「…ようやくか」
「はい、既に全員集まっています」
扶桑皇国のとある軍事施設の部屋でくつろいでいた織田信政は部下の報告を受けて立ち上がった。
「特別機動部隊隊員1500名すでに乗艦を終えています。あとは元帥閣下だけです」
分かった、といって信政は歩き出す。施設を出ればそこには一隻の軍艦があった。戦艦のような巨体に巨大な砲門。その姿は、どこか神々しさすら感じさせるものがあった。
しかし、信政がいる場所は海や川は近くにはなく戦艦が進めるような地形ではなかった。だが、これは海を使わず空を飛ぶ戦艦、航空戦艦である。
全長320m。計画されている大和型戦艦を優に上回る全長を誇りネウロイのコアを用いた駆動路により半永久的な活動が可能となった。また、ネウロイのエネルギーを使い主砲とリンクすることでネウロイのビーム級の砲撃を可能としている。しかし、これは理論上の話であるためこれからの運営で試していく必要があった。
「閣下、ウィッチーズ小隊は現在哨戒任務中で日本海上空で合流予定です」
「分かった。なら、急いで向かうとしよう。待たせるのはよくないからな」
1940年。ネウロイとの戦争がはじまりすでに一年がたっているが人類は防衛で精いっぱいの状態になっていた。
そんな中海軍中将だった織田信政は開発に成功しつつある航空戦艦を用いた少数精鋭による機動攻撃を提案。渋る扶桑皇国上層部をごり押しで認めさせると扶桑皇国空軍を創設。ネウロイ殲滅を目的とした信政は扶桑皇国の軍人たちをスカウトしていき1941年、「特別機動部隊」が完成し、すぐにウラル山脈以西に向かいネウロイの巣撃滅の任につくこととなっていた。
特別機動部隊は1500名。それに加えて六名のウィッチによる特別機動部隊ウィッチーズ小隊が組まれ簡単な哨戒任務を行い日本海で合流する予定となっていた。
「ありえないわ!こんなのありえない!」
日本海上空。4年前にネウロイの攻撃を受けたが今では平穏な海となっているこの海の上空で少女の悲鳴が響く。新型のストライカーユニットを身に着け頭から犬耳を生やした少女は大声で喚く。
「なんで私があいつの下につかないといけないのよ!私はウィッチなのよ!?」
少女・特別機動部隊ウィッチーズ小隊隊長皆川京子少佐は犬のようにガルルルルと来るであろう航空戦艦の予定進路の方に唸る。
「まあまあ、織田閣下は海軍中将だったのよ?少佐殿ではとても…」
わめく少女を落ち着かせようと特別機動部隊ウィッチーズ小隊副隊長の坂田芳江大尉はフォローするが京子はキッと芳江をにらみつける。
「それが気に食わないのよ!おかしいでしょ!?たった20そこらで中将なんて!」
「確か新しく創設された空軍の元帥になったので異例の大出世ですね」
「なんなのよあいつは!」
「で、でも!お、織田元帥は、織田家総本家当主と聞きました!」
二人の会話に隊員の藤堂正子が入る。正子の言葉に京子は納得する。
「なるほどね。つまりそんな御大層な肩書のおかげってわけね。道理で22で元帥になれるわけよ」
「(それだけではないのですが今言ったら火に油を注ぐようなことになりそうですね)そうですね」
内心突っ込みながらも芳江は京子に相槌を打つ。
「あっ、来たみたいですよ」
そこへ周囲を警戒していた隊員の桜川玲奈が特別機動部隊の到着を告げた。それと同時にうっすらと巨大な航空戦艦が見えてきた。その大きさに隊員たちは驚く。
「凄い…!」
「戦艦大和よりも大きいかも…」
「しかも空を本当に飛ぶなんて…」
あっけにとられるなか隊長京子一人は鼻をならす。
「ふん!でっかくて空を飛んでもネウロイには無力に決まっているわ!ネウロイは私達しか倒せないんだから!」
『…こちら航空戦艦扶桑。そちらはウィッチーズ小隊ですね?』
そこへタイミングよく航空戦艦から通信が入ってきた。もし少しでも早かったら京子の言葉を聞かれていただろう。
「こちらウィッチーズ小隊。現時刻をもって特別機動部隊の指揮下に入ります」
『…確認した。ようこそ特別機動部隊へ。着艦は後方の甲板からするように』
こうしてウィッチーズ小隊は何事もなく航空戦艦と合流して航空戦艦扶桑は目的のネウロイの巣撃滅へ向かうのであった。