インフィニット・ストラトス~鉄と榴弾~   作:3×41

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第十五話 黒の空

シチリアIS学園都市研究開発ビル200M 市長室

 

 

ビルを上っていたラウラはレーダーの人体反応を頼りに市長室の前にたどりついた。

ラウラはシュヴァルツェア・レーゲンを転送し、右手でドアを開けて中に入った。

 

中に入ると、広い部屋の20mほど向こうの机に、シチリアIS学園都市市長、ウィリアム=バークレーが座り、その隣にサラ=ハースニールが立っているのが見えた。

サラの目には光がないようだった。ラウラがサラに向かっていった。

 

「サラ=ハースニール。これは一体どういうことだ?説明してもらおうか?」

 

ラウラがサラを見ると、サラはうつろな目でつぶやいた。

 

「アレ、、アレキ、、アレ、アレキサ、、ンダー」

 

ラウラが異常に気づく、サラの目には光がなく、口調はうつろだった。そういえば頭に見慣れないカチューシャのようなものをつけている。

 

そのかわりに、市長の机のウィリアムが口を開いた。

 

「ずいぶんと暴れてくれたようだね。きみは、たしかラウラ=ボーデヴィッヒといったか」

 

ラウラがゆっくりとウィリアムに視線を移すと、ウィリアムが続けた。

 

「レミー君は聞き分けがよかったが、サラ君はいくら説得しても納得してくれなかったのでね、こちらで少し手を打たせてもらった」

ウィリアムがサラのカチューシャにアゴをふって続ける。

「これは思念誘導装置でね、われわれの命令どおりに動いてくれる。君たちが何を言っても無駄というわけだ」

 

「なんだと、貴様・・・」

ラウラが表情を険しくする。

 

「おっとISを使うのはやめておきたまえ、どうせ動かん、特定の周波数を使ったIS以外はね。もう起動してるんだよ。IS機能停止装置が」

 

ラウラがウィリアムに尋ねる。

 

「なんのためにこんなことをする?戦争でもはじめるつもりか?」

 

「いいや?そんなことにはならん。証拠などいくらでももみ消せる。ここでは警察さえわれらの手中にある」

 

「こんなことは間違っている。貴様は指導者失格だ」

 

「間違っている?違うね」

ウィリアムがそういって両手を組んでアゴをのせた。

「これは善だ、よりおおいなる善だよ。ラウラ=ボーデヴィッヒ君、君たちのISはわれわれがさらなる研究にいかしてあげよう。今頃は君たちの飛空艦アレキサンダーも海の藻屑だ」

 

「なんだと?いったい何をしている?」

 

「それはおいおいわかることだ。サラ君」

ウィリアムがラウラを見ながら言った。

 

「彼女を拘束したまえ、そののち、アレキサンダーの破壊を支援したまえ」

 

ウィリアムがそういうと、サラの体のまわりが黒くゆがみ、サラの頭から彼女の専用ISグラビティカが装着されていく。彼女の目はうつろなままだ。

 

「アレ、アレキ、、、サンダー、、」

サラが小さくつぶやいた。

 

 

 

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シチリアIS学園都市上空

 

 

セシリアのブルーティアーズが大気を切り裂いて疾走し、シチリアIS学園研究開発ビルに向かっていた。

 

飛行しながらラウラに通信する。

 

「ラウラさん?ブルーティアーズのセシリア=オルコットですわ」

 

セシリアが呼びかけるとラウラから通信が入った。

 

『セシリアか、少しまずいことになってる。ビルに近づきすぎるな。IS無力化装置で落下するぞ』

 

通信のノイズが次第に強くなってきていた。

 

「IS無力化装置?そのビルにあるんですのね?」

 

セシリアはブルーティアーズを上空で停止し、はるか前方の230Mの巨大ビルを向いた。

 

「ラウラさんそこを動かないでくださいな。そのビルを破壊しますわ」

 

 

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セシリアはそういうと両手にビームライフルを持ち、ブルーティアーズのまわりに4機のビットを展開した。

 

それらの照準をはるかかなたに見える230mのシチリアIS学園都市研究開発ビルに向けた。

 

ライフルとビットの銃口が青く輝き始める。

 

「ブルーティアーズ、一斉掃射!!」

 

ブルーティアーズの4つのビットと2つのビームライフルが高速で青いビームを高速連射した。

 

ブルーティアーズから射出された数百の巨大な青い光の群れが夜の空を疾走しラウラのいる巨大ビルに向かった。

 

 

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シチリアIS学園研究開発ビル

 

ラウラのほうに歩いてきたサラが

ラウラに手錠をかけようとしていた。

 

そのとき、

市長室の右側の壁を破壊して青い光が出現し、

いくつもあらわれた巨大な青い光の柱が市長室の右の壁から左にとおりすぎていった。

 

数百の青い巨大な光の群れが巨大なビルに突き刺さり、貫通していく。

 

そしてブルーティアーズの掃射によってビルが崩壊をはじめた。

市長室の床がヒビわれ、斜めにかたむいていく。

 

気がつくとラウラは空中に投げ出されていた。夜の闇が彼女を包む。

 

夜の空間を落下しながら、すぐにラウラはシュヴァルツェア・レーゲンを転送し装着した。

セシリアのブルーティアーズの一斉掃射がビルのIS無効化装置も破壊したようで、

レーゲンのブースターが起動し、ラウラは空中で浮き上がった。

 

そのとき、ラウラのレーゲンのそばに黒い影が迫るのに気づいた。

 

ラウラがそちらを見ると、それは高速で接近するサラのグラビティカだった。

 

サラのグラビティカは高速で疾走しながら右腕に重力子を発生、圧縮し、そのまま超質量でラウラのシュヴァルツェア・レーゲンを殴りつけた。

 

「グアっ!!」

 

ラウラがうめく。

シュヴァルツェァ・レーゲンは至近距離で爆発を受けたように高速で吹き飛ばされた。

 

高速で吹き飛ばされ崩壊するシチリアIS学園研究開発ビルの隣のビルの窓に高速で突っ込んだ。

高速で窓を破り、ビルの中の床と天井を跳ね返り、壁をやぶりながら吹き飛ばされ続け、ビルの反対側から高速で飛び出す。

 

「グ、アグッ・・・」

 

ラウラはうめくとシュヴァルツェア・レーゲンのAICをやっと自分に使用し、

高速で吹き飛ばされた動きを停止させた。

 

そして気がつくと、まわりに薄暗い重力子が漂っているのがわかった。

 

サラの専用ISグラビティカである。

 

シチリアIS学園研究開発ビルの上空のグラビティカは

まわりに重力子を撒き散らして、無差別に重力場を発生させていた。

 

まわりのビルもグラビティカの強力な引力で破壊され、あるいはビルごと浮遊し、

サラのグラビティカのまわりに浮遊しはじめる。

 

「な、なんだこれは・・・」

 

グラビティカのまわりに浮遊する巨大な建造物群を見てラウラがつぶやくように言った。

 

グラビティカのまわりに大小さまざまな瓦礫、建造物が無数に浮遊しはじめる。

サラのグラビティカはそれにかまわず、グラビティカの足元に巨大な重力球を形成し、

飛行学園艦アレキサンダーのほうに体を向け、斥力を発生させながら重力球を強力に蹴り、

瓦礫や建造物をひきつれて弾丸のようなスピードでアレキサンダーに向かった。

 

「いかん!やつはアレキサンダーを破壊するつもりだ!」

 

いいながら、ラウラはシュバルツェア・レーゲンのブースターを起動し、サラのグラビティカを追った。

シュヴァルツェア・レーゲンを疾走させながらラウラは考えていた。

アレキサンダーを、教官を決して死なせはしない。それは自分の命を引き換えにしてもだ。

 

「どういうことですの?なぜサラさんがアレキサンダーを壊しますの?」

 

ラウラからの通信が返ってくる

 

『やつは思念誘導装置で操られている。アレキサンダーの破壊を命じられているんだ!』

 

「なんですって?ブルーティアーズはエネルギーの回復まで少しかかりますわ。ラウラさんはかまわず追ってください!」

 

 

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