序盤にして一番過酷な局面を終えたのでこっからサクサク書けます(血涙)
0話「路上睡眠」
「…んぁー」
…
こんな、こんなに気持ちの良い
それとは反対に、暑い感覚が目の前の体表目掛けて飛んでくる。真夏ほど暑さを感じるわけではないが、かといってあまり気分が良くなるわけではない。ぶっちゃけ痛すぎる。
「…というか」
今、この瞬間俺が寝ている此処…地面だ。路上だ。しかも、コンクリートやアスファルトの様な人工物ではない、
さてどうしようか、遂にこの歳で徘徊とか夢遊病に苛まれた疑いがありそうだ。今日は確か日曜日だからこんな姿見られたら笑い話では済まなくなるぞ。
「……」
目を開けたくても開けれない。心地良い心情と、遂には色々な意味で問題アリな状態になってしまったのではないかという心情が脳の高速道路を行き来している。
よく良く考えれば、こんなにまともな思考を持ってるんだから後者の可能性はマイナス方向にいる筈。なのにこれを気付かない辺り、手の施しようがないのかもしれない。
いやそんなことよりだ。まず目を開けて周りを見渡す事から始めるべきだった。
「陽射し強っ。オマケに背中も痛いなぁこれ…」
重い瞼を開けようとすると反射的に閉じてしまう。確かに暑さはないが、夏の陽射しに近いような刺激を覚える。
どうやら、本当に
左手には森。右手には平野が見える。本当に田舎のようだ。というより田舎以上に自然が多い、これは本当に田舎と言うべきかと問うべき位には自然が多い。
-------見れば見るほど幻想的なくらいに、それはとても美しい場所だった。今までこんなに綺麗な場所を見たことがあるのだろうか。いや、絵画とか写真でなら何度もあるかもしれない。しかし現実で、こんなにも美しいと底から言える場所があっただろうか…こんなに澄んだ土地日本にあるのか怪しいくらいだ。
…疑問が1つ。
俺は普通の高校生だった。地元は別段都会と呼べるわけではないが、かと言って田舎ではなかった。そのような場所で人生を過ごしてきていても分かる位の田舎。しかし、記憶のどの部分に思考を回しても該当する所はない。そもそもこんなに茂った森が近くにあっただろうか?いやないな、仮にあっても平野がとても広すぎて傍目に見なくともほっつき歩いた結果ではないということが分かる。それに、仮に歩き回ったとしても時間や距離を考えて記憶を頼りにしてもそんな場所は見当たらない。
「……」
しかし…
一緒に遊んだ友達。学校の校舎。自宅の自室。近くの大きめなショッピングモール。家族。日々の生活。記憶。
どれをとってもどこかが必ず不鮮明だ。「あれっ?」という、ふとした確実のなさが張り付いて仕方ない。
間違うことなく覚えているのが、俺の名前が立川 ハルという名前であること。今の服は外出用によく使う服だということ。薄い薄黒の半袖ワイシャツとジーパン、髪は少し長めのセミロングで天然パーマ。特に手入れをしていない。それくらいの情報しかなかった。
「どうなってるんだ…」不透明な状況に、不鮮明な記憶。精神異常者にも見て取れるような状況に、加えて記憶にある違和感が体の底から不安をこみ上げてくる。
次第に、とても不快な何かが先ほどの
足がもつれて、今にも倒れてしまいそうな恐怖に体が耐えている。
「ぐっ…!?」締め付けられるような感覚に耐えながら悶えて、ふいに目が閉じた。
次に目を開けた瞬間。そこに見えるのは先ほどの穏やかな風景とは全く違った。全てを黒に塗りつぶした様な、確かに
次第に先ほどまで明るかった周りのすべてが、それに書き換えられていく。
「なんだよこれ…!?」意味が分からない。この場所と言い記憶と言い、今度は不可思議なことまで起き始めている。さすがに心も体も持たない。食中毒に遭ったみたいに、突然と投げつけられるばかりで抵抗も出来そうにない。
そうしてどうにかこうにか耐えてる内、
『すべて…忘れたのか?』「なっ…!?」
誰かも見分けられない声がして振り向く。そこには、なんと口に出せばよいのか、
そして、異常なくらいに殺意が満ちていた。
だというのに、
そいつはどうして体格も、
服装も、
髪型も、
俺にそっくりそのままなんだ…!?
違う部分は、顔のパーツがハッキリせず口が見える程度の感覚。
しかし、どんなに否定しようにも俺にそっくりだ、違うのは顔やその姿や印象、心象くらいで全体のフォルムを見れば見間違うことのないだろう。シルエットにしても判別出来はしないだろう。
そいつは、何もせずただ立ち尽くしたまま続けた。
『思い出せないのか…?』「何がだ…!?」
『何故だ…?お前が忘れるはずはない。それなのにどうして俺に怯える必要ががるのだ…』
訳がわからない。言っていることが支離滅裂だし、怯えるという
「怯えるも何も、お前みたいなやつは見たことなんか…」
『…成程。その記憶。その意思に相違があるということか…』
相違。同じではないということか…?
『その衣服も…どうやら、書き換えられたようだな…』
「はぁ…!?一体全体何をわけのわからないことを…」
『いや、今はいい。お前自身がその相違に気が付かぬ限り、俺を真に認知することは不可能だろう…』
妙な物言いだ。存在すらも知覚できるか怪しい奴を知っているわけがない。だというのに俺が元は知っていて、その記憶、情報は書き換えられているというのか…!?
在り得るはずがない。彼奴の言葉をすべて鵜呑みにすれば…、だとしてもそんなおかしなことがあるはずがない。
何が言いたい。何を俺に知らせたい。何がしたい。
声にならない嫌な感覚が、体の内外を這い回り嫌な冷や汗とともに精神をどんどん悪い方向へ追い込む。
そうして今にもかすり消えそうになる俺を、その何かは不意に近付いて顔を眺め始めた。
『嗚呼。だがお前は間違いない。その姿は憶えている。懐かしき姿だ。』
「懐かしいだ…?こっちはお前のことなんか一つも…」
『今はそれでいい。思い出せぬ理由も、俺が何者であるかも、そして、お前自身のすべても…
先に伝えておくとすれば…俺はお前が内側に持つ認知の体現、
意思として実体した存在…つまり、俺から生まれた存在なのか。
「だとして、どうやってそんな存在が生まれたというんだ。仮にそうだとしても、俺の目の前にこうして現れる理由も、そもそも負の意志や感情だけがこうして目の前に現れる意味が分からない。」
別に俺の中に、優しいとかそういう感情しかないという風には考えていない。だとしても、負の感情だけが先走って出てくることに違和感を覚える。
『それは違うな。負の感情が混じっているだけで、俺そのものはお前の感情そのものではない。細かくは言えないが、お前が思う
「じゃあ。お前は俺の中にあるなにかではあって、負そのものではないんだな」
『そうだ。そしてお前はその認知の中身すべてを忘れて…
突如、不快感が少し取り除かれた感覚を覚える。それと同時に、目の前の彼奴は霧のように晴れてきた。
『来たか……すまないが、再開は何かの節にまたするとしよう。』
「ま、待て!少しはヒントの一つや二つ教えてくれないのか!?」
『すまないがそれは出来ない。私がこうして消える理由も、お前がすべてを忘れている理由も、言うなれば
徐々に、奴の姿は先ほどの風景に紛れて
『だが、お前はいつか俺を思い出す。いや…
そして…
「おっ、おい!」
「…消えた。」
そこには、先程まで彼奴がいたという痕跡も何もかもがなくなっていた。
そう、何もかも。最初に、起床してから見たすべてがそのままに残っていた。時間の経過こそ多少はあれど、それでも同じ光景がまだ残っていた。
「……」
これからどうしたものか…と、どうしようもないまま先のことを見るしかなかった。
見慣れない場所、欠陥のある記憶、自分に瓜二つの姿をした何か、その何かから聞かされた記憶の改変、自分の行く末。
どれをとっても不鮮明どころではなく、精神的要因も重なってハッキリしてこない。
記憶という、すぐに抜け落ちてしまいそうな薄い紙片が今にもなくしてしまいそうで、とにかく大変に良くない状況だった。
「…考えても仕方がないか。」
三巡ほどの、俗に言わない面倒な状況確認をして、とりあえずは次の行動を決めることにしよう。
一先ずは目の前の看板から対処していくことにする。
「←人里方面 ↑魔法の森 博麗神社→」と、三つの方向が示してある。
「…えぇ?」この流れでこんなにも不明な点が多いのに簡素な看板は初めてである。
まずだ。「魔法」と「神社」という、いかにもって感じの名前が一堂に会するというのが意味不明どころではなかった。
とはいえ、西洋と東洋がこんなにも直球的に混じっている光景があまりにも初めてすぎたもので多少の戸惑いのような感情こそ湧きはしたが、そんなことで曲げても何も良いことはない。
一つ一つ処理していくことしよう。
左の人里、これは読んで字のごとく…まぁ里という表現よりは村に近いところだろう。人がいるところであるのは間違いない。
ここに行って情報を集めてみるのが手っ取り早い。少なくとも人がいるところに行けば何かしらの情報は手に入れることができるはずだ。
ここは候補に入れておくとして…次だ。
真ん中、というより目の前に示されている魔法の森…森?家ならまだしも森?
はっきりいって選択肢としてまずありえない。魔女が住んでいる家とか、そういう記述であるのならばまだ納得のいくことだ。しかし、何も説明がないのに
まぁこんな場所があるんだと片隅に入れておきながら…最後か。
右にある博麗神社…人里と同じくらいには何かしらの情報を得るに等しい場所のように見て取れる。というのも、自論の段階でしか話せないことだが。
非常識な状況である今、少なくとも何か知るには人から得るのは一番の近道である。ならば人里がその最たる近道の一つではあるが、その
例えば、悪魔だの妖怪だの魔女だの陰陽師だの神様だの幽霊だの、上げ連ねればきりがないそんな「神秘的かつ摩訶不思議」な存在が平気でいるような場所だとして
そんなのが平気でいるような世界に、無知丸出しの若男一人がとぼとぼ歩いていたとする。
…あまりにも情けないが、俺は特殊な能力だの異能だのそんなスピリチュアルな力を持ち合わせているわけでも、かといって何かしらの武道の心得も皆無である。
だというのにホイホイ行ったら軽く一ひねりされて天に召されるのがオチだろう。幸いなことに、ここにはそんな連中はいないが少しでもほかに行けばその確証はカケラもない。
そう考えると、博麗神社という場所の方が思いの外なにかしらの安全や対応策がある可能性が高い。仮にそういったのが得られなくとも、手掛かりとしては十分なモノが手に入るだろう。
そうこうして、看板の前にポツリと立ち考えを巡らせていると…
「…おや?初めて見る顔だね。」
銀色の髪にメガネをかけた和服の男性が人里の側から声をかけてきた。
ちなみに、主人公となる立川ハルの見た目は大体Fate/Extraのザビ男こと岸波白野かなぁ…とか妄想してるので皆さんも妄想してみてください。
あと、今回は言葉の使い方があまりにもぐだぐだになってしまい申し訳ありません。次回からはきっとよくなります。