ダンダンダンダンダンダンッ!
カチャ、カランカランカランカラン、
カチカチカチカチカチカチ、
「時間だよ。腕がいいのはわかったけど、そこまでだ。
若いから腕の負担も大きいだろう?」
今日は土曜日。暇だから陸自の射撃場に来ていた。
銃なんて持つの久々だったから自信はなかったが、悪くない出来ではあった。
「三十発中外れが六ってのは凄すぎるだろ。ハンターか自衛隊員にでもなる気か?」
「ハンターか。それもまた悪くなさそうだな」
そんな軽口をぶつけ合い、銃をバラして各パーツの歪みを確認し、油をさして、銃身のススを落として組み立てなおす。その手つきを見て、ポカンと自衛隊員は呆けていた。
「こんなものか」
「あんた、アメリカ人か?」
「いや、ドイツ人だ。父親が趣味でハンティングをしていたからメンテナンスを盗み見ていた」
ドイツも銃を所持するのに法律があり、そこそこ厳しい。
「にしては手際がいいな。何度かバラしたこともあるだろ」
「あ、分かる?」
違法だがな、と言って笑い合う。
「行くとこないなら自衛隊に来いよ。その腕前なら体力さえつければ狙撃兵として一人前だな」
「考えておく。前線に出ないのに銃撃訓練とかわけわかんないけどな」
「伏兵に襲われたり、国家防衛には必要だからな」
なるほど、理にかなっている。
「まあ、何になるかは追々だな。まだ小学生だし」
「そうだな。なりたい職業を探すことだ」
なりたい職業か。自分で見つけないとな。
「そうする。楽しかったよ、午前中の体力訓練はかなり辛かったけど」
「嘘つけ、平然とランニングは走ってたじゃねえか」
ゲラゲラと予備役の自衛隊員と笑う。
「また来るよ。今度はもっと体力をつけて」
「おう、匍匐前進までできるようになってまたこい。もっと絞ってやるから」
この日、小学生が平然とランニングカデンスに着いてきていたせいでペースが遅れた連中は酷いことになったらしい。
受付で体験を終了して、アンケートを記入し、提出して帰る。
バスに乗ろうとしたところで二人に捕捉された。
どうでもいいからバスに乗ることにした。
バスの移動中、全員が無言だった。
バスが海鳴市のバスターミナルに到着し、
「来て欲しい。母さんが呼んでる」
「俺を連れて行ったところで、何もならんぞ」
「それでも」
ふと、男の方を見る。
「まあ、来てくれると助かる。一宿一飯の恩があるからな」
どうやら、選択肢は端からないらしい。抗うなら、殺して行くしかないようだ。
しかし、
「目的は?」
「……言えない」
……
「壊すことしか能のない俺に用があるのか?」
「召喚もしていたじゃないか」
「……アレをするのに二ヶ月かかったのに?」
「……」
互いに情報が足りていない、と言ったところか。
「何を期待しているのかしらんが、俺は五行師だ。余程じゃなければ無機物しか作れない」
「……そうか。
ところで、お前はジュエルシードを集めるのはやめたのか?」
「俺は壊して回っていただけだ。手を出す必要が無くなったらそれでいいだろう?」
「あー、もしかして、本当に何も知らないのか?」
「だから、何の話をしているんだ。
危険だから壊すな、としか言われてないぞ」
「ああ、いい。忘れてくれ」
「はぁ」
「とりあえず、話を聞くだけでもいいから着いてきてくれないか?」
「まあ、聞くだけならな。ジュエルシードをどうこうするのに手は貸さない」
「それでもいい。母さんが、待ってる」
(母さん、ね)
――???side
転生者と思わしき人物と対話する機会ができた。
彼はこの世界に移る際のルールを知らないらしい。
『あるべきをねじ曲げ、なかったことを有ることに変えてしまえば身を滅ぼす』
この基本ルールさえ知らないということは、どうやら転生者じゃないらしい。
話によるとアルフを殺そうとしたそうだ。脅しではなく、本気で。
前回の邂逅も、下手をするとフェイトを殺していた。
「外れ、かぁ。ニュースに上がっていた男が転生者確定だからとりあえずは安心だな」
自分がこの世界に送り込まれた理由は、輪を乱す転生者を消すこと。所謂抑止力になれというものだった。最後の一人ははやてのもとか、あるいは次元世界でのんびりしているのだろう。
「全てはあるべきように」
それが自分の願いだ。