アクセル・ワールド~蒼き閃光Ⅱ~   作:ダブルマジック

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Acceleration Second21

「キャー! 何この子! 可愛いー!」

 

 バトロワ祭りが無事に終了して、サアヤとのデート納めに入ったテルヨシは、そのサアヤの行きつけという中野駅に近い喫茶店『せせらぎ』で腰を落ち着けて、あと1時間もすれば約束していた《シーバ・カタストロフ》との対戦が行われるので、それまでのんびりと雑談していようとなっていた。

 それでデートもほぼ終わりということでマリアも呼んで来てもらったわけだが、店の大人な雰囲気に恐る恐るで来店したマリアは、店を間違えたのではといった顔をしたマスターにビクッとしながらも、店の中を見回してテルヨシとサアヤを発見。

 すぐに走り寄ってサアヤの隣へと座ってみせたのだが、そんな迷いなくサアヤの隣に行かなくてもと思わなくはない。

 まぁ可愛い彼女と妹的存在が対面に並んで見られるなら眼福なので、不満自体は口から出ることはなかったが、ちょっとにやけたせいか気づいたサアヤに注意されてしまったのだった。

 そしてマリアの来店に1番テンションが上がったのが、追加のお冷やを持ってきた流川さんで、マリアを見るなり年甲斐もなくはしゃいでマスターに苦笑されていた。

 しかしそれで留まることなく、テンションだけは抑えた流川さんは欲望の赴くままにマリアの隣のわずかなスペースに腰を下ろしてギューッ。

 頭を撫でながら熱い抱擁をしてみせ、訳もわからず初対面の店員さんに抱き締められたマリアはどうしていいのかわからないと目でテルヨシに訴えてきた。

 

「凄いわねぇ。お人形さんみたいなんて例えは失礼かもしれないけど、私とは別の生き物みたい」

 

「流川さんはとりあえずお仕事してください。マスターも怒りますよ」

 

「わお! それじゃ、あとで一緒に写真を撮りましょ」

 

 確かにマリアは日本人には見られないほどにイタリアの血が濃く容姿に出ていて、流川さんの表現は理解できたが、バイト中のテルヨシでさえここまでのスキンシップはしないので、趣味の経営で怒る人が客とマスターしかいないからこそのあれだな。

 これもサアヤが常連だからこその距離感で、ちゃっかりマリアを抱き返しつつ流川さんを退けたサアヤは、ようやく3人揃ったことで話をブレイン・バーストへと移行させていった。

 

「……《ウルフラム・サーベラス》?」

 

 話が始まれば開口一番でサアヤの口から出た名前は、やはりレベル1ながらテルヨシをも悩ませたサーベラスで、サアヤから見てもその実力は新人のレベルを逸していたようだ。

 そのサーベラスの存在はマリアも知らなかったので、今後に遭遇することもあり得ることから、2人してサーベラスについての現在の評価を教えてあげる。

 

「正直なところ、あれはマリアだと見つかったらほぼ負けるわね。それだけバトルセンスが優れてる」

 

「バトルセンスなんて持ち出したら、同レベルならオレも勝てるかわかんないけど」

 

「まぁ見てても今回はレベルとポテンシャルの差で勝ったようなものよね。スティングの犠牲がなきゃあのアビリティも考察の間に攻略させてもらえなかったかもだし」

 

「テルとサアヤさんがそんなに言うと、ちょっと怖い」

 

 それによる2人に評価は総じて高くて、同じ条件なら勝てるかどうかも危ういとさえ言うテルヨシとサアヤにマリアも驚きを隠せない。

 しかし2人もマリアを怖がらせるつもりは毛頭なかったので、戦うことになっても臆することはないと言いつつ、サーベラスの実力を支えていたあのアビリティも脅威だと口を揃える。

 

「物理耐性アビリティ。それもほぼダメージをシャットアウトするとか、無効に近いね」

 

「観戦中に先にサーベラスの対戦を見たって人に会って話を聞いたんだけど、そこでサーベラス本人が言ってたアビリティ名。《物理無効(フィジカル・イミューン)》とか言うんだってさ。無効に近いんじゃなくて、無効そのものってこと」

 

「えっ? そんなの相手にテルはどうやって勝ったの? テルの攻撃、全部物理だよね?」

 

「ん? そりゃあれよ。テルお兄さんの努力と根性と気合いと……」

 

「フィールドには破壊不可能な場所があるでしょ? それを利用したのよ」

 

「えっと……あっ! 地面だ!」

 

「…………」

 

 さすがは顔の広いサアヤらしく、バトロワ祭りの最中でも情報収集はしていたらしく、サーベラスのアビリティもそれで判明。

 本当に無効化アビリティとは思ってなかったテルヨシも驚いてしまうが、そんな相手に脳筋のテルヨシが勝ったことがビックリなマリアは、その勝因についてを尋ねてきて、カッコつけたいお年頃なテルヨシが勿体ぶっていたら、横からサアヤがほぼ答えのヒントを与えて理解されてしまうと黙るしかなかった。

 だがそうとわかるとマリアもバーストリンカーらしく、対サーベラス戦での立ち回りなどを思案し難しい顔をし始めるが、すぐにサアヤが「見つからなければどうということはない」とかなんかどこかで聞いたような台詞のオマージュを炸裂させて、それに「なるほど」と返すマリアもマリアであった。

 

 さすがにそれだけでは対抗策としては不十分すぎるので、寝る前にでも別の対抗策を練るように言って、今はまた別の話題に切り替えようとサアヤがサーベラスの話を切ると、視界の時刻を確認したのかわずかに視線を動かしてからテルヨシをジト目で見ながらジュースを飲む。

 

「でよ。あと20分もしないうちに約束の時間なわけだけど、対策はあるの?」

 

「対策? なんか必要なの?」

 

 その意図は言う通り、20分後に始まるカタフとの対戦を考えてのことだったのだが、対戦に向けて何か考えているのかと尋ねたサアヤに対して、テルヨシは能天気に考えなしだと答える。

 それにはサアヤもズルッと体を滑らせて呆れを表現しながら頭も抱えるが、そんな深刻な問題なのだろうかと疑問ではある。

 そしてカタフとの対戦を知らないマリアは何の話かと頭の上にはてなマークを浮かべてしまい、そういえばとまずはサアヤが説明をしてあげた。

 その説明が終われば話は戻って再びテルヨシへと視線を向けたサアヤは、普通ならやって当然のことをやらないテルヨシに苦言。

 

「バカなアンタにわかるように言うけど、その姿勢の時点で対戦のアドバンテージはカタフにあるのよ。良くも悪くもアンタはこの2年で有名になったから、その戦い方もアビリティも必殺技だって知られてる。対してカタフは活動戦域が極端に狭いから、知らない人は知らないし、現にアンタも通り名くらいしか知らないじゃないの」

 

「それでも向こうがオレのことを知ってるとも限らないんじゃ……」

 

「向こうから吹っ掛けてきておいてそれはないでしょ。というよりもよ」

 

 物凄く真っ当なことを言うサアヤの気持ちもわからないわけではないのだが、テルヨシとしても初見を楽しみたいという思いはあって、その辺での意識の差が両者の間で出てしまっていた。

 それが今のやり取りだけで察せたようなサアヤは、無駄な問答にならないように話し方を変えてくる。

 

「これはまぁ私の持論ではあるけど、対戦っていうのは互いのことを理解した上で初めて成立するものだって思うのよ。情報戦を否定するわけじゃないけど、アンタやカタフみたいなタイプはさ。相手がどんなことをやってくるかをある程度の理解があった上で戦術を立てるのが前提で、そこからの駆け引きが重要だと思うの。だから情報戦でアンタが負けてたら、それだけで最初の駆け引きが成立しないと思わない?」

 

「あー、そう言われるとそうよねぇ。格闘ゲームでも相手の使うキャラの技とか把握した上で立ち回りを決めたりってあるし」

 

 そうして話すサアヤがどうして親身になって考えてくれるのか。

 それを考えながらその意見にずいぶんと納得してしまい、ようやく意見が通ったことでサアヤが明るい笑顔を見せたことで、疑問も解ける。

 要するにサアヤもカタフとの対戦を楽しみにしてくれてるのだ。

 だからこそスタート時点での差を無くして対等な条件で始まってほしいという思い。

 ハイランカー同士の手に汗握る高度な駆け引きを最初から最後まで純粋に見たいという願い。

 

「じゃあオレはお願いすればいいんだよね」

 

「時間もそんなにないし、さっさとしなさい」

 

「カタフについて知ってる情報を教えてほしい」

 

「よろしい」

 

 カタフとの対戦はナイトの計らいでおそらくはもうずいぶん知れ渡っているので、ギャラリーの数もなかなかになってくるはず。

 その中の大多数はサアヤのように勝ち負けはもちろんのこと、見ごたえのある対戦を期待しているのは間違いないし、そうした期待に応えるのもテルヨシの役目だと認識すれば、自ずと答えは出てきて、素直にカタフの情報をサアヤに提供してもらうことにする。

 そんなやり取りを黙って見ていたマリアにはクスクスと笑われてしまったが、時間もないので頭を対戦へと切り替えて、サアヤからもたらされる可能な限りの情報をインプットして、それらへの対抗策を色々と模索し始めた。

 

 カタフの対策だけに加速して時間延長など勿体ないので、現実の経過時間である20分後となって、向こうに都合を合わせてもらった手前でスターターはテルヨシがやる。

 3人はニューロリンカーを同時にグローバル接続し、1拍置いてからテルヨシが加速。

 マッチングリストから目的のカタフの名前をスクロールして探していき、5、60人は飛ばしてレベル7のところまで来て目を凝らすものの、カタフの名前がない。

 あれ? まだ来てないのか?

 そう思いつつも一応はマッチングリストを最後までスクロールしていってみると、王達を除けばマッチングリスト上で最高レベルになる8まで来ると、さすがにその数は片手の指で数えるほどに少ない──中にはフーコの名前もある──が、その中に目的の名前が存在していたことでつい2度見してしまった。

 対戦の前から予想外をぶち込んできたカタフではあるが、考えればレベルの上でもこれでフェアになったわけで、そのためだけにレベルアップしたなら相当なアホだが、そのアホさはまっすぐにレベル10を目指していた自分と重なる部分もあったので、嫌いではない。

 そんな粋なことをやってくれたカタフに呆気ない決着などさせては申し訳ないなと思いつつ、1度だけ深呼吸をしてからカタフの名前をタッチしてデュエルボタンを力強く押してみせるのだった。

 

 ──ワアァァァアアアア!!

 

 構築されたフィールドに降り立ってテルヨシがまず聞いたのは、視界に表示された【FIGHT!!】の炎文字とほぼ同時に響いた、ギャラリーの大歓声。

 どこにいるとも判然としないうちに皆が皆、示し合わせたかのように様々な歓声を上げながら、当人達を目指して近寄ってくるのがなんとなくわかる。

 

「ここまで盛り上がるとはね」

 

「ビックリしたぁ」

 

 その歓声には近くに出現したサアヤとマリアも素直に驚いていたが、すぐにテルヨシに一言だけ述べて対戦の邪魔にならないように離れていき、そこまでが済んでから、ようやくテルヨシも情報の処理をしっかりと始める。

 構築されたフィールドは建物内部への侵入が不可能な《世紀末》ステージ。

 余計な属性がほとんどないので純粋な実力で戦えそうなのは良かったが、集まってくるギャラリーの数が半端じゃないせいで、建物オブジェクトの屋上がほぼ満席状態になりつつあるのは多少ではあるが気が散りそうだ。

 

「おいテイル! 中2戦域代表として負けんじゃねーぞ!」

 

「《逃走王》の逃げっぷりにも期待してるよ!」

 

「ばっか! 今回は《蒼き閃光》って呼んでやりなさいよ! 頑張ってテイルー!」

 

 ガイドカーソルはまっすぐブレずに動かないところをみると、カタフの方もまっすぐに向かってきているようで、その間にギャラリーからの声援にも応えつつ、ギャラリーの顔をざっと見渡してみる。

 注目度で言えばおそらくかなり高い今回の対戦は、7大レギオンの幹部もいくらか呼び込んでいるようで、プロミからは《三獣士》が揃って観戦していて、ネガビュでは黒雪姫以外のメンバーが固まって観戦してるのが見える。

 《レオニーズ》からも《二剣》が並んで見えたし、まさかの《クリプト・コズミック・サーカス》からも《レモン・ピエレット》が観戦に来ていた。

 《オーロラ・オーバル》は《アスター・ヴァイン》のみが見えていて、《グレート・ウォール》では珍しく《ビリジアン・デクリオン》の姿があった。

 《オシラトリ・ユニヴァース》の幹部はテルヨシ自身がまだ見たことがなかったせいでわからなかったものの、そうそうたる顔ぶれがギャラリーとして入ってきているのは間違いない。

 それからわずかにいたマッチングリストのレベル8の中に気になる名前もあったが、今はそれを気にするほどの余裕はないので遠くの方に見えたカタフの姿を見て集中力を上げていく。

 

 たくさんのギャラリーを引き連れてやって来たカタフも、ついてきたギャラリーと話をしながらだったようで、必殺技ゲージの方は全く溜めることなくガイドカーソルが消える距離にまで来ると、そこでギャラリーとも会話をやめてまっすぐにテルヨシを見つめてペコリ。

 丁寧なお辞儀をしてみせてから、対戦の前に会話への興じてくる。

 

「お忙しい中で対戦に応じてくれてありがとうっす。こんなにギャラリーも呼び込んでくれて感謝ばかりっすね」

 

 対戦者が顔を合わせたことで、さっきまで賑やかだったギャラリー達は、これも示し合わせてはいないのに皆がその口を閉ざしてテルヨシとカタフの会話の邪魔をしないようにする。

 しかし静寂の中で響いたカタフの言葉を聞きながらのギャラリーからは、不気味なほどの沈黙とは裏腹に今か今かとその対戦が始まるのを待つ空気が充満してきていて、ダラダラと会話に興じている時間も惜しそうだ。

 

「呼び込みはナイトのやつに感謝しろよ。オレは何もしてない。あそこにコバマガ姉妹がいるから一緒にお礼言っとく?」

 

「そうっすね」

 

 なので早くに切り上げるために片付けるべき話を選択したテルヨシは、カタフとそんな打ち合わせをして屋上の一角にいたコバルとマーガに口を揃えてお礼を言ってみせ、いきなりのことだったせいで慌てた2人は、こちらも口を揃えて「は、早く始めろ!」と対戦を促してくれる。

 

「まだまだ話したいことはあるんすが、ギャラリーからの熱い視線には応えなきゃいけないっすよね」

 

「だな。話したいことなら対戦中にでもしろよ。どうせテンション上がれば勝手に語れるくらいのやつだろ?」

 

「お見通しってことっすか。流石っすね」

 

「今のお前を見れば誰だってわかるわアホ」

 

 コバルとマーガの催促もあって、会話も終わりの雰囲気になるや否や、話しながらのカタフは落ち着いた口調とは裏腹にその体が自然と臨戦態勢へと変化していて、おそらくは無意識だったことが今のでわかった。

 テルヨシに指摘されたことで1人笑ってしまったカタフだが、臨戦態勢を崩すことはなくて、意識したからこそむしろより明確な拳を持ち上げての構えを取ると、テルヨシも釣られるようにボクサーさながらのステップを踏んで全身を脱力させ、いよいよギャラリーもその開幕に声を上げかける。

 

「待ち望んだ対戦っすが、簡単に勝っても文句は言わないでほしいっす」

 

「やる前から大口を叩くやつは、世の常であっさり負けるぜ?」

 

 会議の時はヘコヘコしているイメージが先行するカタフだが、こと対戦となるとそれも見る影はなく、すでにテンションが上がりかけているからかビッグマウスも飛び出すが、それを売り言葉に買い言葉で返したテルヨシにカタフはまた笑う。

 ──そして運命の1戦の幕が上がる。

 

 開幕の先制を仕掛けたのはテルヨシ。

 まずはサアヤから聞いた情報をその身で体感するための攻撃は、全体重を乗せた右足の中段蹴り。

 速度も申し分なく、単発としても回避に動かざるを得ないものだったが、迎撃の姿勢から動かなかったカタフは、テルヨシの右足がその左胴へと迫った瞬間、右の拳を当たる軌道に置いてテルヨシの右足を受け止める。

 ──バシュウウウゥゥゥゥン。

 普通ならただ置いただけの拳など取るに足らない障害物でしかないが、カタフの拳と右足が衝突した瞬間、テルヨシの右足には不可思議な感触が包み込み、放たれた強力なエネルギーが根こそぎどこかへと奪い取られたのだ。

 それによりカタフの拳に当たってもダメージ1つなく、HPゲージは微動だにせず、カタフに対して大きな隙を見せることへと繋がる。

 

「ふんっ!」

 

 その隙を意図的に作り出したカタフのカウンターの左フックがまだ右足を上げたままのテルヨシの顔面に迫り、これを体を後ろへと反らすスウェーでギリギリ回避。

 しかし体は無理なスウェーで態勢が崩れて後ろへそのまま倒れる形になるが、その体を《テイル・ウィップ》が支えて留まらせ、右足を振り上げてカタフの左腕を蹴り上げつつ、勢いを殺さずに左足でも踏み切ってほとんどその場でバック宙をして体勢を無理矢理に整える。

 対して左腕を持ち上げられたカタフは反射的にバックステップしてテルヨシの射程圏内から脱出しつつ、着地後を狙ってすぐさま切り返して右ストレートを放ってきたので、テルヨシも左回し蹴りでその拳を迎撃。

 だがまたしてもカタフの拳と激突した左足はエネルギーを消失してしまい、相殺すら出来なかった拳に難なく弾かれてしまう。

 気持ち悪いとさえ思える感触だが、弾かれた際に膝を上手く使って拳を蹴るようにしてバックジャンプし距離を取ったテルヨシは、カタフが追撃してこないのを確認してからウォーミングアップを終えたかのようにその場で屈伸しながら話しかける。

 

「実際に撃ち込んでみると厄介極まりないな。《会心防御(クリティカル・ガード)》だっけ? そのアビリティ」

 

「動揺が少なかったのは、やっぱりそういうことっすか。さっきの前言は撤回しておくっす」

 

「あっ、その言い方はオレが情報収集してない前提だったってことだな? 心外だわぁ」

 

 実際に直前まではそうだったのだからぐうの音もでないところだが、それを悟らせても仕方ないので誤魔化しつつ笑いへと変えるが、会話が聞こえたギャラリーからは「近接バカなのは間違ってないでしょ」とかそんな声が飛んでくるので困ったものだ。

 それはともかくとしても、これでまずはカタフの厄介なアビリティを体感することができて収穫はあった。

 カタフのクリティカル・ガードは、その拳に物理的攻撃が当たると、即座に絶対防壁を展開して拳を守り、衝突するエネルギーを消失させてしまう防御アビリティ。

 拳に当てるだけで発動するという割と楽な条件のせいで、カタフ自身の動きが後手に回っても対処が間に合うことは多く、完全に迎撃に回られれば後出しの防御をされた上に手痛いカウンターを貰う羽目になる。

 

「あのアビリティを破るには……」

 

 会話もちょっとで終わって屈伸を終えたテルヨシは、迎撃慣れしているカタフの無理に攻めてこないスタイルを確認しつつ、まずはクリティカル・ガードの攻略へと乗り出した。

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