アクセル・ワールド~蒼き閃光Ⅱ~   作:ダブルマジック

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原作6巻辺り
Acceleration Second1


 《エピナール・ガスト》と《サンセット・ボンバー》のタッグに勝利して現実世界に戻ってから、精神的疲労によって1度背もたれに寄りかかり長い息を吐く。

 そこに向かい側に座っていたパドがスッと、その手にコーヒーカップを持って差し出してくるので、元に戻って自分のコーヒーカップを持って差し出されたカップに軽くぶつけてから一緒に勝利の美酒ならぬ、コーヒーを飲んで祝杯とする。

 

「ポイントは大丈夫?」

 

 祝杯を飲んでから、残りの休憩時間を確認して唐突にそんな質問をテルヨシにぶつけたパド。

 それが意味するところは、今日のこの日のために上げたというレベルによって失われたバーストポイントの安全マージン。

 さすがに大量のポイントを消費するとあってパドも心配になっていたのだろうが、その質問に笑ってみせたテルヨシは、ニューロリンカーのグローバル接続を切りながらちゃんと答える。

 

「問題ないよ。パドには正直に話すけど、これでもう100ポイントくらいで『届く』からさ」

 

「…………最近、バトロワ祭りでも最後まで残ってるって聞いてたけど、いつから?」

 

「最初からだよ。オレがバーストリンカーになったその日から。んー、決心という意味ではたぶん、あのイベントの最中。或いはその後すぐ、かな」

 

 テルヨシの答えに、穏やかな雰囲気を出していたパドは一瞬で切り替わったようにその目に真剣な色を含ませ、核心を突く質問をしてきたため、前回の対戦の際には言及を免れたが、さすがにもう黙って通すことはできないかと諦めてその心の内を明かすと、聞いたパドは沈黙。

 何かを考えながらジッとテルヨシを見つめて、全てを理解したようにその目を1度閉じてからもう1度テルヨシと向き合って口を開いた。

 

「……それがテルの生き方なら、私は何も言わない。だけど『そういう姿勢』で臨んでも意味はないと思う」

 

「……何も言わないって言ってそう言ってくれてるのは、パドの優しさだよね。……わかってるよ。でも、そうなってから後悔したくはないから、やるんだ。オレが、オレの進んだ道をしっかりと刻むために」

 

 やはりテルヨシの考えはだいぶ見透かされていたようで、さらなる核心に迫る助言をしてきたパドに、自覚はあることを告げる。

 そんなテルヨシのまっすぐな言葉に、ずいっと身を乗り出してテルヨシの両頬を手で挟んでアヒル口にし、その顔に近付いてから思わずドキッとしてしまうような優しい笑顔で、

 

「休憩時間終了。バイトに戻る」

 

 予想だにしなかった唐突な休憩終了を告げることでの話の終了に、完全に思考が停止してしまい、あの一瞬でもういつも通りになったパドはコーヒーを飲み干してからさっさと休憩室を出ていってしまって、何か淡い期待をしてしまった自分がとてつもなくアホっぽかったテルヨシはそれに遅れてコーヒーを飲み干して追うように休憩室を出ていったのだった。

 

 勝利の余韻がまだ残る中でバイトを終わらせ、帰宅の準備を整えたパドとマリアと一緒に店の裏から出て表の通路に出たテルヨシは、いつものようにそこでパドと別れてバス停へと向かうのだが、今日は少しだけ変わったことが起きた。

 表の通路に出たところで明らかに自分、またはパドかマリアに用がありそうな同い年くらいの学校の制服を着た女子が近寄ってきたのだ。

 その女子生徒は長い黒髪をつむじ辺りでまとめていわゆるパイナップルヘアーにしていて、どちらかといえばキリッとしたカッコ良い系の子で、それでもなんとなく小さな仕草などは女の子らしくてギャップ萌えするタイプ。

 そんな分析を近寄ってくるまでにしたテルヨシの本能レベルの習性はさておき、その女子生徒に見覚えのないテルヨシはパドとマリアに視線を向けて知り合いかとアイコンタクトする。

 マリアは当然ながら首を横に振り知らないと示したが、パドは何か心当たりがあるのかすぐには首を振らずに珍しく思考。

 

「……なるほどね。アンタ達がそうか」

 

 その間にテルヨシ達のすぐ近くまで来た女子生徒は、テルヨシ達をゆっくりと見回してから1人で納得したように口を開き、左手を腰に当てて右手人差し指を立てビシッとテルヨシを指す。

 

「アンタが《レガッタ・テイル》ね」

 

 そこから繰り出された言葉は思いがけないことで、言われたテルヨシは表情には全く出さずに何を言ってるんだくらいの顔までしてみせたが、隣にいたマリアが素直に驚いてしまって可愛い反応で口をあんぐり。

 咄嗟の事だから責めることはできないが、反応しちゃったマリアをすすっと背中にスライドさせてパドに視線を向けると、そのパドは焦った様子もなく女子生徒に視線を固定している。

 

「それでその可愛い子が《ソレイユ・アンブッシュ》で、無愛想っぽいお姉さんが《ブラッド・レパード》ね」

 

「だ、誰ですかあなた……」

 

 周囲に人がいないのを確認した上で響かない程度の声量で見事に《リアル割れ》させてくれた女子生徒は怪しさ全開だったが、声だけである程度の人を判別できる謎スキルを持つテルヨシと長年の付き合いのパドは目の前の女子生徒の正体に気づく。

 しかし警戒心が全開になったマリアはテルヨシの後ろからちょっと顔を出して女子生徒へと恐る恐る問いかけ、それを聞いた女子生徒はキョトンとしてから怖がらせたとわかって目線をマリアに合わせて屈み笑顔になる。

 

「急にだったから驚かせたわね。私は都田沙絢(トダサアヤ)。デュエルアバター名はエピナール・ガストよ」

 

「えっ……ガ、ガストさんですか……むごっ!?」

 

 そこで初めて名乗ったサアヤに本当に驚いて大声を出そうとしたマリアの口を押さえたテルヨシは、立ち上がったサアヤと現実で初めて言葉を交わした。

 

「わざわざ出待ちなんて可愛いところあるのね、ガッちゃん」

 

「誰のせいでこんなことしてると思ってんのよ、バカ」

 

「ええっ!? 誰のせい?」

 

「アンタよアンタ! ったく、自分からリアル割れとかバーストリンカーとして初めてやったんだけど」

 

「そ、それはまたガッちゃんの初めてを奪ってしまって申し訳ない……」

 

「誤解を招く言い方はやめて」

 

 かつてはリアル割れしてもいいとさえ言っていたテルヨシからすれば、サアヤの方から会いに来てくれたことは喜ばしいこと。

 しかしこのタイミングで自らがあまり望まないながらも会いに来たみたいな雰囲気のサアヤには疑問があるので、その辺の話をしてくれるだろうことを察して、初対面の緊張を解くような会話をしてから切り替える。

 サアヤも相変わらずなテルヨシにげんなりしつつも、夜も遅くなってきてるからと本題に入ってくれる。

 

「レパード。その子をちょっとお願い。これと2人で話したいから」

 

「K。マリア」

 

 その前にテルヨシと2人で話したいからとマリアをパドに預け、少し離れた場所に移動。

 マリアもパドも見える程度の距離で待っててくれて、長話はできないと前置きしてから改めてサアヤが口を開く。

 

「えっと、テイル……名前まだ聞いてなかったわ……」

 

「あ、ごめん。皇照良。気軽にテルでいいよ」

 

「テイルとそんなに変わらないわね……まぁいいわ。んじゃテル。アンタさ、なんか企んでるでしょ」

 

「オレが悪巧みしてるって?」

 

「誰も悪巧みとは言ってない。この短期間でのレベルアップ。何もないって方がしっくり来ないわ。アンタはバカだけど無能じゃない。だったらこのレベルアップにも意味があるんでしょ」

 

 腕を組んでテルヨシを問い詰めるサアヤに最初こそはぐらかそうとしたが、こうしてリアル割れまでして話をするなら、確認だけなんてことはないと確信。

 ならサアヤが会ってまでしたい話をするまでは沈黙を通そうと口を挟まずにいると、そういうところでの察しの良さを理解してるサアヤも話を続ける。

 

「それに今日の対戦の時に感じた気配っていうかな……アンタからなんかライダーと同じ気配がしたのよ」

 

「それは良い方? それとも……」

 

「悪い方。いつやるのかは知らないけど、七王会議にはアンタも呼ばれてるだろうし、七王が出揃う場でアンタが何もしないわけがないじゃない。それこそその場でレベル9になって勝負を挑むくらいのことはしそうって思ったのよ」

 

「…………」

 

 パドはあえてハッキリとは言わなかったが、まさにその通りの計画を立てていたテルヨシは、女の勘とでも言うべきもので看破したサアヤに素直に驚く。

 だがそれでもテルヨシが目指すべき道は変わらないし、相当な覚悟を持って進んできたのだ。今さら止まる段階にはもういない。

 

「まっ、そんなことだろうと思ったからこうして私も覚悟を決めてきたわけよ。私の覚悟とアンタの覚悟。どっちが勝つかの勝負をしましょ」

 

「しょ、勝負? ならサアヤはオレを止めに来たってこと、だよね?」

 

「そうなるわ。でも勝負って言ったって時間なんかかからないわ。私はアンタにもう仕掛けたもの」

 

「仕掛けたって……」

 

「あら、頭の回転が良いのが取り柄なのに、まだ気づかない?」

 

 予想通りその計画を止めに来たサアヤだが、だからといって何だと突き返すくらいの気持ちでいたテルヨシがキョトンとしてしまうような事を言うので、ようやく真面目に頭を使ったテルヨシが少し考える素振りを見せると、その間にサアヤの表情が少しだけ悲しそうなものに変化したのを見逃さない。

 そしてそれを見たことでサアヤの言葉の意味を理解したテルヨシは、とんでもないことをしてくれたサアヤに愕然としてしまう。

 

「…………そういうことね。ズルいわサアヤ……」

 

「わかったみたいね。じゃあダメ押ししてあげる」

 

「まだなんかあんの!?」

 

「私も覚悟を決めたって言ったわよ。耳を塞がないで聞きなさい」

 

 サアヤが何故このタイミングでリアル割れまでして止めに来たのか。

 それはこうして顔を合わせたサアヤは『バーストリンカー』としてのサアヤだからだ。

 ブレイン・バーストをアンインストールした者は、それに関する記憶を失う。

 つまりこのままテルヨシが来たる七王会議でレベル9となって、王の誰かと戦い負けた場合、この出会いまでテルヨシの中で『なかったこと』になる可能性が高いのだ。

 いわば記憶を人質にした脅迫に近いサアヤの行動に揺らがないわけがない。

 それでもまだ完全に止まるまではいかないテルヨシだったが、そこにサアヤはまだカードを切ってくる。

 

「皇照良。私は……都田沙絢はずっと前から……レガッタ・テイルとして出会ってから、あなたのことが好きになった。私が失いかけたゲームを楽しむ気持ちを思い出させてくれたあなたを、堪らなく好きになった。もしもあなたがいいなら……私と……付き合ってくれませんか……」

 

 精一杯の気持ち。本気の想い。

 それが痛いほどに伝わってきたサアヤの告白に、テルヨシは頭が真っ白になってしまった。

 最後は少し泣きながらだったサアヤも、言い終えてから胸に手を当てて目を閉じてしまい、テルヨシの返事をただ待つ。

 その告白によってテルヨシはようやくサアヤが止めに来た理由について理解できる。

 ──いなくなってほしくない。

 好きな人が自分の事を全て忘れていなくなってしまう悲しみは計り知れないものだろう。

 自分なら耐えられる自信もないその悲しみを自分が進む道の先ですることになる人がいる。

 それをいま突きつけられたテルヨシは、マリアにもパドにも止めらなかった自分の覚悟が脆く崩れていくのを悟り、ぎゅっと目を閉じるサアヤの肩に触れて目を開けさせる。

 

「…………オレさ、かなり目移り激しいよ?」

 

「知ってるわよそんなこと」

 

「女の子なら誰とでも仲良くなっちゃうよ?」

 

「それも知ってる。っていうかそうじゃなきゃアンタらしくないでしょ」

 

「それでも……」

 

「それでも好きって言った私が変わってるのは承知の上よバカっ。返事っ!」

 

「よろしくお願いしますっ!」

 

「……ありがと、テル」

 

 女の子にそんな悲しい思いをさせるわけにはいかない。

 我ながら女に振り回される性格だなと自虐しつつも、こんな自分を本気で好きになってくれる子など、今後いるかわからない気持ちと、自分もまた都田沙絢という女の子を好きな気持ちに嘘などないと思い、急かされつつもその告白を受け入れたのだった。

 

 自らの壮大な計画がサアヤによって呆気なく打ち砕かれはしたものの、現実ではリア充の仲間入りをしたのではないだろうかなテルヨシは、改めてサアヤとアドレスやボイスコールの番号を交換──今までは捨てアドレスでメールだけ──してようやく恋人関係の第一歩を踏み出した。

 しかしテルヨシのアドレスやらを登録して凄く嬉しそうにしたサアヤは、すぐに切り替えるように真面目な表情へと変わると、同じように嬉しそうにしていたテルヨシに向かって口を開く。

 

「恨んでもいいよ。テルにはその権利があるから」

 

「恨む? ああ、オレの野望を阻止してくれちゃったことに対して?」

 

「私はテルのブレイン・バーストでの生き方は凄くまっすぐで好きよ。でも私はその生き方を貫くことを阻んだ、いわば障害。貶されたって、殴られたって仕方ないくらいの酷い仕打ちをしたもの。とても許されることじゃないわ」

 

「……オレの生き方は女1人の本気の想いにも負けるくらいだったってだけの話だよ。それにレベル10になるだけがこのブレイン・バーストの到達点じゃないとも勘づいてはいたんだ。ならまた探せばいいさ。レベル10以外のこのゲームの到達点をさ。だからサアヤは見えてるゴールだけで近道をしようとしたオレを止めてくれた恩人ってこと」

 

「ものは言い様よ。そうは言ったって私がテルにしたことが良いことには絶対にならない」

 

「うーん。じゃあ責任を取ってもらおうかな。オレが目指す別の到達点。それをこれから一緒に見つけてくれないかな。期間は無制限! 悪い条件じゃないっしょ?」

 

「…………ホント、女に甘いわよね、アンタ」

 

「彼女には特に甘いぞ」

 

 本当はサアヤにもテルヨシを止めた罪悪感はあって、それでもテルヨシとの絆が無くなることの方が嫌だと思ってしてくれたことをテルヨシが責められるわけもなく、だったらとまだ見当もつかないブレイン・バーストの目指すべき別の道を一緒に探そうと言えば、その意味するところが「一緒にいてほしい」になるために顔を真っ赤にしながらも了承したサアヤ。

 そうして話も終わったので、離れていたマリアとパドがようやくかといった雰囲気で近寄ったテルヨシとサアヤを見てくる中、めちゃくちゃ照れて話せなくなったサアヤに代わってテルヨシが報告。

 

「えー、オレとサアヤは付き合うことになりました」

 

「……唐突」

 

「…………むぅ」

 

 テルヨシもちょっと恥ずかしいことだったので頭を掻きながら話を端折って結果だけ言うから、さすがのパドもどう返せばいいかわからずに見たこともない微妙な表情を浮かべ、マリアに至っては何故か不機嫌そうになる。

 あれぇ、祝福がないぞ?

 当然と言えばそうなのだが、突然の話でテルヨシもどうしたものかと戸惑いを見せると、いち早く状況を整理したパドがマリアの肩に手を乗せて口を開く。

 

「とりあえずマリアには謝る。それが最善」

 

「うぇっ!? 何故に!?」

 

HU(早く)

 

「マリア、ごめんなさい」

 

「…………サアヤさん、泣かせちゃダメだよ」

 

「おっす。努力します」

 

「サアヤさんも、テルを甘やかしたらダメですから」

 

「あ、はい。注意します……」

 

 よくわからないままに不機嫌なマリアに謝らされたテルヨシは、それでぷくぅと頬が膨らんでいたマリアが元に戻ったからホッとしつつも、なんか親みたいな立場で注意するマリアに苦笑。

 同じように注意されたサアヤはまだマリアが誰なのかもよくわかってないながら流れで返事。

 それを見届けたパドはさっさと帰りたかったのか、サアヤからリアル割れしたのだからとアドレスを交換して退散してしまい、残されたテルヨシ達も帰る雰囲気になる。

 その前にマリアとサアヤがちゃんと自己紹介をして、テルヨシとマリアが現在、同居していることを教えると、そうなった経緯を知らないサアヤはナイスリアクションをしてくれる。

 

「同居って……っていうか改めて実感するけど、お互いに性格とかはよく知ってても、リアルの方は全然わからないことだらけよね……」

 

「なんか順序がおかしくはあるけど、そういう普通じゃない始まり方があってもいいじゃん」

 

「サアヤさんのこと、もっと教えてください」

 

「2人ともお気楽ね……まぁいいわ。私もマリアとは仲良くなりたいし、近いうちに家に招かれてあげる。そっちがいいならその……泊まりでもいいしね」

 

「いきなり彼氏の家にお泊まりなんて積極的ぃ」

 

「マリアがいるんだから変なことしないわよ! させもしないし!」

 

「変なこと?」

 

「はーいマリアはまだ知らなくてオッケーでーす」

 

 なんだかんだ付き合いは長いテルヨシとサアヤだが、リアルでは初対面なのを実感したところで、そろそろサアヤも帰らなきゃと時間を気にして、テルヨシとマリアも帰りが遅れるとお風呂やらも押すので今日のところはもう帰ることになる。

 その帰りの別れ際にふとあることを思い出したテルヨシは、行こうとしたサアヤを引き留めてあることを伝えておき、聞いたサアヤは「まぁそれなら」と了承して走って行ってしまった。

 本当なら家まで送るのが彼氏の務めではあろうが、まだ恋人関係に実感などもないし恥ずかしいだろうからと素直に見送ると、少し遅れてマリアと一緒に帰宅の途に就く。

 

「……テル」

 

「ん? 何だ?」

 

「サアヤさんが彼女さんになって嬉しい?」

 

「その答えに果たして正解はあるのだろうか……」

 

「難しいこと言わない」

 

「……嬉しいよ。サアヤの想いが凄く真剣だったから尚更ね。マリアは嬉しくない? オレとサアヤが恋人になっちゃったこと」

 

「……わかんない。でもちょっと安心。サアヤさんならテルのことちゃんと怒ってくれるから」

 

「そうね。マリアのお仕事が少し減りますからな」

 

「テルが怒らせることしなきゃいいと思う」

 

「おっしゃる通りで。でもマリアへの頬擦りはやめてあげなーい!」

 

 その途中で珍しくマリアから口を開いたから真面目半分、冗談半分で付き合ってあげて、10歳ながらも男女が付き合うということに理解しようとする部分が見えて微笑ましく思う反面、サアヤにかまけてマリアに寂しい思いはさせまいと心に誓って頬擦りを実行したら、案の定蹴り飛ばされてしまったのだった。

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