千の呪文の男の義息子!?   作:さむでい

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ご無沙汰しております......
2年以上も期間が空いてしまい申し訳ありません......

久しぶりの投稿ということで、文体等が以前と少し違ってくる可能性もあります。
ご容赦のほど......



3話

 さて、時間は流れ現在23時10分前である。

 ギンジは約束通り、顔見せのため広場前に来ていた。......気配を消して......かつ、変装をして......本当に普通には行動できないギンジである。

 

 

 そうこうしている間に魔法関係者の生徒・教師が集まってきた。

 

 

「ふむ、全員揃っておるようじゃの?今日皆に集まってもらったのは新しい警備員を紹介しようと思っての」

 

 

 ぬらりhy...学園長の突然の発表に周囲はざわつく。生徒・教師を代表してか色黒の教師が声をあげる。

 

 

「学園長。その人物は信用に足る者なのでしょうか?」

「うむ、それを確認するためにも皆に集まってもらったのじゃ」

「しかし学園長、その人物は来ていないようですが?時間も守れないような者を信用できるのでしょうか?」

 

 

 色黒教師...もとい、ガンドルフィーニの発言に周りも同意の声があがる。とは言っても、やいのやいの言っているのは、いわゆるガチガチの立派な魔法使い(マギステル・マギ)至上主義の者達のみであるが......

 

 

「まぁまぁ、落ち着くのじゃ。約束の時間まで10分あることじゃしの」

 

 

 学園長がそう嗜めてもなかなか静まってはくれない。

 そんな様子をある人物の横から気配を消して傍観していたギンジは......

 

 

「なんか血圧高そうな人らばっかりやなぁ......降圧剤服用者の集まりか?ここ?」

 

 

 なんともマイペースである。

 現在進行形で自信のことをボロクソ言われているのにも関わらず飄々としているのは、さすがのメンタルとしか言いようが無い。

 

 

「ふん。じじぃが絶対に来いと言うから来てやったものの、この私を待たせるとはいい度胸をしているのだな。新人とやらは」

 

 

 先ほどから不機嫌オーラを隠そうともしないギンジの横の人物がそうつぶやく。

 実を言うとこの人物、魔法界では知らぬ者はいないくらい有名な人物である。魔法界のなまはげこと、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル。......しかし、そのなまはげも渦中の新人が自分の横にいるとは気がついていない。したがって、ギンジの隠密レベルはかなり高い。

 

 

「お、23時やな。よっしゃ顔出すかー」

 

 

 約束の時間になったこともあり、ギンジは気配遮断を解く。

 

 

「ぬお!なんだ貴様は!?貴様が例の新人か...っぬわぁぁぁ!!!?」

「ん?っッキャー!!!?」

「どうかしたのか...ひぃ!?」

「お、来たかの?...っひょ!!?」

 

 

 突然のギンジの登場に場は騒然となる。どうにもおかしなことに、驚愕だけでなく恐怖の声も混じっている。

 

 

「敵襲か!?」

「あんなモンスターみたことないぞ!?」

「悪魔か!?」

 

 

 なんとも酷い言われようである。が、それもそのはず、ギンジの変装に問題があった。

 ギンジはなんと変装にペストマスクを着用し、真っ黒の全身コートで登場したからだ。シュコーシュコーいっている。

 

 

「落ち着くのじゃ!......さて、お主は何者かの?敵であるならば容赦はせんぞ?」

 

 

 さすがの学園長。いち早く落ち着き警戒態勢にはいっている。

 

 

(あるぇ〜?顔見せ言うたから一発ネタ仕込んできたのに、なんかすっごいシリアスになってる......)シュコーシュコー

 

 

 なんとこの男ネタでこのような奇想天外な格好をしてきたようだ。馬鹿である。

 

 

「して、お主は魔の者かの?」

「あ〜、学園長?俺ですけど?」

「ひょ?もしかして、ギンジ君かの?...なんちゅう格好で来とるんじゃ!」

 

 

 正体に気付いた学園長は一気に脱力からのツッコミである。

 

 

「おー、さすが京都出身。ええツッコミしますね!」

「ひょ?そうかの?やはり関西の血は抜けきらんの〜」

 

 

 なぜか照れる学園長。悠長な二人に周囲はポカーンとしている。

 

 

「が、学園長!?一体何者ですか!?」

 

 

 正気に戻ったガンドルフィーニが物申す。

 

 

「ひょっ!?そうじゃった!この者が新しく警備に携わることになったものじゃ。さて、自己紹介といこうかの?」

 

 

 完全にギンジに長されていた学園長が正気に戻ると、ギンジに自己紹介を促す。

 

 

「は〜い。今日から新しい警備員になります春野ギンジですぅ。よろしゅう頼んます」

 

 

 未だにペストマスクを装着しながら挨拶をするギンジ。魔法生徒はまだ立ち直れていない。

 本名を名乗ると大騒ぎになるため、偽名にしたようだ。とは言っても、ファミリーネームを直訳しただけであるが......

 

 

「ふざけているのか君は!?早くそのマスクを取らないか!」

 

 

 ガンドルフィーニがキレるのも当然のことである。

 ギンジ自身、そろそろ飽きてきたな〜なんて思っていることもあり、ペストマスクを外す。

 

 

「ふい〜。アツ〜。あ、どうも改めまして、春野ギンジです」

「あ、あぁ......よろしく」

 

 

 凄まじく警戒されているのにも関わらず、全く態度を変えないギンジに毒気を抜かれたのか、ガンドルフィーニも挨拶を返す。

 

 

「ん?まだ何か怖がってる子いるなー。ごめんね〜」

 

 

 本当に緊張感のない奴である。

 そうこうしているうちに、だいぶん周囲が落ち着いてきた。

 

 

「学園長。春野君の人となりはなんとなくわかりました...危険はないでしょうが...しかし、実力の方はどうなのでしょう?」

 

 

 ここで初めて発言したのは、男性教師の明石である。その発言に皆が賛同する。

 

 

「そうじゃの〜。では、模擬戦を行おうかの。誰がよいかの〜?......ふむ、高畑先生頼めるかの?」

「僕ですか?えぇ、僕でよければ喜んで」

 

 

 学園長の指名に魔法生徒だけでなく、教師もざわつく。

 指名された男性、高畑・T・タカミチはこの学園でも5本の指に入るほど強い。くわえて、魔法界でもかなり有名であるのだ。

 そんな彼を指名するほど、新人警備員は手練なのかと周囲は息を飲む。

 

 

「お?お兄さんが相手しくれんの?お手柔らかに〜」

 

 

 手練......なのか?

 だれ〜っとお辞儀をする当の本人の緊張感の無さに周囲も疑念を持ちはじめる。

 

 

「ほな、ぼちぼちやろかー」

「あぁ、よろしく頼むよ」

 

 

 このまったりした空気の中、模擬戦が開始される。

 

 

 

 

「おい!私を放置して勝手に進めるなー!!」




はい、今回は自己紹介回でした。

久しぶりの投稿なのにほとんど進まず申し訳ありません......

今後も不定期更新となるかと思われますが、よろしくお願いします。

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