Armour IS Zone Re2   作:アマゾンズ

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喰らうのなら残さず喰らい尽くせ。

喰らえない者は何も出来ず停滞するのみ。


第六話 The words of the Shang

戦いの終わったアリーナから教員が出入りするアリーナの一室に移動した三人を待っていたのは織斑千冬となぜか拘束状態にある箒であった。

 

しかも逃げ出せないように親指をバンドで止めてあり、千冬が監視している。

 

「さて、積もる話は色々あるがまずは報告を聞こう」

 

千冬の言葉に鏡夜が代表して答える、いつもの飄々とした態度は無くなり真剣そのものだ。

 

「アリーナの試合中に正体不明のISらしき機体が一体、それとISに捕まってきたのか学園内に潜んでいたのかは不明ですがアマゾン三体を確認。それを俺と鈴が狩り尽くし、残った正体不明のISも一夏の協力を得て破壊しました」

 

「ふむ、二人共、鏡夜の報告に間違いはないか?」

 

「鏡夜兄の言葉通りだよ」

 

「間違いありません、鏡夜の報告と私が報告しようとした内容も変わらないので」

 

一夏と鈴は鏡夜の報告に間違いはないと念押しして肯定した。

 

「雨宮、アマゾンと呼ばれた三体に関しては?」

 

「俺からは何とも、あくまで推測でしかありませんが世界中でArmour(アーマー)細胞に関する研究がされているのではないかと」

 

「現状では何も分からないということか」

 

「はい」

 

鏡夜の報告を聞いて千冬は改めてArmour(アーマー)細胞の危険性を噛み締めた。

 

今回はArmour(アーマー)細胞を体内に持っている二人のおかげで誰一人として被害に遭うことはなかった。

 

二人が居ないことを考えればその被害は想像以上であり、学園が血の海に沈む事を容易く想像出来ることに恐怖してしまう。

 

千冬は内心、この二人に対して感謝と警戒を同時に抱きながら次の話題へと移った。

 

「次にこの馬鹿者に関してだ」

 

「っ!」

 

千冬の視線が鏡夜達三人から拘束されている箒に向けられる。

 

「篠ノ之、お前は何故あの時に放送室にいた?無断で勝手に放送をした事も問題だ」

 

「わ、私はただ一夏に喝を入れようとしただけです!」

 

「バッカじゃないの?」

 

「何!?」

 

鈴が何気なく呟いた言葉に箒は過剰に反応し、射殺す勢いで睨んだ。己を馬鹿にされたのだから当然といえば当然の行動だが鈴はどこ吹く風の様子だ。

 

「あんな事をしたら真っ先に狙われるのは当たり前じゃないの、そんな事も分からないの?」

 

「わ、私は一夏の為に!」

 

「その一夏の為にっていうのが根本的におかしいの、あの時に逃げる事の方がよっぽど一夏の集中力に役立ったはずよ」

 

「なんだと!?」

 

「はいはい、口喧嘩は止める。これ以上続けてると織斑先生の鉄拳が飛んでくるぞ?」

 

「余計な事を言うな、雨宮」

 

鏡夜が手を鳴らしながら二人の口喧嘩を仲裁し、千冬が二人を殴ろうとしていたのも同時に止めていた。

 

「箒さんよ?勇気と無謀は紙一重だって聞いたことないかな?今回やった行動は無謀だよ?」

 

「っ」

 

「今回は運が良く助かっただけ、俺もあの時、偶然に逸らす事が出来ただけでも幸運だったんだよ」

 

「私は・・・助けて欲しいなどと!」

 

「ああ、そう。俺も助けるつもりじゃなかったって言えばいいのかな?」

 

「それは・・」

 

鏡夜は座ったままの箒に視線を合わせるように座り込んだ。

 

冷静でいて諭すような言葉で怒りを表に出されるのは威圧感が現れる。

 

それによって箒は鏡夜から顔を背けてしまった。

 

「鏡夜兄、箒は俺の事を思って!」

 

「黙っていろ、一夏」

 

「ち、千冬姉?」

 

感情的になって鏡夜を止めようとして一夏を引き止めたのは意外にも千冬であった。

 

千冬自身も運が良かっただけという鏡夜の言葉が的を射ている事に納得しているのだろう。

 

「お前が出しゃばったところで篠ノ之のしでかした事が軽くなる訳ではない。今、この場でお前は無力だ」

 

「くっ」

 

一夏を止めた後に千冬が箒に近づく、その目には教師として罰を与えると言わんばかりだ。

 

「篠ノ之、お前には自宅謹慎一週間とその間に反省文250枚だ。軽くするつもりはないからな?」

 

「っ、はい」

 

「今回の件は口外するな、特にアマゾンに関してはな」

 

三人は頷くと千冬も軽く笑みを見せた。

 

「三人は戻っていいぞ。篠ノ之は私が連れて行く」

 

三人は部屋から出ると鏡夜が思い出したように声をかけた。

 

「そういえば一夏、俺に何か相談したい事があるとか言ってなかった?」

 

「ああ」

 

「私も立ち会って欲しいとか言ってたわね」

 

「二人に相談したいから中庭に行こう」

 

一夏は先導するように歩き出し、二人もそれに付いていった。

 

中庭に到着し、鏡夜はいつもの飄々とした態度で、鈴は変わらない明るさのままで一夏を見ている。

 

「それで?相談ってのは?」

 

「ああ、俺も・・・俺も二人と同じようになりたい!」

 

「え?どういう事?」

 

「俺もArmour(アーマー)細胞を自分の中に入れたいんだ!束さんと一緒にいた鏡夜兄なら何とか出来るだろ!?」

 

一夏から余りにも衝撃的な言葉を聞き、二人は固まっている。

 

Armour(アーマー)細胞の力があればみんなを守れるんだ!だから!っぐはっ!?」

 

必死に頼み込んできた一夏に対し鏡夜は一夏の頬を殴り飛ばしていた。その顔には怒りが現れており、抑えきれていない。

 

「もう一度言ってみろ、お前・・・Armour(アーマー)細胞を自分の中に入れたいだと?みんなを守るために欲しいだと?矛盾した行動になってるんだよ、それは!」

 

鏡夜は一夏の髪を掴むと至近距離で睨みを利かせる。ただの怒りではなく、安易に危険があるものに手を出そうとする子供を叱りつけているようにも見える。

 

「っ!」

 

「俺は前に言ったよな?Armour(アーマー)細胞は人間を好物としてるって。この時点で無理なんだよ」

 

「な、なんで・・・?」

 

「俺は束さんが開発してくれた抑制細胞のおかげで、鈴は腕輪のおかげで人を食わずに済んでる。お前、守った人達を自分の食料にするつもりか?」

 

「そ、そんな事をするつもりは」

 

「無くてもなるんだよ。喰うために守るなら俺は止めやしないがな。だが」

 

「そうなると、私も鏡夜も一夏、アンタを狩らないといけなくなるわよ?」

 

鏡夜が一夏の髪から手を離すと同時に鈴が言葉を紡いだ。それを聞いた一夏は呆然としている。

 

「なんで、俺を?」

 

「一夏。俺はな、アマゾンでありながらアマゾンを狩るって考えてる。線引きは甘いが[人を喰ったか喰っていないか]でな」

 

「私もそうよ」

 

「っ・・・」

 

二人も矛盾した行動をしているだろうと言いたげな表情を一夏は見せているがそれを言葉にできない。

 

「仮にだ。お前がアマゾンになって俺や鈴が人を喰ったとしたら狩れるか?もう人間しか喰えなくなっている状態だぞ」

 

「そんな事、なってからじゃなきゃ分からないだろ!」

 

「なってからじゃ遅いのよ。そうなる前に止めなきゃアマゾンは人間を殺して喰らい続けるんだから」

 

「お前の関わった人達を守るという理想は良いかもしれないがな、俺からすれば自分の選り好みで戦うって考えてるようにしか見えないんだ」

 

「う・・・」

 

「だから一夏、お前はこちら側に来るな。人間のままでいた方がお前にとって一番良い事だと俺は思うぞ?」

 

「お、俺は関わった人も守りたいし鏡夜兄や鈴と一緒に!」

 

「いい加減にしなさいよ!一夏!!」

 

「り、鈴?」

 

一夏に対し大声で言葉を遮ったのは鈴であった。感情を制御できずに涙を流しているが溢れ出ている感情の表れだろう。

 

「アンタはまだ気づかないの!?鏡夜はね、アンタを狩らないようにしようとしてるのよ!」

 

「!!!」

 

「私と鏡夜は望んでArmour(アーマー)細胞を体内に入れた訳じゃないのよ。自ら望んで入れたとしても、Armour(アーマー)細胞を持っている限り狩られる対象である事に変わりはないんだから!」

 

「俺は束さんに、鈴は政府から守られているからこうして学園にも居られる。無かった今頃、研究所送りで実験体に逆戻りだしなぁ」

 

鈴の言葉に一夏はようやく鏡夜の配慮に気付く事が出来た。それでも、力が欲しいという考えは変わらないままだ。

 

「力が欲しいと考えるのはいけない事なのかよ!?」

 

「いや、力を得るなら他にも色々あるだろ?Armour(アーマー)細胞は危険すぎるんだよ。安易に求めちゃいけないってだけだ」

 

「人を食べたいのなら止めはしないけどね」

 

「ぐっ」

 

Armour(アーマー)細胞の弊害を強調され、一夏は再び押し黙った。人を守ろうとして人を食べてしまうという選択をするのは正に愚の骨頂だと言わざるを得なくなるだろう。

 

自分も狙われる存在になる。そんなのは嫌だ、それでも力は得たい。そんな思考が一夏の頭の中を回っている。

 

「俺が殴った理由は弊害を忘れていたからだ。もっと線引きや力に対して考えてからArmour(アーマー)細胞の事を口にしな」

 

「なるべくなら私もアンタを狩りたくはないから」

 

そう言い残し、鏡夜と鈴の二人は中庭から去っていった。その後ろ姿を見ながら一夏は地面を殴った。

 

「なんで、なんで二人はよくて俺はダメなんだよ!」

 

 

 

「ねぇ、鏡夜?」

 

「ん?」

 

隣りを歩いていた鈴が立ち止まって鏡夜を見ている。その様子から何かを伝えたい事があるのは明白だ。

 

「もし、もしね?腕輪が壊れて私が人を食べたら・・・その時は私を狩ってくれる?」

 

鈴の言葉に鏡夜は驚きながら表情を引き締めた。自分が完全なアマゾンになった時、自分を始末してくれと言ってきたのだから。

 

「ああ、その時が来たら容赦なく狩ってやるよ」

 

「ありがとう、その言葉が一番嬉しい。さ、暗い話は終わりにして何か食べに行きましょ!」

 

「何かって、お前はチャーシューメンがメインだろうに」

 

「あ、バレた?」

 

「そりゃあ、バレるだろ?」

 

鈴は舌を出しておどけるようにウインクした後、鏡夜と共に食堂へと向かっていった。

 




短いですがここまでで。

次は転校生二人組の話になると思います。



※追伸

作者、最近になってようやくゲーマドライバーが買えました。どこにも無かったので素直に嬉しいです。
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