ダンジョンで少女兵がいるのは間違っているのだろうか?   作:緋色の鎮魂歌

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迷宮都市オラリオ 7.62×51mm弾

一本の何処までも伸びる街道、そのすぐ脇の林に中で私は火を起こしていた。小さな火種が乾いた小枝に燃え移り火の状態が安定すると、私はサバイバルナイフを取り出す。取り出したナイフの先には先程仕留め血抜きをしていた鹿がいた。

この鹿を仕留めた時にわかったことだが、この世界でも普通の野生動物は生息しているらしい。だが、それもそうだろう。あの鋭い歯並びをしていたゴブリンが草食な訳もなく、あの魔石を持つ魔物共は灰となり消えてしまうのだから。

 

こんなことを考えながらも、鹿の解体を続ける。粗方の肉は解体し終え、たき火の周りに置いた大きめの焼けた石に乗せる。流石に内蔵系は寄生虫等を考えて辞めた。

ジュウジュウと焼けた石の上で肉の焼け具合を見つつ、リンゴの様な果実を齧る。それは、まさしくリンゴであり、私が食べていた物より甘かった。

 

「しっかし、あの冒険者達?強かったなぁ」

 

それは、数日前のあの親子の頼みを聞き、村へ向かった時に見つけた二人の女性。杖と細剣(レイピア)の様な剣を持った二人組、人質を取られ動けなかったが、切欠を作ればその後の行動は恐ろしく素早かった。目にも停まらぬ速さで繰り出される剣戟と幾多の魔法。正直な所私の出る幕はなかった。

それに、私の装備や(AK-47)について聞かれても困るだけなので、あの場を離れて来たのだが、あの親子はからの報酬が貰えなかったのだけが少し痛い。できれば、この世界の貨幣を少しばかりと思っていたが、それで身元がバレるよりは身を引いた方が断然賢いだろう。

 

「っと…もう焼けたかな」

 

肉全体に火が通り、程よい感じで焼き目が着いたので石から持ち上げ肉に齧り付く。

齧り付いた箇所から口の中に広がる肉汁と仄かな血の香りが淡白な肉の旨味を一層引き出し、噛む度に私の舌を喜ばせる。

 

「はぁ~……久し振りのまともなご飯だ~」

 

ウマウマ~♪と次々と肉を焼き、あっと言う間に半身を食べ尽くすと、私はたき火の周りを幾つかの石で囲み、小さな竈のような物を作る。その中に先程齧っていた果実の木の枝を細かくした物を平べったい焼けた石や灰になりかけている火の傍に落としていく。木屑が不完全燃焼を起こして煙を出し始めると、半身の鹿肉を拾ってきた蔓で縛り、窯の上に吊るしてその上をローブで覆いを行なう。こうすれば、完成品とは行かないが干し肉モドキが出来る筈だ。

 

「さて、後は待つだけかな」

 

煙の具合を見て、少し暇になった私はAK-47の手入れをする。今まで分解整備が出来ていなかったバレル内部やインナーカバー内部を重点的に見ていく。幾ら、この子(AK-47)が整備要らずと言えど、するとしないでは命中率や弾詰まり(ジャム)の頻度に大きな差が出てくる。

 

「それにしても……問題は、これだよね」

 

バレルの先、そこに取り付けられていた()()。黒く大きな筒のような物、それは紛う事無き消音器(サプレッサー)だった。

あの親子をどうするか悩んでいた時、私の手に握られていた消音器は親子を助ける時、人質を捕られ動けなくなっていたあの時、とても役に立った。だが、何故私の手の中にこれが握られていたのか、疑問が残るばかりである。

 

「まあ、オラリオに行けば分かるかな」

 

バラシていたAKを組み立て直し、スリングを通し肩に掛ける。残弾は三十発入りマガジン二つに、今装填している十九発のみ。燻し終えた干し肉を持ちフードを被ると、私は簡易竈を崩す。それを終えると私は歩き始める。目指すは迷宮都市オラリオ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから、丸二日掛かって漸く私は迷宮都市らしきものを見つけることが出来た。それは大きな城壁で囲われた要塞といっても過言ではないような大きな都市だった。通用門には列が出来ており、中に入る人で溢れている。

 

私も、その列に並び私の順番が来るまでじっと待つ。三十分程すると私の順番が回ってきた。

 

「おう、嬢ちゃん。この街には何の御用で?」

 

「…私は旅の者でして、たまたまこの迷宮都市オラリオの近くを通ったものですから、興味本位で立ち寄ったまでですよ」

 

門番であろう中年の男性が気さくに街に来た目的を聴いてきたので、それとなく当たり障りの無い答えを言っておく。

 

「それと、冒険者ギルドってどこにあります?旅行の記念に見ておこうかと思いまして」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから少しして、私は今冒険者ギルドの前にいる。そこに聳え立つは白亜の塔、『バベルの塔』と呼ばれるこの塔はダンジョンの大穴に蓋をする役割も果たし、かつ冒険者のための公共施設なども完備されているらしい。

 

「…ソレにしても…『バベルの塔(愚者の塔)』か……」

 

門番から冒険者やダンジョンについても色々聞いた。地上に降り立った神々は人々に『恩恵(ファルナ)』を授け、己の眷属(ファミリア)を作る。

 

「…はてさて、愚者は一体どっちなのかな」

 

 

ギルドに入ると、そこには多くの冒険者が居た。皆それぞれ己の得物の調子を確かめたり、ダンジョンへと潜る準備を進めていた。私は幾つかのカウンターの中で空いている一つのカウンターに向かった。

 

「何か御用ですか?」

 

カウンターにはギルドの制服を着た女性が一人、耳が尖っているから所謂エルフなのだろうか。

 

「あの、冒険者を志望してきたんですけど、どこか募集しているところはありますか」

 

「ええと、それは商業系?それとも探索系?」

 

「探索系をお願いします」

 

しばらくお待ちください、そういって彼女はカウンターの奥へと消える。だが、すぐに大きな冊子を抱えて戻ってくる。開いてみると、そこにはいくつものファミリアの詳細が書かれた募集要項書があった。

 

(……文字が読める…理解できる……)

 

書かれている記号の列を私は私の言葉として認識できる。最後の懸念は書くことができるかだが、ソレも何とかなると思う。

 

「一応、ここにある全部。募集しているファミリアだからね、自分にあってる物を見つけてみて」

 

「ありがとうございます、ええと」

 

「エイナ、エイナ・チュールよ。ここでアイテムの換金やアドバイザーをしているわ、よろしくね」

 

「…私は、ノーリア・スクレチェフです。よろしくお願いします」

 

カウンター越しに自己紹介し終え、私は書かれていた幾つかの募集要項書に目を通す。めぼしいのは幾つか見繕えたし、行くとしますか。

 

「ありがとうございました、エイナさん。幾つかめぼしいのを見繕えたので、回ってみようと思います」

 

「気をつけてね」

 

そう言って、私はエイナと別れた。冒険者になってみたいというのは、単に寝床と安定した資金の確保を目的としているから、冒険してみたい等といった思いは殆ど無い。

 

さて、私が選んだ条件の良さそうなのを回ってみようか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ?ウチはもう間に合ってるから」

「うーん、ちょっと君はねぇ…」

「お前みたいな弱そうな奴はいらねぇな」

 

「……なんとなく分かり切っていた事ではあるけど、悉く門前払いとはねぇ」

 

路地に入った中の小さな広場。そこに立つボロボロの女神像の台座に腰掛けた私はため息を付く。大小様々なファミリアを回ってみたけど、そのどれも取り合ってもらえずに門前払いされた。

 

「さて、日も暮れてきたし……本当にどうしようかな」

 

行く当ても、お金も無いから街中で野宿かな、なんて思っていると

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ、君?どうかしたのかい?」

 

 

 

 

そこには、ツインテールの少女が居て

 

 

 

そして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ボクの家族(ファミリア)にならないかい?」

 

 

 

 

 

私の、本当の意味での、物語が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

ダンジョンに少女兵がいるのは間違っているだろうか?

プロローグ

 

 

 

 

 

 

 

 




お待たせしました…!!

漸く、漸く名前が出すことが出来た…ッ!!

それでは!!
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