城ヶ崎家の長男はめんどくさがりのプロデューサー? 作:all
朝起きて、飯をつくって、可愛い可愛い妹を起こして、飯食って、スーツに着替えて、職場である346プロに出勤する準備をする。それが俺、城ヶ崎涼太郎のいつも通りの朝だ。
まあ、社会に出てからやっと一年。そろそろ慣れなくちゃ困るというものだ。
「お兄ちゃーん、仕事行くんでしょ?アタシもレッスンあるからついでに送ってー」
「あ、お姉ちゃんずるーい!アタシもアタシもー!」
俺の妹、城ヶ崎美嘉と城ヶ崎莉嘉がそう言ってくる。
あのね、お兄ちゃん君らのタクシーじゃないの。
美嘉は346プロのアイドルなので行く場所は一緒だけど、莉嘉もアイドルなのだが、スカウトされたばかりで、シンデレラプロジェクトのメンバーはまだ揃っておらず、顔合わせは未定だ。どこに行くつもりなんだよ…。
「美嘉はともかく、莉嘉は今日休みでしょうが」
「今日は友達と遊びに行くから、近くの駅まで!」
「あー、はいはい。わかった。んじゃあもう行くから車に乗ってろ」
俺は鞄を手に取り、妹二人が車に向かったのを確認して家を出てしっかりと鍵をかけ、車に向かう。
車に着くと、既に二人は車内に居て助手席に美嘉、後部座席に莉嘉が座っている。
俺は車に乗り込み、鞄を後部座席にいる莉嘉に渡してエンジンをかけ、車を出す。
「キツい…眠い…ダルい…」
職場に、というかまずは近くの駅までいっている最中、俺はそんなことを呟いた。
「あはは、最近ずっと夜遅くまで仕事やってたしね」
「そうなんだよ…。あの職場、俺の担当多すぎなんだけど…。確実ブラックだろ」
ホント、何なのあれ?担当アイドルの仕事を取りに行くまではいい。スカウトとか武内さんを警察署まで迎えに行くのも俺の仕事なのは何でなの?ちひろさん行ってこいよ。
「でも、お兄ちゃん仕事大好きだもんね~?」
莉嘉は俺にそんなことを言ってきた。
「大嫌いなんだけど…」
莉嘉は「え~?」と言ってくるが、これに関しては本当。
実際、キツいんだよ、マジで。残業ばかりで夜は遅いし、武内さん警察署連れてかれるし…。
あれ?これ言うの2回目だっけ?
そんな会話を続けながら車を運転していると、すぐに駅についてしまった。
駅に車を止めると、莉嘉が「ありがと~☆」と感謝の言葉を述べながら笑顔で走り去っていった。
「じゃあ行くか」
「そうだね~。今日は楓さんだっけ?」
「そうそう。なーんかあの人何考えてっかわかんないんだよなー。いっつもスゲー距離近いし」
「あ、あはは…」
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「んじゃあ、頑張ってこいよ」
346プロについて車から降りた俺たちはエレベーターの前で別れることとなった。
「はーい★お兄ちゃんも頑張ってね~」
「おーう」
美嘉の言葉に俺は気だるげに返事をして、エレベーターに乗り込む。
そして自分の部屋がある階のボタンを押して、つくのを待つ。
目的の階に着いたあとは目的の部屋を目指すのみ。ということでおそらく既に俺の担当アイドル達が待っているはずだ。といっても今日は一人だけのはずだが。
扉を開けると、やはり部屋には一人の女性しかいなかった。髪型はボブカットというのだろうか?左目には泣きぼくろがあり、ややあどけない顔立ちの美しくも可愛いといった感じの25才の俺が担当しているアイドルにして、トップアイドルと呼ばれるほどの人気を誇る高垣楓、その人だ。
「おはよーございます、高垣さん」
「おはようございます、プロデューサーさん。それと、私のことは楓と呼んでください」
俺が彼女のことを高垣さんと呼び、彼女が名前呼びを強制する。これはいつも通りの光景だ。だいたい最後は俺が根負けする。それは俺もそろそろ諦めてもいいんじゃないか?とも思うほどの押しの強さでビックリ。
何なの俺の担当アイドル?あんたがそろそろ諦めてくれよ。
俺はもう疲れたよ。
「はあ~、楓さん。これでいいですか?」
「はいっ!では行きましょう。今日は撮影ですよね?」
彼女は俺に満面の笑みを浮かべてそう言った。
「そうっすね。昼からですけど。ま、ダルいですけど、よろしくお願いします」
俺が彼女に向かってめんどくさそうにこう言うのもいつもの光景だ。
俺は自分のデスクに歩を進める。俺のデスクにあるのはまだ終わっていない書類が数枚。
…さて、まずはこの書類から片付けるか。
「やっぱ、ブラックだよなあ…。昨日まではこんなのなかったし…」