鉄血の薩摩兵子 <参番組に英才教育>   作:MS-Type-GUNDAM_Frame

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地球に早う行きたい・・・


侠客の盃

「いいか?この先にいるのは圏外圏でいちばん恐ろしい男だ。くれぐれも失礼のねぇようにな」

 

鉄華団の面々と名瀬は、現在歳星の、テイワズの代表マクマード・バリストンの邸宅へ来ていた。

流石にこんなところで躓く気はないのか、それともただ単に恐ろしいのか、鉄華団の面々はいそいそと服装を整える。

豊久と三日月は微動だにしなかったが。

 

「失礼ですが、本日のご用件は?」

 

宅の入り口には、スーツを着た男が数人並んでいる。

 

「ああ。おやじに会いに来た」

「どうぞ、お通りください。名瀬様」

 

ここで、名瀬も帽子を取って応対する。

流石に子分の中でも一目置かれているからか、カタナを佩いた豊久がいるにも関わらずあっさりと通された。

そして、そのままあれよあれよという間にマクマード・バリストンの応接室に通される。

 

「失礼します」

「おう、入りな」

 

全員が部屋に入って、マクマードはこちらを向いた。

どうやら、盆栽の剪定をしていたようだ。

こちらを向くなり、何か感じるものがあったのかにやりと笑った。

 

「なるほどお前らが・・・話は聞いてるぜ。いい面構えしてるじゃねぇか。おい客人にカンノーリでも出してやれ」

 

ひげを少し伸ばした、恰幅のいい男。

鉄華団の面々は少しイメージと違ったのか首を少し傾げていたりするが、三日月と豊久、名瀬は、マクマードがこちらに話しかけるまでじっとしていた。

外の男が伝令を出して満足したのか、やっとマクマードは名瀬に話しかけた。

 

「久しぶりじゃねぇか、名瀬」

「親父も元気そうで何よりです」

 

名瀬は穏やかに一礼した。

そうして、マクマードは要件を訪ねる。

 

「それで?今日は何の用だ」

「俺はこいつに盃をやりたいと思っている」

 

その答えに、マクマードは心底驚いたようだった。

 

「お前が男をそこまで認めるか。珍しいこともあるもんだな・・・

まあいいだろう。俺の下で義兄弟の盃を交わせばいい。タービンズと鉄華団は晴れて兄弟分だ」

「・・・タービンズと俺らが兄弟分?」

 

どうやら驚いたのはマクマードだけではなかったようだ。

オルガは緊張からか額にうっすらと汗が浮かんでいるし、ビスケットはもっとはっきりと冷や汗を浮かべている。

しかし、まだまだ話は終わっていない。

 

「で貫目は?」

「五分でいい。どっちが上も下もない」

 

マクマードは、そこまでか、と一瞬目を見開いたが、すぐに笑って当然のことを言わせるなよ、と諭すような口調で言った。

 

「お前がよくてもな周りが許さんだろう。こいつらには荷が重い。せめて四分六にしておけ」

「俺もです、お願いします。

いや、三分七やそれ以下でもいいくらいなんだ」

 

名瀬はやれやれと笑っているが、納得はしたようだ。

 

「それじゃあ、こいつらを外に連れてきます。

親父、お元気で」

「おう、お前もな」

 

一応、鉄華団の面々は道を開けて名瀬を先に通し、自分たちも出ていこうとするが、三日月と豊久が呼び止められた。

 

「お前さんたち、相当使うだろ。

流派は?」

 

三日月は何のことだろう、と首をかしげるが、豊久はすぐに答えた。

 

「タイ捨じゃ」

 

その答えがマクマードには面白かったらしい。

 

「ほーう、相当な古流じゃねえか。

1000年は昔・・・いまだにそんな剣法使ってるやつらがねぇ・・・

いや、呼び止めて悪かったな。行って良いぞ」

 

マクマードは、豊久と三日月が、一礼して部屋から出ていくのを楽しそうに見ていた。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

「ああーしつこい!夜の名瀬並み!」

 

ラフタの周りには数人がいてドリンクを渡したりタオルを渡したりするが、ラフタは肩で息をしている。

そこへ、三日月が帰ってきた。

 

「あ、俺もやるよ」

「ああ!もう一戦頼む!」

 

その瞬間、ラフタががっくりと崩れ落ちた。

 

「勘弁して・・・」

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

「あと3つアリアドネをたどればもう地球だ」

 

ギャラルホルンの艦は、地球を間近にしていた。

マクギリスの後ろには、アインが控えている。

 

「クーデリアを連れた鉄華団も地球を目指しているだろうがアリアドネ・ラインを使わなければ捕捉が難しい」

 

癖なのか、跳ねた前髪をくるくると指でつかんで転がしているマクギリスを、ガエリオはまた悪いことを考えているなと苦笑いして見ている。

 

「今、裏の情報に詳しい男に探らせている。直に見つかるだろう」

「抜かりなしか。さすがはマクギリス特務三佐」

 

恐らく手元の端末には報告が上がっているのだろうと察しはつくが、もしかして・・・

いや、それよりも

 

「いやもうこの名では呼べんな。地球に帰ったら昇進が待ってる」

「それよりも婚約パーティーが先だよ。義兄様?」

「止めろと言ってるだろ!」

「ふっ、もう傷の具合は良いようだな」

 

叫んだガエリオを見てくすくすとマクギリスは笑っているが、ガエリオはしてやられたようで悔しい。

 

「お前こそ、自室であの変なマスクをかぶって

『王の話をしよう!』とか

『自分はナイト・オブ・ゼロ、枢木スザク・・・いや、僕がゼロだ』とか叫んでただろ!

何だあのマスク!なんで目のところがシャキッと開くんだ!」

「それは言わない約束だっただろう!」

「やかましい!」

 

つかみ合いに発展した二人を、後ろに控えているアインは止めるべきかとおろおろしているが、管制官が生暖かい目で首を左右に振っているのを見て諦めた。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

「アルミリアか・・・自分の妹をこう言うのもなんだがあんな子供を許嫁にされるなんてな」

 

頬に赤いもの(つねられた)が残っているガエリオが、アインを連れて自室へ戻る最中、唐突に発言した。

アインには発言の意図がつかめない。

どうしてこんな事をここで?

 

だが、すぐに自分への疑問の先槍だったと気づいた。

 

「アインお前相手はいるのか?」

「いえ。自分はそういうのは・・・」

「あー、もしかして火星出身だからと差別を・・・」

「その、それもあるんですが・・・」

 

確かに、火星出身だからと嫌われてはいた。

だが、いつかコーラル指令に言われていたことを思い出す。

 

『貴様、女子職員にいろいろと・・・!』

『はい?』

『いや、いい。自覚がないならそれでな』

 

次の日に演習のメニューが二倍になっていたのだがあれはどういうことだったのか。

自分と女子職員にどういうつながりがあったのか上手く理解できなかったが、おそらくメニューを増やしたのはコーラルだったのだろう。

そんな二倍メニューに付き合ってくれたのもクランク二尉だった。

 

それを・・・!

 

「いえ、どうでもいいことでした」

「そうか」

 

絶対に許さない。

そう、絶対にだ。

次こそは必ず俺が奴を討ち取る!

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

翌日の歳星では、オルガたちが外でカンノーリを頬張っていた。

 

「何でしょうね?クーデリアさんにだけ話って」

「まあ護衛が二人もいるんだ。安心しろって」

「はぁ」

 

オルガとビスケットは心配そうだが、ユージンは一心不乱にカンノーリを食べていたが、名瀬にぼそぼそと呟かれて格段にペースが落ちた。

 

「マジっすか・・・」

「ああ、マジだ。それと、オルガ」

 

そう言って、名瀬は端末を取り出した。

 

「お前らの鹵獲品、値が付いたぞ」

「ありがとうございます!」

 

同時期に、邸内でも商談が進むわけだが。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

「あんたが火星独立運動家のお嬢さんか。時の人と会えて光栄だ」

 

護衛に、三日月と豊久が扉の前で並んでいる。

後一戦と言う三日月を、オルガが頼むと言って連れてきたのだ。

豊久は太刀を、三日月は拳銃をそれぞれすぐに引き出せる位置へ置いている。

マクマードは気にした風もなく、葉巻に火をつけて話を進める。

 

「火星経済の再生策として地球側が取りまとめていた火星のハーフメタル資源の規制解除を要求。火星での独自流通を実現するため地球くんだりまで出向く。そいつで間違いないな?

うちで仕入れた情報じゃあ現アーブラウ首長である蒔苗は本気でそいつを通そうとしているらしい」

「本当ですか!?」

 

クーデリアも本当とは思っていなかったらしく、顔をほころばせている。

だが、話には続きがある。

 

「下手すりゃ戦争になるな。

新たな利権を得ようとさまざまな組織が暗躍する。それこそどんなあくどい手を使っても。

しかもこいつは長引く。利権を勝ち取ってもその後の各組織間で軋轢が残るからなぁ」

 

こちらもクーデリアには衝撃だったようで、どうして、私は・・・と顔を俯かせている。

 

それが、マクマードの狙いではあったようだが。

 

「テイワズを指名しちゃくれないか。お嬢さんがじきじきに指名した業者って大義名分を得られれば当座の問題に関しちゃこっちでなんとかやれる。

まっ避けようもねぇこともあるかもしれねぇが」

「・・・少し、時間を頂けますか?」

「考える必要が?」

 

相手に考えさせないのはやくざの常套手段なのだが、今回は全幅の信頼を置く三日月とその師匠がいた。

クーデリアが二人の方を見ると、豊久は三日月に向かって頷く。

三日月は、少し豊久の顔を見て固まっていたが、すぐにクーデリアの方に向き直った。

 

「これはあんたが決めることだよ。

どっちにしろこれからも人は死ぬんだ。今までのことで分かってるだろ?

これはたぶん俺が最初に人を殺したときと同じ。クーデリアのこれからの全部を決めるような決断だ。

だから、これはクーデリアが自分で決めなくちゃいけないんだ」

 

豊久は、自分が言って欲しい言葉だったのか何も言わないが、うんと頷いた。

マクマードも思うところがあったのか、態度を軟化させる。

 

「なるほど。確かにそいつは一大事だ。いいだろう。しかし俺はもう老いぼれだ。

長くは待てねぇぞ?」

「ありがとうございます。今日はこれで。」

 

退出するクーデリアの後をついて行こうとする三日月と豊久だったが、マクマードにまた呼び止められる。

 

「若い衆、名前は?」

「三日月・オーガス」

「島津中務少輔豊久」

 

ひげを少し触って、三日月の方を向いたマクマードは、いきなり

 

「モビルスーツ乗りのヤツか。よしお前のモビルスーツうちで見てやろう」

 

などと言い出した。

当然、三日月は怪訝な顔をする。

 

「うちの職人は腕がいいぞ。なぁに、じじいの気まぐれだ。取り上げやしねぇよ」

 

どうやら、本当に好意らしい、と、豊久と目を合わせて確認する。

 

「じゃあ、お願いします」

「おう!行って良いぞ。場所は名瀬に聞きな」

 

しかし、思い出したように一つ付け加える。

 

「あ、一つお願いがあるんだけど」

「何だ?」

 

それはマクマードも思いもよらなかったのか、眉根が下がっている。

三日月ほど驚きを感じさせないのは年の功だろうか。

 

「バルバトスのカタナ、作ってほしいんだ」

 

今度こそ、表情が崩れた。

 

「はっはっはっ!面白い!整備長にナシつけといてやろう」

「ありがとうございます」

 

三日月たちも、今度こそ退出した。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

「バルバトスをこの手でいじれる日が来るなんて!」

 

工房のおじいさんは、もしかして血管が切れるんじゃないかと言うほどの興奮ぶりだった。

鉄華団の整備班メンバーは、若干テンションについて行けていない。

 

「これってそんなにすごいんですか?」

「すごいも何もこいつは!

厄祭戦を終わらせたともいわれる72体のガンダム・フレームのうちの1体なんだよ!?」

 

裸のガンダムフレームを見る整備長の目は爛々としているし、もうボスが出ないと止められなさそうな雰囲気だ。

 

「ただ資料が少なくて今じゃ幻の機体なんて呼ばれてる!そんな機体を予算上限なしで整備できる~!」

 

どうやら三日月がテイワズのボスに気にいられたらしい、と話しているが、もはや整備長は人間とは話していなかった。

 

「見ててください!消耗品全交換はもちろんフレームリアクターの再調整、集められるだけの資料を集めて完全なバルバトスをご覧に入れますよ~!

しかも!

モビルスーツ用の打ち刀なんて想像したこともなかった!

フレーム用の高硬度レアアロイと、ああ、資料にγナノラミネートなんて言葉もあったな~」

「ねえ」

 

完全に別の世界に入ってしまっている整備長に、三日月が話しかけた。

流石に持ち主の話は聞かなければと思ったのか、三日月の方に向き直った。

 

「何だい?」

「俺の阿頼耶識って、これ以上増やせないの?」

 

背中のコネクタを見せられた整備長は唸った。

 

「へぇ、もう三本も・・・うーん、そういうのは医療班の担当だからねぇ」

 

流石に専門外のことはよくわからないのか、それでも限界を超えた阿頼耶識には興味があると、盃を交わした後にまたおいでと言われ、三日月は退出した。

 

「三日月さんまだ強くなるのか・・・すごいなぁ」

 

タカキは純粋に目を輝かせるが、おやっさんはあまりうれしそうでもなかった。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

控室では、名瀬が幕の字を入れていた。

 

「おるが いつか・・・オルガ?」

「へぇ、読めるのか?」

 

三日月に、漢字が読めるとは、と名瀬が感嘆の声を上げる。

 

「うん、おトヨに習ったからね」

 

まだ書くのはうまくいかないんだけど、と言っている三日月に、あいつにもそんなまともな教育があったのかと心の中で口笛を吹く名瀬だが、三日月に自分の名前はどう書くのかと聞かれる。

 

「こうかな」

 

三日月王我主

 

半紙にそう書いてあるのを見て、三日月は

 

「同じ字が入ってる」

 

三日月は、そこが嬉しそうだ。

続いて、羽織を着たオルガが入ってきた。

 

「失礼します。お待たせしました」

「おお~似合ってるじゃねぇか」

 

三日月は早速オルガに自分の名前を見せる。

 

「ほら、同じ字」

 

家族ねぇ、と、笑って見ているが、一応大人として勉強もさせておく。

 

「「御留我」の「我」と「王我主」の「我」だ。「我」とも読む。

「自分」って意味さ。これからどんどん立場だって変わる。自分を見失うなよオルガ。でねぇと家族を守れねぇぞ」

「はい!」

 

こいつは聞き分けが良いねぇ。

だが、芯を曲げねぇ強さもある。

イイ男に成れよ?

 

式場に向かう途中、クーデリアから話がある、と言われて、眼を見りゃ分かる。なんて言うあたり素質はあるだろうさ。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

結局、式はすぐに終わった。

俺はオルガに断ってすぐに整備班長のところに行った。

 

「君がいってる間に医療班長に話を聞いてみたんだ」

 

もうなんだ。

バルバトスもほとんど形になってるし。

仕事が早いな。

 

「どうだったの?」

「結論から言うと、可能だよ。

阿頼耶識はナノマシンで脳に回路を増設する手術だからね。

実は、難度が高いのは最初の一回だけで、そこからは成功率はむしろ回数ごとに少し上がっていくんだ」

 

難しい話はよく分からない。

 

「まあ簡単に言ってしまえば、君の阿頼耶識は増やせるということだよ。

医療班長も、データが欲しいから協力してくれるってさ」

 

手術はテイワズが全力を出してやってくれるらしい。

まあ、俺はオルガたちのところに帰るから。

失敗なんてさせないけど。

 

「実はもう準備が出来てるんだ。

バルバトスもコネクタの増設に合わせてリミッターを完全に外しておいたよ。

ケーブルとコネクタも上位部品に交換しておいた。

医療班の部屋はこっちだ。もう明日には出発なんだろう?」

「うん。行ってくるよ」

 

これでもっと強くなれる。




阿頼耶識の強化
理論上、脳にナノマシンを追加する阿頼耶識はコネクタの数よりもそのナノマシンの作る回路の規模が性能に直結している。
単純に、コネクタを足したからって性能が上がるわけではなく、コネクタの最大通信速度と脳の許容量と処理速度が性能を決めます。
つまり、三日月はナノマシンを足して性能をアップグレードし、脳の負担を軽減。
更に、整備長がコネクタとケーブルを最適化しているので、理論上は対MA状態でもリスク無しというチート状態・・・
(ただし0.36の4乗の確率で下半身不随)
成功率を上げるには生贄が必要である・・・
だからあの人は失敗が無いようにと生体CPU化したわけで・・・
下半身を切り取る必要はないのよ?

ちなみに当然三日月は五体満足で生還しました。
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