21
八月、夏も終盤に入り宿題もとうに終えすることがなくなって歴史書を読みに図書館に来ていた。
目的は、自分の板世界との整合性について。
「んっと……」
そこに、茶髪で髪留めをし、車椅子に乗った少女がいた。
少女は本を取ろうとして体を伸ばすも座っているために届かないようだ。
「どれだ」
「ふぇ?」
「どの本だ、と聞いている。二度は言わない忘れるな」
「えっと、そこの茶色いハードカバーの」
中段の、左から三番目の本か。
「これだな」
「そう、それです。おおきに、助かりました」
「無理して転けられる方が困る。自分の領分を間違えるな」
「優しいんですね」
「さてな。世界で二番目に面倒くさがりだぞ、俺は」
「一番じゃないです?」
「世界で一番だなんて、そんな自信過剰な」
「ふふっ、面白い人なんやね」
笑われるようなことはないつもりだったが、泣かれるよりましか。
「アル、論文見つけた……ナンパ?」
「どうしてそうなった、月村すずか」
頭を抑えつつ、そんな事を聞いてきた本人に尋ねる。
「いや、普段と違う場所で普段と違うような女の子とだったし」
「ああ、随分と脳が傷んでいたんだったな。すまない」
「酷っ、原因が放り投げるなんて酷すぎるよ!?」
「えっと、お名前教えてもろてもいいでしょか?」
「アル、アルフレート・M・陽阪」
「私は月村すずか。よろしくね」
「うちは八神はやていいます。よろしゅうお願いします」
あれ、なにか両足がおかしいような……遺伝詞が侵食されてる?
そんなことを気にしていると、ゴスっと肘打ちが入った。
「何をする」
「いやらしい、変態」
「おかしな遺伝詞の流れを観察していただけだ。
両足とも、何かに侵食されている」
「えっ」
「へっ?」
「……ホントだ、何かおかしいね、これ」
「多分、病気のせいやと思いますよ。何を見てそないなこと言ってるかわかりませんけど」
多分、逆だな。
「悪魔契約術、ではなさそうだし……何かしらの代償として生命力を奪われているな。そのうち
「代償て、そんな大げさな」
大げさな話じゃなきゃいいんだがな。
「まあ、気をつけることだ。これ、電話番号だ。
病状が悪化して来たら連絡をくれ。多少の延命と対策をしよう」
「は、はぁ。……宗教ですか?」
「バカめ、何もしない神なんぞに祈ってどうする」
「うわっ、各教徒に喧嘩を売ってるよそれ」
「ゴホン、ともかく、ある程度は手を貸そう。
主に手を貸すのは忍だがな」
「ああ、なるほど」
はやては首をかしげているが、なにか感づいてもいそうだ。
「はやて、本は見つかった?」
「あ、俊くん。ちゃんと見つかったよ」
「君たちは?」
「月村すずかです」
「アルフレート……アルでいい」
「そうか、俊介だよろしく」
握手をして、
「じゃあ、俺たちも行く所があるからな。くれぐれも事故には気をつけろ」
「わかっとるって」
初の邂逅は、こんなものだった。