遺伝詞が見える少年   作:リボルビングバンカー

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「ふむ」

 

 アームドデバイスの軸が反れている。自動修復の範囲だが、訓練中の違和感はそれだろう。

 部品交換で直すこともできるが、自動修復の範囲内だ。

 

「原因はわかった。フレームが歪んでいる。自動修復の範囲だ」

 

「あー、じゃあ自動修復を待ってみます。有難うございました」

 

「純騎士系相手に普通のプロテクションとデバイスだけで対処しようとすんな」

 

「き、気をつけます」

 

 バレないとでも思っているのだろうか?

 

「はぁ、バカどもめ」

 

 至急の仕事も終え、通常の仕事も終わった。

 今日で一先ずこの職場とはお別れだ。クロノの斡旋だけあって有意義だった。

 

「じゃ、お疲れさん。これからも頑張ってくれ」

 

「ああ、そういえばそうですね。明日から機動六課でデバイス整備士でしたか」

 

「おう。デバイスブレイカーとかエース・オブ・エースと同じ職場だ。

 デバイス整備士としては最悪の職場だな」

 

「あっはっはっは。高町一等空尉の悪口を言ってるのは貴方たち三人だけですよ」

 

 そりゃそうか。誰もが認めるエース様だもんな。

 

「私生活とか見たら卒倒すんぞ?

 同性の執務官とイチャイチャしてるし、部屋は効率悪いし朝弱いし」

 

「作業場は整ってないと落ち着かないって言ってるアルさんの前じゃ全員部屋汚いっすよ」

 

 うんうん、と頷いている。

 自分の部屋は荷物が少ないために綺麗だし、週二で使ってる工房はキッチリとしている。

 居候生活とか旅する生活に慣れすぎて荷物を広げる気になれないとも言う。

 

「お前ら、一職員として作業場の利便性くらいは考えるだろうが」

 

「まあ」

 

「確かに」

 

「なのはの家は女しか泊まらないから不意打ちで遊びに行くと大変な目に遭う」

 

「ああ、これのこと?」

 

 そう言って半空きのカッターシャツと脱ぎかけのスカートの写真を、呼びに来たアリサが暴露した。

 

「ヒューー!」

「ブラボー!」

「グッジョブ」

 

 男どもが歓喜し、女が蔑んだ目で見つめる。

 

「で、何してんの?」

 

「新しい職場の愚痴。

 予定通りなら新人に専用デバイスを作らないといけないから今のうちに吐いとこうと」

 

「ふーん」

 

「あ、さっきの写真ください」

 

「バレたら焼かれるわよ?」

 

「……遠慮しておきます」

 

 部屋を出て、移動を知ってる女性からは羨ましそうに見られる。

 しかし、だ。

 

「なのはのやつ女性に人気だな」

 

「そういえばそうね。あんな鍍金のお姫様なのに」

 

 マリエルの部屋の近くの休憩所でコーヒーを飲みつつすずかを待つ。

 待たないと後でみっちり絞られる、と言い換えてもいい。

 

「さて、新人勧誘はうまくいくのかね?」

 

「さあ?」

 

「おまたせー」

 

「そっちも上がりか」

 

 飛びつこうとジャンプして、アリサにキャッチされ不満そうな顔をする。

 

「じゃ、荷物を移しますか」

 

「工房はどうするの?」

 

「一旦閉じる。鍵は家に置いてきた」

 

「しかし、あんたの荷物少ないわね」

 

「旅に慣れすぎてて最小限の荷物しか持ち歩かないから」

 

「まあ、正式稼働日までにはいろいろ持ち込むけどな」

 

 だが、よくもまあこんな喧嘩売るような場所に基地を建てたものだ。

 レジアスのおっさんはさぞお冠なことだろう。

 

「さて、とりあえず飯だ飯」

 

 生活のルーチンは変えたくない。

 

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