城ヶ崎家の長男はめんどくさがりのプロデューサー? 作:all
何時もと同じように徹夜し、何時もと同じように出勤し、何時もと同じように常人より仕事させられているどうも俺です。
「プロデューサー、大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃない」
俺が担当しているアイドルの一人、小日向美穂が俺を心配する。ありがたい、あなたが天使だったのか。
だが、その天使の癒やしすらも今の俺には通用しない。だって、マジヤバイんだもん。そろそろ訴えてやろうか、この会社。
「そうだ小日向、午後からスカウトに行くつもりだけど、お前はどうするんだ?」
「えっと、午後からはレッスンがありますね。それにしても、プロデューサーがスカウトなんて珍しいですね」
「ああ、ちょっと新しいプロジェクトをやろうかなと思ってな」
俺の言葉を聞いた小日向が俺に詰め寄る。
ちょっ、近いですよ小日向さん。あ、いい匂い。
「本当ですか!?」
「お、おう…」
あまりの勢いに驚きながらも、辛うじて返事をする。
「実現はいつか分からんがな。プロジェクト名は…そうだな
―――プロジェクトクローネにしよう」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
いい娘が、全くいねぇ…。
街に出てアイドルに向いていそうな女の子を探しているが、見つかる気配がまるでない。
「どうすっかな…」
「えっと…ここを…」
「!見つけた」
あの小さい子、ビンゴだ。どうやら道に迷っているようだし、ここは一つ助けてやるとしよう。
「おい、そこのチ…君」
セーフ!危うくチビと言いそうになってしまった。
「なんですか?」
「道に迷ってるようだけど、どうしたんだ?」
「えっと、ここにいきたくて…」
少女は俺にメモ用紙を渡した。そこに描かれている目的地は本屋、それも知り合いがいるところだった。
「ここ、知ってるぞ。こっちだ、付いてこい。えーと…少女」
「え?え、ちょ、ちょっと待ってください!後私は橘ありすです!」
「OK、橘か。俺は城ヶ崎涼太郎だ」
急に歩き出した俺に驚いて急いで橘が着いてくる。
…不審者と間違われてないかな。武内さんじゃないけどど警察は勘弁してほしい。
しばらく歩くと、目当ての本屋に着く。鷺沢、いるかな?
「ほら、ついたぞ」
「あ、ありがとうございます」
「気にすんな。けどまあ、連れてきてやったんだから、一つ俺の話を聞いてもらおうか」
「な!?聞いてないですよ!」
「これが大人の汚さってやつだよ」
「うぅ…」
悔しがる橘を無視して、俺は本屋に入る。すると中から綺麗な声で「いらっしゃいませ」と聞こえる。どうやら今日はいるみたいだな。
「よう、鷺沢」
「涼太郎さんでしたか…。今日はどうしたんですか?」
俺の担当アイドルの一人、鷺沢文香だ。
「いや、アイドルのスカウト中にいい娘を見つけたんだが、迷子だったみたいでな。地図を見せてもらったら、ここにいきたかったようだから連れてきた」
「そうですか…。その子は?」
「今頃悔しがりながら本を選んでるだろうよ。っと、早かったな橘」
「買う本は決まってましたから」
ムスッとした橘が本を鷺沢に手渡して会計を済ませる。
「それで、話ってなんですか?」
「ああ、立ち話もなんだ、近くのカフェにでも行くか。何でも奢ってやろう」
「汚い大人の言うことは信用できません」
「そういうなよ…悪かったって」
「…わかりました」
「よし、決まりだな。鷺沢、バイトは何時までだ?」
「もう時間なので終わりです」
「じゃあ、お前も付いてこい。お前にも奢ってやる」
「では、お言葉に甘えさせてもらいます」
…これはスカウトだから経費は落ちるよな?