簡単には奪えない。

シェリーと戦った時もそうだったしな。

今みたいにナイフで弾幕を弾こうとしても、体力がものすごく消耗されるから持たないし、スペルカードを使われたら弾けない。

アリス単体での魔法ってそこまでないし……あれ? アリス何気に魔法使いとしては俺の天敵?

場所にもよるけど、弾幕ごっこじゃ勝ち目薄いかも。

 

「やせ我慢はユウキさんもそうでしょ? また無理して!」

 

キツイ口調の霊夢に頭を叩かれた。

実は結構きつく、立っているのもやっとという状態なのがバレバレのようだ。

頭痛がしないでただ脱力感のみなので、幻想支配の使い過ぎと言う事だろうな。

 

「斬るだけならいいけど、弾けるようになるまでに籠めなければいけない力の量は半端ないって事ね。非効率にも程があるわね」

「でもそれくらいのデメリットはないとね。弾幕ごっこじゃ使えないし。ただでさえユウキさんの幻想支配は強力なのに、弾幕まで防げたら反則過ぎるわ」

 

パチュリーのいう通りこれは効率が悪過ぎる。

弾幕を斬る事だけを考えて、撃ち返すのはよほどの緊急の時だけにした方がいいな。

西行妖と戦った時に、妖夢の刀に魔理沙の魔力を通して斬り裂いたり弾いたりはしたけど、あの時は無我夢中だったし消耗を考えてなかったしな。

 

「あら、一足遅かったかしら。もう終わってしまったのね」

 

とそこへ咲夜がやってきた。

この実験見たがっていたけど、昨日しばらくぶりに紅魔館に帰ってきたから色々やる事が溜まっていたようだ。

 

「あら咲夜、随分遅かったわね」

「さっきやっと溜まっていた仕事終わらせたのよ。美鈴やこぁががんばっててくれたけど、やっぱりメイド妖精達だけじゃ色々とね」

 

うっ、俺の世話のために数日神社で付きっきりだったからな……

館の仕事を手伝うと言ったけど、丁重に断られたし。

 

「悪い、咲夜。手伝えば良かったな」

 

そう言うと、咲夜は苦笑いを浮かべた。

 

「誤解しないで、そんなつもりで言ったわけじゃないわよ。あなたを看病するのは私がそうしたかったから。で、ここの手伝いを断ったのは私よ。これは私の仕事だもの。そんな事より、あなたにお客様よ」

「俺に客? なんで紅魔館に俺の客が?」

「ふふっ、どうぞ」

「やっほー」

「「ルナサ!?」」

 

咲夜が図書館に通した人物は、プリズムリバー三姉妹の長女、ルナサだった。

 

「こんばんわーユウキ君、霊夢ちゃん久しぶりー」

 

相変わらず間延びした物言いだな。理后そっくりだ。

 

「お見舞いに行けなくてごめん。しばらく忙しかったから……」

「久しぶり。って、そんな事気にしなくていいのに。どうしてここに?」

「ようやく予定空いたからあなたに会いに神社に行ったらもぬけの殻。そこへ魔理沙がやってきて恐らくここだって言ってたから来た」

「なるほどね。で、わざわざ紅魔館まで来たの。へぇ~」

 

霊夢がジト目でルナサとなぜか俺を睨む。咲夜やパチュリーも同じだ。

ただアリスだけは興味深そうな顔をしている。

 

「ねぇ、この子は一体誰? ユウキの新しい彼女?」

「「「んなっ!?」」」

「そんなわけないだろ。って新しいってどういう意味だよ」

 

アリスはからかっているだけだろうけど、霊夢や咲夜、パチュリーのリアクションが大げさすぎないか?

こぁは……固まってる。

 

「ううん、私は愛人。ユウキ君の彼女は霊夢ちゃん」

「「「えぇ~!?」」」

 

ルナサも悪ノリしてるし。あ、こぁが今度は気絶した。

 

「違った? じゃあ、咲夜ちゃんが彼女で私は愛人。それとも、霊夢ちゃんが妻で、咲夜ちゃんが恋人で、私が愛人の方がいい?」

「いや、それ私に聞かれても」

 

悪ノリが悪化してる!? しかも、乗せた本人まで困惑してるし。

霊夢と咲夜は額に手をあてて深く溜息ついてるし、パチュリーは茫然としてるし……と言うか俺ほったらかしかよ。

 

「あ、ごめん。あなたを入れるの忘れてたわ。えっと……」

「私はアリス、アリス・マーガトロイドよ。あなたの事は知ってるわ。よろしくね、ルナサ・プリズムリバーさん?」

「うん、よろしく。じゃあアリスちゃんは、愛人1号で、私は2号」

「あ、それいいわね」

「よくないわよ! 何さっきから勝手に話進めてるのよ、ルナサ!」

 

やっとこっち側に戻ってきたかパチュリー。

プリズムリバー三姉妹は紅魔館のみんなとは知り合いだったな。

てか誰でもいいから止めてくれ……なくてもいいか、俺は傍観者でいさせてくれ……

 

「パチュリーちゃんは……ユウキ君の愛人V3で。あ、それとも愛人ウィザードの方がいい?」

「それどこのライダーよ! Wでもクウガでもないわよ! じゃなくて!……全く、相変わらずにも程があるでしょあなたは」

 

ルナサは前からこんな性格だったみたいで、パチュリーが苦労してそうだ。

アリスとパチュリーはルナサを交えてワイワイと賑やかだな。

 

「で、いつまで眺めている気?」

「下手に口出せば飛び火するのが分かっている。だったら鎮火するまで傍観してた方がいいだろ、咲夜?」

「いや、飛び火も何も火種はあなたでしょ」

 

さっきまで騒がしい輪に入ってたのに、いつの間にか霊夢も咲夜も傍観者になっていた。

 

「さーって俺は別に何もしてないし。何も言ってない。なら、話してる事は俺の事だとしても、俺は知らない」

 

別にルナサもアリスも本気で言ってるわけじゃないんだし……いや、半分は本気で言ってるような気がして怖いな、特にルナサ。

 

「で、いつまで漫才を見てればいいんだ? メルランやリリカは来てないのか?」

「あの2人ならフランお嬢様に演奏の事を教えているわよ? ルナサと違って、あなたに会うのは嫌がっているみたいだけど」

 

そりゃ出会い方が最悪だったからな。咲夜も分かってて言ってるんだろうな、とても楽しそうに笑ってるし。

ま、どうでもいいか。

 

 

続く

 




はい、ユウキ専用の武器完成です。
名前は……どうしようかな。
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