鉄血の薩摩兵子 <参番組に英才教育>   作:MS-Type-GUNDAM_Frame

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前よりは早くできました・・・?
まあ二か月は経過していないですね。

最近はMH4GとMHXX、そしてカレーの調合をやりこんでいました。

ひき肉カレーは最高じゃな!!


絶海に非ず

ヴィーンゴールヴの会議室では、セブンスターズの党首たちが顔を突き合わせて座っていた。

 

「先の戦闘、貴君子飼いの…彼らは相当に優秀なようですな?ファリド公」

「いえ、ファリド公やイシュー家息女の協力が有ればこそですよ、ファルク公」

 

先の戦闘にて、鉄華団は僅かに3機のモビルスーツによってモビルアーマーを撃破していた。この戦果は、ギャラルホルンが最も高い練度を有していた厄災戦末期に近いという証左とも言える。

 

「いやいや、謙遜する事は無いだろう、ファリド公。現に、我がアリアンロッドの最精鋭部隊ですら、3機で。それも300年も前のロートル機によって成し遂げるなど、とてもとても…

かの英雄アグニカ・カイエルに追いつかんばかりの戦果だ」

「左様、うちの娘の婚約者は、新たなる七星勲章の受領者を部下に持つ男という訳だ。おまけに、御身も彼らに並ぶパイロットであると。ああ、鼻が高いとは此の事だよ」

「身に余る光栄です、エリオン公、ボードウィン公」

 

益体もない話だが、此処で失敗するわけにはいかない。マクギリスの顔は平時の如く微笑んでいるが、内心は歯を食いしばっているも同然だった。

 

ラスタル・エリオンは概ね歩調を合わせ切ったと確信している。ガルス・ボードウィンは本当に心から思っていることを口にしているだけだった。イオク・クジャンは何時になく静かだが、ラスタル・エリオンに何某か言い含められていると思わしい。

問題はファルクとバクラザンの老人たちである。ラスタル・エリオン以上に権力の座に座り続けた2人が、自分という血筋の人間に、鉄華団のような強力な軍権を維持させたままで置くとは到底考えられなかった。

 

俺たちは家族だ。そう言い切ったオルガ・イツカの姿を、網膜に焼き付いているかのように容易く思い出すことができる。

美しいと思った。血のつながりでなく、力で押さえつけるでもなく、家族と呼ぶ集まりが、信頼と仲間の流した血で固まっている。

 

崩したくないのだ。かつて自分が為す術も無く失い、そして漸く取り戻したものを、彼らは持っている。火星の為に戦いたい。そう口にした鉄華団とクーデリア・藍那・バーンスタインに、私が力になると、マクギリスはぽつりと口にしていた。

今、敵の所在を掴み、残存戦力を掴み、そしてぶつかる筈だった最も強力な敵の援護まで受けている。だからこそ、これが自分の仕事のなのだ。

 

「そういえば、鹵獲したモビルアーマーの部品には面白いパーツが在りましてね」

「ほう、それはどの様な物かね」

 

最初に反応を示したのバクラザン公だった。

 

「ええ、どうも、エイハブ粒子を消費して熱量を生む変換装置のようなのですがね」

「それそのものは既に存在しているな。しかし、君がそうも勿体をつけて言うという事はそれなりの何かが有るのだろうね」

「一言で言えば、効率。それに尽きます。90%近いエネルギーの変換効率。それに、マクスウェルの悪魔、と言いましたか。まるで熱エネルギー、分子の運動そのものを操作しているとしか思えないような挙動をしていると報告があります」

「ほう、それは面白い」

 

これを活かせれば、従来は質量兵器でしか対抗し得なかったナノラミネートアーマーに、熱エネルギーを利用した軽量な武装を組み込める可能性があるわけだ。

 

「この話は当家の主なメンバーで話合わせてもらおう。情報提供に感謝する、ファリド公」

「いえ、必要とあらばサンプルも送らせていただきます」

 

ここまでだ、とマクギリスは内心でほくそ笑んでいた。手札で言えばまだ何枚かは持っている。しかし、それは今切るべきではない。今回は、偶然、バクラザン公にうってつけの話があり、マクギリスは折り合い良く伝えた。無論、この場にいる人間が、旨い話に偏りがある、それをただの偶然と受け取る事は無く。

 

やり取りを聞いていたラスタル・エリオンも、外側には何一つ現さず、内心でだけ頷いていた。つまるところ、本当にマクギリスが相手にしているのはファルク公なのである。

 

これは才能と言ってしまって良いものか。

昔、バエルを欲しがっていた子供は、狸と真っ向から化かしあいが出来る政治家になった。向いていないからと、イオクには敢えて伝えていない事ではあったが、マクギリスがあのような交渉の手腕を獲得していった経緯を想像すると、暗澹たる気持ちになってしまう。

 

纏まりつつある会議の内容に時折口を挟みながら、ラスタルはやはり表には出さず、思った。世の中を纏め得る才能とは、地獄から産まれるものであるのか。そうであるなら、この世界は余りにも度し難いものだ、と。

 

最後に、マクギリスが提案したモビルアーマーの拠点と思わしい地点の威力調査が鉄華団の担当に決定し、会議は終った。

 

鉄華団を、火星支部の軍部に丸々編入したい、という申し入れが有ったのは当日だった。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

マクギリス・ファリドがモビルアーマー拠点と思われる地点の強襲作戦司令を拝命した翌日。

ヴィーンゴールヴのメイン港、ミーミルの泉では、マクギリスがギャラルホルン海軍、通称ケルピーへの出陣式を執り行っていた。

 

「団長、なんで三日月とクーデリアはあそこに座ってるんだ?」

「今日の朝マクギリスに連れていかれたんだよ」

 

三日月とクーデリアは、どちらもマクギリス、そしてガエリオの横席に座っている。クーデリアはいつもより少々違う、三日月は何時もと全く違う正装で座っていた。

 

「しっかし、俺らも偉くなったもんだよな」

「まぁな、けど、まだこれからだろ。そら、マクギリスが喋るぜ」

 

今まで作戦の概要について喋っていた部下と交代で、マクギリスが演台に登る。

 

「みな、石動から本日の話については聞いただろう。最早、作戦について語るべき事は無い…だから、私は少しだけ歴史の話を伝えて降壇させてもらおうと思う」

 

ギャラルホルンで最も正統な血の流れを持つ男が、歴史について語るのか。ギャラルホルンの兵士たちは、それだけで僅かに響いていた囁きすらすっと消え、静かになってしまった。

 

「今回の攻略ポイントは…太平洋到達不能極と呼ばれている。これは、旧世紀、風を利用した帆では、目指す事すら自殺行為だった。しかし、時代は進んだ。蒸気機関、重油、そしてエイハブリアクターと技術は進み、幾星霜と積み重ねられた航海技術と相まって最早不能ではなくなった…人類は不可能を一つ、悠久の歴史に楔を打ち続けることで克服した。今回の作戦も同じだ。何も変わらない。諸君に日夜訓練を行い、戦いの何たるかを叩き込んだ『彼』の持つそれも正しく、人類が残してきた轍そのものなのだから」

 

『彼』。その名前が出ただけで、居並ぶ兵士の半分が震え、いくつもの頭が地面を向いた。

 

「豊久さんやりすぎじゃね?」

「役立たずでも困るだろ」

 

「少し、話がそれてしまったが…諸君は訓練通りにやればいい。此処にアグニカ・カイエルの魂というギャラルホルンを形作る精神と、彼、当代最強のパイロット。三日月・オーガスが居る。我々は勝利し、そして今度こそ、モビルアーマーをこの世界から一片残さず殲滅する!!」

 

震える肩は止まり、全ての顔がマクギリスを見て、そして口々に叫んでいた。

手を振りながら、マクギリスは席に戻り、出港準備の開始が石動の口から告げられた。

 

間を置かず、きびきびとその場を去っていくギャラルホルン兵士を、オルガは見ていた。

 

「やあ、三日月・オーガスを借りられて助かったよ」

「マクギリス…良いのかよ、こんなところに居て」

「もちろん良くはない。婚約者に呼ばれていてね…しかし、礼を言えないことは更に問題がある。何、それを判ってくれないほど狭量な人ではないよ」

 

三日月はオルガの指示で演説中は微動だにしていなかったが、今はスーツが慣れないのか、肩を回したりして顔を顰めている。

 

「ま、礼は受け取ったがよ」

「そうか。君たちの乗船時間さえ守ってくれれば、しばらくは自由にしていて構わないよ。では、また船で会おう」

 

そういう店がないと知って、ユージンやシノはあまり嬉しそうではない。昭弘は、急に背が伸びて、後15センチほどで背が届きそうな昌弘と筋トレをしに行った。オルガ、三日月、クーデリアがマクギリスに手を振り返した。

 

「行けそうか、ミカ」

「オルガが言うなら、俺は何処にでも行けるよ」

 

拳をぶつける。棚から…何と言ったか。兎に角、昨日マクギリスから聞かされた話は、求めていたそれだった。

 

「ここまで相当苦しかったが…ここで勝てば、俺たちはどうにか前に進める。やろうぜ、ミカ」

「うん、俺と、バルバトスと…鉄華団でやってやる」

 

お互いの拳を突き付けて、オルガは作戦司令部へ、三日月はMS格納庫へそれぞれ向かった。




三日月はアトラとクーデリアに風呂に叩き込まれた後、名瀬の兄貴が見繕ったスーツで出席しています。

劇中ではギャラルホルンの水中用MSって出てきませんでしたよね。それっぽく設定だけ考えたグレイズ水中型が次回出ます。

作戦内容は待て、次回!
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