夏がすぎれば秋となり、あっという間に時は過ぎた。
まもなく師走、師も走るほど忙しいと言われるほどだが、実際は語源が違うらしい。
全く、日本語はややこしいな。
「むっ」
結界、か。近場で感知できるのはすずかと忍だけ。
遠いところに二人いるな。
「さて、お迎えしますか」
神形具を手に、土蔵を出て庭に向かう。
「やっほー、何事?」
「お姉ちゃん、ちょっとは緊張感とか……」
「敵襲だ。できるだけ生かして早く寝たい」
「了解、殺さないようには気を配る」
「忍」
「何?」
「
「単二型だっけ、で一二本か。貴重だなぁ」
運命の下取り付け部に差し込み、刀身を出す。
排気を使わせないのは長期戦を見越してのもの。
『新世界に、映らぬものはない』
「一発来たわよ!」
「砕く、警戒頼む」
「了解」
「うん」
あ
という鈍い詞色が響き、飛んできた球体を打ち砕く。
と、ほぼ同時に背後から奇襲。
「アアアァァ!」
――すずか・草薙/
ハンマーの振り抜きに合わせて草彅を発動草薙の刃にぶつかり、襲ってきた赤い少女が吹き飛ぶ。
「あれ、私必要?」
「因果干渉できるとあっちの後衛に対処できるからな」
「なるほど、二人共遠距離攻撃あっても近接メインだしね」
ア
という鈍色の遺伝詞を五行して宙に佇むピンクの方を追撃する。
「ハアアアアアアア」
――すずか・草薙/剣術技能・重複発動・草薙射撃・成功。
――すずか・草薙/剣術/剣術/腕力技能・重複発動・草薙射撃・成功。
続いて赤色の逃げた先にすずかが草薙を追撃として放つ。
ハンマーから障壁を発生させたような不可解な甲高い音がして、砕け散る。
「なっ!?」
少女の悲鳴と、驚愕の声が聞こえ、
そして、二発目の草薙がハンマーに罅を入れる。
「アイゼン!?」
その瞬間、直感に従い前に走る。
虚空から腕が伸びてきて、何かを掴みそこねていた。
「よっと」
忍が伸びた刀身で生えた腕を斬りつける。音的に骨まで逝ったか。
一人は戦闘不能、もう一人は武器が壊れた。もう一人は近づかせていない。
「ナイス忍」
「たまには働かないとね。相手も干渉系とは思わなかったけど」
取り敢えず、数の優位はとった。
さて、次はどんな手で攻めて来る?
「遅いぞ、様子を見に来たが……撤退すべきだな」
「ザフィーラ、だけどまだページを――」
「この状況では無理だろう。ほとんど魔力を持ってない二人と大量の魔力を持ってる一人。
その三人にこの状況を作られた時点で我らの負けだ。全員で挑んでチャンスがあったかどうかだ」
「逃げるんなら追わないぞ、さっさと寝たいしな」
「え、追撃しないの?」
「掃討しないの?」
「お前ら、俺をなんだと思っているんだ。基本的には温厚で平和主義な人物だぞ?」
「でも応用的には過激で容赦ない性格だよね?」
言い返せなかった。やるときは結構本気な気がする。
「ともあれ、ここで退くなら止めはしない」
「覚えてろよ」
「覚えてる間はな」
悔しそうに、赤とピンク、獣耳、そして遠くの人物が逃げていった。
さて、寝るか。