二次元の中の二次元~最初の二次元は三次元に変わりました~   作:祭永遠

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9!!

 

 

「「スイッチ!!」」

 

 

俺とシリカの声が重なる。

すでに第一層のボス攻略はスタートしている。

 

横目で状況を確認してみても、今のところ問題はないようにみえる。

逆方向を見ると、キリトとアスナがセンチネルの相手をしているのがわかる。

 

 

――――パリイイイイン

 

 

ちょうど俺ら二人が相手をしていたセンチネルが、青い結晶となって散ったのを確認してシリカに提案してみた。

 

 

「シリカ、ちょっと前後交換してみない?」

 

 

「…いいですけど…突然どうしたんですか?」

 

 

「いや、少し嫌な予感がするんだ…念には念を、ということで頼まれてくれ。なーに、武器をかち上げるだけの簡単な作業だ。シリカならレベル的にも技術的にも問題ない」

 

 

ここまで言ったところでボスのHPゲージの一本目が消えた。

それと同時に壁の穴からセンチネルが飛び降りてきた。

 

 

「それじゃあシリカ、手筈通りに。最初のタイミングは指示してあげるからリラックスして」

 

 

ボス戦の最中にリラックスも何もないのだが、あえて言っておくとする。

 

シリカがセンチネルの前に立ってタイミングを見計らっている。

センチネルが武器を降り下ろす瞬間、

 

 

「そこだ!!」

 

 

俺が合図をするのが早いか、シリカがセンチネルの武器を跳ね上げたのが早いか……それがわからない程度にはタイミングはバッチリだった。

 

 

「スイッチ!!」

 

 

シリカから声がかかり片手剣スキル、ソニック・リープでダメージを与える。

 

 

「ナイスシリカ!!」

 

 

そう褒めるとシリカが小声でありがとうございますと言ったのが聞こえた。

 

 

 

うーん、この分だとシリカが前でも特に問題はなさそうだな……

 

 

 

俺がこの事をシリカに提案したのにはある理由がある。

それは、ティアベルだ。

 

 

 

原作知ってる人はわかると思うけどこのあとティアベルさん死ぬんだよね…

全部が全部救えるとは思わないけど、やっぱり自分でできることはやっておきたいんだ。

 

 

今二匹目のセンチネルにトドメをさして思考をより深い方へ巡らせる。

完全に安全とは言い難いがこの位置はボスとは離れているし、センチネルも粗方片付いているので問題ない。

 

 

すると、キバオウがキリトの背後に立っているのが見えた。

ボス戦の最中、しかも隊を任されているリーダーが何をやっているのかわからなかったので、聞き耳をたてる。

 

 

え?セリフなんて一言一句覚えてるわけないじゃん。ここまで十四年…一回もSAO見てないんだから。

でもさー…リーダーがこれでよく周りはついていくよね、勝手な行動とりすぎだろ。

 

 

「アテが外れたやろ。ええ気味や」

 

 

「…………なんだって?」

 

 

ちなみにセンチネルは残り一匹、先程アスナと俺が一匹ずつ倒しているので会話をする余裕はあるようだ。

 

 

「ヘタな芝居すなや。こっちはもう知っとんのや、ジブンがこのボス攻略部隊に潜り込んだ動機っちゅうやつをな」

 

 

「動機……だと?ボスを倒すこと以外に、何があるって言うんだ?」

 

 

「何や、開き直りかい。まさにそれを狙うとったんやろが!わいは知っとんのや。ちゃーんと聞かされとんのやで……あんたが昔、汚い立ち回りでボスのLA取りまくっとったことをな!」

 

 

…へえ……汚い?

 

 

俺はその感情がよく理解出来なかった。

前世でもPCゲームをやってたが、そういうのは基本取った者勝ちで騙し合いの化かし合いだったイメージしかない。

 

むしろどうLAを取るか、策を巡らすことも楽しんでいた俺としてはしょうがない事だとすら思える。

 

 

しかしなんでだろう?

ベータテストではそこそこキリト君と行動を共にしてたのに俺のところには一切そういった輩はこない…

 

なに?俺ってばオマケ扱い?

目の敵にされるのも困るが全く相手にされないのも、それはそれで複雑な気持ちです。

 

 

恐らくだがベータテストの時俺はフィールドの把握やらなんやらをメインにしてたので、特にLAなどには興味がなかったのでそのせいかもしれない。

 

ボスのHPを見るとあとわずかで三本目が無くなろうとしていた。

 

そのタイミングで俺はキリトに声をかけた。

 

 

「キリ、少し相談があるんだが大丈夫?」

 

 

「あ……ああ。俺は平気だけど…」

 

 

ちらりと横にいたキバオウを見る。

 

 

「すみませんね、キバオウさん。ちょっと隊について話したいのでE隊のリーダー殿は戻っていただきたいのですが」

 

 

俺がそう言うと、露骨に興味のなさそうな顔をして戻っていった。

 

 

「それで?話ってなんだ」

 

 

「次に来るセンチネルだけど、一匹を四人で倒したい。なんだか嫌な予感がする」

 

 

久しぶりに俺の真面目な顔を見たせいか、キリトはひどく神妙な面持ちで頷いた。

 

それを合図にしたかのように最後のセンチネル、三匹が飛び出してくる。

 

 

「シリカ、アスナさん、最後は四人で一匹のセンチネルを相手にするからこっちに来て」

 

 

二人は首を傾げながらも指示に従ってこちらに来てくれた。

 

 

「とりあえずよくわかんないけど、敵が来たわよ!!」

 

 

アスナの声に反応してそれぞれの得物を構える。

 

 

「シリカ!!頼む!!」

 

 

「え!?あ…はい!!」

 

 

一瞬何のことかわからなかったが、すぐに理解出来たのだろう。

シリカはセンチネルに飛び込み武器を跳ね上げる。

 

 

そこにスイッチの声と共にアスナとシリカが入れ替わり、アスナの細剣スキルリニアーが叩き込まれる。

 

 

キリトの方は先程のキバオウの言葉について考えているようだった。

 

次の瞬間、キリトは何かを思い出したかのように叫んだ。

 

 

「だ……だめだ、下がれ!!全力で後ろに飛べ――――ッ!!」

 

 

なっ……!!

このタイミングだったのか!!

くそっ、正直忘れていた!!

 

 

しかも、C隊は全員一時的な行動不能状態……つまりはスタンしていた。

 

この状態が長続きするのはかなりの危険を伴う。

俺はいきなりのことで硬直しているであろうシリカとアスナに声をかけた。

 

 

「シリカ!!アスナさん!!このセンチネル、任せても大丈夫!?」

 

 

俺の声で我に返ったのかすぐに武器を構え直して、

 

 

「ええ、大丈夫よ!!」

 

 

「こっちは二人でも問題ありません!!」

 

 

との返事をもらった。

 

 

「キリ!!ぼさっとすんな!!行くぞ!!」

 

 

未だに動けずにいるキリトに声をかけて、全速力でボスコボルドの追撃を阻止しようと走り出す。

 

 

キリトも動き出し、さらには俺の横に並んでくる。

 

 

しかし、ボスコボルドはそんな俺らに目もくれずに次のスキルを繰り出そうとしていた。

 

 

ギリギリでスキルの発動前に間に合った俺とキリトは、目でお互いに合図しそれを阻止するため同時にソードスキルを発動させる。

 

 

しかし、それでもダメだった。

ボスコボルドはそのままソードスキル浮舟を発動させ、ティアベルの体を浮かせた。

 

 

う…嘘……だろ!?

 

 

追撃の阻止に走った俺とキリトはその余波で一気に後方まで押し戻される。

 

 

おいおい、マジかよ……こいつ、絶対ベータテスト時よりパワーアップしてやがる…

そして何より原作より強いんじゃないかってくらいのヤバさ……

 

 

「クゥドさん!!キリトさん!!」

 

 

「二人共!!大丈夫!?」

 

 

二人が心配して、俺らのところに駆け寄ってくる。

 

 

「もう!!どうしてあんな無茶したの!?」

 

 

「それは……またあとにしてほしいですね…」

 

 

俺がそう言ったところで、空中で刀スキル緋扇が繰り出され、それをまともに喰らったティアベルはそのまま二十メートル以上吹き飛ばされ俺とキリトの近くに落下した。

 

 

俺たちはそのままティアベルの元へ向き直った。

 

 

やっぱり俺にはわからないな……本当にベータテスト時にいたのかどうか…でも、キリトには心当たりがあるみたい。

 

するとティアベルは近くにいる俺らにしか聞こえない程の声量でこう言った。

 

 

「……後は頼む、キリトさん。ボスを、倒」

 

 

 

彼は、最後まで言い終えることなく体青い欠片へと変えていった。

 

 

 

正直俺がもっと覚えていれば救えたんじゃないかと、自分に問い掛ける。

 

 

 

はあ……やっぱりなかなか上手くいかないな……

重い……人の命って重いなぁ…

 

 

俺が硬直していると、今度はキリトの方が声をかけてきた。

 

 

「おい、しっかりしろ!!お前がそんなんでどうする。俺はそんなお前、見たくないぞ。それにここまでシリカを連れてきた責任を放棄するな、お前がそんな状態だといつシリカに危険が迫るかわかったもんじゃないぞ!!」

 

 

「反省は後にして…ボス攻略を続けるぞ」

 

 

ははっ…目の前でレイドの指揮官が死んだのになあ……

むしろ、顔見知りのあんな姿を見たのにもう立ち直り始めてる……

 

 

いや立ち直ってなどいないのかもしれない。

ただ今はそれを胸の内にしまいこんで振る舞っているだけかもしれない。

 

 

それでも……それでも、さすが主人公だよ…俺には敵わない。眩しすぎてくらみそうだね……さて!!キリトがやる気になっているようだし俺もいつまでも落ち込んじゃいられない。

 

 

「悪かったね、キリ。おかげさまで目が覚めたよ。それじゃあボス退治と行きますか」

 

 

俺の言葉に満足したのか笑顔を浮かべたキリトと頷き合った。

 

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