遺伝詞が見える少年   作:リボルビングバンカー

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五話目


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 夏がすぎれば秋となり、あっという間に時は過ぎた。

 まもなく師走、師も走るほど忙しいと言われるほどだが、実際は語源が違うらしい。

 全く、日本語はややこしいな。

 

「むっ」

 

 結界、か。近場で感知できるのはすずかと忍だけ。

 遠いところに二人いるな。

 

「さて、お迎えしますか」

 

 神形具を手に、土蔵を出て庭に向かう。

 

「やっほー、何事?」

 

「お姉ちゃん、ちょっとは緊張感とか……」

 

「敵襲だ。できるだけ生かして早く寝たい」

 

「了解、殺さないようには気を配る」

 

「忍」

 

「何?」

 

精燃槽(フロギストンタンク)だ。大切に使え」

 

「単二型だっけ、で一二本か。貴重だなぁ」

 

 運命の下取り付け部に差し込み、刀身を出す。

 排気を使わせないのは長期戦を見越してのもの。

 

 

『新世界に、映らぬものはない』

 

 

「一発来たわよ!」

 

「砕く、警戒頼む」

 

「了解」

「うん」

 

 あ

 という鈍い詞色が響き、飛んできた球体を打ち砕く。

 

 と、ほぼ同時に背後から奇襲。

 

「アアアァァ!」

 

――すずか・草薙/剣術技能(ソードテック)・対抗重複発動・右袈裟・成功。

 

 ハンマーの振り抜きに合わせて草彅を発動草薙の刃にぶつかり、襲ってきた赤い少女が吹き飛ぶ。

 

「あれ、私必要?」

 

「因果干渉できるとあっちの後衛に対処できるからな」

 

「なるほど、二人共遠距離攻撃あっても近接メインだしね」

 

 ア

 という鈍色の遺伝詞を五行して宙に佇むピンクの方を追撃する。

 

「ハアアアアアアア」

 

――すずか・草薙/剣術技能・重複発動・草薙射撃・成功。

 ――すずか・草薙/剣術/剣術/腕力技能・重複発動・草薙射撃・成功。

 

 続いて赤色の逃げた先にすずかが草薙を追撃として放つ。

 ハンマーから障壁を発生させたような不可解な甲高い音がして、砕け散る。

 

「なっ!?」

 

 少女の悲鳴と、驚愕の声が聞こえ、

 そして、二発目の草薙がハンマーに罅を入れる。

 

「アイゼン!?」

 

 その瞬間、直感に従い前に走る。

 虚空から腕が伸びてきて、何かを掴みそこねていた。

 

「よっと」

 

 忍が伸びた刀身で生えた腕を斬りつける。音的に骨まで逝ったか。

 一人は戦闘不能、もう一人は武器が壊れた。もう一人は近づかせていない。

 

「ナイス忍」

 

「たまには働かないとね。相手も干渉系とは思わなかったけど」

 

 取り敢えず、数の優位はとった。

 さて、次はどんな手で攻めて来る?

 

「遅いぞ、様子を見に来たが……撤退すべきだな」

 

「ザフィーラ、だけどまだページを――」

 

「この状況では無理だろう。ほとんど魔力を持ってない二人と大量の魔力を持ってる一人。

 その三人にこの状況を作られた時点で我らの負けだ。全員で挑んでチャンスがあったかどうかだ」

 

「逃げるんなら追わないぞ、さっさと寝たいしな」

 

「え、追撃しないの?」

「掃討しないの?」

 

「お前ら、俺をなんだと思っているんだ。基本的には温厚で平和主義な人物だぞ?」

 

「でも応用的には過激で容赦ない性格だよね?」

 

 言い返せなかった。やるときは結構本気な気がする。

 

「ともあれ、ここで退くなら止めはしない」

 

「覚えてろよ」

 

「覚えてる間はな」

 

 

 悔しそうに、赤とピンク、獣耳、そして遠くの人物が逃げていった。

 さて、寝るか。

 

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