ヒキタニ君とイチャイチャするいろはが可愛すぎて……もう……。雪ノ下と由比ヶ浜より、(比企谷とイチャイチャする)いろはが好きだ。
主人公とヒロインがいい感じにイチャイチャする甘〜いssが本当に好き
岡部×紅莉栖、そげぶ×御坂美琴、士郎×セイバー/遠坂とか
有名どころは2ちゃん投稿作品もpixivもハーメルンも全部読み漁ったから、喪失感凄いんだよなぁ。
《天崩す龍神の咆哮》
龍の唸り───即ち空震により生じた衝撃波が会場に響き渡った。
『っっきゃぁああぁーー!!』
『とんでもねぇッッッ!!』
観客席を襲った《天崩す龍神の咆哮》の余波は、魔力障壁が無ければ観客ごと会場を吹き飛ばしていたことだろう。
事実それがあったにも関わらず、ガラス等はとうに砕け散り、リングは原型を留めていなかった。
そんな混乱が止みそうになった時。
観客の誰かが叫んだ。
『う、うわぁぁああぁぁーーー!!!!』
王馬の足元を見れば───左半身が消し飛んだ加我恋司が血の池に浸かっているではないか。
『…嘘だろ、おい!?』
『殺しやがった!!あの野郎!』
天を崩壊させんとする一撃を、《鋼鉄の荒熊》の体は耐えきれなかったようで。残った三本の右腕で体を守ろうとしたものの左半身は見事に消し飛んだ。
生気を感じさせない虚ろな目でリングに転がっている加我。
そんな中、リングへ跳躍する影が一つ。
「───《時間凍結》!!」
この事態に早急に対応した──時空を自在に操る《世界時計》だ。
自身が持つ霊装の内の一丁、白銀の短銃《エンノイア》にて加我を流れている『時』を停止させた。
「担架をッッ!!早く彼を医務室へ運べッ!」
彼女の声に応じて、十数人のスタッフがリングだった場所に下りてくる。今となっては《天崩す龍神の咆哮》の衝撃で、まともな足場などそう無いが。
「私の能力が効いているうちに早く!!時を巻き戻せばまだ間に合う!」
加我の半身が消し飛んでからそれほど経っていない。そのタイミングで時間を停止させたため、時を巻き戻せるのだと黒乃は言う。
数十秒巻き戻れば加我の体は、左腕が欠損しただけの状態に戻る。そうなればカプセルでものの十数分治療すれば完治できるのだ。
迅速な対応をする救護班。
その様子を王馬は何も感じずにただ見つめていた。
(……駄目だな。こんな軽い一撃ではあの男には届きもしない……)
最高ランク騎士に相応しい圧倒的な実力の一端を見せつけたにも関わらず。
《風の剣帝》はあれほどに強烈だった《天崩す龍神の咆哮》すら『軽い』と断じたのだ。
担架に運ばれ退場したかつてのライバルに、一切の情も抱かないように視線を切り、踵を返す。
『な、なんということでしょう!?同じリーグを戦い抜いた戦友に、なんの情も抱いていないのかぁっっ!?』
もしこの技を使ったとしてもサイタマには効きもしないだろう。
ならば────更なる力を求めるだけだ。未だ届かない、『人間』を超えた高みに手を伸ばせばいいだけのこと。
『第62回七星剣舞祭初戦の勝者は黒鉄王馬選手だぁぁ!!な、なんという幕開けでしょうか!!?』
七星剣舞祭初戦。本来なら徒ならぬ興奮が会場を包み込むはずが。
こと今回においては、賞賛の拍手をする者すらおらず。
会場を包んだのは興奮ではなく、戦慄と恐怖。観客はリングから去る王馬を静かに見送るのみだった。
実力差は歴然だったのだ。あの一撃は誰がどう考えてもオーバーキルだ。命まで奪おうとするのは、あまりにも殺意の高い危険な行為では無いのか。
この試合結果に凍りつく会場の中────
拍手と共に彼を祝福する者が一名。
『この拍手は?……』
「……貴様か」
彼が入場した赤ゲートの上付近の席に座っていたサイタマだ。そこからリングの外へ出ようと歩いていた時、彼と丁度目が合う。
『拍手を送った彼は……一体誰でしょうか?王馬選手と知り合いのようですが』
『誰や、あのハゲ……』
『なんか《風の剣帝》と話してるぞ?』
観客たちは、見たことのない男が王馬に称賛を送っているのを見て困惑しているようだ。
だが、それは王馬のトドメの一撃の意味をわかってない者がこの会場に多くいたからこその困惑。
サイタマはその一撃の意味を分かっていた。
「お前があそこまでやったのは、ぜってぇアイツに勝ちたかったからだろ?」
加我は伐刀絶技を応用し、昇華させ、腕すら増やす使い手だったのだ。
王馬があまりに強すぎたために霞んで見えたが、《鋼鉄の荒熊》はかなりの実力者。
"手足を切り飛ばした程度"では決め手として足りない可能性も十二分にあった。
「アイツだって真剣だったもんな」
加我恋司という男は、《風の剣帝》を本気で打ち倒そうとしていた。本気で実力をつけてきた。
それに応えるために王馬はあえて圧倒的な勝利を収めたのだ。
「そーだろ?」
「……どうだかな」
「素直じゃねぇ奴だ」
サイタマの言葉を聞いた後、王馬は静寂に支配された会場を後にした。
○
王馬の試合後
会場は、王馬への批判が巻き起こっていた。曰くやりすぎだった、と。
先ほども言ったが、それは王馬という人間の本質・騎士としての心構えを見抜けない者の戯れ言だとも言える。
ただ《風の剣帝》対《鋼鉄の荒熊》はその結末こそショッキングだったが、確かにインパクトが強い試合だった訳で。
続く【Aブロック】の試合は彼らの試合ほど盛り上がらなかったのも事実だ。
○
会場が【Aブロック】初戦の話題で持ちきりのそのころ。
赤ゲートへ続く通路を王馬が、マスコミに囲まれながら歩いていた。
『かつての世界王者』『消えたAランク騎士』と呼ばれていた、そんな王馬にマスコミが食いつくのは当然だった。
『なぜあんな試合の終わらせ方をしたのか?』という質問は当然。他にも『今までどこで何をしていたのか』『なぜ『暁学園』に加担するのか?』など、五年ぶりに表舞台に姿を現した王馬に質問をぶつけ続けた。
王馬はそれら一切に対して無言で返し、通路を歩き続けていたのだが、その中でも唯一つ、足を止めた質問があった。
『最後に王馬選手とお話ししていた彼は一体?』
「────」
王馬は一瞬口を開いたものの
「………………」
結局、何も言わずにそのまま後にした。
ただマスコミは彼の反応から気づいた。正体不明のあの男は、黒鉄王馬を動かした何かを持っている事に。
●
第62回七星剣舞祭において名を馳せるのは、勝ち上がる《落第騎士》だけでは無かったようで。
彼の師たるサイタマもこの剣舞祭をきっかけに、さらに注目されることになる。
───もっとも、初めは『贋作』という被り物を借りることにはなるのだが。