Armour IS Zone Re2   作:アマゾンズ

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獣は待つ、癒える時を

傷を負せた相手を探すために


第三話 Beasts full of scratches

試合中に起こったアクシデントによってクラス代表を決める戦いは流れてしまった。

 

クラス代表はクラス内で話し合った結果、セシリアが務める事になった。

 

セシリアは呆気に取られたが、担任である千冬から事情を説明され納得した。

 

一夏と鏡夜の試合を自分も観戦していた為に鏡夜は片目に重傷を負い、一夏は鏡夜に重傷を負わせたショックでクラス代表など出来る状態ではない。

 

教室内ではセシリアが改めてクラス代表の挨拶をしている。

 

「皆さん、この度クラス代表となったセシリア・オルコットです。クラス代表となりましたが織斑先生やクラスメイトの方々、一人はおりませんが男性操縦者のお二人にもこの場を借りて謝罪したいと思います。本当に申し訳ありませんでした!」

 

セシリアは教壇から降りてクラスメイト達や教師である千冬と真耶に深々と頭を下げた。

 

それを見た千冬が全員を代表して言葉を紡ぐ。

 

「反省し謝罪をしたのならば言う事はないが、あの時のような発言は控えるように。同じ事をしたのならば二度目は無いと思え」

 

「は、はい!」

 

許しを貰えたことでセシリアは安堵したが、もう一度あのような横暴な態度を取れば次はない、つまりそれは本国であるイギリスに報告するという意味であり、警告とも取れる言葉だ。

 

しかし、今のセシリアには女尊男卑の考えがどれだけ愚かな事か理解している。

 

今の時代は確かに女性が強いだろう、それはISに適応し動かす事が可能なのが女性であるという点を盾にしているに過ぎない。ISその物を持っていないのにも関わらず、適合し操縦できるという部分を女性の力であると勘違いして横暴な態度を取っている一般の女性も多い。

 

その女性の優位性を仮に失ってしまったらどうなるか?間違いなく男性からの報復が来るだろう。内部で活動している火山のように突然噴火し報復される。それを少しでも思考するのが出来るのであれば自分が染まっていた思想が愚かなのかと冷静に考える事が出来るはずだ。

 

セシリアは男性操縦者の二人と戦った事で己の染まっていた思想がどれだけ愚かであったのかを自分自身で気付く事ができたのだ。

 

「では、授業を始めるぞ?今日は山田先生の講義だ、しっかりと聞くように!」

 

 

 

 

授業を各教室が行っている最中、鏡夜は保健室で意識を取り戻していた。叫びと出血の影響で意識を失っていたのだ。

 

「・・・やっぱり斬られた方はぼんやりと形があるくらいしか認識できないか」

 

Armour(アーマー)細胞の驚異的な再生力によって傷自体は回復したが視力に関しては全くと言っていいほど回復していなかった。

 

左目の瞳は光を失いかけているかのように白っぽく濁りかけている。完全に回復するにしてもかなりの日数を必要とするだろう。

 

「あら、起きた?」

 

保健室の担当教諭が鏡夜に話しかける。その手にはお盆を持っており、食事が乗せられていた。好みを反映しているのかハンバーガーと肉料理が一品あるのみだ。

 

「これ・・」

 

「お腹空いてるのでしょう?食べていいわよ」

 

「ありがとうございます」

 

鏡夜は身体を起こすとハンバーガーと肉料理を貪るように食べ始めた。

 

「ごちそうさまです、教室に戻りますね」

 

右手を壁に着けながら鏡夜は保健室から自分のクラスへと戻っていった。

 

その様子を見届けた保健室の担当教諭は何かを呟いた。

 

「プロトアマゾン、成長を未だ止めておりません」

 

 

 

 

教室へ戻るとクラスメイト達が一斉に押しかけてきた。理由は恐らく、目を斬られ苦しみもがいている様を見ていた故の心配だろう。

 

「鏡夜くん!?」

 

「大丈夫なの!?」

 

などの声が上がるが、鏡夜はどうどうと落ち着かせるように手で押すような仕草を両手でした。

 

「俺は大丈夫だから落ち着いてくれ、怪我はしたが命があるだけ儲けもんなんだから。それと一夏を責めないでやってくれよ?」

 

クラスメイト達は納得いかなかったようだが、仕方ないといった様子でぞろぞろと教室内部に散らばっていく。

 

「鏡夜兄!お、俺・・・」

 

鏡夜の姿を見た一夏はクラスメイトの女生徒達が戻ったと同時にやってきた。その様子からして自分のしてしまった事を謝りたいと言いたげだ。

 

「なんだよ?一夏まさか、俺は償うからなんて言うんじゃないだろうな?」

 

「っ!?」

 

鏡夜の言葉は的を射っており、一夏は狼狽えた。自分が大怪我を負わせてしまったがゆえ、鏡夜に償う事で自分を罰したいと考えているのだろう。

 

「俺の怪我は気をつけていても起こらないとは限らない出来事の中で起こった事だ。どんなに言葉を言っても起こった事は戻らない、だから自分で整理しないといつまでも引き摺る事になるぞ?」

 

「う・・・」

 

鏡夜の言葉は優しくも今の一夏には厳しすぎる言葉だ。自らを罰したいのに責めるような事はされず、割り切られてしまっていたから。

 

「俺に償うなんて事を考える前に、これからどうするかだろ?俺の心配よりも自分の事を考えろよ。お互いにそこまで成長してないし未熟なんだから」

 

「わ、わかった」

 

「何も傷つけず、自分の手も汚さない。優しい生き方だけどな?何の役にも立たないんだなぁ・・・人間は聖人君子じゃないんだから」

 

「・・・・鏡夜兄」

 

鏡夜はほとんど見えない左側にぶつからないよう歩き出し、自分の席に着席する。

 

一夏も席に戻り、予定にある残りの授業を受ける事にした。

 

 

 

 

日本時間で鏡夜と一夏が授業を受けている最中、中国では一人の少女が培養液のような物が満たされた物から外へと出された。

 

移動の為のストレッチャーに寝かせられた少女は裸体のまま眠っているかのように目を閉じており、起きる気配はない。

 

その腕には改良された新しいアマゾンズレジスター、ネオアマゾンレジスターが装着されている。

 

「人間への移植体、これが唯一の本国での成功例だ」

 

「まさか、この危険な細胞の培養方法と制御方法を改善したデータが匿名で送られてくるとは」

 

「まぁ、良いではないか。これで我が国家の力となるだろう」

 

「そう、ですね」

 

軍人らしき男性と研究員のような格好をした男性二人が話している中、少女は意識を僅かに覚醒させていた。胸の中にあるのは再会したい二人の男性への思い。

 

「(鏡夜・・・一夏、会いたい。すぐにでも!)」

 

意識がゆっくりと覚醒していくと同時に彼女の中で何かが囁きかける。私はお前でお前は私。その名前を叫んで呼べと。

 

「・・・ア・・マ、ゾン・・・!」

 

獣の名を呼んだ彼女はその姿を異形に変えた。内にいる獣の姿を見せつけるように咆哮を上げる。

 

目覚めると同時に少女は飛び起きて出口へと向かっていく。

 

「わた・・・私は・・・会いに・・・イキタイ!」




さて、アマゾン側にISガールズのうち、2、3人入れようと考えていたら短めですがネタが湧き、書きました。

今回はアマゾン側の一人です。国の名前が出てるのでわかりやすいかと。

次は誰をアマゾン側にしようか検討中です。
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