遺伝詞が見える少年   作:リボルビングバンカー

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消えるかもです。早めに見てね


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 仮拠点ができた。金属を打つ施設は珍しいらしい。

 今や包丁も型抜き型が主流なんだそうだ。

 そんな話を聞きながら施設に工具と家具を運んでいった。

 

「さて」

 

 取り敢えず、剣のデバイス用に刀身を作って欲しいなんて依頼が来ていたので取り掛かる。

 依頼人は聖王教会らしい。ベルカ式、という武装デバイスを主流とする傾向がある所からだとか。

 シグナムに憧れて剣型を使ってみたい、なんていう若い衆がヴィータに勧められて、といった経緯だとか。

 

 動機はともかく、扱える人材ならそれでいい。

 剣や刀を作るだけなら簡単だ。五行師に限れば、だが。

 

 金属の形をある程度整え、歪みや反りを直し、刃を入れていく。

 この作業も久しぶりだと思い気を引き締め直した。

 指輪型の神形具で形を取った金属を弾いて五行していく。

 

 

 

 

 

 

 

 キン

 

「ふむ、一回休憩入れるか」

 

 そして、飯を買いに行こうと工房を出たところで大通りを待ち伏せしているはやてを見つけた。

 そういえば紙面上でしかこの場所知らないよな、と思い出す。

 声を掛けようとして、背後から「許せ」という声が聞こえた。それに反応し、振り返ることも声を出すこともなく感じたのは、心臓への激痛。ハートブレイクショットか? そこで意識が途切れた。

 

 

 

 

 

 錆びた匂いがした

 

 匂いにつられ、目を覚ませば口に指先を切って血を、ついでに謎の液体も口に注いでいる少女の姿。

 ゴクリ、と飲み込んだ。飲み込んでしまった。

 

「……飲んでから聞くが、なんだこれ?」

 

「そのうちわかるから気にせんでええよ~」

 

 そう言って半分位残った小瓶の中身を自分でも飲んでいる。

 

「ところで、ここはどこだ」

 

「ここ? 地球(ペコポン)のわたしの家!」

 

 なるほど、送らずとも仕留めてくるネコ科の類だったか。後そのネタは古い。

 

「取り敢えず、二日間ぶっ続けで作業してたアル君にご飯やな」

 

「ほかの四人は?」

 

「フェイトちゃんがお家買ったって言うてたからそこでお世話になるって」

 

「俺たちも行ったほうが良かったんじゃないか?」

 

「そんな怖い形相で?」

 

 ……貫徹だから目元にクマくらいはできているか。

 

「やれやれ、ちょっとした小遣い稼ぎなんだがな」

 

「後どれくらいで終わるん?」

 

「後半日もあれば終わるだろう。俺の腕だとそこまでしかできない、というべきだがな」

 

 流石にマルドリックの歴代の五行師に比べれば飯事にしか見えないだろう。

 

「それであの出来なら十分ちゃうの? 取り敢えず冷めないうちに食べよ」

 

 出てきたのは魚の味噌焼きとお浸しに野菜炒め。実にアジア系だった。

 だからといって文句をつける気にもならない。簡単な料理はともかく手の込んだものを作る気にはなれないし、作った人間に文句を言う気もない。

 

「いただきます」

「日々の糧に感謝を」

 

「クリスチャン?」

 

「一応な」

 

 そう言って食べ始める。

 食べ終わりに差し掛かって違和感に気がついた。

 何かおかしい。酒を体に入れたわけでもないのに体が熱を帯びている。

 はやての方も徐々に衣服を脱いで無防備な姿になっていく。

 

 

 ――もしかして、盛られたか?

 

 

 食事の方に変な味のものはなかった。

 ……あの小瓶の中身?

 

 

「ごちそうさまでした」

「さて、俺はこの辺で……」

 

 パシっとバインドが手足に巻き付いた。

 逃がす気ないぞコイツ!?

 

「わたしは初めてだからできるだけ優しく傷つけてくれると嬉しいなって」

 

「俺の心が傷ついているんだが」

 

「知らへんよ」

 

 

 

 ズボンを下ろされ、なすがままにしゃぶられる。

 ネチョリ、ネプッ、ジュルリと水音がする。他人事のように考えていた。

 反応が悪かったためか、二本目の小瓶を無理矢理飲まされた。

 

「よしよし、立派なもの持っとるやないか」

 

「おい、これはどんな悪夢だ」

 

「現実やで。んむっ」

 

 ねっとりと、しかし的確に舐られ、そろそろやばくなってきた。軽く腰が浮く。

 

「アハッ、ピクピクしてるやん。出したい?

 けどダメやで。出すのは、こっち」

 

 そういって糸を引いているショーツに手をかける。

 ヤバイ、とは思いつつ薬とバインドの影響で体は自由に動かない。

 頭がぼうっとして、高温の熱にでもかかったようだ。

 ひんやりと冷たい手が頬に触れ、ねっとりと舌が絡み合う。

 

「いただきます」

 

 ズプリ、といきり勃つそれが飲み込まれた。

 

 

 

 

 彼女の記憶が流れ込んできた。

 早くに両親と死に別れ、自分の未来に諦観した。明日死ぬかも知れない。いつか孤独に死ぬのだろう。

 ああだけど、ちょっとくらい夢を見させて欲しい。

 だから、神に祈ったのか。少しくらいは、と。

 悲しげな少女は、今、何を抱えているのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

「バインド外した瞬間狼になるのはどうかと思うんやけど」

 

「野犬に生肉を与えたら味をしめるだろうが」

 

「おかげで腰が抜けたんやけど」

 

「寝ろ」

 

「シャワーくらい浴びたいなって」

 

「……寝ろ」

 

「お風呂でもう一回くらいスル?

 お胸もっといじってええよ?」

 

「……頼むから寝ろ。薬の影響とかで頭痛いんだ」

 

 あと、シャマル殺す。

 

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