「じゃあ、はやてちゃんのお見舞いとクリスマスプレゼントを渡しに行ってくるね」
そう言って、放課後の帰り際に声をかけてきた。
「おう、ならついでにコレ渡しておいてくれ。クリスマスプレゼントだ」
「水晶?」
「合成ダイヤだ。
企業が作ってみたいというから材料と資金を提供した。これはその成功例だ」
「ふーん。なんでダイヤ?」
「石言葉でな、不屈という意味がある。病気に負けるなってことで一つ」
「……貸一だからね」
「はいはい、よろしく頼む。終わったらリンディがデバイスのテストをしたいと言っていたとアリサにも伝えてくれ。俺は直接そちらに向かう」
「一緒に来ないの?」
「阿呆、女ばかりの部屋に男一人は居辛いんだ察しろ。俺は恨みを買う気にはならない」
見送り、多少の荷物を手にリンディの借りている部屋へと向かう。
そこから局員の手によって転送してもらう。
そのために一先ず局員に会いに来た。話は通っているのだろうか?
「……よう、邪魔するぞ。アームドデバイスのチェックで来た」
「ああ、伺ってます。アースラ行で宜しいですね?」
「頼む」
アースラに転送され、渡されたメモの通りに部屋へと向かう。
「こんにちは、えっと、迷子ですか?」
「実験担当だ。そのアームドデバイスとやらの刀身を作ったのは俺だ」
「し、失礼しました。では、よろしくお願いします」
的が用意され、薙刀を渡される。軽く取り回し、重さや重量比を確認する。
ふむ、多少刃の方が軽いな。
「では、試してみますか」
「観測します」
ア
取り敢えずで百万詞階の遺伝詞で五行してみた。
「ふむ、強度は良し、干渉力は弱めだな。今後の課題だ」
「はい、有難うございました。……リンディ提督からメッセージが届いてます」
「読み上げてくれ」
そう言ってデバイスを待機状態というものにしてみる。一五センチほどの棒になった。
へえ、便利だな。
「通信障害発生、至急現場に向かわれたし。デバイスは持ち出し可能とする。
だそうです。これらを持って行ってください」
「了解した。場所は?」
「海鳴病院だそうです。結界もあって周囲までしか飛ばせません。急いでください」
「出来るだけ壊さずに持ち帰る」
はやてが闇の書の所持者だったか。
と、なると守護騎士の必死さははやてが死ぬかも知れないから、か。
「酷い話だ。救われない……」
緊急用にあそこには地竜を仕込んである。起動させれば時間稼ぎにはなるだろう。
そして、すずかはともかくアリサは闇の書の守護騎士を知らない。
都合が悪いな。急ごう。
現場付近に飛んで来てみれば結界を張ってあって通信妨害もある。
目を凝らせば地竜も飛んでいるし笑えない状況だ。
そして目の前を犬耳はやした男が通り過ぎていった。
「笑えばいいのか、コレ?」
とりあえず急ごう。
結界の中に入り込み、歩法を使ったまま接近する。
上空になのはとフェイトが、アリサとすずかが偽装した二人と戦っている。
赤いのと犬が屋上に倒れており、状況がややこしい。
背後から近づき、二人の出来損ないを五行する。
「なっ」
「ちっ」
「えっ、二人やない?」
「アリサ、デバイス。MAX二百万」
「了解、助かった」
その一言でアリサがナイフをしまってペンを薙刀に戻し、風水を始める。
「させない!」
「邪魔するな!」
猫の二人が此方を止めようとしてくる。
「ア」
「アアア!」
――すずか・草薙/剣術技能・重複発動・草薙・成功!
そこにすずかの草薙と五行の空間攻撃で進路を阻む。
物理事象を起こしただけだから
「くっ! 防いでいる間に蒐集を」
「仕方ない!」
「詞変! 百五十万の詞階よ!」
ラ、から始まる短い遺伝詞で鵬を生み出し襲いかからせる。
「チッ」
と、バインドだったか。それで鵬を拘束して止める。
右腕が完全に消し飛んでいる。遺伝詞は固まってないが、治してやる必要はないだろう。
「ヴィータ! ザフィーラ!
あぁ……アアアアアアアアアアアアアアア」
確認するやいなややり遂げた顔をして転移して逃げようとしている。
一人が突っ込んできたということは、最悪一人でも何かするつもりなのだろう。
――すずか・草薙/剣術/腕力技能・重複対抗発動・草薙射撃・成功!
「ア!」
斬撃が奔る。距離があるからこちらの警戒をしているのだろうが、
「ガフッ」
肩から袈裟に入り、完全切断とまではいかないが致命傷を与えた。
「アリサ、傷だけ塞げ。人工生命だ、そうそう死なない」
「はいはい。まだまだ続きそうだしその方が良さげね。
詞変! 百万の詞階よ!」
本当に傷を塞いだだけ。ダメージは抜けていないし、意識も戻らない。
「さて、ほっといたら勝手に持ってくだろう。
取り敢えずはあっちメインかな。すずか、悪いがお前の分はない」
「あー、草薙に耐えれる刀身ができなかったんだね。頑張る」
「どうしたものか……」
「一先ず距離を取りましょ」
未成熟な体が大人の体になるのを傍目で見つつ、距離を取って二人に合流する。
「何がどうなってこうなった?」
「わたしとアリサちゃんは病室にいたからわからないんだけど」
取り敢えず、急に襲われ、急に囚われ、急に助かったという情けない三コンボ。
お前ら、経験値が足りてないぞ。ライダーさん崇めろ
「おい、はやてはどうした」
「俊介か。そこのネコの仕業でそっちの女に変わってしまったよ」
「そうか。お前らは、はやての敵か?」
「味方でいたい、とは思っている。
ついでに言えばそこのネコは罰が待っているから殺すわけには行かない」
意見は平行線。交わることはない。このままなら
「なら、敵だな。
「結界!?」
「より質悪そうだな」
感覚としては空間が閉じた。透析膜のように入れても出れないと言ったところか。
「で、このまま終わるわけないんだよなぁ」
豪皇を肩に担いで、
「俺が俊介の相手するから他のみんなでアッチ頼むわ。
中身はやてだろ、壊せねえよ」
「わかった、死なないでね」
「努力はする」
はあ、今日は厄日だ。せっかくのイブなのに。
ターキー取り寄せてたのに……。焼ける人間俺だけなのに……。
「もういいのか?」
「待たせたようだな、感謝する」
「女子供を殺すのは趣味じゃないだけだ」
あー、気持ちはわかる。
「野犬、ベルリン大学卒業生、兼小学三年生。アルフレート・M・陽阪」
「ナイトウィザード。中学生、葉山俊介」
「「参る」」
ふう、29話です。キリが悪いので本日中に三十話も仕上げてあげちゃいますね