あんまり白熱感はないけどその辺は優しく見て頂戴…!!
-----同刻:博麗神社内、居間 -----
「そのつまり…『厄介』な出来事があったのよ。」
その言葉を聞いて、すぐさま隣に居た霖之助さんを見た。
あの人も同じ心境なのだろう焦りと驚きを含んだ表情をしていた。
しかし、すぐに安心したいがために一言質問する。
「ま、待つんだ霊夢。それは…『紫』の仕業だろう?彼女の気まぐれで簡単には帰れなくなった。違うかい?」
が、残酷に返答は来てしまう。
「だったら外来人にも霖之助さんにも言ってないわよ…『アイツは確実に関わっていない』けど、どうにも結界が不安定すぎるのよ。人が紛れ込む程に弱くなったわけじゃない。嵐の前の前兆というのか分からないけど、微弱に変動している。」
「もちろん、あれやこれやと対策はしているわ。けど一向に普段通りの状態ではない。一体全体どうなっているのかほかの人が説明してほしいくらいね。」
と、絶望の中で呆れて踊るように霊夢は話している。
…というか、今の話。俺にしてみれば重大事件じゃないの?帰れないってことじゃないの?
「あ、で、でも。」
「俺を外の世界に返すことは可能なんじゃないんですか?」
「はぁ?」
「結界が不安定ってことはそれだけ抜け出しやすいってことかもしれませんし…」
「はぁ…」
「そ、それにその方が意外と安全だったり…」
「……」
「……」
「とりあえずお茶。改めて飲もうかみんな。」
「「冷静に言うな!!」」
「…これ。僕が怒られるパターンなのぉ…?」
「…つまり。」
「『管理者』ですら手が出せないほどに危険だから、安全に出れる可能性は万が一でも少ないかもしれない…と。」
「そうね。大雑把にいえばそれで大丈夫。」
お茶とせんべいにお互い手を伸ばしながら、霊夢から大体の経緯を聞いた。
と言っても
・ここ1ヶ月前から大結界が不安定
・外部からの制御ができない
・『スキマ妖怪』こと、八雲紫なる人物不在の為に彼女が原因なのかも判別できない
・これらの関係上、下手に外の世界に送り返せない
ということだけは…分かった?なんかあんまり情報としては良いような悪いような…
「あ、言っとくけどこの状態で出ようものなら体のパーツ失うか降りる場所がランダムになるかくらいしかないわよ。」
…前言撤回。やはり新天地に降りたのなら情報収集大事。大事大事。
「「はぁ…」」
「…溜息吐き出したいのはこっちなんだけど。なんで外来人はともかく霖之助さんまでしてんのよ。」
「いや。簡単に終わると思っていたこの問題が何一つ解決しない可能性ばかりに埋め尽くされていると分かったからなんとも言えなくてね…」
「俺にとってはそもそも帰れない時点で大問題ですよ…これからどうすれば良いんですか。」
「いやまぁ、アンタは霖之助さんの家でも入っときなさいよ。」
「そうなりますかね…あと俺ハルって名前。」
「あ、そういや聞いてなかったわね…まあいいわ。」
いいんかい…。
しかしこれは参った。仮に帰れないから霖之助さんの家に行くといっても、何もしないわけにはいかない。この世界について把握しておきたいのもあるし、なにより…
『俺を真に認知することは不可能だろう…』
(あの物言いで俺はどうしろと…)
あの意味不明な存在まで居るんじゃ、尚この世界から帰るのはバツの悪いような嫌な予感を秘めていた。
これでさ、仮にアレがこの状況に関与してたりしたらどうするのよ…もう一度あんなにヤバそうなのと対峙しなくちゃいけないし…
「兎も角さ。」
「ハルはこれからどうするのよ。」
早速霊夢にド突かれてしまった。この状況で言いにくいじゃん…今ここで
「実はさっき俺に似た変な化け物?に遭いました!」
こんなこと言ってみろ。もっとヤバいじゃないか…
とりあえず、『応え』にならない答えは言っておかないとまずい気がして答えておく。
「とりあえず、幻想郷を歩いてみたいと思います。少なくとも何日も生活することになるので、ある程度の情報は知りたいな…と。」
「まぁ、それでよいかもね。僕の家に暮らすとしても、幻想郷について多少は知っておかないと一人で歩かせるのも危ないしね。」
「ふぅん…まぁ良いんじゃない?なら、手助けらしい手助けはしておくわ。」
そう言うと、おもむろに霊夢は奥の部屋へ歩き出した。
「さて、僕らも身支度をしようか。君と話していて忘れてたんだけど、仕事がまだ残っているからね。それを終わらせてから君に会いに行くとしよう。」
「そうですよね。なんか引き留めてしまってすいません。」
「気にしないでくれ、僕も若い青年を一人で放っておくほど悪人じゃないからね。」
「兎も角、ありがとうございました。」
俺は霖之助さんと握手を交わしながら、一先ずの互いの無事を口には出さずとも祈った。
そしてタイミングの良く霊夢が部屋へ戻ってきて、
「ハイこれ。」
と、なにやら小さい布袋…中身はいくらかの小銭が入ってた。
そしてもうひとつ…2枚の紙?なんか色々書いてある紙切れを貰った。
「えぇっと…これは?」
「いきなり外出て勝手に野垂れ死んでもらったら困るもの。最低限何日かを乗り切れる金と、『切り札』だけは渡しておくわ。」
「へぇ?確かに万が一の危険な事態を乗り切る『切り札』ではあるけど…彼は少なくとも一般人だから使えないのでは?」
「えっと、そのぉ…」
「これね、前のごたごたで手に入れた変わり物。本来は『宣言用』だけど、こっちはどうやら能力までその場で出力するみたいよ。」
「あのぉ…」
「成程。その『カード』自体に能力が宿っている訳だ。ならば使用者が誰であっても使えるわけだ。」
「お二方俺を置いて話し進めないで…」
「あ。アンタには言ってなかったわね。」「そもそも勝手に会話進んでましたけど!?」
二枚の紙を手に持ちながら、同時に懐からも似た様な紙を持ち出す霊夢。
「『スペルカード』。平たく言えばこの世界の戦いでの決まり事みたいなものよ。」
「つまり、これを使えば特別な力が使える…?」
「いや。」
「これは確かに特異な技を出すための道具ではあるけど、決してこれ単体で能力を出せるわけではないんだ。」
「例えるなら、君に炎の能力が備わっているとしよう。出力も自由、範囲や制限もこれと言って存在しない極めて自由度の高い能力と仮定しよう。」
「君は、火の玉と表現できるある程度の『小さい球状の炎』を出し、これを『三発程度にして、3秒間隔で一発毎に撃つ技』としてみる。」
「しかし、幻想郷でこれを技として使うにはこれにある種の『命名』をしなければいけない。今の例で名をつけるなら…炎符『ファイアボール』なんてね。」
「てことは、このスペルカード単体では攻撃は出来ない…」
「そういうこと。私が今出している夢符『封魔陣』だとか霊符『夢想封印』だって、本来なら宣言する必要もないくらいの代物よ?」
「元々スペルカードっていうのは、こういう決まり事がないと、一晩でこんな場所すぐに灰だけになる様な連中が跋扈してる幻想郷において、『崩壊しない程度に争うため』に決めたことなの。」
「そして、このスペルカードを持って争うことを…というより決闘を僕らは『弾幕ごっこ』と呼んでいる。」
「とは言っても、僕は諸々の関係上スペルカードもそうだし弾幕ごっこにも参加はしてないけどね。」
苦笑いを含めながら霖之助さんは付け加えた。
「でも、その話の通りだと今貰った二枚は使えないんじゃ…」
「そう思うじゃない?でもこれはアンタみたいな一般人でも平気で使えるみたい。制約はいくつかあるみたいだけど。」
「制約?」
「私が試しに使って分かったのは、これは誰でも使えるけどその代償としていくらか生命力を使うことになる。だから何度も使えるわけじゃない。」
「せ、生命力…!?」
「まぁ、精々ちょっと体力使うだけよ。使ったら死ぬほど危ないわけじゃないわ。」
「今、試しに使ってみたら?」
そういわれて、先程の二枚が戻ってくる。
「えーっと…」
俺が持っているのは二つ。
一つは攻撃用と思われる、炎射符『ファイアブラスト』
もう一つは…防御用か。防御符『サークルシールド』
「まずは『ファイヤブラスト』を空に向けて撃ってみてー」
霊夢の声に促されて、俺はスペルカードを声に出す。
「炎射符『ファイヤブラスト』!!」
すると、スペルカードを出した手元5cm程の距離から5発の細長い炎が出てきた。
「う、うわぁ!?」
「そのまま撃ちだして!」
「い、いってまぇーー!」
すると、俺の思念を正確に読み取るように5本の炎が空に向かって飛んでった。
と、同時に体に脱力感が来る。倒れるほどではないが、かといって何もないほどに微弱な感じではなかった。
「こ、これが…」
「ほお、流石だね。」後ろではこの顛末を見て感嘆の声を上げる霖之助さん。
「…ん!?ハル、上見て!!」
「へぇ…?」
上を見上げると、
「誰だか知らないが、私に向かって攻撃とはいい度胸だ!」
「もしや、上に誰かいたのかい!?」
「へ?でもさっきまで人なんて…」
「アホなこと言ってないで早く逃げなさい!」
霊夢の叫びが聞こえるが時は遅し。
「魔符『スターダストレヴァリエ』!!!」
星形の小さな、とは言っても俺の身長のチョイ下くらいの球が何色かに分かれてこちらに連続的に飛んできた。
…いや待て!!この状況まずいのでは…!!??
「お、おい『魔理沙』!少しは落ち着くんだ!!」
「まったくあのバカは…!」
まずい、考える暇はあってももう5秒もすれば俺の目の前だぞ!?
「…ハッ!?」
俺はとっさに手元のもう一つのスペルカードを無我夢中の中で使った。
考えてれば間に合わない。逃げようにもこの位置ではすべては捌ききれない。
ならば、『防ぐしかない』!!
「…防御符『サークルシールド』!!」
そう唱えると、目の前に円形で俺よりも一回り大きい水色の盾が現れた。
「あれは…!?」
「グッ…!!」凄い重みだ。一つ一つ受け止めるだけでスペルカードを出している右腕が今にも吹っ飛びそうだ。
これで防ぐので精いっぱいだ。この次で何をしようにも体が動かない。いきなりで二つも使った弊害かもしれない、それかこんなの初回で防ごうとしてるからかもう体が動きそうにない。
「もうこれで耐えるしか…!」
「あのスペルカードひとつで防ぎきっているのか!」
「ほぉ~?なかなかやるもんだぜ…」
「が、そんな薄い盾ひとつでこの『魔理沙』様の猛攻を凌ごうなんて思うなよ!!」
「これで終わりだぜ!!恋符『マスタースパーク』!!」
…終わった?
急に攻撃が止み、シールドを閉じて上を見る。
「…光?」
「伏せてなさい!!!」
急に霊夢に首をつかまれ、地に叩きつけられる。
霊夢の後ろ姿と、七色の光がこの一嵐の争いで最後に見えた光だった。
「霊符『夢想封印』!!!」
ちなみに、今回使った二つのスペカの簡易的な説明
炎射符『ファイアブラスト』:使用者の体力消費に比例して、炎の矢の本数からサイズまで変更可能。
防御符『サークルシールド』:こちらも使用者の体力に比例して、サイズを変更可能。また、遠距離に生成することも出来る。
ぶっちゃけ危ないのが跋扈してる幻想郷でこれくらいのハンデないと初戦から勝てないやろ((((
あと、今作はまだヒロイン枠決まってないけど誰が良いですかね?
基本はヒロイン決まるまではハル君には色々な場所へ行って異変解決(壮大なネタバレ)してもらうんですけど、それまでにお勧めを皆さんから聞きたいですね。
twitterとか質問箱で待ってますのでもし見た人は是非是非