アクセル・ワールド~蒼き閃光Ⅱ~   作:ダブルマジック

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 ──降り注ぐ火矢の雨。

 《アーダー・メイデン》。謡が放った必殺技《フレイム・トーレンツ》は《轟雷》ステージの落雷が反応するより早くテルヨシの頭上で炸裂して、逃げ道を塞ぐように数十本の火矢となって降り注いでくる。

 弓矢という連射性能のない強化外装には補完するべき範囲攻撃をちゃんと備えている謡はさすがだが、迫る火矢を前にしても驚くほどに冷静だったテルヨシは、このピンチをどう切り抜けるか即決。

 降り注ぐ火矢の雨は確かに回避は必要だが、ノーダメージで避けようとするとアクションが大きくなってしまい、回避の直後を謡に狙い射ちされてしまう。

 普通はそう考えるが、テルヨシはフレイム・トーレンツが炸裂した瞬間にはすでにその視線を前方の謡へと向けて、視線が上にいっている隙を狙っていた謡の策を潰していた。

 マリアと同じ10歳とは思えない戦略だが、そのくらいでなければ旧ネガビュで幹部にはなれなかったはず。

 初見の必殺技に対して全く動じずに自分の狙いを潰された謡は、矢をつがえはしているものの当たる可能性がないと見て構えたままで静止。

 それはそれで困ると思いつつも、テルヨシはまだピンチを切り抜けてはいないことを自覚して、落ちてくる火矢に対して視線を前にしたまま、炸裂した瞬間に直撃しそうだった軌道からわずかにスライドして避けてみせて、地面へと突き刺さった火矢は小規模の爆発によるスプラッシュを発生させてテルヨシにダメージを与える。

 しかし落ちてきた火矢のどれもがテルヨシに直撃することはなく、全ての火矢が落ちて爆発も収まった時には何事もなかったかのように謡と相対していた。

 ダメージとしては累計で1割ほどは削れたが、謡の提示したクリーンヒットにはなっていないので、謡もその弓を下ろすことなくテルヨシへと語りかける。

 

「私の狙いを読んだだけでなく、必殺技まで見切っていましたか」

 

「必殺技を見切ってたらノーダメに抑えるよ。狙いの方はわかったけどね」

 

 実際のところテルヨシは今の必殺技を完全に避けられないと判断して諦めた部分があり、そういった意味では避けられない状況にした謡を称賛したいくらいだった。

 

「そうではありません。今の必殺技がテルお兄さんにとって『致命的な攻撃になり得ない』と瞬時に見切ったのではないですか? だからこそこれほど冷静に対応してきたように思えるのです」

 

「んー、それはまぁ……根拠はないけどなんとなくそうかなぁとは思ったよ」

 

 だが謡はテルヨシがその上の見切りで必殺技が大ダメージを負わないと判断したのではと勘繰っていたらしく、言われてみれば直撃はちょっと危ないなくらいで、必殺技自体にはそこまでの脅威は感じていなかった。

 まぁ比べている攻撃があの《ビャッコ》の攻撃なのだから比較すればその威力に歴然たる差があるのは仕方のないことなのだが、テルヨシはあの修行の中でなんとなくの予測ダメージを見て計ることができるようになっていたことを今さら思い出す。

 

「そうなると私がテルお兄さんから隙を作り出すには、絶対に食らってはいけない攻撃をしなければならないわけですね」

 

「通常攻撃の1発でも入れば今回は終わりだし、そこまで深刻な問題でもなさそうだけど」

 

「いえいえ。テルお兄さんにはそれでは当たる気がしませんので、こちらも渾身の一撃をお見舞いするのです」

 

 そんなテルヨシの修行を知る由もない謡は、謎の見切りを発揮するテルヨシにさらに闘志をみなぎらせて、持てる全ての力で勝負に勝とうと構える弓矢に力が入る。

 おそらく謡が本気で仕留めに来たらテルヨシと言えどクリーンヒットは免れないと直感し、謡が動き出すより早く決着にしなきゃと、2回だけ発動できる《インパクト・ジャンプ》で奇襲作戦を考える。

 

「それは怖いから今回は遠慮するよ、うーちゃん。インパクト・ジャンプ」

 

 ただ突っ込むだけでは速かろうとなんだろうとハイランカー相手には通用しない。

 だからテルヨシは始めのインパクト・ジャンプで真上への垂直ジャンプをして40m上空へと到達。

 謡もジャンプした先をすぐに確認してその弓矢をテルヨシへと向けてくるが、その時にはすでにテルヨシはその体をほぼ180度転換して謡に頭を向ける姿勢に。

 そしてその高さに到達したことで黒雲から落雷の予兆があり、すぐにでも落ちてきそうなギリギリのタイミング。

 

「……インパクト・ジャンプ」

 

 紙一重なタイミングで《インスタント・ステップ》の足場を利用して再びインパクト・ジャンプを使い、今度は謡めがけて急降下。

 後ろではまさに今テルヨシがいた地点に雷が落ちて稲光が発生し、それを認識するよりも早く謡の後方へとダメージ覚悟で両足着地。

 地面を捉えた衝撃が足から頭に突き抜ける痛みを堪えて、稲光によって視界を一時的に遮断されていた謡が反応するより先に近づいてひょいっ。その体を持ち上げてお姫様だっこしてしまう。

 

「ひゃうっ!?」

 

「うーちゃんつーかまーえたぁ!」

 

 本当なら一撃入れて終わりにするところなのだが、どうしても謡を背後から攻撃できなかったテルヨシが日和ってそうしたことをすると、抱き上げられた謡は予想外の行動にきょとんとしてテルヨシの顔を見つめるだけになってしまう。

 

「……けど、やっぱ攻撃しなきゃダメだった?」

 

「……なのです」

 

 お互いにどうしたものかと見合った状態で、どうにも決着が微妙になったせいで現実を見ることになり、真面目な謡はしっかりしてくれと言うように返事してから下ろしてほしいと要求。

 それに応えて静かに地面に下ろしてあげると、すぐに1歩下がった謡はその手の弓を両手持ちして振り上げて、パコンッ! ノーガードのテルヨシの頭へと振り下ろしてダメージを与えてきた。

 

「これで私の勝ちなのですっ!」

 

「えーっ! それズルい!」

 

「ズルくないのですっ! ちゃんと先にクリーンヒットさせたのです!」

 

 そうしてえっへん! と腰に手を当てて勝ち誇る謡は壮絶に可愛いのだが、すでに決着はしていたも同然のところでのそれにはさすがのテルヨシもツッコミが先行してしまう。

 このくらい負けず嫌いな方がバーストリンカーとしてはいいのだろうが、なんともいえない大人気なさ──子供なんだけど──には歳上のテルヨシが折れるしかなく、それを後押しするようにギャラリーの方からも謡を誉め称える声が飛んできてしまったのだった。

 

 仕方ないのでこの対戦は謡の勝利ということで納得しておき、お互いの実力がなんとなく理解できて当初の目的は達成できたかなと思っていると、謡が改めて向けてくる視線に気づき何かと尋ねる。

 

「タイミング的には落雷よりも早く降りてきたようでしたが、そういうことでしたか」

 

 そう言いながら謡が見ていたのは、今はすでにそこにはない後頭部から伸びていたはずの《テイル・ウィップ》。

 そして謡の言う通り、轟雷ステージの落雷は割と高性能で、落ちる対象がなくなれば、その時点で落雷はキャンセルされてしまい、さっきやったギリギリで落雷を避けるなどという芸当はそもそも不可能なのだ。

 それを可能にするには、あの場に『雷が落ちるべき対象』がある必要があるため、テルヨシはあの瞬間、必殺技の発動とほぼ同時にテイル・ウィップを後頭部から切り離して置き去りにしたわけだ。

 そうして落雷を誘発しながら、稲光をブラインドに謡へと接近し決着まで持っていくことができたのだが、今回は特殊な勝利条件だったからできた捨て身の攻撃に近いので、あまり実用的な作戦ではなかった。

 

「テルお兄さんは勝負どころでの発想が面白いのです。柔軟な思考を持っている証拠ですから羨ましいのです」

 

「うーちゃんも可愛い見た目で追い込み方がなかなかエグいよ。さすが旧ネガビュの四元素ってところかな」

 

「私などフーねえやレンねえ。グラフさんと比べたらまだまだ未熟者なのです。今のテルお兄さんならフーねえ達にも引けを取らないかもしれませんね」

 

「買い被りだよ。レベル8の重圧にもまだ慣れないひよっこが思い上がるようなこと言わないでくれ」

 

 それでも謡からの評価は割と良くて、フーコ達とも良い勝負ができるだろうと言ってはくれたが、いくらビャッコとの修行を生きて帰ったとはいえ、それだけで完全に埋まるほど甘い実力差ではないと自分に言い聞かせて、優しい謡の言葉にも気を緩めない。

 そうした謙虚な姿勢もまた謡には好印象だったのか、甘い評価だったかもと頭を下げてから、いつまでも話していては決着を特殊なものにした意味も薄れるので、さっさと対戦をドローにして加速を解き、現実世界へと戻っていった。

 戻ってすぐに物言えぬ謡が申し訳なさそうに頭を下げようとしたのをテルヨシは手で制して止め、その代わりに両手を広げて謡を迎え入れるような体勢になる。

 それにきょとんとした謡にウィンクしてみせればさすがに意図は理解できたようで、ちょっと戸惑いつつもテルヨシに近寄ってその懐へと飛び込んで、そこですかさず広げていた両手を戻してギュッ。

 謡を軽くハグして暗に「謝らなくてもいいよ」と示してあげてから、マリアに蹴られる前に解放してあげて、マリアと謡の頭を優しく撫でてから別れてバイトへと向かっていった。

 

 謡との対戦は予想外だったものの、収穫は上々であったこともあってバイトには上機嫌で入り、さっそくウェイターとして店に顔を出してみると、すでに来ていたサアヤ、ユリ、ユニコの3人がイートインコーナーで談笑しながらテルヨシに気づいて軽く会釈。

 小・中・高の学年のバランスが良いんだか悪いんだかな組み合わせには初見なら何の集まりだろうと疑問が生じるところだが、意外と客同士というのはそこまで気になるものではないのか、他のお客は全く気にすることもなく楽しそうに談笑して、いつものようにテルヨシを呼び寄せて愚痴を吐いたりとする。

 そうやって通常業務をこなしながらも、サアヤ達が何の話をしているのかは気になってしまうので時おり耳を傾けてみても、している話は使っているシャンプーが何なのかとかガールズトークが中心で大事な話とやらをする気配すらない。

 まさかいわゆる女子会なのではと思わざるを得ない微笑ましい光景には平和な空気満載なので一向に構わないとは思うが、あの集まりでブレイン・バーストの話題が出ない違和感はやはり半端ではない。

 客層を見て話題に慎重になることはよくあるが、今の客は他に大学生以上しかいないので声を大にしない限りは問題ないはず。

 じゃあ何なのだろうかと、結局は厨房に引っ込むまでブレイン・バーストの話をしていなかったサアヤ達の謎が解けないまま、作業が一緒になったパドにその辺をうかがってみる。

 

「今日はマリアが来てから本題に入る。それまではただの女子会」

 

「マリアが来るなんてオレ話してもいないし、メールにも連れてこいとかなかったけど?」

 

「そんなことしなくてもマリアなら知れば来る」

 

「みんなミャアのせっかちの悪影響を受けすぎではなかろうか」

 

「NP。物事が円滑に進むなら省略はするべき」

 

 やはり事情を知っていたパドによる説明で納得がいくようないかないような理屈を言われて苦笑。

 マリアが必要なら最初から言ってほしいと思うのが変みたいなパドの言い分は普通におかしいはずなのに、思惑通りに事が進んでしまってるせいで否定をしづらい感じに。

 まぁそれもテルヨシやマリアの人間性を理解してくれている上でのある種の信頼とも言えるので、あまり多用されても困るが悪い気はしないからとりあえずそういうことにしておいて、噂をすればなんとやらで飼育委員の活動を終えて直行してきたマリアが店の裏から中に入ってきて、休憩室にランドセルやらを置いてすぐにイートインコーナーへと足を運んでいく。

 テルヨシがおまけみたいな扱いだということなので、話はISSキットやメタトロン攻略とはあまり関係ないと思われるが、ユニコも絡んでくるとレギオンも絡んでくる話ではないかと勝手に予想しつつ、あと30分もすれば休憩になるので、その時間で判明する話の全容に今から緊張してしまう。

 

「……テルの学校。今度の日曜日に文化祭がある」

 

「おえ? それって今さらでは?」

 

「ユリがテルに招待されたって言ってた」

 

「確かにしたけど、ネガビュとも折り合いはついてるし、マズかった?」

 

「…………別に」

 

 そこへ唐突にパドから文化祭の話が振られたのでビックリするが、先週にはそれに関わることでバイトに遅れたりもあったから今さらな話だった。

 しかしそこでユリを誘ったことをわざわざ言ってきておいて、それに対してなんか不機嫌な感じで返してきたパドに違和感を覚え、作業を続けるパドに何度か本音を聞こうと迫るも、返ってくるのは「別に」の一言だけ。

 さすがにテルヨシもバカではないので、パドにしては可愛いと思いつつ付き合いの長い自分がユリより先に誘われなかったことを拗ねているのだろうと指摘してみれば、作業が高速化したパドは逃げるように別の作業をしにテルヨシから離れていったのだった。

 

 パドが拗ねるなんて珍しすぎてどうしたら機嫌が直るのかわからない状況に戦慄し、解決策を見いだせないまま休憩時間を迎えてしまい、店の裏に移動してサアヤと2人きりになってからもすぐには切り替えられず悩んでいたら、真剣な話をしようとするサアヤから脳天チョップを繰り出されて我に返る。

 

「なに? レパードが文化祭に誘われなくて拗ねてる? んなバカなこと」

 

「いや冗談ではなく……どうしましょうか。招待券はもう余ってないし……」

 

「それは……うーん。アンタのクラスのもて余してる子から土下座して譲ってもらうとか?」

 

「それでも良いとは思うんだけど、パドが拗ねてるのってなんか、自分よりユリさんが優先されたことの方だと思えているわけで……何かプラスαはないと解決しない気も……」

 

「考えすぎな気もするけど、もしそうならそれこそ当日に気前よく奢るくらいしてあげればいいでしょ。もちろんユリとかには内緒になるけどね」

 

 それで事情を話してみたところ、自分が関係ないからか親身になってといった感じでもないが、最も波風が立たないだろう解決策を提示して話を終わらせにきた。

 完全に個人的な悩みだから仕方ないし、話を聞いて意見を出してくれただけありがたいので文句も言わず、うだうだするのはそれでやめて頭を切り替えると、それがわかったサアヤも時間が少ないこともあってすぐに本題に入ってくれる。

 

「まずはそうね。テルは自分が言ったことの実現がどれくらい難しいことかは理解してるよね?」

 

「ホワッツ?」

 

「クソみたいな英語とかいいから。ISSキットとかメタトロンとか問題もあるけど、アンタが目標として言った《帝城》攻略の話よ。この前の《スザク》を相手にしてその難易度はわかったわよねって言ってるの」

 

「おおぅ。そうね。いきなりな振りでビックリだけど、難易度に関しては理解したつもり」

 

 やはりここでもパドの影響はあるのではなかろうかと思うサアヤの話の入りには困惑してしまうが、話が通じたならいいやといったサアヤの雰囲気に流されてそのまま続けていく。

 

「なら現実的に考えて、その帝城攻略を実現するためにどのくらいの戦力。要は人員が必要かはなんとなくでも想像はつくでしょ」

 

「《四神》の同時攻略が大前提として、1体あたりにレベル6、7、8だけのバーストリンカーを選りすぐっても……最低20人は必要になるかも?」

 

「事前の対策とかその辺もしっかりすればそのくらいにはできるけど、私の見解では最低30人。それが4ヶ所ってことは、作戦実行に移すだけで120人以上の大パーティーを組まなきゃならないわ。その意味、わかるわよね?」

 

 ISSキットやメタトロン。加速研究会のことが表沙汰な問題となっていたこともあって、テルヨシが新たに掲げた目標。帝城攻略が具体性を持って進展していなかったことを突きつけられ、それでも先週のスザクや一昨日のビャッコを相手にしたことから、話の内容には理解が及んだテルヨシの見積もりに概ね納得のサアヤは、ならばとその言葉の意味についてを考えさせてくる。

 そしてそう言われてみれば自分のやろうとしていることの規模の大きさに冷や汗が出てくる。

 100人以上の規模での大パーティーを作るということは、現在で最大のレギオンである緑のレギオン《グレート・ウォール》と並ぶか、それ以上のメンバーを召集しなければならないということであり、それだけの人数を足並み揃えて指揮するだけでも相当なレベルを要求されることになる。

 人数など増えれば増えるだけコントロールも難しくなるし、それを4隊にするため指揮官は4人必要になる。

 どうあってもテルヨシ1人でどうこうできるレベルではない。

 

「有象無象の集団じゃ話にならないし、綿密な作戦計画と先行調査は必須。連携強化とパーティー練度も十分に上げないとか」

 

「他にも色々と必要な要素はあるわけだけど、1日でも早く実行したいなら、今からでもやるべきことはたくさんあるのよ。そりゃ、ISSキットとかメタトロンとか解決しなきゃいけない問題もあるけど、それはそれよ。アンタの目標が優先されない理由にはならないわ」

 

 テルヨシがレベル10に至る目標を奪ったサアヤだからこそ、次なる目標である帝城攻略に真剣になるのは、テルヨシへの責任と義務があるのだろう。

 それでもバーストリンカーとして挑みたいという気持ちがなければ、こんな無謀な計画に参加してはくれなかったはずのサアヤがすでに動き出していることに自然と笑みがこぼれたテルヨシは、嬉しさと同時にサアヤらしさを垣間見て良いなと思う。

 

「それが今回の女子会と繋がるわけね」

 

「プロミに協力をってことではないけど、条件によっては参加してもいいかなって話にはしてみたつもり。それはまぁレギマスのユニコちゃん向けの話で、ユリとマリアに関しては別」

 

「別って言うと?」

 

「やっぱりパーティーの熟練度っていうのは一朝一夕で成せるものじゃないのよ。そういった意味で言えば私にとってユリは長年のパートナー。熟練度はたぶん、他のどのバーストリンカーよりも高いレベルにあるって自負してる」

 

「そうね。ってことはもしかしてユリさんをヘッドハンティングってこと?」

 

「無理強いはしてないわ。ただユリも頑固っていうか義理堅いっていうかで、私達のレギオンに移籍するなら条件があるって」

 

 そこまでの話で方向性はわかったので、次に話を今回の集まりに繋げてみると、まずサアヤがやるべきと思ったのがレギオン《メテオライト》の戦力増強だったらしく、その候補としてユリを選んだみたいだった。

 その人選には理由を含めて納得しかないが、ユリもユリで二つ返事で了承できる案件ではないため、それなりの条件を提示したと聞き、当然その条件とやらを尋ねたテルヨシにサアヤは無情とも言える提示された条件を話す。

 

「私達のレギオン、メテオライトの規模拡大に合わせて、中2戦域のバトロワ祭りで討ち取れば大金星になる、アンタ含めた5人。《五芒星(ペンタゴン)》を全員レギオンに引き入れられたなら、移籍するって話よ」

 

 その条件を聞いた瞬間、テルヨシの頭では1度すべての考えていたことが停止し、確認するように今のサアヤの言葉を噛み砕いて理解してみるが、やっぱり聞き間違いじゃないかと思って頬をつねるが、紛れもなく現実で、言ったサアヤも頭を悩ませてしまっていた。

 

「…………いやいやいやいやいや。無理っしょ」

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