鉄血の薩摩兵子 <参番組に英才教育> 作:MS-Type-GUNDAM_Frame
ちなみに味方は誰も死んでいないので葬式は無いです。
「三日月?そこで何をしているのですか?」
「クーデリア・・・いや、今日は沢山手柄がとれたなって思って・・・」
三日月の手は、ぐっと握られてふるふると震えていた。
「俺が手柄を挙げれば、オルガがもっと楽ができる。みんなもお金がもらえたり・・・死ななくていいんだ。だから、もっと手柄をとれるようにならないといけない・・・て、どうしたの?」
「いえ、その・・・あまりに放っておけないというか、その」
三日月のみんなを支えなきゃという独白は、真っ当なものだと感じられた。けれど、クーデリアからすれば、そのまま強くなるだけではあまりにも救いが無いと。そう感じられ、放っておけば何処へでもしまいそうで、気が付けばクーデリアは三日月を抱きしめていた。
「ご、ご、ごめんなさい!」
顔を赤くしてあたふたとしているクーデリアを見て、三日月は先ほどのグシオンの取引の時のことを思い出していた。
◇◇◇◇◇◇
<回想>
「兄貴、ガンダムフレームのことなんですけど・・・って何してんですか」
「ん?知ってるか?人死にが多い年にゃ出生率も上がるんだぜ?子孫を残そうって判断すんだろ。そうすっと隣にいる女がめちゃくちゃかわいく見えてくる」
そう言って、再び名瀬はアミダに口づける。その後、慌てた様子のオルガがなんとか話をまとめ、昭弘が乗るためにとガンダムグシオンは売られないことに決まった。
<回想:了>
◇◇◇◇◇◇
「そっか、名瀬が言ってた事ってこういうことか」
「へ?」
かつかつとクーデリアへ歩み寄っていく三日月。クーデリアはどうしていいのかわからず三日月をじっと見ている。そして、手が届く距離になった瞬間、クーデリアの頭を捕まえて口で口を塞いだ。
クーデリアは全くの不意打ちで身動きが出来ない。そして、三日月が口を離してからたっぷり十秒ほどして再起動した。
「な、な、な、なんで・・・」
「かわいいと思ったから・・・嫌だった?」
「嫌とかそういう事ではなくてですね、こういうのはちゃんとお付き合いして結婚した相手とですね」
「じゃあ、結婚するの?俺とクーデリアが?」
そう言って三日月は火星ヤシの実を口に含んだ。クーデリアは、いろいろ処理が出来なくなり部屋へ逃げ帰ったのだった。
◇◇◇◇◇◇
寝不足のクーデリアが朝に三日月と遭遇し、問答で気絶するなどの事件があってから数時間。一行は、ドルトコロニーへと到着していた。
「そう、あれだ。ドルト2な」
「似たようなのばっかじゃねえか」
ドルトコロニーは民間企業「ドルト」の所有するコロニーであり、商業施設や住居が多数収容されている。ブリッジからコロニー群についてビスケットが解説していたところへ、クーデリアが現れた。
「あれ、クーデリア。大丈夫?熱あるんじゃない?」
「その辺にしとけミカ。またお嬢様気絶するぞ」
額をくっつけて熱を測りだした三日月の襟を、オルガが引っ張って止めた。クーデリアは、スーハ―と深呼吸をしてから話を切り出す。
「私とフミタンで買い物に行きたいのですが」
「私も行きたい!」
「ええ、ではアトラさんもご一緒に」
オルガが、女だけでは危ないと三日月を護衛に着ける。更にビスケットが、土地勘があるからと同行し、豊久が外に出ないと死ぬと言ってはいたが後でこっちも降りると聞いてオルガに着いていくことにしたらしい。
オルガたちは、荷物をドルト2の労働者たちへ渡しに着艦する。
◇◇◇◇◇◇
「私たちが艦内を奇麗にするんです!」
「そうですね!クーデリアさん!」
最後に体を洗ったのが何時か分からないという三日月の発言に、クーデリアやアトラが気合を入れてボディーソープなどを買い始めたその頃。
オルガ達はドルトコロニーの労働環境の悪さを聞かされていた。
「革命の乙女クーデリアさんとそれを守り戦う鉄華団。あんたたちは俺たちみんなの希望なんだ!」
そう、クーデリアを守る少年たちとして、鉄華団は名が知られつつあったのだ。だが、あまりの噂の広まる速さに、オルガは違和感を抱く。
「もう地球圏までってのは妙だな。誰から俺たちのことを聞いたんだ?」
「俺たちの支援者さ」
そう言って、労働者たちが届けたコンテナを開け始めると、その中身は聞かされていたものとは全く違い、
「おい、それは!」
「届けてくれて感謝しているよ」
「あんたたちは何をやろうとしてるんだ?」
「聞いてないのか?あんたら俺たちの支援者に頼まれてこいつを届けてくれたんだろ?」
先ほどから、まるで話が食い違っている。ここで、豊久が口を挟んだ。
「お
「いや、電話越しでしかないが・・・」
「ないごてそないな者ば信じる。こいがお
そう。島津の良く使う釣りの戦法と手が似ているのだ。相手に有益だと思わせて油断させ、一気に攻め落とす。確かに怪しいと判断したオルガは、整備班の人間を呼んだ。
「すまねえが、ちょっと検査させてもらうぜ。こっちも信用が命なんでな」
上手く言いくるめて、整備班とダンテに銃の一つとモビルワーカーを調べてもらった。すると・・・
「ヤバいぜ、あのモビルワーカー、外部から無力化できるようになってやがる」
「つまり?」
「誰かが信号送っちまえば、一斉に使い物にならなくなっちまうんだ」
「銃の方はどうだ」
「こっちも似たような感じです。トリガーのところに仕掛けがありました」
そのやり取りを聞いた労働者たちは慌てだす。
「つまり、罠だと言いたいのか?」
「ああ。とりあえず仕掛けは外させてもらおうか」
仕組み自体は単純なもので、整備班はものの数分で全ての仕掛けを解除してしまった。
「とりあえず、うちの親父直々のヤマだ。荷物は渡すが・・・本当にうまくいくと思うのか?」
「君たちにはわからないかもしれないが・・・ここで生まれてきた私たちは、ここで死ぬしかないんだ」
次の瞬間、怒号が鳴り響いた。
「手を挙げろ!」
「ギャラルホルン!?」
「戦闘用のモビルワーカーに武器弾薬かぁ。通報は本当だったようだな。ここで違法な取り引きがあるってな!」
本格的にキナくせぇな、とオルガは口をゆがめる。
落ち着けと自分に言い聞かせようとした次の瞬間、ギャラルホルンの兵士を銃弾が襲った。
「こうなったらやるしかねぇ!」
「ちっ、ここには居られねぇ・・・トヨさんは?」
「なんか警告に行ったぞ」
ハチの巣を突いたような騒ぎの中、豊久は先ほど話をしていた代表の男に話しかけていた。
「これは罠ぞ。そいでん戦うか」
「ああ。なるべく穏便にとは思ったんだが・・・こうなった以上、できる限りのことをしようと思う。ああ、荷物を運んできてくれて感謝するよ」
豊久は、面白くなさそうな顔でオルガ達のところへ帰ってきた。
「なんじゃああ奴らは。まるで勝とうとしておらん。そいでは勝てる戦も負くるど」
「そんなことより、ここにいたらやべぇ。とっとと船に戻るぜ」
「団長!通信が繋がった!」
「救援呼んどけ!ち、ギャラルホルンは退いたか・・・」
銃撃戦の末、ギャラルホルンの兵士は退いて行った。だが、一度疑うとあまりに嘘くさい。
「なああんたら。あいつらすぐ戻ってくるぞ。今度は大部隊を引き連れてな。ほんとに・・・トヨさん?」
だが、オルガを引き留めたのは豊久だった。
「こやつらは死ぬ気ぞ。なんでん言うても聞かぬ。負け戦とわこうておる」
オルガも家族を残して死ぬ気は無いと、舌打ちして時間を確認する。
「ミカたちからの定時連絡は!?」
「まだ時間じゃないでしょう」
時間が待ち遠しいと、オルガは再び舌打ちした。そこへ、労働者の一人がタブレットを持って大慌てでやってきた。
「君たち!これは君たちの仲間じゃないかね!?」
「ビスケット!?アトラ!?」
◇◇◇◇◇◇
場面は、少し前に戻る。ビスケットが、久しぶりに兄に会えるのだと言う。だが・・・
「離してください!なんでこんな真似を!」
「お前こそスラムの連中に武器を渡してどういうつもりだ」
「武器ってなんのことです?」
「お前の仲間がドルト2に運び入れた荷物だ!」
ビスケットとアトラは、人気のないビルに閉じ込められ尋問を受けていた。
「あれはテイワズから依頼されたもので・・・あの中身が!?」
鉄華団にとっては不幸なことに、知らされていない荷物のせいでテロリスト扱いだ。
「なるほど。お前たちも利用されただけ、というわけか。そのクーデリア・藍那・バーンスタインに!」
「「え!?」」
「ほう・・・この娘が火星独立運動の女神か。随分幼いな」
「鉄華団と行動を共にしています」
「兄さん!?この子は!」
「ええ、わたくしがクーデリア・藍那・バーンスタインです」
明らかに、ビスケットの兄サヴァランはアトラをクーデリアと勘違いしている。それを正そうとしたビスケットを、止めたのはアトラだった。
◇◇◇◇◇◇
「基地まで連行するほかないな。あそこなら薬でもなんでもそろっている」
「嫌でも全部話したくなるさ」
アトラは、拷問に全く屈していなかった。ビスケットも同様だ。と言うより、話せることは無いのが正解だろうか。
「兄さん・・・あの子は・・・」
「大した子だよ。何も話していない。お前も武装蜂起計画について何か知っていることがあるなら・・・」
「あの子は・・・クーデリアさんじゃありませんよ」
「なっ・・・いや、彼女こそが、クーデリア・藍那・バーンスタインだ。誰かを捕まえたかどうかじゃ印象が違う!ギャラルホルンも見せしめに虐殺なんて・・・」
「あの子が犠牲になっていいわけがないでしょう!」
「じゃあお前は!ナボナさんたちが・・・あんなに多くの労働者が犠牲になっていいっていうのか!」
「でも!」
「・・・話はここまでだ。後はギャラルホルンの迎えを待つ。ここで・・・ああ。この子と待っていろ」
「兄さん!」
ビスケットの呼びかけに耳を貸されず、扉は閉められた。
「アトラ、大丈夫?」
「うん、昔はこんな事よくあったし・・・」
部屋に放り込まれたアトラをビスケットは上手く受け止めたが、アトラの顔には暴力の跡が色濃く残っていた。
「きっと団長たちが・・・うわあ!?」
きっと団長たちが助けに来てくれる。そう言おうとしたところで、ビルが大きく揺れた。
「な、もしかしてもう武装蜂起が・・・」
「そんな!」
二人が慌てていると、下の階から凄まじい叫び声が聞こえてきた。そして、二人が監禁されている部屋のドアがゆっくりと開いた。
「「三日月!」」
そこにいたのは、拳銃と日本刀を構えた三日月だった。日本刀と顔には、血がべったりと付いている。
「アトラ!その傷、ここの奴らに?」
「だ、大丈夫だから!それより、三日月良くここが分かったね」
三日月は、定時連絡の時にオルガたちからビスケットとアトラが攫われたことを聞き、途中までは匂いで追って。途中からはドルトの労働者組合の人間に助けられてここまで来たのだった。
「アトラは良いにおいがするからね」
「もう!」
「ビスケット、走れる?」
「うん、でもアトラは・・・」
「俺が担いでいくよ」
そう言って、三日月はアトラの腹を肩で支えて担いだ。
「み、三日月、これ恥ずかしいんだけど・・・」
「行くよ」
この短時間で逃走経路まで確保していたのか、三日月はビルの避難口に向けて猛然と走りだした。
「そういえば、クーデリアさんは?」
「なんかおトヨが来たから任せた」
「あの人ドルト2に居たんじゃないっけ」
「オルガに頼んで連れてきてもらったんだって」
「へぇ~」
「フミタンも一緒にいるよ」
ものの一分ほどで非常階段に到着し、三日月はすさまじい速度で階段を降り始めた。
◇◇◇◇◇◇
「なあマクギリス」
「なんだ、ガエリオ」
「一つ、教えて欲しいことがある」
数日前、マクギリスは実家ではなくボードウィン家の屋敷にいた。
「お前は、何か大きな計画を立てていたんじゃないか?」
「どうしてそう思う?」
「アルミリアがな」
「彼女から何と言われた?」
ガエリオは、あまり自信が無さそうに顔を振っていたが、マクギリスの目を見据える。
「踊っていた時、どこか遠くを見ているようで・・・そう、何か悩みがあるんじゃないかと言っていたよ。ここからは俺の推測になるが、イズナリオ様とアンリ・フリュウ議員の癒着。それが関係しているんじゃないか?」
「詳しいじゃないか、ガエリオ」
「お前が、俺の前ですべてを曝け出していなかったことは・・その、最近気づいた。アルミリアに言われるまで気づかなかったが、俺と話すとき、目を見ていないと言われた」
「・・・」
マクギリスは、思うことがあるのか黙ってガエリオに先を促す。
「それでも、俺はお前を理解できる人間でありたい。教えてはくれないか?」
マクギリスは、深く息を吐いた。そして、今度ははっきりとガエリオの目を見る。
「これから話すことは他言無用だが・・・そうだな、二つ話しておこう」
ガエリオは、無意識に唾を飲み込んでいた。
「まず、俺はイズナリオ・ファリドの実の息子ではない。もう一つは、我々ギャラルホルンの錦の御旗、バエルの真実についてだ」
マッキーのこれで安心ギャラルホルン改革プラン:改の説明が入ります(視聴者の皆さんは一期最終回に相当するお話をお待ち下さい)
この世界では、アルミリア女史の人間観察力が高い!
そしてガエリオがマクギリスが目を見ていないことに気づいてしまった世界です。
はたして二期まで行くのか・・・
アルミリアとマッキーが結ばれた場合間違いなく不幸になるマロ眉のお姉さんはどうなるのか!
次回、革命の乙女