アクセル・ワールド~蒼き閃光Ⅱ~   作:ダブルマジック

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Acceleration Second11

 スザクによるEKから脱出して一夜。

 あれからユリに抱きつかれたところを見られて、かつてないほどの冷めた目でサアヤにボイスコールしたパドをなんとか留まらせて、事実のみを報告されることでギリギリ別れ話にはならなかった。

 本当に肝が冷える思いをしてから家に帰れば、今度はマリアからきな臭い話を聞くことになり、今日は欠席していたタクムが最悪のPK集団《スーパーノヴァ・レムナント》に襲われ、返り討ちにして全滅させたと噂が流れ、すでに新設の飼育委員だったらしいハルユキには話して真相を知るために動いてるようだった。

 最悪のPK集団とまで呼ばれる、バーストリンカーとすら呼べない集団によるリアルアタックをタクム1人で返り討ちにしたというのは、たとえ自分が同じ状況になったとしても無理そうなので、何かある気はしたものの、すでに夜の8時を過ぎてタクムも家にいるだろうし、ハルユキも動いているならすでに初動は遅い。

 話は黒雪姫などにもいってると聞くし、もう動こうにも動けないので翌日に回しての今日なのだが、いざ登校してみれば黒雪姫から「ハルユキ君からメールをもらって、すでに事は終息したようだ」と言われて肩透かしを食らう。

 だがやはりISSキットが関わった事態だったようで、概要こそ放課後に集まって詳しく聞くようだが、ISSキットはテルヨシも問題視する事態なだけにその集まりに参加したい。

 

「姫よ。悪いんだがその話は先にタクム君から聞いておいていいか?」

 

「ン、集まりに参加したいと言わなかったのは殊勝だな。対戦時間だけで足りるかはわからんが、情報は赤の方にも伝わるならば良かろう。対戦拒否の方は解かせておく」

 

 したいのだが、先日の件もあって突っぱねられる事は間違いなかったから、在校中にタクムから話を聞く許可をもらえば、それならばと早速タクムにメールを送った黒雪姫は、10秒足らずで返ってきた了解のメールを伝えてどうぞと促してきた。

 が、タイミング的には朝のHRが始まる直前だっただけに落ち着きがなかったので、仕方なく1時間目の終わりにでも対戦を申し込もうと思っていたら、今度は授業の終わる直前に黒雪姫へとチユリからメールが届き、ハルユキが体育の授業で倒れたとの報告に慌てふためいて椅子から滑り落ちてから、チャイムと同時に教室から飛び出ていったのを見届け、なんか空気を読んでその休み時間もパスすることになってしまった。

 

 結局、向こうが落ち着いただろう昼休みにまで延ばした対戦でようやくタクムから話を聞く段階にきたテルヨシは、合わせて60分しかない時間──同じ相手に2度挑めない仕様のためだ──でできる限りの情報を引き出しにかかる。

 事の始まりは一昨日の無限EK脱出作戦の後に、すでにISSキットを使ったバーストリンカーと対戦していたハルユキから話を聞き、その夜に塾の見学に外出し世田谷の南の方へと足を伸ばし、そこで《マゼンタ・シザー》というバーストリンカーからISSキットを譲ってもらったらしい。

 その夜はわずかながら雨も降っていたので、そのせいで翌日に風邪を引いて学校を休み、午前中に新宿の病院に行った帰りに情報収集をしようと動いたところ、落ち合うはずだった昔のバーストリンカー仲間が裏切り情報を売ったスーパーノヴァ・レムナントにリアルで遭遇。

 相手も心意の使い手であったため、付け焼き刃の心意しか使えないタクムでは到底太刀打ちできないものだったが、持っていたISSキットを使い、撃退に成功。

 しかし1度でも使用したISSキットは使用者に寄生し、タクム自身の精神も侵食し始めて、どうにかなってしまいそうな衝動に駆り立てられていたところにハルユキが来て、そこで対戦することとなった。

 対戦はおよそ心意による酷い内容となったのだが、その対戦の中でキットが成長し複製体(クローン)を作り、ハルユキにまで寄生しようとしたところでタクムが自滅し防いだらしい。

 ここまででISSキットの脅威は相当なものだとわかるが、そのキットは複製体同士で繋がりがあるため、増えれば増えるほどキットの力は増して精神干渉も強くなっていく。

 それがどのように行われているのかは、その夜にタクムと直結しながら寝たハルユキとチユリまでをも巻き込んで起こった現象が明かしてくれたとかで、夜に眠っている装着者のイマジネーション回路を自動的に開いて《ブレイン・バースト中央サーバー》へと繋げて、そこにあるISSキットの本体が悪意の並列処理のような操作をして力を増大させているようなのだ。

 中央サーバーはデュエルアバターのセーブデータやら加速世界のほぼ全てのデータを管理する場所だが、そんな場所にISSキットの本体があるというのも疑問はある。

 それはそれとして、キットによって無理矢理中央サーバーへと意識を繋げられて並列処理させられていたタクムは、直結によって道連れにした感じのハルユキとチユリの援護によって正気を取り戻し、心意技をISSキットの本体に叩き込んで現実へと戻った。

 そうして戻ってみれば、タクムに寄生していたISSキットはセーブデータを破損させられたに等しいダメージで消滅し、今は完全に元通りとのこと。

 残念ながらキット本体の破壊までは出来なかったようだが、タクムと同じ複製体のキットの使用者は干渉が弱まっているのは確実とかで、その感染力の抑制には一時的にでも影響したようだ。

 

「…………マゼンタ・シザー、か。オレも1度だけ対戦した覚えがあるが、足跡は追えそうにないな」

 

「僕ももう無茶は出来ませんから、不用意に接触はしません。ただ、世田谷方面の感染源に最も近いのは彼女である可能性が高いです。キットを渡す時の口調もずいぶん流布してる感じでしたから」

 

「その辺は顔が広いお方がいるから任せておきんさい。だが一時とはいえ、そんな力に頼っちまった自分の心の弱さ。それだけはしっかり噛み締めておけ。それがこれからの強さにきっとなる」

 

「……はい。テルさんもくれぐれも無茶だけはしないでくださいね。スザクのEKから脱したとはマスターから聞いていますが、そのイメージは僕らの中で色褪せるには時間がかかりますしね」

 

「……傷口を抉るな後輩……」

 

 それら全ての話を聞いて考察までしていたら、たっぷり55分も費やしてしまって、とにかく話は理解したのでカッコ良く締めに入ったものの、最近の失態を引き合いに出されて締まりが悪くなってしまった。

 それでもタクムはキチンとテルヨシに感謝を現すお辞儀をしてからフィールドを出ていき、想像を越えるISSキットの手の込み具合にどうしたものかと考えながら遅れてバーストアウトしていった。

 

「…………ってな感じでとりあえずはどうでしょうかね?」

 

 放課後。いつもならばHR終了からまっすぐにバイトへと向かうテルヨシだが、今日はそのバイトを休んでまで学校に留まっていた。

 来たる文化祭も再来週の日曜日に迫り、テルヨシが学校側から任された特別講義の試作的なプレゼンテーションを加速世界の問題と並行している都合、どうしても一段落しておきたいのがあった。

 なので期日は今週中ではあったものの、早めにクリアしたいからと木曜日の今日にでも大雑把な内容は通しておこうと、今まで集まった教師陣の前で10分程度だが話をしていた。

 詳しい内容についてはまた持ち帰って詰めることにはなるが、テルヨシが主導権を握る講義というアドバンテージから、具体的な意見は教師陣といっても特になく、内容を理解しそれが有意義なものになるならと割とあっさりオッケー。

 あまりスムーズだと困惑してしまうのはちょっとひねた考えかもしれないが、折角バイトを休んでまでした説明なので、もう少し話を詰めておこうとオッケーが出て解散ムードになる中、どこまでやっていいかとかその辺のことを具体的に聞いておいた。

 

 普段は熱心なところをほとんど見せないテルヨシの意外なやる気に教師陣が困惑しながら付き合うという不思議な会議を終えて、それでも時間は午後4時半を回るかといったくらい。遅れはしてるがバイトに行けてしまう……

 しかし折角のお休みなのでたまにはのんびり放課後を満喫してみようかなと思い直して、今日もマリアと謡が来てるよなと校門へと向かわずに校舎裏の飼育小屋に足を伸ばしてみる。

 案の定、一昨日から小屋に入れられたコノハズクを前にマリア達が餌やりを終えたところのようで、ほんのりと撤収の流れが見て取れた。

 マリアには今日、バイトを休むことは伝えてあるので来る可能性については考慮されてるだろうが、それでも驚かそうと物陰に隠れながら接近していたら、それよりも先に堂々と飼育小屋近くのマリア達にまっすぐ近寄っていった女子生徒。しかも梅郷中学校の生徒ではない誰かが勢いそのままに背後から無防備な謡とマリアをまとめて抱き締めてしまう。

 

「ういういとマリアつーーーかまーーーえたっ!」

 

 いきなりのそれにはマリアも謡もどうすることもできずにされるがまま、ユリと同等かそれくらいの豊満な胸に顔を埋められてジタバタするしかなさそう。

 ──なんとうらやまけしからん!

 と思うのはテルヨシが紛うことなき男である証明ではあるが、当の本人達はそれで窒息寸前までいってるわけで羨んでる場合ではない。

 近くにいるハルユキも止める様子がないので、仕方なしに隠れるのをやめて近づいていったのだが、声をかけるより早く2人のジタバタしていた手がパタリと力なく落ちたため、ちょっとだけ手遅れになってしまったのだった。

 

「マシュマロに殺されかけた……」

 

【UI> のです……】

 

 実際に窒息寸前まではいったがギリギリで解放されて、衝撃的な経験を語る2人のぐったり顔はマジのあれだったが、代われるものなら代わってやりたかったとか言ったらドン引きされそうなので口から出るのを止めつつ、どうやらハルユキ達と知り合いらしいその女子生徒と対面。

 薄い茶髪のナチュラルロングの超絶美人で、淡い水色のブラウスとチェックのスカート。膝より上までを覆う薄いオーバーニー。

 見るからに自分よりも年上の雰囲気もある女子生徒は、テルヨシの出現にもそれほどのリアクションを見せずに口を開いてくれるのを待っている様子。

 

「あー、まぁなんとなくこれは偶然のあれだけど……会ったことありますよね。お互いに」

 

「そうかもしれませんね。わたしもそんな気がしていました。こちらでははじめまして。倉崎楓子(クラサキフウコ)と言います」

 

「皇照良。テルでいいですよ。マリアとももう仲良くなってるみたいで」

 

「ええ。マリアはもうういういと同じくらい可愛くて困っちゃいます」

 

「完全に同意です!」

 

 あまり回りくどいのもあれだしと開口一番で核心に迫る発言をしたテルヨシに対して、全く動じることなく涼しい顔で即答したフーコは、やはりテルヨシが予想した通りの人物のようだった。

 そもそも今の学校のセキュリティーからして明らかな部外者であるフーコが問題なく入れていて、さらに謡とマリア、ハルユキとも親交があるとなれば、自然とその人物像は見えてきてしまう。

 テルヨシがリアルを知らない黒のレギオン《ネガ・ネビュラス》の副長《スカイ・レイカー》であることは間違いなく、フーコの方もこの輪の中に自然と入り込んだテルヨシが何者なのかをすぐ理解したようだった。

 そうした言葉ではない状況から互いを理解したテルヨシとフーコは、近くでぐったりするマリアと謡も無視して『可愛い』という共通認識を確認してがっしりと握手。

 この人とは仲良くなれそうだ。などと思っていたら、何か不吉な予感でもしたのか、その可愛い当人達は握手が怖かったらしく、2人して間に割り込んで握手をやめさせてきた。

 

「スキンシップは」

 

【UI> ほどほどに、なのです】

 

「なぬ!? それじゃあオレとフーコさんのスキンシップが過剰だと!?」

 

「酷いわ2人とも。わたしもテル君も愛情表現が顕著なだけなのに……」

 

「フーコさんはハグがハグじゃないです……」

 

【UI> 今さっき殺されかけたのですよ……】

 

 どうやら2人の中でのテルヨシとフーコのスキンシップは少々激しいみたいで、その2人が意気投合する恐怖を感じての行動だったっぽい。

 しかしそんな2人の反応すらも楽しむフーコのブレのなさに同類として感心すると同時に、ついつい笑みがこぼれてしまうのだった。

 

「さてと、今日もうーちゃんの顔を拝めてフーコさんとも知り合えたから満足でござる。マリア、あんまり遅くならないように帰っておいで」

 

「えっ……うん。気を付ける……」

 

「それじゃあフーコさん。今度はマリアとうーちゃんの可愛さについてをじっくり語り合いましょうね」

 

「ええ。とても有意義な時間になると思いますから、今から楽しみですっ」

 

 なんだかんだで和やかな雰囲気が流れはしたものの、ネガビュのメンバーが部外者含めてこうも校内に集まるのは偶然ではあり得なく、おそらくはフーコも黒雪姫の招きによって入ってきたことは予測できる。

 ならば今日もハルユキの家に行くと言っていたマリアや黒雪姫の言葉から、タクムの件の他にまた何かしらの作戦が行われるのは間違いなく、前回の作戦で残念な評価を受けたテルヨシがそれに加わるのは無理な話。

 ならここで呑気に雑談をしている時間は向こうにとってはあまり良くはないと思ったので珍しく空気を読んで撤収の流れにしたら、それが気持ち悪かったのかマリアの歯切れの悪い返事は印象的。

 それでもさらに空気を読んだフーコの笑顔の見送りによってその場をあとにして一足早く帰宅するのだった。

 

 平日にまっすぐ帰宅するなんてほとんど記憶にないくらいの珍事にちょっと違和感がありながらも、帰ってからやることをぼんやりと考えて高円寺駅近くの自宅マンションの前まで到着。

 だがそのマンションの入り口前には見知った顔が待ち構えていて、テルヨシの接近に気づいて目力で『早く来い』と訴えてくるもんだから、走れないのに無茶な要求をしてきた相手に苦笑しつつ、出せる全力で近寄って挨拶。

 

「2人して健気に待っててくれるなんて、モテる男は辛いねぇ」

 

「そういうのいいから」

 

「あれ? さっきまで『こうやって彼氏を待つとかなんか彼女してる感じ』って言ってたのはどこの誰だったかな?」

 

「ユーリー……それは言わないって言ったばっかりでしょうがぁ!!」

 

「キャー、サアヤが怒ったー。テル君助けてー」

 

「んな抑揚のない声でテルの後ろに隠れるなー!」

 

 待っていたのは帰宅はせずに制服のまま直行してきたっぽい彼女のサアヤとユリの2人で、合流して早々に騒がしくはしゃぐサアヤとユリが楽しそうで混ざりたかったが、なんか眩しすぎて割り込めずに板挟みになって約1分。

 ユリの平謝りでとりあえずは場が収まってから、特に約束もしてなかった2人が何故いるのかという話になり、直前の騒ぎでそれすら忘れていたようにハッとしたサアヤは、とにかくまずは落ち着こうとテルヨシの部屋へと移動を促す。

 

「というかオレがバイト休んでるのよくわかったね」

 

「先に連絡したユリがレパードから聞いてたのよ。アンタのグローバル接続は切られてるだろうし、それなら家の前で待とうって話になって今に至るってわけ」

 

 部屋に移動してからお茶を出しつつダイニングテーブルに落ち着いて、バイトを休んでいたにも関わらず待ち伏せできていた理由についてを聞いてみると、まぁ納得。

 その辺の疑問は前置きとして適当に処理しつつ、出されたお茶をちょっとだけ飲んで改めて話を切り出したサアヤは、鞄からXSBケーブルを取り出し、ユリも同様に1本のケーブルを取り出す。

 

「とりあえず噂のISSキットってやつを調べてみたんだけど、発生源は世田谷とか江戸川の過疎戦域って感じ。まだ流布自体は点々としてて大事には至ってないけど」

 

「日を追う毎に確実にその数は増えていってるかな。来月まで問題が延びると、さすがに大多数のバーストリンカーが異変に気づくはず」

 

「それくらいには進行が早いってことか。んで、そのケーブルを出すってことは《上》に行くんだよね。目的は?」

 

「うーん。緊急ってこともなさそうなんだけど、調べてる時に耳の早いやつから変な情報が入ってきたから、確認しに行くのよ。もしかしたらISSキットとも関係があるかもしれないしね」

 

「危険はないと思うけど、一応セーフティーはあった方がいいから、ホームネット経由でお願いね、テル君」

 

「その辺のことを詳しく話してほしいのに『詳しくは向こうで』が染み付いた古参は時間の使い方が上手いのか下手なのか……」

 

 その行動から確実に《無制限中立フィールド》に行くのは間違いないが、向こうの方が経過時間的に有意義に時間を使えるからか、現実での説明を極力省いてニューロリンカーにケーブルを挿して繋げる2人に合わせると、どうしても古参と割と新参の差異が生じて苦笑するしかない。

 ただでさえ無制限中立フィールドはテルヨシが行くことをなるべく避けていたフィールドだから、その2人との温度差は大きいが、行かない選択肢なんて始めからないのだから大人しく言われた通りにホームサーバーとの有線接続と切断セーフティーをセットして2人と直結。すぐに無制限中立フィールドへとダイブしていった。

 

「んげっ……《原始林》って……」

 

「また面倒な属性の時に入ってしもうたの」

 

「あー、なんかすばしっこくてやたら強い獣型エネミーがいるとか聞いたことあるねぇ」

 

「それもだけど、何より移動するのが面倒臭いわ……」

 

 フィールドに降り立って早々に近くで四つん這いになって原始林ステージに落ち込んでいたサアヤを発見し、ユリでさえやれやれな雰囲気を出すので、おそらくここから少し離れたところに移動するのだろうとは思った。

 移動となると確かに植生する木々やらが邪魔なことこの上ないし、エネミーもこのフィールド特有の種類が何体か確認されていて、その遭遇率もバカにならないとあっては落ち込むのも無理はない。

 

「もう1回入り直す?」

 

「……バーストポイントが無駄になるでしょ。嘆いても仕方ないし《変遷》も期待しつつ行くわよ」

 

「お客さん、どこまでですか?」

 

「《東京ミッドタウン・タワー》付近までじゃな」

 

 その落ち込み様が可哀想だったので、1度離脱して入り直す提案をしてみるが、ポイントを大事にするタイプのサアヤはそれを拒んで持ち直し移動を決め、移動となったらテルヨシがタクシーなので言われるより先に《テイル・ウィップ》を2人の胴に巻き付けて持ち上げ、その行き先を尋ねて走り出す。

 

「それでそのミッドタウン・タワー付近に何があるの?」

 

「あんまり現実味がなくて実物を見ないことには私達も信じられないんだけどね……」

 

「んむ……テイルにはどう説明したものかの。東京の4大ダンジョンは知っておろう?」

 

「聞いたことはあるね。ナイトとかが持ってる《七の神器(セブン・アークス)》があったダンジョンでしょ?」

 

「そう。それでどこのダンジョンにもダンジョンらしくボスエネミーってのも存在するのはバカでもわかるでしょ」

 

「ボスのいないダンジョンとかただの探索ですもんね……」

 

「ボスと呼ばれるだけあって、そのエネミーも等しく《神獣級》ということは言うまでもないが、ボスエネミーはボスエリアでしか出現しない『テリトリーを持っとるエネミー』とも言えるじゃろ」

 

 移動しながらその目的地についてをようやく話してくれる2人の話は主戦場を無制限中立フィールドに置いていなかったテルヨシに対して丁寧すぎる気もするが、それは優しさからのあれなので甘んじて受けて理解に努める。

 そしてそこまでのことを聞いたら察しの良いテルヨシならもうなんとなく言わんとしてることがわかり、思わずその足を止めてしまう。

 

「…………えっと……つまりそのダンジョンのボスエネミーが?」

 

「そのミッドタウン・タワーの頭頂に陣取ってるって情報が入ってきたのよ」

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