二次元の中の二次元~最初の二次元は三次元に変わりました~   作:祭永遠

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大変長らくお待たせしました。

え?待ってないって?それは失礼しました。


ここまで遅くなったのは、主に私生活が忙しかったからですかね。


決して7月から始まる○畳間の侵略者!?のアニメの情報を集めたり、アニメ化記念とか言って原作を最初から読み直したりしてた訳ではありません。


…………ごめんなさい


ALO開始前
35!!


 

 

 

 

少し調子に乗り過ぎたようだ。キリトと拳を撃ち合わせたあと、それぞれの想い人を捜しに動こうとしたら急に体の節々が悲鳴をあげた。その場で二人して踞り、動けないでいると巡回に来たナースによってベットに戻された。

ナースによると、二年間も飲まず食わずの点滴だけで過ごしていたのだから仕方のないことらしい。むしろ病室の外まで行けたことが信じられないようだった。

しかし実際に行けてるのだから問題ないと思い、ナースが医者を呼びに退室した際に動こうとしたら、感じたことのないような痛みが俺を貫いた。冷静に考えて、先程はゲームクリア直後であり、脳内でアドレナリンが分泌されてたおかげで動けていたのだろうと推測する。そうとわかってしまえばここで無理に動いて、筋肉が戻るのを阻害しても良いことはないので大人しくしておく。シリカの事は気になる。なんせ原作では少ないながらも帰って来れず、さらに数ヵ月寝たきりで過ごしたプレイヤーがいたのだ。シリカが含まれていないか心配で堪らない。そしてキリトには悪いが、アスナはその少ない内の一人になるだろう。実行犯が婚約者なのだ、見逃すハズがない。

 

これから起こりうるであろう事などを考えていると、いきなり病室の扉が開いた。入って来たのはこちらでの母親と父親であった。二人は特に焦る様子もなく、落ち着いていた。

 

 

 

 

少しの会話をしたあと、俺の体の上に置いてあった手紙の話に移った。うちの両親は驚く程あっさりと俺の話を信じてくれた。実は前世の記憶があるって話も結局はお前はお前だ、みたいな結論に至ったようでそれを聞いてちょっと泣きそうになったのは自分の心の内だけに留めておく。

 

両親が病室から出て行ったあとまたもや病室の扉が開いた。はて、両親以外に俺を訪ねる人間なんぞいただろうか?なんて考えていると、見た目は優男風だがその目は何を考えているのかわからないようなスーツの男が入ってきた。

 

 

「初めまして、僕は菊岡と言います。少しの間時間を貰ってもいいかな?」

 

 

「はあ……まあいいですけど……」

 

 

許可を出したら露骨に安心そうな溜め息をついた菊岡と名乗る男。先を促すとどうやらSAOであった事を知りたいようだった。それならキリトがいるはずだが、そちらには既に話を聞いた後らしい。

 

 

「だったら俺に話を聞く意味はないんじゃ……?」

 

 

「それがそうでもないんだ。君は他にも何かを知っていそうだったんでね。例えば……まだ目を覚まさない三百人のこととか」

 

 

見かけによらず強かな人だった。詳しい話を聞くとSAOに囚われていたプレイヤーはそのほとんどが一斉に目を覚ましたそうだ。ここまでは原作知識として俺も知っている。しかしここからが違った。

 

 

「三百人を除く全てのプレイヤーが一斉に目を覚ました。だけど、君だけは違って唯一タイムラグがあった。僕はそこに何か秘密があるんじゃないかと思っているんだけど……どうかな?」

 

 

「どうかな?……と言われましてもヒースクリフ……茅場と少し話していただけですしそれらの秘密については全くわかりません」

 

 

何かで読んだが嘘をつくときはある程度の事実を織り込めばいいというのを試してみた。今回茅場と話したって事実と、三百人について全くわからないという嘘。これで大人しく引き下がってくれると嬉しいんだが。

 

 

「そうか。いや、いいんだ、元から期待してた訳じゃないしね」

 

 

どうやら上手くいったようだ。でも茅場と話したってのはスルー?多分こいつ頭いいな。恐らくだが本能で三百人については茅場は関わりがないことをわかっている。事実それが正解だからこちらから藪をつつく必要はない。それよりも向こうの質問に答えたのだ、対価としてこちらも欲しい情報をいくつか提供してもらおうか。

 

 

「こちらからも一つだけいいですか?」

 

 

「ん?何か気になる事でもあった?」

 

 

「いえ、俺のギルドのメンバー……シリカたちはどうなってますか?」

 

 

「……すまない、プレイヤーネームだとわからないんだ。せめて本名がわかれば調べられるんだが……」

 

 

本名じゃないと無理なのか。くそったれ、俺が知ってるのは原作知識からのリズと本人が教えてくれたシリカの二人だけだ。他は聞いてないし原作ですら載ってなかったからわからない。

それでも―――

 

 

「綾野珪子と篠崎里香。この二人はどうなってますか?」

 

 

―――誰の行方もわからないよりは全然マシだ。そして恐らくサチ、ケイタ、テツオは名前の響きからして本名から取っているはず。サチはもしかしたら名字と名前から一文字ずつ、という可能性も捨てきれない。しかしアルゴの場合は正直検討もつかない。名前をローマ字読みにして入れ換えればアルゴになったりするのか、ただ無関係につけたのか……あの情報屋の事だ、性格からしても無闇に自分に繋がる名前にするとは考えにくい。

 

 

「すみませんが、もう一ついいですか?」

 

 

どこかに電話をかけている菊岡に悪いとは思いつつ話しかける。

身振りでちょっと待ってくれと、表すと通話をやめてこちらに向き直ってくれた。

 

 

「それでどうしたんだい?他にも調べて欲しい人でもいた?」

 

 

「はい。まずは高校生くらいの男限定で本名がケイタ、テツオと読める人の情報。それとこちらも高校生くらいの女子限定でフルネームのどこかしらにサとチの二文字が含まれる人の情報、そして最後は身長が目測で百五十未満であろう成人女性の情報です……お願いできますか?」

 

 

「……そこまでわかっているのなら特定はそこまで難しくなさそうだ。わかった……それらしき人が収容されている病院があったら教えよう」

 

 

「ありがとうございます。それと前者二つは三人が幼馴染みと言ってましたので、全員同じ病院に収容されている可能性が高いと思います」

 

 

一つと言っておいて三つも要求するという無茶を聞いてくれる菊岡に感謝の述べ、さらに三人についての情報を渡す。恐らくこの広い日本でもこれならば見つかるハズだ。何せSAOには女性プレイヤーが圧倒的に少なかった。それも女子高生ともなれば尚更である。さらにその少ない所にケイタ、テツオと読める人間が同じ病院にいる可能性はぐっと低くなる。

 

そしてアルゴの場合だが、この人たちの仕事がSAOプレイヤーの監視であるなら、身体のデータなど必要な物は揃っているはずだ。そして女性プレイヤーが収容されていない病院はカットされ、なおかつ成人女性で百五十未満はなかなか数が少ないと思う。

 

ここまで情報を渡してもダメならば、もう全員で集合等は諦めた方がいい。それでも無駄な努力はする。俺は皆を纏めていたギルドリーダーなのだ。無事に帰れたのを確認するまではリーダーとしての責任を持つつもりであった。

 

 

そして電話を終えた菊岡がこちらに向き直った。

 

 

「申し訳ないけど人数が人数だから二、三日時間が欲しい。だけど必ず君の期待には添える形にするよ」

 

 

「すみません、お願いします。どうせ俺もリハビリが終わるまでは動けないですし、捜しにも行けませんからゆっくりで大丈夫です」

 

 

「悪いね。それじゃあ今日は失礼するよ。今度来るときは今言ったメンバーの情報を持ってくる」

 

 

そう言って菊岡は部屋を退出していった。

このあとやることと言えば……とりあえずはリハビリか。目指すは一ヶ月で軽く走る程度なら出来る筋肉を取り戻すこと。それとギルメンにも会いに行く。そして菊岡が接触したのは原作ではキリトだけだった……なので生存者の情報を与えられたのはキリトのみだったが、なんの因果か(原因はタイムラグだろうが)ここでは俺にも接触してきた。つまり俺から会いに行くしかALO開始前に集まることは不可能になる。

 

 

そこまで考え、すぐにリハビリを始める。

まずは握力と腕力を取り戻す。なぜなら握力がなければ何も掴めず、腕力がなければ体を支えることも出来ず足腰のリハビリにまでたどり着けない。

 

 

 

とりあえずまずは握力から。

今の状態ならば、両手をぐっぱーするだけでもリハビリになるのでベッドから出る必要もなく、また看護師さんに怒られる心配もない。

それとついでに並行して足の指もぐっぱーしておく。これが意外に難しく、万全の状態でも手のようには上手くいかない。なぜならば人間は手先は器用でも足先は不器用だし、足の指は長くないので手を動かすような形でやろうとすると変な所に力が入ってしまう。

 

しかし、今はそれでいい。

色んな所に力を入れて、翌日には筋肉痛を迎える。そこから更にまた筋肉を痛めつける。多分しばらくは箸すら持てないような筋肉痛に襲われるだろう。

そして手に筋肉痛が来なくなったら本格的に歩行訓練の開始だ。その頃には恐らくだが変な所に力を入れてた分、腕や足も些かではあるが筋肉が戻っているだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぐっぱーをやり始めて三十分くらいたった頃だろうか、またしても病室の扉がノックされた。

 

 

「はーいー。開いてますよ」

 

 

ベッドから動けないのだから鍵なんてかかってる筈もない(むしろ病室に鍵はない)のだが、建前としてこう返事をすると控え目にカラカラーと扉が開いた。

 

 

「夏希さん……今、大丈夫?」

 

 

そこにいたのはシリカよりはサチに似た幼馴染み、桐ヶ谷直葉―――キリの一つ下の従姉妹であり、ついでに言えば次に起こるALOが舞台の物語のヒロイン―――であった。

 

 

「おー、妹さんじゃん!!キリの方はもういいの?」

 

 

「あっ、うん。お兄ちゃんとはけっこう話したし、和解?って言うのも変だけど、また前みたいに……三人でいた時みたいに仲良くできそうだよ」

 

 

「あーあれね。あれは全面的にキリが悪いから妹さんが気にする必要はなかったんだよ?」

 

 

「それでもやっぱりこんなことになるなら、ちゃんともっと話しておけば良かったって後悔したんだ。だから……」

 

 

「うん、言いたいことは分かったし妹さんがキリのこと大好きなのもわかったからノロケは止めてくれ」

 

 

「べ……っ!!別にノロケって訳じゃ……!!それにお兄ちゃんはお兄ちゃんだもんっ!!こここ……恋人とかっ……そんなんじゃないしっ。そんなことよりまだ名前で呼んでくれないの?」

 

 

誰も恋人とまでは言ってないが。そして露骨に会話を反らしてきた。

 

 

「だって妹さんは名前で呼んだら怒ったじゃん?だから不思議とこれが定着しちゃって……」

 

 

「もうっ、いったい何年前の話をしてるの?本当にそろそろ名前で呼んでね……あ、それと早くリハビリして剣道できるようにしてよ、夏希さんには結局一回も勝ててないままだからねっ」

 

 

「まあ善処しますよ……それと剣道はリハビリ次第だなー、すぐには無理でも年末には相手が出来るようにしとく」

 

 

こうしてしばらく世間話に花を咲かせていたのだが、不意に直葉が俯いてしまった。

 

 

成る程……ここまでの世間話は前哨戦ということか。

そして恐らくだが本題は例の手紙のことだろう。

 

その例の手紙とは俺がデスゲームが始まる前に直葉に書き置きを残していた物のことだ、しかも名指しで。ここに直葉しか来ていないことを考えると、ちゃんと一人で読んでくれたようである。もしこれで直葉の両親まで来ていたらもっと絶望に苛まれていた。

 

まあ、今でもどう言い訳しようか絶賛考え中な訳で絶望的な状況に変わりはない。というかなんでこんなことしたのだろう……ああ、インフィニティモーメントに入った場合の保険だった、結局は七十五層で終わったので杞憂となったが、先に理由を考えておくべきだった。

 

いや、でもまだ突入理由がそれとは限らないし、本当に雑談だけかもしれない。

 

 

……あ、なんかこれフラグっぽい気がする。

 

 




ちなみに少しずつではありますが、進めてはいたのでそこまで可笑しなことにはなってないと思いたい。

それと直葉のキャラが違う気がする。ちょっとこの子書きにくい。
あ、ちなみにALOはかなり早めに終わります。

SAOが約30話に対して、およそ半分以下の容量で終わりそうです、はい。


それと、この話から感想に返信をしなくなります。
感想は普通に読ませていただきますが、本気で時間がないのです。
一日が48時間だったらいいのに……

あ、ちなみに感想はモチベに繋がります。それ次第で次話の投稿が速くなったり遅くなったりします←

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