翌日1000時 飛空学園艦アレキサンダー内
飛空艦の巨大な廊下を織斑千冬が歩いていた。
片手には携帯電話を持って耳に当てている。
『いやーそれにしてもキナくさい動きは感知してたんだけどここまでの事態になってるとは思わなかったよ~。ちーちゃんが無事でよかったー。これは愛だね』
「やかましい。こっちはひどい目にあったんだぞ」
千冬は携帯電話の向こうの篠ノ之束と話していた。
『でもちーちゃんちょっと考えてごらんよ。もしIS無効化装置なんかをもっと重要な場面で初見で使われてたらもっとひどいことになってたよ?』
「ふん、そんなことはわかっている」
歩きながら千冬が続ける。
「今回秘匿性の高い研究を事前に暴けた意義は大きい、肝心の計画の首謀者であるウィリアム=バークレーは額を銃弾で貫かれて死んでいたそうだがな」
『あちゃー。口をふうじられちゃってるねー』
「まぁいい、今後発生しうるこれらの脅威に事前に対処できるだけでも十分だろう」
『そんでさぁ。昨日のセシリア・オルコットのデータとってたんだけど。しってる?
あの超長遠距離射撃したときのISのシンクロ率なんだけどさー…』
「わかっている。3000メートル離れた場所から
高速で移動するISの頭部のみを掠らせる超精密狙撃。
あんなことができたのはあの瞬間、世界中でセシリア・オルコットただ一人だっただろう」
千冬は携帯電話を切って目の前に来ていた談話室に入った。
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談話室ではセシリアが一人で紅茶を入れ、ソファーに座って新聞を読んでいた。
談話室の扉から千冬が入ってくる。
「オルコット、ここにいたのか。アレキサンダーは二日後、シリチアをたって日本へ出発することになった」
「そうですの、了解いたしましたわ」セシリアがつぶやくように言った。
「ハースニールがオルコットに本当にすまなかったといっていたぞ、今は病院のベッドの上だ。会いにいってやったらどうだ」
「ええ、必ずまいりますわ」
セシリアは談話室の窓からアレキサンダーの外を眺めた
窓の外の海には巨大なビルが突き刺さりガレキが点々と見えていた。
その景色を見てセシリアが言った。
「織斑教官?」
「なんだ?」千冬がききかえす。
「今度またISの力が必要になったら、そのときは、必ずやこのセシリア=オルコットに要請していただけませんこと?」
セシリアがそういうと、千冬は少し考えていった。
「心にとめておこう」
セシリアは紅茶のカップを手にとって、口に運んだ。
一口カップを傾けると、
アールグレイの香りが口腔をくすぐり、かすかな甘みとやわらかい茶葉の味が口に広がった。
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