遺伝詞が見える少年   作:リボルビングバンカー

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「さて、練習と行こう。

 残念ながらMDは見つかっていない上に左神器の適性がないために……」

 

 流石に神器なんてポンポン残っていない。

 

「チューンバストだっけ、それを教えてくれるのよね?」

 

「ああ。触りだけなら風水もできるからな。

 とりあえず風水とはなにか、だ。

 風水は世界を構成する流体の遺伝詞を掛詞(メッセージ)を用いて変換し、整調することだ」

 

 コテンと三人揃って首をかしげてる。

 おいっ! すずかには説明しただろうが!

 

「まあ、見せたほうが早いか。基本なんてあまり覚えてないんだけどなぁ」

 

「よろしく頼むわ」

 

 結構苦手なんだが……まあ、是非もないか。

 風水用の呪符を神形具に貼って、

 

詞変(ワード・アクセル)一万詞階の遺伝詞よ」

 

 そう言って、風を切ることで風の遺伝詞を変化させる。

 

「ニャー」

 

「はっ?」

 

 風の遺伝詞でできた緑色の猫が一匹。

 

「まあ、想定内だな」

 

「かわいい」

 

「すごーい、変わった毛並みだね」

 

 いや、そこまで処理できるほど風水は得意じゃないから。

 のほほん二人が猫とじゃれあっている。

 

「ええと、生き物を作るの?」

 

「他にも風を槍の形にして飛ばしたり、人の傷を治したりする。

 壊すほうが得意な俺じゃそんな処理できないけどな」

 

 まあ、竜を生むこともできるらしい。

 方法は載ってたが五行師の自分には関係ない。

 

「じゃあ、次バストね」

 

「ぶっちゃけ、流体に干渉して遺伝詞を破壊するのが主な役割だ。

 または適度に破壊して強度を上げるという使い方もある」

 

 今度は神形具で緑の猫の尻尾を叩いて五行する。

 猫を作り上げていた遺伝詞を破壊し、流体へと還元した。

 

「あー!」

 

「酷いよ!」

 

 いや、どうせ数十分もたちゃ消えるんだから。

 

「後で消えるか今消えるかの差なのに気にすんなよ」

 

「はっ?」

 

「ふぇっ?」

 

「風水の治療は遺伝詞が安定すると元の物質に戻るんだよ。

 今回だと風にな。

 そうなる前に参考資料として五行しただけだが」

 

 まあ、初見だといろいろ勘違いするよな。

 

「五行した物質は元に戻らないが、風水した物質は元に戻ることがある。

 ついでに言えば風水五行は自分の操れる詞階までしか操作できない」

 

「ふぅん。で、すずかはどっち?」

 

 ああ、確かに言ってなかったな。

 

「私? 私は近接武術師(ストライクフォーサー)

 

「で、俺が五行師(バスター)

 

 

 

「えっと、すずかはどっちでもないのに神形具持ってるの?」

 

「私は左神器を使って戦うから専用の武器が必要なんだ」

 

 まあ、右神器は素手で使うものもあるらしいのだが、如何せん資料がない。

 

「すずかの神器は切断特化だから見せるのも危ないからな。

 制御失敗したら神形具が破損して欠片で大怪我するし」

 

「と、いうわけで見せることはできないかな」

 

 神器の作用は刀身にしか働かないが、破損した刀身にも影響は出る。

 下手に神形具を破損したら後が怖い。

 

「さて、練習用に刃引きした神形具を渡しておく」

 

「……触れたら発動するとかないわよね?」

 

「そんなもの練習用に渡せるか」

 

 そう言いつつ竹刀袋に入っている神形具を渡す。

 

「……ふたりが使ってる剣よりシンプルね」

 

 抜き出したのは基礎フレームだけの神形具。

 

「好みがあるのなら好きな武器を作ってもいいぞ」

 

「薙刀習ってるからそれにしてもらえる?」

 

「O.K. 一週間以内に完成させておく」

 

「そういえば、さっき使ってた御札は何?」

 

「風水五行の支援札だな。

 風水師以外が風水を行うとき、五行師以外が五行を行うときに使う。

 もっとも、ある程度の詞階が操れないと起動もしないんだが」

 

「ふーん。猫ってどのくらいから作れるの?」

 

「八千から一万位の詞階があれば作れるぞ」

 

 ポリポリとクッキーを食べながら記憶を手繰ってみる。

 

「一万詞階の遺伝詞よ。聞こえるかしら、私の声が」

 

 ラ、で始まる茜色の遺伝詞を発して猫を形作る。

 

「ほう」

 

「わぁ」

 

「すごいすごい!」

 

 一瞬惚けていたが、ニャーという声を聞いて意識をはっきりとさせたらしい。

 

「出来てる?」

 

「上出来だ。

 風水師でいいのか?」

 

「ええ。壊して殺すなんて、日本人の感性じゃできないわよ」

 

 三人はしばらく茜色の猫と戯れていた。

 それを見つつ、ポケットに入れているメモを手に取り悩むのであった。

 




用語集、主に自分が確認する為に作ったものも投稿したほうがいいなら、話数ごとにまとめたものをネタバレしないように編集し直して投稿します。
苦労するのは私だけなのでお気軽に「ほしい」「いらない」とだけ残してください
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