城ヶ崎家の長男はめんどくさがりのプロデューサー? 作:all
その後、本屋から徒歩で10分ほどでつくカフェに鷺沢と橘を連れて入り、注文を済ませた俺は本題に入ることにした。
「えー、それじゃあ本題に入る。俺はアイドルのプロデューサーなんだ。ほら、名刺」
「え!?346プロのプロデューサーさん!?」
声でかいよ…。なに、そんな以外だった?ただのロリコンかと思った?残念!シスコンでした。
「まあ、俺が言いたいことはアイドルやらねえか?ってことなんだが…。やりたくないなら言ってくれ。諦める」
「少しは粘らなくていいんですか?」
「いいんだよ。強制することじゃあない。それで、どうする?」
俺がそう言うと、橘は考え出した。まあ、直ぐに決められることでもないしな。
「…決めました」
「へぇ…速いな。答えは?」
「やってみます」
「よっし!OKだ!」
「それにしても、プロデューサーさんがスカウトなんて珍しい、ですね」
「まあな…。小日向にもいったんだが、新しくプロジェクトを始めようと思ってな。そのメンバーの一人に、と思って橘みたいなやつを探していたんだ」
「私のような、ですか。どんなプロジェクト何ですか?」
どんな…か。それを言われても困るんだが。正直に言うか。
「ぶっちゃけ俺の趣味だ」
「ロリコンですか?」
「断じて違う」
だが、俺の趣味でやると言うことは一つ意味があるのだ。その意味とは、ある程度の纏まったコンセプト。
武内さんの進める『個性』重視の色々な人種が集まるのとは違うと言うわけだ。
あと、俺のモチベーションが保たれる。
「あ、鷺沢もメンバーな」
「え、私も…ですか?」
「当たり前だ。何のために一緒につれてきたと思ってるんだ」
「つまり、私はプロデューサーさんの趣味、つまり好みだと言うことですか?」
「ん?え?違う…いや、そういうことなのか?」
何処か違う気もするんだが、違わない気もする。…どっちなんだよ。
「あ、注文来ましたよ」
店員がトレイにアイスコーヒー二つとイチゴパフェを乗せて持ってきた。勿論、アイスコーヒーは俺と鷺沢、イチゴパフェは橘である。ちなみに、イチゴパフェはこの店で一番高かった。容赦ねえ…。
「あ、わかりました。クール系の子が好みなんですね?」
「……」
否定出来ないのがつらい。
**
「涼太郎君ってさぁ、友達いないよね」
「なにか文句あんのか28歳。つか、何で知ってんだよ」
橘のスカウトに成功した次の日に俺は担当アイドルの一人、28歳の元警官アイドル、片桐早苗さんにいきなりそんなことを言われた。
「それぐらい見てたら分かるよ。基本無愛想だし。顔は美嘉ちゃんに似て良いのに」
「俺が美嘉に似たんじゃなくて美嘉が俺に似たんですよ」
まあ、確かに?友達と呼べる人は居ませんけど?なんなら仕事が友達。
「早苗さんは今日レッスンでしょ?行かなくていいんですか?」
「行くけど、涼太郎君も行かないかなって。ほら、アイドルのレッスンを見て助言したり、状態を確認するのも仕事でしょ?」
「そうですけど、前回も行ったし、今日はシンデレラプロジェクトの顔合わせがあるそうなので、莉嘉の顔でも見てきますよ」
「妹さんでしょ?私も見に行きたいなあ」
「まあ今度の機会に会わせますよ」
「ありがと!行ってくるね!」
「ハイハイ、がんばってくださーい」
「はーい。あ、次は見に来てねー」
そう言って早苗さんは元気良く部屋から出ていった。しかし、最後の部屋を出る瞬間のウインクはいかがなものか。童顔とはいえ、28ですよ?もう立派なアラサー。
「けどまあ、次は見に行こうかな…」
そう呟いて、仕事に戻るべく、パソコンに目を移す。そこで不意に、時計に目がいった。時間は2時を回っていた。さて、集合は6時半だった筈だ。そこまでは出来るだけ仕事をしよう。あと、そろそろ上司に仕事を減らしてもらうように掛け合うとしよう。プロジェクトの企画が進められん。