遺伝詞が見える少年   作:リボルビングバンカー

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また投稿し忘れるところだった。

というわけで八話です。
皆さん熟練の川上読者のようで驚いてます

まあ、CITYなんて知ってる人の方がすごいんですけどね!!


8

 今朝はついていない。運命の女神に見放されたのだろう。

 

「なぜ貴様がここにいる、モブ野郎」

 

 何故なら、そこにいるのは朝一から見たくないやつだった。

 

「アリサの体調監視と暇つぶしだよ。

 後は、居候の身では家主の妹には勝てなかったと言っておこう」

 

「フン、情けない男だ。

 まあいい。彼女らの面倒は俺が見ているから帰っていいぞ」

 

 なんだろうこのワカメ。干してやろうか?

 

「アル、さっさと来なさい。試合が始まるわよ」

 

「んなっ!?」

 

「じゃ、呼ばれてるんでさっさと行くわ。気に入らないならお前が帰れよ」

 

 コイツと出くわすなら家から一歩も出る気はなかったというのに。

 

 

 グダグダとサッカーの試合を眺め、途中なのはとフェレットの意思疎通を感じたり、何か知ってますと言わんばかりのワカメのしたり顔を女性陣全員がドン引きしたりと、まあ色々あった。取り敢えず、情報過多でグロッキーになってたアリサはかわいそうだった。

 しかも原因が横柄に心配していたから救いようがない。

 

 あーあ、酷い一日だった。そんな遺伝詞がアリサから飛んできた。

 いやまあ、酷い一日なのは間違いないが。

 眠たいから、と言ってなのはがフェレットを連れて席を立ち、その後ワカメも席を立った。

 ワカメはなのはを好きすぎるだろ。一周回ってキモいわ。

 三人で気ままにお茶会を楽しんでいたとこで、

 

 

「アリサ、あの(・・)ナイフ持ってるか?」

 

「え? 一応持ってるけど?」

 

 あれ以降護身用として肌身離さず持っているんだとか。

 まあ、固まった遺伝詞をこじ開けることはまだできないだろうけど。

 風水用に音壊爆弾(ディスコード)でも開発したほうがいいのだろうか?

 それはともかく、神形具を持たせたのは理由がある。大雑把に言って戦闘ないし、事後処理だ。

 

「すずか、なのはを呼び出せ。なんなら今からおしかけて214+Kのブーケ体当たり(ブライダルエクスプレス)してもいい」

 

「よくわからないけど起こせばいいんだよね?」

 

 流石に前衛二人、中衛一人で事件に突入したくない。

 事後処理のために忍にメールを送る。

 持ってきていた縦長の袋から神形具を取り出す。

 

 恭也は大学図書館で今日はレポートとボヤいてたから放置。というか、これ以上前衛はいらない。

 

「取り敢えず、嫌な遺伝詞を感じたからそこのビルの屋上に行くぞ」

 

――すずか・体術技能(ジムナテック)発動(テイク)・壁走り・成功(ヒット)

 

 技能(テック)を発動して壁走りをするすずかに対し、中の階段を登って屋上へ向かう自分たちは少し遅い。

 やっぱり技能ってずるい。補助効果高すぎるだろ。

 

 

 屋上にたどり着いたとき、街は既に樹林で破壊されていた。

 

「あちゃー、手遅れだったか」

 

「なんとかできないの?」

 

 手段はある。

 

「手はあるが、原因を取り除かないと無理だ。

 だから関わってそうなフェレットもどきとなのはに連絡させたんだが……」

 

 さて、どうしたものか。

 

「何をしている。危険だからとく去るがいい」

 

 空を飛ぶ金髪ワカメ。うん、キショイ。

 

「自衛はできるからお構いなく。

 後、街を修理する人員がいるだろ?」

 

 舐るような視線をぶつけてこられた。ウザイ。

 自分の利益しか考えてないクズの目だ。

 

「貴様が? はっ、冗談もほどほどにしておけよ?

 そっちの二人もだ。危険だと分かって何故態々関わる」

 

「一応、血腥い事は慣れてるし……」

 

「今更って話よね~」

 

 あ、ワカメが意味がわからなくて固まった。

 そうこういってる間に原因の位置を特定できた。

 遺伝詞が大量に発生しているからほぼ間違いないだろう。

 

「アリサ、11時の距離20kmで高さ+10mに高さ-1mでマーキング」

 

「了解。すずか、アンポンタンへ近くにマーキングするって伝えなさい。

 詞変、十万詞階の遺伝詞よ!」

 

 ラ、から始まる茜色の遺伝詞が拍詞を刻み、駆け抜ける石英の槍となる。

 

「なっ!? こんな力、原作にはなかったぞ!?」

 

 そんな事を言っている間に電話していたなのはがピンク色のごんぶとビームを放って街を破壊して拡大を続けていた木を取り除いた。

 

「じゃあ、アリサ。俺が仮発動するからその後風水しろ」

 

「……あんたも強臓式機械を持ってたわけ?」

 

「まあ、一応な。俺のは仮発動しかできない半端なものだが」

 

 ふぅ、と息を吐き。詞を発生させ、仮発動を利用して救世者の駕発動を促す。

 

 

『新世界は、救世者の真実を求める』

 

 

『救世者は真実を映す』

 

 

「ああ、駕発動ってこういうものなんだ。確かに全部見えてるわ」

 

 彼女の目には、壊れた街の遺伝詞、壊れる前の街の遺伝詞その両方が写っているはずだ。

 

「じゃ、直しますか」

 

 ラ、から始まる、賑やかなアップテンポのリズムを取り、街を風水する。

 街から様々な色の大量の鳥が羽ばたいた。風水治療はなにか別のものを経由して治す。

 今回は鳥だった、というだけだ。

 

 軽く二百万詞階以上の遺伝詞を操っていることに気がついているのだろうか?

 鳥が羽ばたき、幻想的な風景を見ていて、やがて鳥たちが元の場所へと帰っていくだろう。

 

 街は壊れる前の状態に、水色の結晶は四つ隣の高層ビルのなのはの手に収まる。

 

「おつかれさん。じゃあ、翠屋で一服しようぜ」

 

「おっさんか!」

 

「なのはちゃんにお説教もしないといけないしね」

 

「ドSか!?」

 

「待て、そこのモブ」

 

 モービル地域空港(MOB)

 

「貴様だ、クソ男!

 貴様も転生者だったのか!!」

 

「は? 転生者ってなんだよ?」

 

「んなっ」

 

 驚愕してるし。知ってて当然とか思ってるとか頭悪いんじゃ……

 

「アルに比べれば殆どの人間は頭悪いんだからそんなリアクションはひどいと思うよ」

 

 あれ? (テキスト)漏れてた?

 おっかしいな、内燃詞にしてたつもりだったんだが……。

 

「さておき、俺は旧世界の記憶と旧世界の手記をたまたま手に入れた元一般人だ。

 前世では……そうだな、国に対するレジスタンスだった」

 

「神族だったくせに」

 

「重要なところで茶々を入れるな」

 

(神様転生じゃないだと、ふざけるなよ、ただのモブのくせに……ここで殺すか?)

 

 物騒な遺伝詞だ。五行して風水してやろうか?

 

「……ふう、駕発動も終了したわね。お茶会の続きでもしましょうか」

 

 私出番がなかったとか、見えすぎると辛いだとか、久々に他の強臓式機械に干渉したなとか、どうでもいいようなことを話しつつ、階段を降りようとする。

 

「アルフレート! これ以上彼女たちに関わるな!

 お前の存在はこの世界に対する冒涜だ! 故に今すぐ関わりを断て!」

 

「……はぁ」

 

「君たちもだ、そんな危険な力早く捨てるんだ!」

 

「何あいつ、何様のつもり?」

 

「クズだクズだとは思ってたけど、ここまでクズだとは思わなかったかな」

 

 この場にいる全員から白い目を向けられ、さらに苛立ちが加速する。

 大体、望むものに力を与え、制御法を教えただけだというのに。

 

「どうせニコポナデポとか貰ったんだろ、このクズ野郎!」

 

 いや、なんだよそれ。

 

「俺は転生者とやらではない。二度は言わない、忘れるな」

 

「――死ね、王の財宝(ゲートオブバビロン)!」

 

 数頼りの攻撃か。密度も薄いし、何より飛んでくる物が弱い。

 とはいえ、全てを五行するには時間が足りない。

 

「ア」

 

 怒りを示す緋い激しい遺伝詞を放ち、全ての飛来物を大気を五行して吹き飛ばす。

 

「そんな、英雄王の力だぞ! 神様からもらったんだぞ!?

 こんなクソモブごときに負けるわけないだろ!!」

 

「へぇ、誰かのコピーかよ。 使えねえな」

 

 

『新世界は偽物を認めない』

 

 

「自分の力で戦えよ男の子、それでも玉ァ付いてんのか!」

 

「天の鎖……なっ!? 英雄王の力が!?」

 

 言実化だけでこのざまか。対処することもできず、力も奪われる。

 他人の模倣なんてニセモノ、対策すればあっという間だ。

 

「アァァァァァァァ!!」

 

 刀身が体を捉え、不規則に揺らいだ遺伝詞を五行する。

 手に持っていた剣は、砕いた。

 メッキが剥がれ、鎧も失い、剣は断たれた。

 

「う、ぁあ、死に、――死にたくない! 血が、血がァ、俺の血が」

 

「……心底クズだったな。見る影もない、とは言いすぎか。

 まあ、見れるものがあるかどうかはこのあと判明するわけだが……アリサ」

 

 ハァ、と溜息を互いにつき、背骨が衝撃で折れたロクデナシを見る。

 

「治せばいいんでしょ、治せば。どこまで治すの?」

 

「た、助けてくれるのか!

 ああ、頼む! 痛いんだ、血が出てるんだ……速くハヤク!」

 

「全部の遺伝詞を風水したらいいさ。

 それでこいつを見るたびに感じていた遺伝詞の異常も治る」

 

 それもそうか、と呟き神形具を構える。

 落ち着いて、落ち着いてっと口に出し、自分の体からオレンジ色の怯えの遺伝詞を小鳥として取り除いてから

 

「百九十万の詞階の遺伝詞よ、生命を示す脈動の遺伝詞よ、聞こえるかしら、私の声が!」

 

 ラ、から始まる遺伝詞を掛詞としてぶつけ、脈動のリズムに合わせて音を取り、掬い上げたワカメのライブを風水してそのまま刃を背中に刺す。

 手応えを感じてか、よし、と声に出し、遺伝詞の同調が始まると刃を抜き、少し離れる。

 

 自慢げに襲いかかってきた金髪灼眼の少年は、遺伝詞が安定すると見る影もない恰幅の良すぎる三十路過ぎの顔をして、運動不足だと暗に告げる体型の、黒髪の男に変わっていた。

 

 

「うわっ、こんなのに言い寄られてたんだ……なのはには同情する」

 

「そうだね、流石にちょっと……。とはいえ、黙っていたことは怒るけど」

 

「いや、ナイワー。

 電詞都市DT(デトロイト)で違法機械化(カスタム)したのかと思ってたが、これは酷いな」

 

 警察に不審者に襲われて気絶させた、念の為に病院に向かうと連絡をしてその場を離れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なのは」

「なのはちゃん」

「高町?」

 

「にゃ?」

 

「「「正座」」」

 

「えっと、せめて店内で……」

 

 仕方がないので店内に入る。

 

「ダージリンとシュークリーム」

 

「アールグレイとシュークリーム」

 

「ブルーマウンテンとザッハトルテ」

 

「はーい、少々お待ちくださーい」

 

 

 なのはの姉の美由希さんが注文を取り、なのはが正座させられていることに困惑しているが、それはそれこれはこれ。隠していて余計に面倒事が起こったのだからキレてもいいはずだ。

 

 

「えっと、本日はお世話になりました」

 

「大丈夫、許さないから」

 

 えっ、と言ってなのはとフェレットが驚愕した。

 

「まあ、まずはそこのフェレットは情報量が明らかに人間だよな。獣人かな?

 それはそれとして、何があったか説明してもらおうか。取り敢えず、注文が届いてから」

 

「それまでは、なのはちゃんにお説教ね」

 

 俺の後にすずかがなのはにもジャブを振っていく。

 二人?はお手柔らかに、と言うが、それはアリサとすずかの機嫌次第だ。

 

 

 

 

 

 

 

「うぅ、すずかちゃん――そろそろ」

 

「ダメ」

 

 すずかの笑顔が眩しい。(くら)く輝いてる。

 今すぐ麻婆豆腐を食いそうな神父の気配を漂わせている。

 

「ボクからも」

 

「面白くないからダメだろ」

 

 フェレット――ユーノというらしい――のお願いを却下する。

 悪い笑みを浮かべた二人がヒーヒー言ってるなのはとユーノで遊んでいる。

 楽しいわ楽しいわ楽しいわ、という幻聴まで聞こえてきた。

 

 

―――――――――――――

 

 

「ただいま。美由希、代わるから家事頼む」

 

「はーい。ついでにあのサバトもどうにかしておいてね?」

 

 

―――――――――――――

 

 

「で、あんな白のフリフリなドレス着て魔法少女やってると。

 端的かつ簡潔にって頭沸いてるんじゃね?」

 

「ひ、酷い……つぁ、あ、アリサちゃんそこはぁっ」

 

 ニマニマと悪い笑みを浮かべながらアリサとすずかが正座で痺れの切れた足をつついている。

 俺はユーノを片手で押さえつけている。

 

「そこがどうしたの、なのは?

 ただ太ももをつついてるだけじゃない」

 

「そうだよ、なのはちゃん。

 ちょーっと魔法を使った反動が出てないか触診してるだけだから」

 

「なんで足ばっかりなのーーー!?

 ひゃああああああああああ」

 

 ビクンビクンと震えている。膝の上には作った石を載せてるしガチだ。

 

「で、あんなことも起こせる問題のある物体を探して封印してると。

 こんな石がねぇ……。まるで精霊石結晶だな」

 

「精霊石?」

 

 ふむ、そういえばカップルにしか説明してなかったな。

 

「この世のあらゆるモノに関わる流体、と呼ばれる物質が結晶化したものだ。

 高純度の超エネルギーを持つ石で、大気中の流体と反応するとてもいい動力源として使われていた。

 それを起動源にし、三つ積んで最適化し終えればスペースシャトルの代用品になるそうだ」

 

「スペースシャトル?」

 

「宇宙に行くための機体だよ」

 

 次元航空艦みたいなものか、と言われてもよくわからん。

 わざわざ別の次元に行く理由なんてあるのだろうか?

 世界を管理する、という連中も気に入らない。

 

「恭也、コーヒーおかわり」

 

「目上の人間には敬意を払え」

 

 とかいいつつ準備を始める。働き者だな。

 

「しかし、事故、ねぇ。こんな危険物を運ぶというのに事故はねえだろ事故は」

 

「それって……」

 

「ぶっちゃけ故意だろ。願いを叶える、ってんなら狙ってくる連中もいるだろうさ。

 世界を統治して管理するって言いながらやることは雑すぎるしな。

 それに、犯罪者の扱い的に多分裏もあるぜ」

 

 裏もある、という一言に食いついた。

 

「裏ってことは、――ああ、そういう」

 

「あくどいね」

 

 二人はまだ分かっていないようだ。

 

「どういう、ことですか?」

 

 やれやれ、と思いつつ政治や情報管理に携わってないとこんなものかとも思う。

 

「まず、なにか犯罪を意図的に起こしやすくする。

 で、そこそこ高位の人間が関わったところで事件を解決して、改心する気のある人間を更生プログラムをこなさせたあと局員や関係者として働かせるんだろ?

 つまり、人員を確保するためにある程度事件を起こしやすい環境にしてるわけだ。

 はっきり言ってクソだろ。嫌いだぞ、そういうの」

 

「そ、そんなことはないはずです」

 

「まあ、一部の人間はやってるだろ。

 楽に人員を確保できるし(管理局にいいところだって思わせるマッチポンプになるし)」

 

 なのはは驚いた顔をしているが、すずかとアリサはまあそんなもんよねとか呟いてる。

 

「まあ、街の被害が出る前には処理してやるよ。迷惑になると面倒だしな」

 

「そうだね。私はともかくアルかアリサちゃんなら純エネルギー結晶でも大丈夫だろうし」

 

「え、三人とも魔法が使えるんですか?」

 

「「「ちがうけど?」」」

 

「へっ?」

 

「はい?」

 

「私は近接武術師」

 

「俺五行師」

 

「私風水師」

 

「どうぞ、おかわりです。

 ああ、俺は全方位武術師(ストライクマスター)だ。ついでに、そろそろ正座は勘弁してやれ」

 

 石が消えたら、とだけ言われてハァ、とため息をつく。

 

「ええと、ここにいる全員真っ当な一般人じゃなかったの?」

 

「そうだな。因みに忍は近接義体師(スチールフォーサー)だ。

 左腕が義体なんだよ。とはいえ、素材が素材だからかなり相手し辛いけど」

 

 自分の分のコーヒーを飲みつつ会話に加わる。

 

「お兄ちゃん、お仕事は?」

 

「手空きだから休憩だ。で、何がどうなってるんだ?」

 

 ふむ、

 

「簡潔にわかり易くいこう。脳筋だものね?」

 

「余計なお世話だ。大学生だから理解力もある方だぞ」

 

 では、という一言で初めて

 

「数日前、こっちの三人がフェレットを見つけた日を覚えているか?」

 

「ああ、ちょうどその日はなのはが夜遅くにこっそりと家を出ていたな」

 

 ならば話が早い。

 ニヤリ、と笑いつつ

 

「その日、このフェレットを助けたついでになのはが魔法少女になった」

 

「……テレビの見過ぎか?」

 

 ありがとう、ほぼ一般人ならそういうと思った。

 

「まあ、大して強くもないがな。

 遠隔魔術師(マギノガンナー)にしては機動力もないし、連射性もない。

 ぶっちゃけ、空を飛べなかったらすずかにも負けるくらいの雑魚だ」

 

「ひ、酷い……ひああっ! アリサちゃんつつかないで!」

 

 アリサが楽しそうでなによりだ。

 あと、優しめに言ったからあれだが、今ならアリサよりなのはの方が弱い。

 攻撃が全部カウンターとして飛んでくるから洒落になってない。

 

「それでまあ、ジュエルシードなるこんなエネルギー結晶を集めてるらしいんだ。

 こいつは思念に反応し、歪んだ願いを叶える粗悪品でだな、今日の街を破壊した原因もこれだ」

 

 封印されたそれを手に取り、観察している。

 

「ナンバーが見えるな。いくつあるんだ?」

 

「二十一個です」

 

「……フェレットにしてはおかしいと思ってたが、喋れたのか」

 

「ええ、一応」

 

 ふむふむ、と言いながら裏返したり、硬さを確かめたりしている。

 

「一個のエネルギーは運命を全力起動するのと同じくらいか。

 大した量だな。言い換えれば忍の保有排気量がおかしいんだが」

 

「お姉ちゃん、万全なら全力の運命の仮発動5回はいけるって言ってたし……」

 

 恭弥がここにいる誰もが忍に勝てないからなぁと呟いた。

 なのはとユーノが驚愕した。

 

「えっ」

 

「ああ。恭也と模擬戦して八勝二敗というチートだからな」

 

「仮発動する前に間合いを詰められるから身体スペックでの勝負になるんだよなぁ」

 

「いや、あのチートに二勝もぎ取ってる時点でやばいだろ」

 

「俺、一応忍の護衛の仕事も請け負ってるんだぞ?」

 

「ゲリラ有りなら恭也の方が強いから大丈夫」

 

 お兄ちゃんと忍さんのイメージがと言いつつ石が辛くて涙してるなのはがいた。

 そうだよな、剣術の基礎を教えたらあっという間に強くなったもんな。

 

「まあ、うん。そのうち黒幕の手下が拾いに来るだろ。

 ある程度戦いの基礎を叩き込むか、恭也が」

 

「俺かよ」

 

 いや、だってなぁ。

 俺やすずかは五行や神器、技能ありでの体捌きだし、アリサに至っては薙刀術と古武道だ。

 

「棒術は流石に知らん。剣や銃、強臟式機械ならともかく、ほかの武器は専門外だ」

 

「薙刀なら習ってるけど、なのはのは杖だし……」

 

「……はぁ、引退した父さんに頼むとする。流石に棒術は詳しくない」

 

 ああ、そういえば結構すごいよな。シックスパックとか、二の腕とか。

 

「え? お父さん?」

 

「気づいてなかったのか?

 体幹が一切ぶれてないし頭の位置がずれないからかなり鍛えてるぞ」

 

「怪我が原因で師範を俺に譲っただけだからな」

 

 ほへぇって顔をしている。

 

「死んだな」

 

「死んだわね」

 

「苦しいだろうなぁ」

 

 首をかしげているが、知ったことではない。

 

「じゃあ、フェレットに魔法を習って親父さんに棒術を習っておけ」

 

「はーい」

 

 

 まさかあんなことになるとは、この時のなのはは想像もしていなかった」

 

「物騒なセリフは禁止なの!!」

 

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