天災兎と人喰いトカゲ 〜Armour Zone〜 作:TearDrop
あらすじにもある通り、仮面ライダーアマゾンズとインフィニット・ストラトスのクロスオーバー作品です。苦手な方はお戻りください。
それでもいいという方は、どうぞご覧ください。
EP.1 Amazonz
不思議の国のアリスを彷彿とさせるような衣装に身を包んだ女性ーー篠ノ之束は、ある人物からのメールでとある研究所に来ていた。
本来なら、心を許した人物にしか心を開かない束だったが、メールの内容に惹かれた。
メールの内容は、簡単な物だった。〝君が面白いと言える物がある〟とだけ。
後は研究所の場所だけが記載されていた。束はそんなメールに興味を惹かれ、研究所へとやって来た。研究員達は居ないのか、それとも姿を消したのか分からないが、束は奥へと進んでいく。
途中、血の臭いがした事から、束は嫌な予感をしていた。
もしかしたらという考えを捨てず、奥へ進むと〝デンジャー〟と英語で表記された巨大な扉が目の前に現れた。
束は扉に手を触れて開くかどうか確認しようとした時だった。
むわっと血の臭いがドアが開いた瞬間、臭ってきたのだ。束は鼻を抑え、顔をしかめつつ奥へ進んでいくと其処には液体が入った一つのポッドがあった。
それを見た束は呟いた。
「……面白いねぇ」
束の目の前にあるのは、〝人間の少年〟が入った一つのポッド。
しかし、ポッドの周りには幾つもの無惨な死体が転がっており、中には臓器を撒き散らしたまま死んでいる研究員。頭部がない研究員。心臓を抉られた研究員など、様々な死体が転がっていた。
「この死体の山は、まさかこの子が全部やったって事かな?」
束は近くにあるコンソールに視線を移すと、其処にはポッドに入った少年のデータが残されていた。データを見た束は怒りが込み上げてきた。
この少年は〝人工的に作られたクローン〟であり、束の親友とも言える人物〝織斑千冬〟の遺伝子から作られたクローンだった。
「あははは、面白いねぇ……笑えないけどね」
束はコンソールを操作し、ポッドを開閉する。
開閉した瞬間、中の液体がドバッと流れ出る。それと同時に、少年がポッドから落ちてくるが束が少年をキャッチする。
「なるほどねぇ。この子、クローンの割には華奢な身体つきをしてるねぇ。ちーちゃんに似せて造られたのかな……許せないなぁ。まぁ、束さんがこの子を造った奴をコテンパンにするけどねぇ」
束がふと、視線を少年から外した時だった。ポッドの下に不思議な物を見つけた。
束は少年を床に寝かせ、ポッドの下にある不思議な物を手に取る。それは、黒いベルトだった。しかし、ベルトの中央にはグリップが二つ取り付けられており、その中央には目のような物が二つくっついていた。
もしかすると、このベルトは少年の物なのだろうと考える束。すると少年が目を覚まし、フラフラと立ち上がるが直ぐに膝をつく。
寒いのか、身体を擦る少年。そんな少年に死んだ研究員の白衣を着せる束。
「キミ、名前はあるのかな?」
唐突な質問に、少年は何も答えられない。
しかし、少年は首を横に振ると束は笑みを浮かべて更に質問を投げかけた。
「じゃあ次の質問ね。ココにある死体は、キミがやった物かな?」
束の質問を聞き、少年は視線を周りに移す。
死体を見て、一瞬驚くが果たして自分がやった物なのか、そうでないのか見当が付かない少年は首を傾げる。
「そっかぁ……なら最後の質問ね。キミーーーココで束さんに殺されるか、束さんに着いてくるか、どっちがいい?」
束の質問に、目を見開く少年。少年はさっきまで優しそうな笑みを浮かべていた束が怖く思えてきた。しかし、少年は首を横に振る。
「それじゃあ、束さんに着いて来るんだね?」
必死に首を縦に振る少年を見て、束は笑みを浮かべると少年を抱き上げる。少年は一瞬驚くが、束の体温を感じ取って眠くなったのか、そのまま眠りについた。
「こうしてると、ちーちゃんそっくりだなぁ。でもまぁ、この子は面白そうで良いかもね」
束は少年を連れ、そのまま部屋を後にする。研究所を出てから数分、研究所は爆発し炎上した。
束の手には、研究所から拝借した研究資料と黒いベルト、そして〝銀色の腕輪〟が握られており、少年は燃える研究所を見ていた。
「どうかした?」
「あ……あ……うぅ……」
「もしかして、寂しい?」
「うぅ……あぅ……」
「大丈夫だよー。キミにはこの天才、篠ノ之束さんがついてるんだから!」
束は少年を優しく抱きしめる。
少年は束の急な行動に驚くが、少年も同じように束を抱きしめる。暖かいからか、それとも寂しさを紛らわす為か分からない。
しかし、少年は不思議と束を〝優しい人〟なんだと思い始めた。
「そうだ。キミにも名前が必要だよね。ちょっと待っててねぇ……」
束は少年から離れるが、少年はまだ離れたくないのか、束の腕に抱きつく。
束は少年に笑みを浮かべながらも、近くにあった小枝で地面に文字を書き始める。次々と文字を書いていく束は、少年にぴったりな名前は無いか考え始める。
すると、少年は束が書いたある文字を指差す。それを見た束は、少年に話しかける。
「この文字が良いの?」
少年は首を縦に振ると、束は少年に〝これから少年の人生がどこまでも長く続くように〝にと〝悠《ハルカ》〟と名付けた。
「キミの名前はハルカ。良い名前でしょ?」
「うぅ……あぅ……!」
少年ーーハルカは頷く。ハルカの顔は心なしか、笑みを浮かべているように見えた。
ふと、千冬の事を思い出した束だったが、ハルカが束を見つめている事に気がつき笑みを浮かべる。
「それじゃあ悠、行こっか!」
「うぅ……!」
束はハルカと共に歩み始めた。その足取りはゆっくりと、ハルカが歩きやすいように。束は考える。これからハルカはどうなるんだろうか、と。
もしかすれば、一生話せないかもしれない。こうやって束に甘える事しか出来ないのかもしれない。しかしそんな事はどうでも良かった。今だけは、ハルカと共に歩みたいとさえ思った。
◇◇◇
「アマゾン細胞……人の肉を食らう怪物……計画だと4,000体造られたみたいだけどその内の一体がハルカで、その他の3,999体は動作確認出来ず廃棄処分。代わりに人の肉を食べることの無い〝シグマタイプ〟を開発中ねぇ」
ラボに戻って来た束は研究資料に目を通しながら、コーヒーを飲む。隣では、ハルカがスヤスヤと寝息を立てながら、束の肩にもたれかかっていた。
ハルカの為に部屋を用意したが、束と一緒に寝たいと駄々をごねた為、こうしている。
研究資料には、アマゾン細胞というとんでもない細胞について記載されていた。どうやら、様々なクローンを造り、ゆくゆくは4,000体のアマゾンでISに匹敵する程の兵器を開発しようとしていた。
しかし、束が言うように唯一完成したアマゾンはハルカのみ。
残りは廃棄処分された。
「ISに匹敵って、ISを舐めすぎだよ。だって、束さんが〝造った子〟だよ?アマゾンとか訳の分からない物が勝てるはずないじゃん」
幾ら生物兵器でも、ISに勝てる筈がないのだ。
しかし束は隣で眠るハルカに視線を移した。スヤスヤと眠るハルカだが織斑千冬のクローンでもあり、体内にアマゾン細胞を宿らせている実験体でもある。
人を喰う怪物であるなら、いつか自分を喰うのかもしれないと思う束だった。
しかし、不思議と束は怖くなかった。ハルカはそんな事する子じゃないと、どこか確信めいた物があったからだ。
「うぅ……」
「あっ、起こしちゃったかな?ごめんね、直ぐに電気消すから」
「あぅ……」
「ねぇハルカ。ハルカは、束さんの事好きかな?」
「うぅ……うぅ……!」
ハルカは頷く。
〝好き〟という感情がどういった物なのか分からないが、束は自分にとって命の恩人でもあるのだ。それを見た束は笑みを浮かべ、悠を抱きしめた。
「ありがとう。束さんも悠の事好きだよ」
傍から見れば、まるで母と息子のような光景。
しかし、二人の実態を知っている者から見れば、〝天災〟と〝実験体〟。変わった関係だが、お互いに信頼関係の様な物が築かれている。
〝束〟はハルカの為、千冬の為に研究者を見つけようとしている。〝ハルカ〟は束の為に何か力になりたいと思っている。
そんな二人の関係がどうなるのか、物語がどうなるのかそれはまだ、誰にも分からない。
「さて、次はどうしようかな。ハルカの服を見つけるのも手だけど先ずはそうだなぁ……あっ」
束はふと、ある事を思い出す。
先日、〝面白い物〟を見つけた。其処には、ハルカと似たような境遇を持つ〝人造人間の少女〟が眠っているのを思い出した束は、ラボを操作し始めた。
もちろん向かう先は、〝人造人間の少女〟が眠る研究所だった。
如何でしたでしょうか?
少しでも楽しめたなら幸いです。
本来ならパソコンで投稿しようと思っていたのですが、パソコンの調子がどうも悪く、スマホの方で投稿しております。その為、改行できておらず読みにくいと思われますが、パソコンが直り次第修正致します。何卒ご了承ください。
→ハルカ
アマゾン細胞を体内に宿す織斑千冬のクローン。
篠ノ之束に助けられ、束に懐いている少年。今後、オリジナルの千冬と絡むかは謎である。
→篠ノ之束
ISの開発者であり、天災。
ハルカを助けた事によって、恐ろしい計画を知る事になる。