二日後、なのはは学校に来なかった。
すずかとアリサには電話で手伝うって言ったらしい。
そういえば、電話番号教えてなかったな、とか思いつつ。
「失いたくない、か」
かつての薄ら残った記憶。その中の一場面。
彼女と決着を付けに行った時のことだ。
あの子の慟哭だったのだろう。それは悲しくも、続いて欲しいと願っていたことだから。
「アルフレートくん、ぼうっとしてるしこの問題といてくれるかな?」
だがまあ、同じことを繰り返す必要はないだろう。
伯林の人たちは前を向いた。幸いを探すのだと。なら、俺は……
「なんで積分なんて使ってるの! そんな難しい問題じゃないでしょう!?」
「合ってるなら問題ないだろう」
「あーもう! この問題の正しい解き方は……」
あの日のバカども、この空は今も青いよ。
算数の授業が終わるとともにメールが届いた。警察からだ。
「……は?」
「どうしたのよ」
「どれどれ……え?」
どうやら、警察に放り込んだ身元不明の男は自殺したらしい。
「転生とかなんとか言ってたし、死んだらまた次があると思ってるわけか」
「なんか、人生を舐めてるわね」
「一度しかないから必死に生きるのに、次があるからと安易に死を選ぶのは、最悪だな」
一度しかないから足掻くように生きるのだ。一度しかないものだから大切にするのだ。それを知らないというのなら、何度生まれ変わろうとその一生に価値は無いだろう。
「気分が悪くなった。購買で飲み物でも買ってくる」
「オレンジジュース」
「午後ティーレモン」
「……俺をパシリだと勘違いしてないか?」
「駄賃も払ってあげるからさっさと行ってきなさい」
そう言って五百円玉を投げ渡してきた。
こうなったら逆転の目はない。
「よっと」
階段を飛び降り、手すりで体を捌いて一気に二階まで降りる。
そこから窓を飛び降りて渡り廊下の屋根を伝い、となり校舎の窓から入り購買にたどり着く。
「さて、オレンジと午後ティーのレモンだったな」
コラー! 階段を飛ぶなぁ!! なんて聞こえたが無視だ。
飛べるようにする方が悪い。
「午後ティーレモン、オレンジジュース、コーヒーを一つずつ」
「350円ですので、お釣りが150円です」
「Danke」
「ほら、要望の品だ」
「いや、助かったわ。昼休みくらいじゃないと走らないと間に合わないのよね」
「その点アルは人が通らないショートカットを使うから助かってるよ」
要はていのいいパシリだろうに。
「さて、態々面倒事に首を突っ込んだバカは……どうせ楽しくやってるか」
きっと恐怖さえも知らずに。
その魔法によって、何かが死に何かを救うこともあるだろう。
だが、それを背負えるだけの覚悟は彼女の中にあるのだろうか?
書き溜めが積もって、転生者のキャラシも出来ちゃったので、
後日連続投稿を敢行する。二度は言わない、忘れるな。