さとやす先生の絵がなければ大丈夫?
もうちょっと書き込んでも平気?
とオロオロしながら書きました。
行けそうなら加筆します。
「くたばれ!」
「キャァアアアーーーーー!?」
「ボルドー・ボムかぁ。随分と筋力が戻ってきてんな」
「何しみじみと感心してるんや。シャマルを助けんと」
「いやだって、自業自得だぜあれ」
ボルドー・ボムの後そのまま逆エビ固めに移行する。
「痛い痛い痛い痛い! ギブギブギブギブ!! ギブですってばぁ!!!」
「許さん」
そのままひっくり返って足で首を固定してクラッチ。気絶したので放り捨てる。
「しゃ、シャマルーーーーーーーーーー!!」
仕事の納入期日には間に合ったので、この辺にしておいてやると捨て台詞を吐いて立ち去る。
見学していた教会職員が写真を撮っていたが、無視する。
敷地見学中に新人訓練を見て、もう少し厳しくてもいいんじゃないかと思っていると
「あ、陽阪さん。納品の剣についてなんですが」
赤髪の修道服の女性が声をかけてきた。
「なんだ?」
「受け取った本人が身に余る、とのことでして」
「……やっぱりか」
「一応聖王教会の管理になったんですけど、下手すると誰も使わないことになるかもしれません」
「まあ、使いたい奴が使えばいいさ」
「そう言っていただけると助かります」
では、と言って教会の職員が去っていった。
今日はすずかに組んでもらった剣の納品で来た。
ネックレス型の待機状態にしたのはシグナムに憧れているから、らしい。
「やあ、今日はどうしたんだい?」
「ヴェロッサだったか。試作用剣型アームドデバイスの納品」
「ふーん、なるほど。見せてもらっていいかな?」
「倉庫にあるって言ってたけど、倉庫の場所知らないぞ?」
ニヤリ、と笑って
「倉庫の位置なら僕が知ってるから大丈夫さ」
デバイスの管理倉庫に着き、ヴェロッサの顔パスで中に入った。
「でと、見たことないのは……コレかな?」
「それだ」
ふむ、と言って手に取り、展開した。
「比率は6:4、多少重いけど武器として考えるなら正解か。
強度は、人くらいなら軽く切り裂けるな。なるほど、使い手が扱いきれなかったか」
「武器に詳しいんだな」
「家系的に純ベルカ寄りだからね。
稀少技能がわかるまでは騎士に育てようって親が張り切っちゃって」
「なるほどな。いろいろ大変だったわけか」
「まあね。で、稀少技能の事が分かると今度は教会に保護されてといった感じだ」
「そっか。まあ、まだましなほうだろ」
そう言って備品のデバイスなどを確認していく。
「もっとひどい人生の人が?」
「膝の靭帯損傷、教えられてきたのは護衛を兼ねた殺人術、そして、殺した人数は覚えていないってさ。
なのはの兄貴の歩んだ道だ。ああ、オフレコで頼むぞ」
「誰に言えっていうのさ。それで、なんで殺したの?」
「護衛の仕事で、相手を殺さないとと守るべき人が死ぬから」
考えうる限りの最悪の状況。管理局員からしてみれば魔法で、と言いたいのだろう。
「その人、一般人?」
「ああ。リンカーコアもないってさ」
「そっか、そういう人もいるよね」
しんみりとしてしまった。
「俺も大概だけどな」
「何人か殺したことが?」
「ある。とはいえ、記憶の中……前世の話だ」
「そんなものまで背負いたくないなぁ」
「有ることに満足するしかないさ。
生命とはよりよい未来を願って次へと託すための礎にしか過ぎない」
「それは……」
「だれかの願いも、自分の祈りも、次へと繋ぐバトンに過ぎない」
そう言って、弓を取ろうとして槍で指を切ってしまった。
「早く解毒をしないと、ついでに止血!」
「大丈夫だ」
え、という間に血は止まっていた。
「俺とアリサは、寿命以外で死なないんだ」
「それは、どういう……」
「前世でさ、俺は神の血を引いていたんだ」
「……それで?」
疑わないんだな、と思いつつ
「はやてを救う際に、同規格の魂を触媒に前世で切り離して捨てた神の力を取り込んだんだよ。
その結果が流体放出量の過剰化、所謂生命力の枯渇。それが六年間の昏睡の真実。
で、その調律のついでに神の力をアリサが取り込んだみたいでな」
「同期した、ということか。
それと寿命以外で死なないということに関する繋がりは?」
「神は、死因が無かったんだ。とはいえ、今はその力が半分になっている」
「力を均等に、か。つまり、ほぼ死なないということかな」
そういうことになる。化物だろ、と呟くと、精神は人間らしくて好ましいけどね、と返してきた。
いい性格してるな、クロスケもいい友人を持ったものだ。
「因みに、その槍は出血毒系の猛毒を持つ生物の殻から作られてたんだけど?」
「そんなチンケな毒なんて効かんよ。心臓を潰されても生き返るのに」
「それはまた、……ん? それって、最終的に魔女裁判みたいなの発生しない?」
「よく知ってるな。発生すると思うぞ」
自分と聖王教会は関わらないから、といった。
言い変えれば巻き込まれて被害が増えるのを避けたとも言う。
「さて、このあとシグナムと遊ぶか」
「え、シグナムとサシで?」
「一勝二敗で負け越してるからな。ブランク長いとは言え負けっぱなしってものな」
ふむ、と何か考える仕草をして
「デモンストレーションしてもらえるかな?」
「条件による」
取り敢えず、一番偉い人のところで話そうかなんて誘われてついていく。
偉い人は義姉なんだとか。へぇ。
「ちょっと邪魔するよ、カリム」
「あら、サボリ魔をシャッハが探してましたよ」
「ああ、大丈夫。今回は仕事のプレゼンで来てるから」
取り敢えず聞くだけ聞こう、という流れでソファーに座らさせられた。
そして、理解した。これプレゼン終わったらシャッハという女性に連行されるやつだ、と。
さて、という始まりの元、電子ケトルで湯を沸かして簡単な紅茶を入れ
「プレゼンの内容を聞きましょうか、愚弟」
「一先ず、聖王教会の質が下がってるってのが悩みだったね」
「続けて」
この時点でわかる上下関係。義姉がいる、とは言っていたが、ここまで上下関係がひどいとは。
「最近はヴォルケンリッターの人たちに時々訓練してもらってるけど憧れはしても伸びが悪いとか」
「そうですね、自分もあれがしたいこれがしたいとは思っても辛い訓練を超えて、とまでは行っていません。
ですがそれが?」
「ここにいる彼、シグナムと模擬戦する程度には実力があるらしいよ」
「へぇ、それはまた。
あなた、ミッド系? それともベルカ?」
「どっちでもあるし、どっちでもない。
競技用はベルカ式になってるが、メインデバイスはブーストだからミッド系だ」
ふうん、といって考え始めた。
「因みに、どんな術式を使うんだい?」
聞いてなかったの、みたいな視線が飛んでくるが大丈夫だろうか?
「共通はベクトル変換と多重の障壁構築、後は転移に魔力平面構築だな」
「飛行術式は使わないのか?」
「加速が物足りないから――ああ、累積加速が、な」
「フラッシュムーブとかの術式なら十分な加速になると思うんだけど……」
「相手の目の前で足を止めるとか正気か?」
「まあ、見てみないとわからないものもあるでしょう」
そう言ってチリンチリンとベルを鳴らした。
「お呼びですか、騎士カリム」
先ほど謝罪をしてきた女性だった。
「シャッハ、お客様の腕を確かめて頂戴」
「かしこまりました。ではお客様、どうぞこちらへ」
訓練後の自主トレーニング中なのか、先程に比べると人はバラバラで散っている。
比較的空いている空間に案内され、周りに近寄り過ぎないよう指示を出していた。
位置としては先ほどの応接室からぎりぎり見える範囲だろうか。多分モニターを介して見るのだろう。
「勝負の形式は?」
「致命傷を与えれる状況、及びK.O.でどうでしょうか?」
「ああ、了解しました。
では、提督クラスの許可がないとメインデバイスが使えないので、競技用でお相手します」
「ヴィンデルシャフト」
「ポラーナクト」
白鞘の直刀型デバイス、ポラーナクトを構えバリアジャケットを展開する。
向こうもバリアジャケットを着た。機動性重視か。
「いつでもどうぞ」
「……参ります」
ガシャンとカートリッジを食った。高速移動系術式で接近して斬撃、かな。
「ふむ」
すっと親指を滑らせて鞘から刀を抜き、真空波を飛ばす。
「っ!」
それに対し片手の剣で対処し、もう片方の剣でこちらを切り裂きに来た。
それをバックステップで避け、着地と同時にベクトル変換を起動し、加速を開始する。
手、脚、背中、腹と加速しながら傷を増やしていく。
仕留めるため、少し速度を落として背後を通り抜けながら斬り付け、振り返る瞬間に側面に回って蹴りを叩き込む。自ら飛んでダメージを減らしたのを確認してから再加速し回り込んで蹴り上げ、足場を作って到達点に先回りし、
「鶚砕き」
両手を極めてプロレスのように背中から加減して落とす。
「ガハッ」
「まだやりますか?」
加速用に足場を禊ぎ祓い、再度の戦闘に備える。
「いえ、実力は把握できました。それに、あの速度を維持されると私では対処できません」
「そうですか。では、お疲れ様でした」
互いにバリアジャケットを解除し、デバイスも待機状態に戻した。
<お疲れ様でした。元の部屋に戻ってきてください>
やっぱり遠くから見てたか。
「ありがとうございました。スピード系で武術一本なんて珍しいですね」
「元々魔法なんて使わずに生きてたからな。射撃魔法を使うほうが難しい」
やれやれ、と言いつつダウンストレッチをして部屋に戻った。
「では、一連の情報と技量を加味し、ヴォルケンリッターの皆さんとウチの代表騎士との演舞、及び交流会に参加していただけますか?」
「仕事の次第によるが、多分大丈夫だろう」
「演舞はカートリッジなしアームドデバイスのみで行い、技量を競い合ってもらいます。
その他条件はこの後決めますので、決まり次第はやてに連絡を回します」
「若くて芽がありそうなのも入れておけ。伸びるか枯れるかは本人次第だがいい経験になるだろう」
「ええ、考慮しておきます」
悩むふりをしなかった。
才能があって増長してる連中と伸び悩んでる連中をこちらにぶつける気か。
義弟も義弟なら義姉も義姉か。真っ黒姉弟め。
「さて、話は付いたことですし」
「ヴェロッサ、仕事をサボったそうですね」
「しまっ」
シャッハと呼ばれた女性に連行されていった。
白いハンカチを振っておく。ソファーの向こうで同じことをしているカリムと目があった。
「では、よろしくお願いします」
腹黒め。
だ、大丈夫っぽいですね。
では、楽しんでください。